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BEGダイエットを知っていますか

 ちょっと気になるおしゃれなペットフードの中には、誇大なメッセージで誤解を生じさせるような表示のフード、また困った問題が発生しているフードなどがあります。数年前から米国の獣医師たちが警鐘を鳴らしている「BEGダイエット」がそれです。日本にもその波が押し寄せてきています。今日は日頃不安に思っている食事のことをおはなしします。
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 BEG ダイエットというのは>

Boutique diet=ブティックダイエット

Exotic diet=エキゾティックダイエット

Grain free diet=グレインフリーダイエット

の頭文字をとって、BEGダイエットと呼ばれています。BEGダイエットと自家製の手作り食は最近、意識の高い飼育者を中心に人気を集めています。

ブティックダイエットというのは小規模なメーカーが作っているペットフードです。ブティックというとお洋服を想像しますね。小さいけれど好みのお洋服や雑貨などを扱っているおしゃれなお店です。製造されているものをペットフードに置き換えてみてください。なんとなくブティックダイエットの理解が進んだでしょうか。

エキゾティックダイエットは野生の動物を蛋白源としたフードです。エキゾティックな成分には、カンガルー、アヒル、バッファロー、シカなどの肉類が入ります。そのほか亜麻仁、クランベリーやりんごなどの果物が入ったものもあります。

グレインフリーダイエットは穀物を含まないフードのことです。グレインフリーフードではエンドウ豆、レンズ豆などの豆類やじゃがいもなどの芋類が穀類の代用とする成分になっていることが多いです。グルテンフリーという言葉を聞いたことがありますか。小麦に含まれるグルテンは蛋白質で、これが食物アレルギーになることがあります。グルテンのない食品は食物アレルギーがあるヒトの食品として出回っています。

これらBEGフードは主に食物アレルギーなどの特定疾患の健康管理のために作られているものが多いように見受けられますが、BEGフードを購入している飼い主さんたちは「健康」「ヘルシー」などを目的として「安心感」を求めて選んでいることが多いように思います。

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 <魅惑の言葉に満ちています>

これらのフードには共通した特徴があります。それは「動物を愛している人が喜ばないはずがない言葉」にあふれている点です。

・プレミアム
・ナチュラル
・ヘルシー
・オーガニック
・ヒューマングレード
・ダイエットでデトックス

これらはグリーンやオレンジ、赤のつやつやした新鮮素材の映像を豊かに想像させてくれます。「私たちが食べなくてはいけない食事もこういうものよ」と思わせるプラスイメージのワードです。そして

・上等な品質
・最高級の素材
・上質な素材
・良質の素材
・贅沢に
・十分すぎるほど

などのワードからは絶対的な質の良さと信頼を寄せるにふさわしいフードであることを強調しています。

・合成保存料無使用
・人工香料無使用
・着色料無使用
・添加物不使用
・酸化防止剤不使用

の表示のあとには、もちろん

・安全
・安心

と続きます。ここでたいていの動物思いの飼い主さんは「私が探し求めていたフードはまさにこれ。」と思い始めるでしょう。たしかにこれらの言葉にはそれだけの威力があります。さらにそこから

・からだのうつくしさ
・歯がきれい
・涙やけに配慮
・皮膚と被毛の健康
・被毛のつや、肌のうるおい
・毛並みがよい
・体臭が無い
・消化吸収が良い

と効能を発展させています。これで「日頃の悩みまで解消できてしまう理想のフード。」という位置づけに変わるでしょう。その食事だけで歯、皮膚、被毛、眼などの日常ケアは要らなくなるのです。「なんてすばらしい。」と思うでしょう。さらに続きます。

・できたて
・新鮮

これで購入への意思はかなり強まってるでしょう。でも、まだ続きます。

・発がん性リスクがない

これはペットフードに記されているものでははじめて見るかもしれません。「あれ?記載の無いフードは発がん性リスクがあることを隠しているのだろうか。今まで食べさせていたフードにはこんなことは無かった。」こうして従来のフードに不信感を抱かせてしまうわけです。

・小粒で消化に良い
・速く吸収されると栄養が身体全体にゆきわたる

というのもあります。粒の大きさと消化の関係を考えたことがあるでしょうか。小さいと消化がいい。聞いたことがないかもしれません。でもここまででこれらのフードの信頼は揺るぎないものになっていますからそのまま信じてしまうでしょう。「そうなんだ。知らなかった。小粒を選ぼう。」こうして小粒神話ができあがり、小粒信者が増えていきます。

