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ライフステージ別、犬の健康注意点2

先週の続きです。 
状態が安定している壮年期のころは健康上の盲点になっているときで、環境変化によるストレスをはじき飛ばすことができず「こころの病気」になりやすいときです。それでも「心因性」で片付ける事ができる年代ですが、シニア期にはストレスがこころから全身に及んで免疫性の疾患を引き起こしてしまったりします。それぞれのステージが次のステージの序章になっています。「今は何ともない」ように見えて、とても重要なときです。「元気で長生き」を実現させるならこの頃からの対処が大変重要です。


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飼育当初とは家族環境が変わってきていることが多いです。
環境変化はわんこにとってもストレスであることをお忘れ無く。
忙しくなって犬の世話がなおざりになっているケースも見られます。
もう一度飼い始めた頃を思い出してください。
まだ元気に走れますが疲れ易くなっています。休憩も大事です。

<壮年期の注意>

7歳から9歳)

・飼育を始めた頃と、家庭内の生活環境が変化している場合が多いです。忙しさにかまけて犬との生活が雑になっている場合があります。面倒がらずに犬の世話をしてください。理解度の進んだ犬は環境変化にも気づいていて我慢を重ねています。さらに愛情を持って接してください。犬と楽しく過ごせるときはもう短くなってきています。

・保険の再加入が難しくなる年齢です。もし解約している場合は再加入の見直しをしてください。継続している場合も十分検討して、更新または解約を決めるようにしてください。医療費がかかってくるのはこの頃から数年先のことが多いです。

・年に一度の健康診断とお決まりの一次予防のほか、これから発症してくる高齢期の病気について知識を得るため、いろいろな用件で病院を利用してください。来院のたびに新情報を得るようにしてください。

・健康診断の結果は早めに聞きに来てください。異常が見られた場合も、その都度対処し、後送りにならないようにしてください。「まだいいか」が重なってくると次に別の疾患が見つかったときに治療が難しくなることもあります。

・歯科ケアについてことに関心を持ってください。デンタルケアをサボった場合は必ずこのころまでに歯周病というツケが回ってきます。歯周病が認められた場合はスケーリング治療を受けましょう。この頃が最大のチャンスです。治療後は再び歯科ケアを始めてください。


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いろいろな病気が出始めます。治療せずにいると
次の別の病気が発見されて、いくつも重なってしまうことがあります。
車いす生活になる犬もあります。
目が白くなってくる犬もいます。
いつの間にか飼い主さんの年齢を超えているかもしれません。

<シニア期の注意>

10歳から12歳)

・いわゆる還暦を迎えています。犬は人よりもスピーディーに年齢を重ねることになります。被毛が白くなったり、目が白くなってきたりなど、加齢を感じる節も出てきます。すべてを「年だから」「年のせい」にしないでください。加齢による変化であっても快適に過ごすための工夫はたくさんあります。

・健康診断のための来院は年に二回をお勧めします。検査内容も、これまでの標準から心配な器官のオプション項目を加えることも検討してください。腫瘍発見のため、画像検査を加えると安心度は高まります。これまでは「異常がなければ安心」でしたが、これからは「早期発見」が目的です。検査結果に異常があっても「早くわかって良かった」とプラス思考で対応して行きましょう。

・来院頻度を増やし、高齢期の病気について、準備段階のシニア期の過ごし方についての情報をつかんでいってください。

・各種サプリメントを賢く利用することを検討しましょう。免疫作用を高めるサプリや、抗酸化作用をもとめるもの、関節疾患に重点を置いたものなどがよく利用されています。ご相談ください。

・食器を置く台を高くしたり、滑りにくい床材を選んだり、段差をスロープにしたりなど、高齢期に備えて準備をしましょう。

・歯科ケアは継続して行なってください。安全なスケーリング処置の出来る最終年齢でもあります。うまく出来なかった場合も、治療後ケアを再スタートさせ、ひどい歯周病にならないようにしましょう。


