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犬の認知機能障害2

 犬の認知機能障害のお話し続きです。

診断を受けてください

1、動物病院に連れて来てください

認知機能障害の兆候はたいていゆっくりと現れ、時間の経過とともに悪化します。まだ年をとったばかりだと思っているかもしれませんが、愛犬の気になる兆候は認知機能障害から来ている可能性があります。

愛犬の「もしかして認知症になっている?」という漠然とした不安を確かめる唯一の方法は、動物病院で検査を受けることです。

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猫の家庭での観察ポイントです。
DISHAAの評価シートに正しく記入するために
評価項目を重点的に観察してもらうのでもOKです。

2、家庭での様子を詳しく教えてください

犬が以前にかかったことがある病気や身体検査の様子と「認知機能評価テスト」の結果などに基づいて診断します。愛犬の症状についてできる限り詳しく説明してください。

l  気づいた症状はどのようなものでしょうか。

l  症状が始まったのはいつごろでしょうか。

l  兆候に気付く前の犬の行動はどのようなものだったでしょうか。

l  どのような症状に困っているでしょうか。

l  改善したいのはどんな点でしょうか。

l  その他の健康上の問題はあるでしょうか。

l  嘔吐や下痢、食欲や、飲水、排尿のことなど他に問題はないでしょうか。

 認知機能障害は「身体に起こっている他の病気」や「行動学的な問題」と区別をすることが重要です。間違った診断に基づいて治療を行なっても改善しないし、さらに進行させてしまうことになるからです。

 高齢犬には「加齢に伴って発生してくる問題行動」があるのが普通です。歳をとることによって神経伝達物質が障害を受け、その結果不安が増加したり、攻撃性が高まったり、忍耐力が低下します。ご家庭で発生した困った問題について、動画などと共に詳しく教えていただくと正しい解決に導くことができます。

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評価シートだけでなく健康診断を行なうのは
併発疾患がないかどうか確認するためです。

3,身体検査を行ないます

 犬の認知機能障害の兆候が微妙な段階では、身体検査で簡単に検出できない場合がありますが、他の病気の徴候を探すために、犬の体温を測ったり、心臓や肺の音を聞いたりするなど、身体検査のその他の基本的な作業を行います。

 

4、神経学的検査も行ないます

 身体検査に続いて、犬の脳機能をさらに理解するために、神経学的検査を行ないます。脳神経や脊髄神経がどの程度機能しているかを判断します。犬が自分の脚の位置を認識しているかどうかとか、肛門括約筋と神経の間につながりがあるのか、痛みの感知などの確認などです。

 磁気共鳴画像法(MRI)は、脳の器質的変化を見つける優れた方法ですが、一般の動物病院では利用できません。



5,各種の検査を行ないます

 認知機能障害で見られる兆候は、身体のどこかが悪いとき(感覚器の機能低下、ホルモンの病気、肝臓など代謝性の病気、高血圧症、関節炎など痛みを伴う病気、口内炎や歯科疾患、腎臓や尿路の病気)などでも見られます。そのため、他の病気ではないことを確認するために、いくつかの検査する必要があります。血液検査や尿検査は他の疾患の手がかりを見つけるのに役立ちます。

 実際に検査を行なうと、加齢に伴う様々な疾患を持っていることも多く、単に「認知機能障害」であると診断をするには難しいことも多いです。

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認知機能障害であると診断した場合も、
徴候によって使う薬は様々です。
いきなり向精神薬を使うことはありません。
サプリを中心に使うことも可能です。

6、犬が治療に反応するかどうか

 家庭での様子や、「認知症テスト」、実施した検査を総合的に判断します。問題になっている症状が他の病気から出ているものではないと分かったら、治療に対する犬の反応をみながら判断していきます。

 それぞれの犬の様子から必要だと考えられる薬(やサプリメント)を処方し、それが犬の症状を改善したかどうかを判断します。正常な老化によっても幅広い行動変化は起こりますので、正常な老化と認知機能障害の線引きはとても難しいです。ただ、早期の変化と後期の変化には大きな違いがあり、早期であれば元に戻りやすいです。早期に手を打つことは重要です。