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 <グレインフリーフード>

グレインフリー食を選ばれた理由で多いのは「猫は肉食で、自然の食事にはほとんど穀類(炭水化物)はなかった。猫の食事に穀類(炭水化物)は要らない。蛋白質が豊富にあれば猫本来の食事になる。」というものです。飼い主さんたち、企業の語り口をそのまま伝えてくださいます。ドッグフードについてもキャットフードを選ばれた飼い主さんと似たような感じです。そもそも猫は……が「犬がオオカミだった頃……」になります。



これらのフードには不安なところがあります。が、とても長くなってしまいましたので次回に続けます。

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

ウェルネス訪問と健康診断

 今日は(1013日)獣医さんの日、米国にはTake your pet to the vet day(ペットを獣医さんへ連れて行く日)というのがありますが、それの日本版みたいに思ってもらえるといいかなぁ、なんて思います。

 今日は、1か月に1回のウェルネス訪問と1年に1回の健康診断のご提案をしたいと思います。猫さんのことを中心にお話ししますが、わんこも同じです。

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<猫を病院に連れて来てもらうこと>

開院当初、「犬や猫を病院に連れて行くなんてごく一部の限られた人だけ」、という認識が強くありました。猫はたいてい外出自由の飼育方法でしたし、のちの健康を考えて青年期に去勢手術をすることもなかったので、発情期にはけんかし放題でした。そして残念なことに怪我をしても「自分で舐めて治すもの」と言われ病院への来院はおろか消毒一つしてもらえないこともふつうでした。

猫の白血病ウィルス感染症が瞬く間に広まった頃からずいぶん月日が流れ、今はそんな風潮からすっかり変化しました。飼い主さんは猫の習性や行動上の特性を理解してくださっているし、冷暖完備の完全な屋内飼育で、ワクチン接種率も向上してきました。それでもまだ、「ウェルネス訪問」と言われる健康チェックのために病院に連れてきてもらえるまでには至っていません。ペット先進国といわれる米国でも、飼育されている猫で1年以内にウェルネス訪問を受けたことがある猫は半分以下であるという調査結果が出ています。 何も問題がなくても健康全般のことで動物病院に気軽に来院してもらうことが大切です。

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<病院に来るのはいやですか?>

 猫はストレスを敏感に感じ取る動物で、日常生活の変化を嫌います。猫をキャリーに入れ車に乗せて病院に来ることは、猫にもキャリーに入れるのを手伝ってくれる家族にもそして連れてきてくれる飼い主さん本人にも、それこそ関係者ご一同さま全員にとって非常にストレスの多いものだとお察しします。多くの飼い主さんが、「これは病気だ!」が決定的でない限り、猫を病院に連れて来るのは「すごく疲れる」(だからこのくらいでは病院に行きたくない)と感じているでしょう。

猫を病院に頻繁に連れてきたくないもう一つの理由は、猫が病気の症状を隠すので体調不良がわかりにくいという点にあると思います。猫のこの特性は、彼らが生き延びていくためのサバイバル戦術なのです。餌になる側の動物として、猫は本能的に衰弱や病気の兆候を見せたくないのです。猫は「健康で強い」ように行動し、自分自身が弱い動物に見えないようにしています。観察眼を厳しく持っていないと、猫の病気がいのちを脅かす段階に進行するまで、飼い主さんは猫が何かおかしなことになっていることに気づかないかもしれません。 残念ながら、そうなってからは良くて治療が長引くか、悪いと根本療法ができず支持療法だけしかできなくなる可能性もあります。

ですから、「嫌がるから」「疲れちゃうし」「どこも悪いところなんか無いよ」を理由に、病院に来ることをやめてはいけません。病気を早期に発見して診断し、治療や予防策を講じることが大切なのです。

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<定期的なウェルネス訪問が大切>

 猫は口頭で何が悪いのか教えてくれません。猫の日常の健康管理に熱心に関心を持つことはとても重要です。猫は具合が悪いときにそれを隠すという特性を持っています。ですから日常的に猫の健康状態を知っておくことはとても大切です。さらに重ねて病院訪問をすることで、猫がかかりやすい病気にはどのようなものがあるのか、年齢を重ねていく上でどのようなケアをしていく必要があるのかなど猫の健康に関する情報を飼い主さんが事前に知ることができます。病院に来たときはスマホを開かずに、待合室の掲示板その他にご注目ください。とにかく、猫は健康に関しては「秘密にする性質」があるので、 猫の健康を最高の状態に保つには、動物病院への定期的な来院(と健康診断)を、理由を付けて避けていてはいけません。