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見た目若作りの犬では、老年であることを忘れてしまっているかもしれません。
加齢に歯止めがきかない頃です。
数か月単位で様子が変化します。
今、このときを大事にしましょう。

<老年期の注意>

13歳以上)

・生活環境を整えることが必要です。バリアフリーにしましょう。視力低下に備え、動線にはっきりした目印(彩度の異なるラインなど)をつける、屋内トイレを近くに設置するなど、高齢犬向けの対応をしてください。

・寝ている時間が長くなります。関節ケアのための快適な高齢犬専用マットを用意しましょう。

・歩行の補助が必要になるかもしれません。補助具について調べておきましょう。そのほか、高齢犬向けのアイデアグッズ、介護用品など調べ、必要ならば上手に利用して、犬の生活の質を上げてください。

・顔周りや爪、足先、肛門周りなどはケアしやすい美容をしておきましょう。

・病気発見のための健康診断から、病気の進行具合をチェックする検診へと変化しているころです。割安な健康診断パックをうまく利用してオプション項目を増やしていきましょう。

・罹患している病気についての知識を高め、家庭での観察ポイントを知り、積極的に治療に参加してください。看護や介護についてなどの質問をまとめておき、来院時には解決するようにしてください。

・思い出が沢山残るように、写真もたくさん撮っておきましょう。

・「その日」が来ることを家族で話し合っておくことも大切です


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参考ばかりに犬と人の年齢換算表を示しました。
狂犬病シーズン、どうぞ皆さん、
うちのわんこはどんなところに気をつけてあげたら良いのかを
ぜひ心に刻んでお帰りください。

<おわりに>

動物病院とのおつきあいの時期は子犬の頃と高齢期の二峰性のことが多いかと思いますが、私たちは生涯を通して健康でいることに重点を置いて、皆さんの愛犬と向き合いたいと思っています。用事がなくても来院していただき、「このあいだこんなことがあった、可笑しかった!」というような会話が出来ることを望んでいます。用事がないのに来院していただくのは申し訳ないので、「爪切りや肛門腺処置」でも良いし、「お勧めの食事選びと体重測定」なんかも良いと思っています。特に食事に関しては、医食同源です。健康な身体を作るもとになる食事ですので、健康増進の一環としてドッグフード選びにお役に立てたら幸いです。フードに関する病院からのご提案も用意していますので、次回はそちらを紹介させて貰おうと思います。

なお、今回は犬を中心にお話ししましたが、猫もほぼ同じような内容です。別の機会に猫のライフステージ別健康注意点はお話しします。

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ライフステージ別、犬の健康注意点

 春の予防シーズンでは久しぶりの再会になる犬たちも大勢います。パピーのころは予防注射や、不妊手術で通院して貰う機会が多くありましたが、この時期を過ぎると、特別な疾患を持つことがわかっている犬や、皮膚や耳などのウィークポイントが見えてきた犬以外は、あまり病気になることもなく、過ごしていきます。

子犬のときにお話ししてきた「ライフステージごとの健康留意点」について、案外忘れているのではないかと思います。改めてご紹介しておきます。成犬時体重9kg以下の犬を例にしてありますので、大型犬では成長するまでの月齢がこれより長く、また寿命はこれより短めなので、ぴったりこの数字とは違ってくることをご承知置きください。

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春の狂犬病予防注射シーズンで、ご来院されたときは
ぜひ、うちのわんこの今の注意点にご注目ください。




<パピー期の注意>

0か月から8か月頃)