 実際の治療の大筋は、以下のようなものです。

l  脳内に発生したフリーラジカルを減らす。「抗酸化成分」のサプリメント。

l  脳内の循環を改善し、脳の糖代謝を亢進させる「中鎖脂肪酸」などの栄養学的補助や薬。

l  神経伝達物質の低下から来る不安を解消する「伝達物質」の補充。

l  脳の神経細胞を酸化から守るDHAEPA」などの物質の補充。

l  イライラを鎮める漢方薬。

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猫に使える薬は犬に比べて少なめです。

7、治療の目的

 徐々に悪化し、困るほどの段階になってからでは、大きな変化があって元に戻すことが不可能なことも多く、重度の認知機能障害になると飼い主さんの介護負担が大変です。現段階では犬の認知機能障害に対する根本的な治療法はありませんが、犬の要求が何なのかを知り、環境エンリッチメントを整え、  行動修正できるものは早期に行ない、  栄養学的な介入と 薬物治療によって、
①認知機能障害の進行を抑え、

②飼い主さんの負担を減らし、

③犬と人の生活の質の向上を図る

のが治療目的です。

 8、定期的な再診

 一定の投薬期間が過ぎたところで症状の改善を評価するためにフォローアップ検診に来てください。認知機能障害を治療するには、動物病院で治療計画を作成し、定期的な再診を通して再評価を重ねます。家族だけで抱え込むと大変です。

次回に続きます。次は家庭でのケアについてです。
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犬の認知機能障害

もうじき敬老の日。高齢犬に多い認知機能障害についてお話しします。今週から3回連続です。

犬の認知機能障害

犬の認知機能障害は、「認知症」とも言われていて、1116歳の高齢犬の60%以上に該当する症状があるとわれています。人のアルツハイマー病のように、脳が年齢とともに変化するときに発生します。脳組織が分解し始めると、アミロイドと呼ばれるタンパク質が蓄積しますが、このアミロイドの蓄積は脳機能を障害し、認知機能障害を引き起こします。

犬の認知機能障害は、高齢になって発生してくるのですが、品種によっては8歳でも発症しています。一般に大型犬は小型犬よりも速い速度で老化します。

認知機能障害の兆候

犬の認知機能障害の臨床徴候は「DISHAA」として知られている6つのカテゴリーに分類されています。

D : Disorientation 見当識障害。

I : Interaction 社会的交流の障害。

SSleep-wake cycle 睡眠覚醒サイクルの障害。

H : House-soiling(House training) 排泄やしつけの変化。

AActivity changes 活動性の変化。

A : Anxiety  不安。

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掲示板も「認知機能障害」にしています。



1、犬が混乱している様子はない?(D)

典型的な見当識障害の兆候は慣れている場所で迷子になるといった、混乱の様子で分かります。

l  家の周り、庭、家の中で迷子になる。うろうろする。

l  部屋の隅(角のところ)で立ち止まり動けなくなる。

l  ドアが見つからない、またはドアの開かない方の前で開くのを待っている。

l  壁を見つめて立ち尽くす。

l  見慣れた顔を認識しない。

l  こぼしたエサを見つけられない。

l  名前を呼んでも反応しない。

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混乱や交流の変化、睡眠サイクルに問題はないでしょうか。



2、社会的な交流の変化はない?(I)

 認知機能障害のある高齢犬は以前と同じような人との交流ができません。

l  家族が帰宅しても挨拶に行かない。反応しない。

l  家族に撫でられているのにどこかに行ってしまう。家族と一緒の時間を楽しまなくなる。

l  家族と一緒に遊ばない。人に注意や関心が持てない。

l  家族が分からなくなる。吠えるなど、お客さんが来たときのような反応を返す。

l  食器にフードがいっぱいになっていてもエサを欲しがる。

l  宙を見つめてぼーっとしている。音や明かりに驚く。

 
3、睡眠サイクルに変化はない?(S)