毎日のわずかな変化では飼い主さんが気づくことができない何かがあるかもしれませんが、定期的な来院でそれを明らかにすることができると思います。来院の 名目は何でもかまいません。「爪を切ること」や「ノミ避けの薬を滴下する」などを目的にして来ていただいて結構です。「近頃気になる何か」を飼い主さんとおしゃべりするうちに新たな発見につながることもあるし、不安に思っていた何かが解決することにも繋がるでしょう。体重測定や身体検査をするうちに猫はますます病院に慣れてくれます。

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<定期健康診断も大切>

健康診断では身体検査のほかに血液検査を行います。血液検査で、健康状態や猫の全身と臓器の機能について有益な情報を得ることができます。血液検査は、毎年の健康診断の重要な部分です。一般的な血球検査と血液電解質検査、血液生化学検査のほかに内分泌の検査や膵臓や心臓に関係する検査なども実施できます。同じように(もしくは少々多めに)採血した血液でできるので、猫に余分な負担はかかりません。年齢によっては血圧測定も行ないます。超音波検査やX線検査などの画像検査はさらに多くの情報が得られるので、病気が深刻な問題になる前に病気を発見することができます。尿検査は高齢猫に多い腎臓病をより早い時期に発見するために有用ですが、持参していただいた尿で実施する場合は全く猫に苦痛はありません。家庭で尿を採取することができない場合は、こちらで採尿いたします。

ウェルネス訪問では基本的に身体検査が主体で、身体検査は猫の健康についての全体的な考えを示しますが、健康診断で実施する血液検査は特定の病気をよりよく見つけ出すことができます。

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<どうしても病院に来なくてはいけない!というときの臨床徴候>

 猫は変わりない日常生活が好きで、日常のルーチンなスケジュールから外れることを嫌います。猫が病気になったときに飼い主さんが最初に気づく徴候の一つが「日頃の行動の変化」です。もし猫にいつもの活動や行動と違うところが現れたら猫を病院に連れて病院に来てください。

·         ・食欲に変化がある(増えている、減った、無くなった、特定のものしか食べない)

·         ・別の場所で寝る(寝ている時間が増えているときも!)

·         ・隠れている(姿を見せない)

·         ・息づかいがおかしい(呼吸が速い、呼吸が浅い、一生懸命呼吸している)

·         ・トイレ習慣の変化(いつもと違う場所で排尿する)

·         ・排泄物の異常

·         ・通常とは違う行動が見られる

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<病院へ来るストレスを少なくすることができる?>

 猫がキャリーと良好な関係を築けるようにするために「キャリートレーニングとハンドリングトレーニング」が必要です。以前のブログでお話ししました。こちらです。

 http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-1073.html

http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-1072.html

これらは日常の訓練事項ですが、トレーニング前に猫に異変が起こった場合は、猫をキャリーに入れて連れてきていただく必要があります。とにかく猫をキャリーに入れる準備ができるまで、キャリーを片付けた場所から取り出さないでください。猫はとても賢いので、キャリーが家を離れることを意味することを知っています。ほとんどの猫は、キャリーを見た瞬間、身を隠します。「明日病院に行こう」と思って前の晩にキャリーを支度していると、翌朝にはたいてい姿を隠しているはずです。

キャリーに入らなかった場合は、洗濯ネットや目の粗い座布団カバーに潜ませて、病院に連れて来てください。猫は怖がるとジャンプして走りまわる傾向があります。ほえる犬がいる可能性がある待合室は、猫が飼い主さんの膝の上に座って静かにできる場所ではありません。びっくりして飛び上がってしまわないように、専用の袋が必要です。

 待合室がとても賑やかなとき、他の犬や知らない人の話し声から猫は大きなストレスを受ける可能性があります。これを避けるために、到着した猫はすぐに診察室に通してあげます。けれど、スタッフがほかの仕事に奔放していて待合室の状況を把握できない場合もありますので、もし騒々しい待合室から猫の避難を希望される場合はスタッフに申し出てください。私たちは病院訪問中の猫をより快適にする方法も学んでいます。CATvocateとして、猫とそのご家族にとってより良い病院環境を提供したいと思います。猫は愛らしくて、ユニークで、面白いキャラクターです。私たちができる限り一番良い世話をすることは私たちの責任です。

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さて、明日からで結構です。獣医さんの日のことを思い出して、犬や猫を病院に連れて来てください。できればこの日が「国民の祝日」として認められて、みんなが動物病院に来る犬や猫を祝福してくれる日が来るといいなぁ~なんて思います。あなたの犬や猫はそんなVet Dayを祝おうとは思わないかもしれませんけどね。でも、1か月に1回くらいの定期的な来院、そして1年に1回くらいの健康診断で、犬や猫が「健康で幸せな子」になる最高のチャンスをもらえることは間違いないです。

いつも犬主体になっているので、今回は来院回数の少ない猫に焦点を絞った書き方をしました。わんこもぜひ、来てください!