・正しいワクチンプログラムで感染症を予防しましょう。

・保険への加入を検討してください。

・犬の行動を理解し、上手にしつけをしてください。決して叱らないでください。褒めて伸ばしましょう。

・歯みがき習慣を確立させましょう。焦らず、長い目で。成果がはっきりわかるのは10年後かもしれませんが。

・留守中のトラブルを避けるためのクレートトレーニングを完成させましょう。

・犬が主体の散歩にならないようハンドリングの基礎について知り、散歩嫌いも克服しましょう。

・不妊手術について家族で相談し、最適な時期を逃さないようにしてください。

・グルーミングの習慣をつけましょう。我慢させる訓練でもあります。

・成長が止まる頃の食事の特性について知り、賢く対処してください。この頃におやつ路線まっしぐらになる危険性が潜んでいます。

・初めて迎える寒冷期、または真夏の過ごし方について知り、必要な物は用意してください。

・わからないことが出てきたら必ず動物病院で相談してください。お隣さんに相談しがちですが、まれに誤った情報をつかんでしまう可能性もあります。



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まだ若さはつらつの青年期はいたずらし放題です。
どろんこ遊びも大好き、なんでもカミカミ、お口で確認したいときです。
異物の誤飲などにご注意ください。

<青年期の注意>

9か月から2歳)

・不妊手術について検討し、実施する場合はこの時期までに済ませましょう。

・正しい食事方法で肥満を防止しましょう。メタボはこの頃に始まっています。

・歯みがきとグルーミングの習慣を面倒がらずに継続させましょう。

・留守中に犬が寂しくならないような工夫をし、知育玩具を用意しましょう。

・困ったクセがつかないうちに、行動上の問題が発生した場合は早めに対処しましょう。

・年に一度の健康診断を受けましょう。

・フィラリア予防やワクチン接種、ノミマダニ予防を忘れずに行ないましょう。

・夏の暑さ、冬の寒さを犬任せ「我慢してね」にせず、気持ちよく乗り切る具体的な方法についてご相談ください。

・たくさん話しかけてください。言葉を覚え、理解が進みます。犬は思っている以上に賢い動物です。



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ちょっと落ち着いてくるときですが、体力は有り余っています。
遊びが不足していると手足を舐め舐めするわんこもいます。
アトピー性皮膚炎を発症するわんこも出てきます。
個別の遺伝的な問題が現れ始めるころです。

<成犬期の注意>

3歳から6歳)

・比較的病気もなく、うまく過ごせてしまう年齢です。飼育が恒常的になっていて犬と遊ぶ時間が減少してくるときでもあります。言葉を理解し、こちらの言うことがよくわかっているだけに、我慢していることもあるかもしれません。さらに十分な愛情を注いでください。

・おやつと食事、運動など生活習慣による犬のメタボリクス症候群について知ってください。好ましくない習慣がついてしまった場合でも、まだまだ修正の効く年齢です。個人的に頑張るのは限界がありますので、ぜひご相談ください。

・アトピー性皮膚炎はこの頃までに発症していることが多いです。痒みについては総合的な対処が必要です。皮膚ケアや食事、環境改善について知ってください。

・歯科ケアの継続は大切です。歯みがき習慣がおざなりになっていないか反省してみましょう。

・年に一度の健康診断を受けてください。ワクチン接種やフィラリア予防、ノミマダニ予防などの一次予防について忘れずに行ないましょう。

・妊娠を希望しない場合、妊娠をあきらめた場合、麻酔リスクを考えるとリスクの少ない不妊手術の最終年齢になっています。もういちど検討してみてください。オスも同様です。


7歳以降については次回に回すことにします。

 

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ねこのひげ

 猫のひげについてお話ししましょう。

 

<ねこのひげがあるところ>

猫のひげは口唇部についているものを指すのが普通です。でもよく見てみると目の上、眉毛に当たる場所にもあるし、顎の部分にもあります。毛よりも太くてピンとしています。解剖学的には被毛に比べると皮膚のより深いところから出ていて、神経につながっています。

それから、ピン!と出ているひげ、顔回り以外でも見たことがありますよね。ひげという名前にするには抵抗があるけれど、毛じゃない。そう。前足の後ろにあります。

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<ひげの機能>

触覚としての機能がひげにはあります。ひげは筋肉や神経につながっていて、「触って感じる」レセプターの働きがあります。触れた、という感覚はそのま脳に信号が送られるわけです。私たちの皮膚のような存在です。

ひげの触覚としてのセンサーはとても敏感です。空気の動きもキャッチします。これは周囲の状況を知るのにとても役に立ちます。優秀なハンターとしての重要なアイテム、というわけです。