 犬はふつう、日中に時々昼寝をし、夜はよく眠ります。認知機能障害があると犬の睡眠サイクルを調節する脳内物質が適切に機能しなくなります。睡眠サイクルが変わると、寝ている時間が増えたように感じます。

l  寝付きが悪い。     

l  深夜に目覚め、ぶらぶら、うろうろ家の中を歩き回る。

l  深夜に吠えて家族を起こす。

l  早朝に目覚める。

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学習したことを忘れたり活動性が低下したり不安徴候が出たり
するのも認知機能障害の兆候です。

 
4トイレの失敗はない?(H)

 シニア犬が認知機能障害を持っている場合、今までトレーニングでできていたことを忘れて、失敗してしまうことが出てきます。

l  トイレの場所を間違える。

l  トイレのために外に出ることを催促するサインを出さなくなる。

l  お漏らしをする。

l  以前はできていた「すわれ」や「お手」などのコマンドが分からない。 

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待合室にDISHAAの評価シートを置きました。



5、活動性に変化はない?(A)

 認知機能障害のある犬は行動が不活発になってきます。

l  刺激への反応が低下し、動きが鈍くなる。うごかない。

l  普段楽しんでやっていたことをやらない。

l  ボール探しなどの遊びなどをしない。

l  無目的に歩き回る。

l  円を描くようにぐるぐる歩く。

l  同じところを繰り返し舐める。

l  いつの間にか眠っている。

l  目的もなく吠える。

l  噛みつく。

l  食欲が増えている、または減っている。日によって違うこともある。

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webでもチェックが可能です。



6、不安が増してきます(A)

 不安によっても行動が変化してきます。

l  家族にべったりしてくる。

l  家族が行くところ、トイレでも風呂でも着いてくる。

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猫にも認知機能障害はあります。
 
加齢によっても行動変化は起こります。けれど認知機能障害による行動変化はもっと極端です。早期に分かればそれだけ治療の可能性が広がります。「年だからしょうがない」かもしれませんが「できる限り穏やかに」することができます。以前に比べると神経系に作用する薬もありますし、サプリメントもたくさん出ています。何より、神経系のための特別療法食まで流通しているのです。「何かできること」は山ほどあります。まずはチェックから始めましょう。

DISHIAA認知機能評価シートは上記のような項目をセレクトした18の問診項目に、「まれにある=1点」「時々ある=2点」「最低でも1日1回、常にある=3点」として合計していきます。この点数により、軽度、中等度、重度という評価を行ないます。今回のチェックで0点だったとしても、今後定期的に評価し続けてください。


次回は、「うちのこ、認知症かなぁ?」の不安を診断していくことについてお話しします。




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犬と猫の災害避難・続き

先週の続きです。

 6.日常の健康管理

避難所生活を最低限のストレスで乗り切るには、日常の健康が大切です。ふだんから健康チェックができていると病気のサインを見逃すこともありません。注意深く犬猫を観察しましょう。「いつものうちの子の様子」をしっかり理解しておくことが大切です。「あれ?前からこうだったっけ?」ということがないようにしておいて欲しいです。

実は猫にとって「肥満」はかなりマイナス要素です。「うちの猫はこれだけ蓄えがあるから何日か食べなくても大丈夫だ、痩せている猫の方が心配だろう」というのは素人考えです。猫は肝臓での代謝が独特な動物です。ことに脂質代謝は得意ではありません。「3日食べなきゃ脂肪肝」というのが我々の合い言葉で、太った猫がストレス状況下で食べられないと「肝リピドーシス」という怖い状況に陥ってしまいます。太り気味はぽっちゃりしていて可愛いのですが、太りすぎは危険信号です。

もう一点。「屋外散歩自由、排泄は外の畑」という猫、屋内の猫トイレでも排泄ができるようにしておきたいです。日常でも排泄物のチェックができないと病気の発見が遅れるという欠点がありますが、緊急時では畑のトイレが利用できません。慣れない小さなトイレを使わなくてはいけない状況は猫にとってかなりストレスは高いです。猫トイレでも排泄ができるように慣らしておいて欲しいです。