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目やにで目の異常を知りましょう

 眼からの分泌物・目やに

目やにが出るのは犬では一般的な問題です。生理的で病気とは無関係なものもありますが、健康上の問題に関連するものもあります。適切な治療のタイミングを逃さないようにするため、目やにについて知っておいて貰いたいことをお話しします。

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寝起きの目頭に茶色のぽつんがある。
 

.睡眠後の目やに

涙は目の健康を維持する上で重要な役割を果たします。それらは角膜(目の前の組織の透明な層)に酸素と栄養を供給し、目に閉じ込められる可能性のある破片を洗い流すのに役立ちます。涙は通常、目の内側の角にある涙腺から排出されますが、時々少しの目やにが目頭に蓄積します。乾燥した涙、油、粘液、死んだ細胞、ほこりなどからできています。午前中に発見されることが多くて、たいていは「朝起きたときに目頭に何かついている」のを発見されます。通常、この目やには完全に正常です。温かい湿った布で簡単に取り除けるはずです。目が赤くなることはありません。また、犬も目の不快感の兆候(目をこする、目が細くなる、まばたきをする、光に対してまぶしそうにする)を示すこともありません。犬が毎晩(または長い昼寝の後に)作り出す「睡眠による目やに」の量は、一定量で変わらないはずです。(もし犬の状態が悪化していることに気付いた場合は、来院ください。)

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目の周りの毛が茶色に変色



.赤褐色の涙の汚れ(涙やけ)

 白っぽい毛色の犬は、多くの場合、目がしらの下の毛に茶色の変色を起こします。「涙やけ」と言っています。これは涙にポルフィリンと呼ばれる色素が含まれているために発生します。ポルフィリンは、空気に長時間さらされると茶色に変わります。他の問題がない場合、この領域の茶毛た変化は生理的であり、単なる美容上の問題です。

犬の涙のしみを最小限に抑えるには、次の解決策を1つ以上試してください。①1日数回、洗浄液で湿らせた布で局所を拭きます。②犬の目の周りの毛を短く整えてください。③ホウ酸を含む点眼液でこまめに点眼と清拭をします。④栄養補助食品(サプリメント)を追加して、犬の食事への涙の染みを減らします。茶色く染まった毛が伸びてくるので、治療効果が明らかになるには数ヶ月かかる場合があります。

涙やけの量が増加してきたり、質的な変化があることに気づいた場合、または犬の目が赤く痛みを伴うようになった場合は、目の検査をする必要があります。ご来院ください。

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涙が多い。



.透明で水っぽい目やに(涙目)

 過剰な眼の散水(涙目)は、軽い病状のものから深刻なものまで、いろいろな状態に関係しています。涙のオーバーフローに相当する「目からあふれ出た涙」の原因はアレルギー、刺激物、目の中の異物(草、種子、砂、寄生虫など)、解剖学的異常(さかさまつげやまぶたがめくれて内側に入り込んでいることなど)、涙管の閉塞、角膜の傷、緑内障眼圧の上昇)が、一般的です。もう少し怖いものとしては、歯周炎から来る顔の骨の炎症、副鼻腔も含めた眼球付近の腫瘍なども原因になります。

 犬の涙が比較的軽度に増えているが、他のすべての点で目が正常に見え、犬が不快を感じていない場合は状況を監視するのが合理的です。あなたの犬は花粉やほこりでいっぱいの状況にさらされただけで、この場合涙の増加は問題を解決する(目の中に入った花粉などの異物を流れ出す)ために働いているだけかもしれません。

しかし、涙目が続く場合、または目が赤く、痛みを伴うとき(目をしょぼしょぼさせる、まぶしそうにする、こする、床で擦るなど)、またはサラサラの涙以外の目やにを出す場合は、病院にいらしてください。

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拭いても拭いても、ねばっとした目やにがついて取れない。



 .白灰色の粘液(ねばねばの目やに)

ドライアイ(乾性角結膜炎またはKCS)は、通常、犬の免疫系が涙を分泌する腺を攻撃して破壊するときに発症する状態です。涙液の生成が通常より少ないため、体はより多くの粘液を作って目を潤すことで補おうとします。しかし、粘液は涙のすべての機能を置き換えることはできないため、目は赤く痛みを伴い、角膜表面がでこぼこし、異常な角膜色素沈着(たいていは黒くなって目の中が見えにくくなります)を発症することがあります。治療せずに放置すると、乾燥性角膜炎は重度の不快感と失明を引き起こす可能性があります。