よく知られているのは「猫が狭いところを通れるかどうか、体を通す前に判断する役目がある」というところです。ひげの長さは体の幅と同じくらいだということです。立派な体格をした猫には立派なひげがあります。大量を崩したり、高齢になってきた猫はちょっと残念な長さ(や太さ、そして密度)のひげになっています。健康を図るためのバロメーターとしてみることもあるくらいです。

自然に抜け落ちることもありますが、また生えてきますし、成長もします。

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<感情を表すひげ>

ひげは猫の気持ちを表現する部位でもあります。猫が休んでいるときにはひげは動きません。興奮しているときは顔の前の方に向いてきます。顔に対して平行、もしくはやや後ろの方になっているときは、緊張や恐怖の兆候で、場合によっては攻撃を始める前になるかもしれません。

 

<ひげを切ってはいけない>

猫のひげはバランス感覚を取るのに必要です。決して切ってはいけません。本当は触れるだけでも痛いと感じているのかもしれません。

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<ウィスカーストレス>

猫のひげはとても敏感です。食べ物を食べるとき、水を飲むとき、「ひげが食器に当たるのを嫌う」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。食器にひげが触れるのを不快に思うようです。ウィスカーストレスと呼んでいます。猫は水食器も食事用の食器も、浅くて幅の広いものが好みのようです。

 

今回はちょっとライトに、猫のひげのお話でした。

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エリザベスカラーに替わる物

エリザベスカラーのお話、続きです。嫌われ者、エリカラーですが、「どうしても着けなきゃいけない状況、待ったなし、それでもエリカラは避けたい!」そういうときのエリカラに替わる物のお話しです。

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先週に続き再掲載。

エリザベスカラーに代わるもの

 プラスチック製のエリザベスカラー、かたいのが特徴でそれが仕事をしてくれるわけですが、やっぱり不便な面もあります。例えば首近くの皮膚の通気性が悪いため、湿疹が起こりやすいのです。エリカラーに代わる製品が現在たくさんあります。ご紹介します。箇条書きです。

1、ソフトカラー

 エリザベスカラーのように、ペットの首周りにフィットします。不織布の素材で作られているものが多いです。利点はカラーより軟らかい素材なので、快適かもしれないこと。欠点は適切に装着されていない場合、体を回転させ、傷を舐めることができてしまうこと。透明ではないので視界は悪いですが、軽いです。カラーよりも高価です。

2、ネックピロー(ドーナツ)

 大きなクッション入りのカラー、飛行機内でよく使われる首枕のかたちです。頚部の椎間板疾患の犬で、頚部の固定の意味で使うことがあります。とてもいい感じです。(本来のカラーの意味とは違いますが。)利点は軽いこと。容積はありますが、中身は空気です。ペットにとっては快適になるだろうと思われます。周辺の視野は良好です。ぶつかりにくいでしょう。顔周りの通気性も良好です。首回りだけ皮膚炎に気をつける必要があります。ネックピローを枕代わりに安眠できる犬もいます。欠点は身体が軟らかく向きを変えるのを上手な犬では口が届いてしまい、それを防ぐためにリングの直径を大きく取らなければならないこと。そうすると大型犬の場合は横になるのが難しいかもしれません。カラーよりも高価です。

3、花びらカラー

 布製で、ある程度頑丈ですが折りたたみも可能です。利点は見栄えがいいこと。すごくかわいい。ライオンやカエルに変身させられます。欠点は重たいものがあること。布をいくつも重ねてありますから。それから壊れやすい製品もあります。円周の長さが異なるため、こまめに調製しないと傷に届いてしまうこともあります。カラーよりも高価です。ただ、実用性に劣り、不満に思う飼い主さんが多く出ました。

 4、術後服のこと

手術部位や創傷を保護するために市販の術後服を購入される飼い主さんももいらっしゃいます。
私たちは術部からの出血を抑えるため、またはそれを心配する場合、ときに動物が舐めるのを避けるためにお腹を伸縮性のネットで巻いています。これは柔軟な包帯材料で作られています。傷保護に焦点を置いてカスタマイズされた製品で見栄えはよくありませんが、安価で、汚れたり擦れたりした場合の交換が可能です。
市販の術後服は手術部位の周りの湿度を高めてしまう可能性があります。高価です。
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もっと詳しいエリカラーのお話、掲示板そばに置きました。

自家製のカラー(レッツDIY!)