そのほか健康管理としては、不妊手術です。いつもお伝えしている病気予防や困った行動予防の改善になりますが、災害時に別の意味で必要です。迷子になって、そのときに発情が来てしまい交配した場合、不安な状況下で赤ちゃんを産んで育てていかなくてはいけなくなります。未実施の場合は災害時のことも含めて考えてみてください。それから年に1回の混合ワクチンの接種は、感染予防を考え、通年のノミマダニ予防と同様に基本的な健康対策です。また公共の衛生のためにもなります。(ノミマダニは人にも感染します)個の健康を意識すると、年に1回(高齢では年に2回)の健康診断も欠かせません。平常時の健康データを持っていることは、万が一のときにも有力な助けになります。また早期発見と早期治療ができます。困ったときに病気発覚がして慌てても、必要な検査や薬が得られません。

なお健康記録はまとめて残しておき、それらと一緒に写真(スマホの画像ではなくプリントしてある物)も持って出ましょう。新しく書き込めるようにメモ帳やボールペンも忘れずに。

7.万が一のことまで含めたしつけや訓練

やっぱりいざというときに心強いのは動物のメンタルがしっかりしていること。「可愛い可愛い、お好きなように」では逆境に弱いお姫様に育ってしまいます。様々な環境に慣らしておくことはいざというときに役に立ちます。

特定のひとりの家族だけ家族なら誰でも家族以外の人にも、の順で人に慣れるようにしていきます。人慣れという意味では、犬よりも猫の方が深刻でしょう。子猫時代(猫の社会化期は生後8週から12週で、早期で短いのが特徴です)にいろいろな経験をすると人見知りがなくなります。成猫になってからのしつけは根気が必要ですが全くできないことは無いので諦めずに訓練していただきたいです。お友だちが来たときに、なるべく自然体で大声を上げず、(猫の場合はじっと目を見ることがないようにしながら)おやつを与えてもらいます。無理に「抱っこされてみなよ!」と強要するのは恐怖心を煽るだけですのでやめてください。

その後スキンシップのトレーニングです。どこを触っても怒らないようにしていきましょう。ハーネスとリードに慣れてもらう必要もあります。身体に合ったものを選んでください。

社会化訓練はよその人、他の犬や猫に遭っても攻撃的にもならず、びくびくしたりもしないような社会性を身につけることです。家庭内にお客さんがあまりいらっしゃらないご家庭では、社会化訓練は主に散歩で養うことになります。人気のない時間帯や場所を選んで出かけていても、徐々に犬友達ができそうな時間帯と場所に出かけるようにしてください。「引っ込み思案」「内弁慶」「散歩嫌い」で済ませないようにしてください。

キャリートレーニング(もちろんハンドリングトレーニングも含めて)は必須です。こちらについては詳しいことを以前にお話ししました。猫にはキャリーでなくても、形がしっかりとしているクッションカバーを普段から室内に置いておくと、中に入って遊べるかもしれません。網ネットの代用になります。クッションに入ったらジッパーを閉めてキャリーに入れます。クッションカバーの大きさは猫が入るくらいで十分です。広すぎても落ち着きません。クッションカバーでも、キャリーでも、日常的にリビングに置いといて、この中で遊んだりお昼寝したり、猫を空間に慣らしておくことが大切です。

小型犬のクレートトレーニングはどうしてもしておいて欲しいです。小さなお部屋に入れられてもギャンギャン鳴くことがないようにです。犬のストレス軽減のために必要なしつけです。

食事のしつけも大切です。「〇〇じゃないと食べない」のは困ります。「バランスの取れたドライフードをトッピングなしで誰からもらっても」食べられるようになっていて欲しいです。

しつけの完了は最終的には、家族に対する信頼を寄せる動物の行動です。犬も猫も、飼い主さんに絶対的な信頼を抱けるように、甘やかし専門で犬猫に媚びた飼い主さんにならないよう、強くたくましい飼い主さんでいてください。しっかりとしつけされた動物なら災害もうまく乗り越えられます。