 犬の目の周りに白灰色の粘液が溜まっていることに気付いた場合は、なるべく早く病院にお越しください。シルマー涙液検査と呼ばれる簡単な検査を実行します。ほとんどの犬は、免疫抑制剤入りの目薬、人工涙液、他の薬物などの治療によく反応します。

治療がうまくいかない場合、唾液を運んでいる管を口から眼の表面に向け直す手術も検討できますが、これは眼科専門医のいる病院に予約する必要があります。

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黄色のめやに。



.黄色または緑色の目やに

 目やにが黄色または緑色のとき、特に目の赤みや不快感も明らかな場合は目の感染がある可能性が高いです。眼の感染症は、感染症に対する目の本来の防御機能が低下した状態になっているかもしれません。または別の状態(角膜創傷、ドライアイなど)の結果として発症している可能性もあります。感染性の目は、犬が全身性疾患にかかっているようなこと、例えば呼吸器系(ジステンパーはその最たるものです)、神経系(顔面神経の麻痺など)で、目以外の部分に問題があるサインになっていると考えてください。

目の感染症のように見える犬は、大至急来ていただく必要があります。

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 6.こんなときは急いで来て

なみだの色合いや出方が生理的な範囲のことかもしれないと思われても、目の変化に付随した犬の行動に次のような点が見られた場合は早めにいらしてください。

·         目をまぶしそうにショボショボさせて細める

·         まぶたやあかんべしたときに見える結膜に腫れや赤みがある

·         まぶたにおできが見られる

·         目をこすっている

·         目の色がいつもと違う

·         目の表面に銀色の付着物がある

·         目の中に斑点や浮遊物がある
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今日はアイメイトの日。

101日はめがねの日、そして1010日は目の愛護デーです。この10日間は目と眼鏡の週間になっています。愛犬・愛猫の目を大切に、少しでも異常を感じたら病院にいらしてください。

また今日はアイメイト(盲導犬)の日でもあります。盲導犬がお仕事をしているときは話しかけたり触ったりせず、心の中で「がんばって!」と応援していただけると彼らはお仕事に集中できます。よろしくお願いします。


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肛門のう腺癌

 先週の続き。今日は悪い方の腫瘍のお話しです。
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<肛門のうアポクリン腺癌?>

肛門嚢腺癌(こうもんのうせんがん)といわれることもあります。犬の肛門周囲には肛門嚢(こうもんのう)の内に分泌物を出す役割をしている複数の腺組織があります。その中の一つがアポクリン腺です。アポクリン腺は汗腺(あせをつくる腺)として聞いたことがあるかもしれません。このエリアで一番頻繁に観察されるのが肛門嚢アポクリン腺癌で、腫瘍全体から見るとごくごくまれな腫瘍(わずか2%!)です。発生傾向ですが、以前は9歳から11歳くらいの中高年に多く、オスよりもメスに多いとされていました。たしかに女の子ばっかりだと思っていましたが、今の調査では性別による発生差はありません。発生の多い年齢層は今も変わっていません。報告の多い犬種はジャーマンシェパード、コッカスパニエル、ゴールデンレトリバーですが、これも日本の今の人気犬種とは異なっていますので、うちの子がこの犬種ではないからと言って安心できるわけでもありません。ボーダーコリーやダックスで経験があります。

とにかく悪性です。

どうして悪性なのかというと、①がんと正常組織の境目がはっきりしていないから、というのと、②簡単に近くのリンパ節に転移してしまうから(初めての診察のときに既に転移が見つかることも珍しくないのです)、というのと、③遠くの組織(肝臓や肺、骨!さらに心臓、腎臓、副腎、膵臓!)にも転移してしまうから、そして、④高カルシウム血症で全身に害を及ぼすことがかなりの高率でみられるからです。これは獣医さん泣かせの悪者腫瘍です。

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<飼い主さんにわかる症状は?>

肛門の周りが大きいことです。犬は不快な感じを示します。「お尻が腫れている」とか「お尻から出血する」、「擦って組織を壊してしまう(舐め壊すことも入ります)」のが来院理由上位3つです。お腹の中のリンパ節が腫れて、うんちの通り道が細くなり、「うんちが出にくい」ことが起こるかもしれません。先ほどお話しした高カルシウム血症になっていると、「お水をたくさん飲む」「オシッコがたくさん出る」「食欲がない」「寝ていることが多い」などの症状を出しますが、これらは年取ったな、などと思われてしまいそうな症状です。