犬や猫の首につけるカラーは基本が円錐形です。これは複雑な形状ではないので、手づくりを試みることもできます。休診日に突然必要性を感じたときに有用です。エリザベスカラーを作成する方法はいくつかありますが、最も簡単で効果的な方法のいくつかを以下ご紹介します。

DIY1:バケツカラー

古来から紹介されている方法です。今はどうかな?というのはありますが、これ、1の1だよな、って思うのではじめにご紹介します。基本的には、バケツの底に穴を開けてから犬の頭の上にスライドさせるだけです。犬の首輪に底を開けたバケツを接続し、所定の位置にそれを保つために、バケツの底近くの側面にいくつかの小さな穴を開け、首輪とバケツを丈夫な紐などでくくりつけます。けがを防ぐために、犬に装着する前に、ざらざらした縁を研磨するようにしてください。大きい犬向けです。

DIY2:カップ麺カラー

バケツカラーと同じように、猫や小型犬にはカップ麺の容器で代用できます。(どん○えカラー、とか呼んでいます。)見栄えに問題は残ります。急場しのぎなのでがまんして。

DIY3:段ボールのエリカラー

最終的な出来栄えがよくないかもしれませんが、段ボール紙をエリザベスカラーの形に作ることができます。段ボールのカラーは硬いプラスチック製のコーンではないので、長持ちはしませんが、必要な材料はすべて手に入れ易い物なので緊急時には重宝します。円形から一部分をカットし、円錐形にします。首回りの太さに応じて中央をくりぬきます。重たいですね。

DIY4:紙皿のエリカラー

段ボールの代わりに円形の紙皿の中央に首に回すための穴を開け、紙皿を閉じると、簡易型のエリザベスカラーができます。小型犬と猫向けです。くりぬいた中心部の端近くに小さな穴をいくつかあけて、この穴を利用して紐で首輪につなげます。もしくは列状に開けた穴にソフトなリボンを通し、これ自体を首の太さに合わせて引き締めて固定することも可能です。

DIY5:タオルカラー

古いタオルを首に巻き付けるだけで、ドーナツカラーを再現させることができます。犬の大きさに応じて二~三度度タオルを折りたたみ、首にタオルを巻きつけます。それからタオルを固定するために上からベルトを使用すれば完了です。タオルの襟はバイトノットカラーとよく似た働きをします。主に身体の後ろ半分を噛むのを防ぐことができます。これはほとんどの犬にとってもかなり快適です。結構お勧め。
これを段ボールで作ることもあります。大きい犬向け。

DIY6:防護服(術後服とまでは言ってあげられないけど)

犬が傷やかゆみのある肌を舐めたり噛んだりするのを防ぐ方法はエリザベスカラーだけではありません。身体を保護するために防護服を使用することもできます。古いTシャツを着せたり、パンツを履かせたりするのも簡単で有効な方法です。服のサイズが体型とすぐには合わないと思います。マジックテープなどを利用してください。とてもクリエイティブな作業です。お裁縫が大好きな方だったら、ぜひぜひ。とにかく、出ている部分を隠すのが第一目的です。残念ながら、着せた服を噛んでしまうとか上手に脱いでしまうというときには有効ではありません。
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手作りも出来ます。