 

<診断のための検査>

まずは外から見て、大きさを確認させて貰います。お尻から指を入れて、膨らんでいるところを直腸から触ってみる(直腸検査)も行なってみます。それからこれだけではわからないので、レントゲンの検査や超音波検査の画像から身体の中の様子も見ます。血液検査もスクリーニング検査として実施し、カルシウムの値に注目です。すべての腫瘍について言えることですが、細胞の塊から細胞を取り出して、腫瘍細胞を顕微鏡的に調べる検査は必須です。病理の先生にも意見を伺うことになります。

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<総合的な治療が必要です>

お尻周りにできた腫瘍組織(原発巣といいます)をいかに制御するか、つまり、しっかり取り切れそうか、または小さくするだけ(減容積といいます)になってしまうのかというのがひとつ。そしてもし転移している組織があるならば(実はまず100%は有るだろうという想定の中で考えるわけですが)これをどう制御していくのかというのがもう一つの問題です。

転移している組織も、うんちの通り道を閉鎖するほどに大きくなっているのであれば、なんとか無くすか小さくするかしてあげないと、「排便困難」の問題は解決されず、犬にとってのクオリティー高い生活が望めません。手術で取れそうか、術前に化学療法(抗がん剤です)で小さくしてからなら取れそうか、が最初の検討課題です。また取りこぼしが考えられる場合、はじめから放射線療法を加えた治療を行なう方が良いのかなども治療プランに加わります。さらに、術後に化学療法を行なう場合も、どの抗がん剤をどのように使っていくかについても、リンパ腫のように決まったプロトコールがないので、実にさまざまな治療が考えられます。

従来の化学療法剤のほかに、肥満細胞腫の治療に承認された抗血管新生薬による治療にも反応していることが知られています。こうした経口薬も治療のオプションに加えることが可能です。

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<支持療法も必要です>

腫瘍を積極的になんとかする根本療法に対して、不都合な症状を緩和させるための治療も考えなくてはいけません。高カルシウム血症に対する治療、食欲がなければ点滴も行います。排便困難に対する治療はQOLの高い生活をもたらすものです。便を軟らかくする薬や、繊維分を含む療法食なども含まれます。術後の疼痛緩和のための鎮痛薬なども支持療法に入ります。お尻周りの皮膚に軟膏などを塗ることもあります。これらは退院後、ご家族の人にお願いする処置になるでしょう。

 

<治療の先にあること>

一般に言われている生存期間中央値というのは、治療をしてからどれだけ生きていてくれたのかを全体でならしてみた数値です。どのような治療をするとどのくらい生きられそうなのか、これまでの報告から数値を抜き出してお知らせすることは可能です。けれど、発見されたステージ(どの大きさの腫瘍で、どこにどの程度の転移した塊があって、とか、そういう諸々のことです)もそれぞれ違うため、一概にどの治療を行なったときの余命があとどれくらいという数字を個別に当てはめることはできません。あと何ヶ月(ごめんなさい、何年とは書けません)という具体的な数字をお示しすることはできませんが、単位としては「年」ではなく「月」が妥当だな、と思っています。手術をして、放射線もあてて、化学療法を組み合わせた、最も積極的な治療を受けた犬で2年以上という数字が見つかりました。再発を遅らせる方法や、遠くの組織に転移するのを予防する方法は調べても見当たりませんでした。

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<まとめです>

肛門の近くにできる腫瘍には悪性の腫瘍があります。代表的なのは肛門嚢アポクリン腺癌です。(良性の腫瘍もあります。この腫瘍とは違うものです。未去勢のオス犬によく見られます。)

お尻に「何かある!」と発見することが多いかもしれません。が、「便秘みたい!」で、うんちの出にくさが目立つ症状のときは、お腹の中のリンパ節が腫れて直腸を圧迫していることが多いです。

たまたま血液検査をして、「高カルシウム血症」がみつかるとき、「まさかリンパ腫かアポクリン腺癌か?」と疑って腫瘍を見つけ出すこともあります。

腫瘍がわかったらレントゲン検査や超音波検査、細胞の検査を実施し、治療計画を立てます。

腫瘍は、基本は手術で切り取るものですが、この腫瘍は手強いのでいろいろな方法を組み合わせて挑まなくてはいけません。

早期に発見して小さいうちに対処することが重要だと思います。尻尾の陰に隠れてしまう肛門部を観察するのは十分意味のあることです。

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肛門周囲腺腫

先日の診察のことです。わんちゃんです。美容院で「お尻が膨らんでいるので病院で診て貰ってください」とコメントがあったということで来院されました。

結論から先にお話ししますと、それはめったに診られないくらい肛門腺がいーっぱい溜まって大きくなっていただけのことでした。けれどトリマーさんが気づいてくれることこと、それから無理はしないでベターな対処法についてお話ししてくれ私たちにバトンタッチしてくれたこと、これは大変価値のあることです。彼女(彼?)は肛門腺が溜まって大きくなっていること以外にも、肛門周りには重大な病気が隠れていることがあるのを知っているからこそできた対応なのでしょう。

今日はそんな怖い病気のことも知っておいて貰うことも大事だと思いまして、お話しを続けます。肛門の周りには「肛門周囲腺腫」という良性の腫瘍ができることもありますが、「肛門のうアポクリン腺癌」という悪い腫瘍が発生することもあります。そしてこれはできるだけ早期に見つけて小さなうちに対処することがこ大切です。
9月はがん征圧月間です。今週「肛門周囲腺腫」と来週「肛門嚢アポクリン腺癌」のお話をすることにします。
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  肛門周囲腺腫

<概要>

肛門周囲腺は、犬科の動物(コヨーテ、イヌ、キツネ、ジャッカル、オオカミなど)に特有の皮脂腺です。猫には肛門周囲の皮脂腺がないので、この種の腫瘍は猫では非常にまれ(発生しない)と考えられています。肛門周囲腺の機能は完全には理解されていませんが、フェロモンの産生や領土のマーキングなどにおいて役割を果たすと考えられています。

通常は肛門周囲に位置します。「通常は」というのは、あまり知られていないのですがこの腺がオス犬の包皮やメス犬の腹部乳房のあたりにも存在するし、そのほかに会陰、尻尾(背中側と裏側)、ふとももや後肢、腰の周辺などにも存在するからです。わき腹の皮膚にできた腫瘍を採取して病理の先生に診て貰うと、こんなところにできた腫瘤が「肛門周囲腺だった!」と驚くこともあります。

肛門周囲腺を構成する個々の上皮細胞は、顕微鏡で見たときに肝細胞(肝臓の細胞)と外観が似ているために、肝腺という別名で呼ばれることもあるようです。

肛門周囲腺腫は良性腫瘍です。肛門まわりにできる腫瘍のうち80%から90%くらいがこの腫瘍で、残りが肛門のうアポクリン腺がん、そのほかの腫瘍です。

年配の未去勢のオス犬に比較的よく発生が見られます。同時に睾丸の腫瘍も併発していることが多いという報告もあります。
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<原因は?>  

  肛門周囲腺腫の原因は不明です。アンドロゲン(男性ホルモン)の産生が腫瘍形成を刺激する可能性があります。エストロゲン(女性ホルモン)は、肛門周囲腺腫形成に抑制効果があります。

                                                            

<腫瘍の発達>

初期段階のものは、肛門周囲の皮下にくるんとした小さな飴玉が入っているかのような感触で触れることができます。「小さな結節」と表現しています。肛門周りの皮膚が厚くなっているように感じることも有るかもしれません。肛門周囲腺腫は成長がゆっくりで、痛みもありません。中には1年くらい前からあったと言われる患者さんもおられるくらいです。初期に犬には腫瘍に関連した症状はありません。肛門腺絞りをするときに美容室のトリマーさんが気づいてくれるのはラッキーです。

それから、大きさや直径が異なる粒が肛門周りで複数触れるようになります。いくつかの腫瘍が炎症を起こして感染するようになると血が出てきます。痒みがあり、犬にとって刺激性で、軽い痛みを引き起こすことがあります。「犬がお尻を気にして、しょっちゅう舐めている」というお話しが聴かれるのはこのくらいからです。肛門腺が溜まっているときに犬が「お尻でスケート」するような行動をとることがありますが、そのような動きをすることもあるでしょう。

小さなつぶつぶ同士がくっついて腫瘍が大きく発展してきたり、犬が気にして激しく舐めたり、どこかにこすりつけたりしてくると表面を覆っていた肛門の皮膚が崩れ、そこから出血したり、じくじくした汁が出るようになります。ここまで来ると無関心な飼い主さんでも犬の肛門に異常が起こっていることを認識するようになります。

さらに大きくなった場合、排便を妨げることになります。いきんで排便しにくい様子が見られます。直腸の粘膜が肛門からはみ出て赤いものが見えてくることもあります。排泄後に肛門周りの血が糞便に付着してあたかも「血まみれの便」が出たように見えることもあります。出血が多いとき、犬が盛んに舐めて、これを嘔吐することがあります。「血の嘔吐」にびっくりされる飼い主さんもおられるかもしれません。