 どうしてもカラーがだめな犬

どうしてもカラーがだめ、という犬が(猫も)います。とてもシャイな子たちです。そういう臆病な犬にありがちなのが、カラーの認識不足です。「どんな物だかわからないので仲良くできません!おかぁしゃん、ぼく、こわいです!」というもの。それはいきなり装着されて戸惑っている行動なのかもしれません。まずはカラーを置いて、くんくん、犬に観察させてあげてください。そしておやつを与えます。さらに装着して、穏やかにしていられれば褒めてください。そしておやつです。ちょっと着けて外す。また着けてみるを繰り返し、教えてあげます。このタイプの犬に大声を上げて叱るのは逆効果です。(そんなことする飼い主さんはいないと思いますけどね。)ナイーブな犬には、少しずつ穏やかに説得させる、そしてこの状況になれて静かにするのを待つことが成功の秘訣です。

カラーがだめだった猫

他院で装着したカラーがだめで、全く動けなくなっていた猫がいましたが、古いレントゲンフィルム(少し透けて見える部分もあるもの)でDIYして着けてあげました。軽さか透け感かわかりませんが、お気に召してくれたことがあります。クリアファイルでも一時しのぎになるかもしれないことを教えてくれました。

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よくあるご質問。どうしてもだめです、と、食事が出来るの?

 エリカラーを第一選択でお願いしていますけど、確かにいます。「いやだっ!」という犬やカチコチに固まってしまう猫。その子たちもじゃぁ、何もしなくて傷をオイタしないかというと、やっぱり舐め舐め、カジカジしてしまいます。そういうときの別の選択肢についてお話ししました。

どの子もカラーのお世話にならないような日常であればいいのにね。カラーのお話はおしまいです。書くきっかけを与えてくれた沢山の「外しちゃったんですか!」事件のわんこさん、にゃんこさん!あのときはどーも、でした。今はどうもありがとう、です。

 

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エリザベスカラーのこと

今日お話しするのはエリザベスカラーのことです。
エリザベスカラーはどちらかというと嫌われ者です。「つけなきゃだめですよね。そうですよね~。」とがっかり感のにじみ出たお声で同意していただけるのは良い方です。明らかな否定や拒否もあります。日常生活に不自由をもたらすエリザベスカラーですが、どうしてもお願いしなければならない場合があります。ご理解とご協力をお願いします。それは愛犬愛猫のためですから。
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今月の掲示板です。

<犬の特性、猫の習性>
犬も猫も、傷があると、どうやら自分の口でそれを確認してみたいようです。ずいぶん前になりますが「動物は傷をなめて治す」なんて言われていたこともあります。小さな傷の中の異物を噛んで唾と一緒に吐き出すのならともかく、推奨される傷の治し方ではありません。これは現在、誰にも認知されている情報だと思います。

犬も猫も、舐めて傷を大きくし、治りにくい状態に変えてしまいます。術後の縫合糸などは囓られると簡単に切れてしまいます。それは非常に深刻な状態を招きます。このようなことが起こってから対処するのではなく、発生しないようにする防護策がエリザベスカラーの装着です。

犬も猫も嫌がることがあります。グルーミングや爪切り、それから歯みがきや耳掃除などもその一つでしょう。しかし、動物が嫌っても、これらのことが必要であるとみなさんご存知なのでなだめて、慣れるように躾けています。エリザベスカラーも同じです。動物の状態を早く回復させるために必要な処置です。動物の動きから不快だろうと察知してカラーを取り外すのではなく、カラーの役割をご理解いただき、治療に参加していただけるとうれしいです。

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エリカラーにご理解とご協力をお願いします。

<エリザベスカラーの歴史>

私たちが開業した約40年前には、既製のカラーはありませんでした。私たちは患者さんのためにX線フィルムや段ボール紙などに粘着テープで首回りにクッションを巻き付けてカラーを手作りしていました。認知度も低く、飼い主さんたちからは今以上に不評でしたし、当時だれも見たことのないカラーを付けていることに奇異の目で見られることもありました。

 その後犬も猫も家庭における立場が向上してきました。裏庭に繋がれていた犬も表に繋がれることになり、やがて玄関口から屋内に、そして寝るときには飼い主さんの寝室へと移行し始めたときには、ペットの快適さのためにより多くの製品が出回ることになりました。