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<悪性腫瘍との区別>

初期は外見上の特徴が異なるので、「これは肛門周囲腺腫。良性のものでしょう」と判断できますが、中には表面だけで無く、深度の深い腫瘍を持っている場合や結合して大きく肛門周囲全体に及ぶものなどありますので、腫瘍の塊を病理検査で調べることは、重要で、それはそのまま次の安心につながります。けれど二次感染や出血があり、また組織がぐちゅぐちゅした壊死組織の様相を示すほどになってしまうと、採取したサンプルの細胞が十分に取れなかったりするため、肛門嚢アポクリン腺癌と肛門周囲腺腫を細胞学的に区別することが難しくなってきます。

良性腫瘍であると言うことは、大きくなるスピードがゆっくりだとか、腫瘍と正常組織との境界がはっきりしているとか、局所だけで転移を起こさないなどの特徴を持つものですが、腫瘍が大きく育ってからではそれらがあやふやでわかりにくいことが多いです。

肛門のうアポクリン腺癌では、血液中のカルシウム値が高くなっていることが多く、また腰椎付近のリンパ節に転移が見られることがほとんどなので、血液検査やレントゲン検査、超音波検査でもこれら二つの腫瘍を区別する手立てにはなります。

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<治療の基本は手術>

未去勢オスであれば、腫瘍の外科的切除と同時に去勢手術を行なうのが最良の治療法の選択肢です。大きな腫瘍があるオス犬では、腫瘍を切除する前に去勢手術だけしておいて、腫瘍の大きさが小さくなるのを待ってから腫瘤切除をするという二段階を踏むことで、完全切除ができやすくなることもあります。

メス犬の場合、外科的切除が最適な治療法です。

大きな腫瘍よりも小さな腫瘍を除去する方が常に簡単です。特に腫瘍が外科的は閉鎖を問題とする領域(肛門周りはその代表的な場所です)に位置する場合は、完全切除が困難になるサイズまで成長させないうちに手術することがおすすめです。肛門周りをぐるっと360度取り囲むほどに腫瘍が大きくなってしまった場合(このときはすでに腫瘍の塊で肛門の穴がどこにあるのかさえ見分けがつかないくらいですが)、これでは手術で肛門括約筋の役目を失ってしまうことが有ります。術後の便失禁を回避することが困難かもしれません。すでに術前から排便障害が起こっているとは思いますが、便失禁は一緒に暮らす家族のQOLも損ねてしまいますから、早期に気づいて早期に手術に踏み切ることはとても大切です。

ホルモンと関連があるため、ホルモン療法を施すことによって、内科的な改善を期待されるかもしれません。しかしエストロゲンによる治療は再生不良性貧血を呼び込む可能性があるため、おすすめではありません。

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<手術の後は?>

完全な切除ができると予後は良好です。完全切除後の腫瘍の再発は非常にまれです。大きすぎて完全に切除ができなかった場合は再発する可能性があります。切除が完全にできたかどうかは病理の先生による顕微鏡検査を基準にします。 

一部の犬は、切除されなかった残りの非腫瘍性の肛門周囲腺から新たな肛門周囲腺腫を発症することがあります。小さな腫瘍で、一部分を切除した場合にはこのようなことが有るかもしれません。局所再発という錯覚を与えてしまうかもしれませんが、これは再発ではなく、新生のものと考えます。

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<予防ができます!>

  1. 去勢手術を行うと、予防できる病気がたくさん有ります。それが精巣腫瘍であり、肛門周囲腺腫であり、前立腺過形成(肥大)であり、会陰ヘルニアです。どれもが高齢になってから発症する病気のため、手術はハイリスクになります。去勢手術は性成熟完了前~直後である6か月からおそくても8か月頃までに行なうことをおすすめしています。若いうちの手術はリカバリーも速いです。(大型犬ではもう少し遅くても良いです)
  2. 去勢されたオス犬は一般にしつけしやすいです。未去勢のオス犬は、家のいたるところに強い臭いの尿をスプレーすることで自分のテリトリー印を付けます。さらに攻撃性の問題の多くは、早期の去勢手術によって回避することができます。
  3. 去勢手術が犬を肥満にさせることはありません。運動不足や過食があると、犬の体重は増えてしまいます。しっかり運動をし、食物摂取量を飼い主さんが監視していけば、健康的な適正体重を維持することが可能です。
  4. 去勢手術は費用対効果が非常に高いです。 去勢手術の費用は、腫瘍が発生してからそれを治療する費用よりはるかに少ないのです。コストパフォーマンスはワクチン並みの高さです。


テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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