 カラーが一般的になりつつあるのと同じように、外科的処置も進歩しました。より安全な手術、生体に低侵襲な機械を使っての手術、これまで手を付けられなかった部位にもメスが入れられるようになりました。

創傷に対するケアはペットがより早く治癒するのを助けます。カラーによって、治癒時間が短縮されるのです。このようなことを高く評価してくださった飼い主さんが中心になって、カラーの短期間の不便さを受け入れてくれるようになりました。
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きらわれもんのエリカラーですが。。。

<エリザベスカラーの特徴>

エリザベスカラーは動物が生活する基本的な部分には邪魔にならないようには設計されています。口が背中やお尻周り、お腹などに届かないように作られています。また、後ろ足で顔周りを掻いても、耳や頬、口周りに足が届かないようになっています。このような場所を守るのに最適な道具です。

身体の保護を目的にしているため、基本的には折れ曲がらない材質、硬くて丈夫なプラスチック製です。しかし、カラーの縁をうまく傷口にあててこすることを覚えてしまう動物もいます。大きさのため、またカラーの不透明性のために物にぶつかったり、物を倒したりすることもあります。器用に使いこなせないと、食器も転がして、フードをばらまいたり、近くを水浸しにしてしまうかもしれません。カラーが飼い主さんに嫌われることの一つはカラーを付けた犬が闘牛のように荒くれ者に変化してしまうことにもあるのかもしれません。

 いつでもファーストチョイスとしてエリザベスカラーを勧めます。エリザベスカラーはしっかり仕事をしてくれると信じているから、そして安価だからです。一時的な使用だと考えられる場合は貸し出し用のカラーも用意してあるからです。でも、「どうしても好きになれない」というとき、代替えの商品もあります。
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いつものエリカラーじゃないやつもあります。

<エリザベスカラーが必要な場合>

カラーは非常に重要な道具ですが、動物が傷を負うたびに必ず付けなければいけないというようなものでもありません。たいていの犬はカラーが好きではないし、飼い主さんも時と場所を選んで使いたいと思うでしょう。でも次のような場合は、観念してください。「着けなければいけない!」ときです。

1、大きな傷からの回復途中にあるとき

外科的切開(手術)を受けた後、またそれに近い大きな傷を持っているとき。動物が傷を舐めて治癒を長引かせるのを防ぐため、エリザベスカラーは必需品です。避妊手術後、去勢手術後はほぼ装着があると思ってください。

2、同じ場所を絶えず舐め続けているとき

  同じ部位を舐めるまたは噛むという行為を繰り返していると、その場所は炎症を起こします。炎症によって発生するサイトカインや遊走してくる細胞のために肉芽腫を形成するかもしれません。そしてそれがさらに舐める行為を誘発することにつながっていきます。舐めるという行動自体を抑制する治療とともに、局所を保護し二次的な炎症を抑えると痒み物質が出るのも抑えられます。

皮膚炎が先か、問題行動が先か、両方の治療をしていくわけですが、エリザベスカラーはこの治療の補助になってくれます。さらに問題部位が広がるのを防ぐため、また問題の解決を進めるためにエリザベスカラーが必要です。

3、アレルギーなどの皮膚疾患があるとき

エリザベスカラーは、アレルギーをはじめとした痒みの出る皮膚疾患を抱えている動物が、絶えず舐めたり、皮膚を傷つけたりするのを防ぐのに役立ちます。痒みの出る皮膚炎に対して根本的に対処することは重要ですが、痒みの問題解決に取り組んでいる間、エリザベスカラーは補助的に大変役に立ちます。

4、目や耳など頭部に病気があるとき

舐めたり噛んだりするのを防ぐことのほか、頭部を足で掻いて悪化させる心配があるときにもエリザベスカラーは使われます。足の攻撃から病気部位を守ります。
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エリカラは働き者なんです。

長くなりました。「必要だからお願いしますっ!」「ご理解よろしくっ!」で済まない問題であることもわかっています。来週はエリザベスカラーに替わるものについてお話しします。 

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プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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