8.一回荷物を背負ってみましょうか

リュックに荷物を積めて背負い、必要品を詰め込んだ大袋を左肩にかけて、柴犬を右手で持つ。とか、リュックに犬を入れて、左右の手に必需品を持つ。とか。リュックいっぱいに必要品を入れて背負い、ハードキャリーに体重オーバー気味の猫を入れて両手で持つ。とか。ちょっとシュミレーションしてみてください。動けるでしょうか。

あれもこれも集めている間は楽しかったのですが、いざ背負ってみるとがっくりでした。背負えない!動けない!(←実はスタッフみんな驚愕でした。)

避難警報が出る前ならゆっくりと見直すことができます。再度チェックしてみてください。


大型の台風が去って行きましたが、9月は台風シーズンで、この先も天候不順な日が続きそうです。今一度災害時の心得を見直しておき、いざというときの準備をしてみませんか。




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犬と猫の災害避難

 防災月間です。

いざというときに慌てないために、今できること、今しておくといいことをお話しします。

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1.大きな揺れから犬猫を守ることを考えて

ごく基本のことですが、自宅の防災設計は重要です。タンスが倒れないようにする、キャットタワーの安定性を考え天井に止めを付ける、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼るというようなことです。また、屋外もチェックしてください。リードに繋がれた犬が倒れた塀の下敷きにならないように、また割れたガラス窓が飛び散って怪我をしないように、繋ぐ位置も確認して屋外犬舎を置いてください。

丈夫な木箱など、身を隠すことができるような安全箱が日常の寝床になっていると安心です。

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2.迷子にさせないように

大きな揺れに驚いてパニックになった犬や猫が家から飛び出してしまう可能性があります。外出先でトラブルが発生して帰って来られなくなることも考えて、外出自由の猫には、迷子札のついた首輪を普段から付けておきましょう。屋外飼育の犬も迷子札必須です。それから首輪がゆるくてとっさの力で外れてしまわないかどうかも確認してください。

身元を示す迷子札はついていると安心ですが、迷子になってもなんとかなるようにというのであれば、なんといってもマイクロチップの挿入が一番です。首輪を付ける習慣がない、首輪を付けると嫌がって外してしまうという小型室内犬や猫も多いです。猫では付けていても首輪自体がセイフティーバックルで、引っかかると外れる安全設計ですから迷子札も役に立たない可能性もあります。マイクロチップの挿入こそ日頃考えておいて欲しいことです。

ご近所づきあいは大切です。姿が見えなくなったとき、「〇〇の方で見かけたけど、お宅の猫ちゃんじゃないの?」って教えてもらって現場に行って発見、とおっしゃる飼い主さん結構います。普段から良好な関係があると、地域情報も得られます。

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3.
キャリーバッグで避難します

ハードキャリーは前扉と蓋と開くので手強い猫ちゃんの診察用キャリーに一番おすすめであることは以前からお話ししています。重いのが難点ですが、非常に丈夫で、身体に対して小さめのものなら動物に安心感を与えられるし、大きめのものはそのままハウスとして利用できるので、小型犬と猫には絶対に用意しておいてもらいたい品です。避難するとき、猫はキャリーに入れる前に洗濯用網ネット(目が粗くて撚った糸が太めのものがおすすめです)に潜り込ませ、二重にします。猫はネットに包まれている方が安心できます。

布製のスリング(抱っこタイプ)やリュック(背負うタイプ)は両手が空くのが利点です。カートやバギーは複数の犬を同時に運べますが、道が割れたりしていると不安定で危険なため、災害時には不向きかもしれません。

キャリーに入れられない中型から大型の犬は胴輪(または首輪)とリードで移動になりますが、リードは革製または布製の伸び縮みしないものを使ってください。サイズを確認し、ゆるすぎないように調整し、リードがほどけやすい状態になっていないかも確認しておいてください。がれきの側を歩かなくてはならないことを想定すると、底がゴム製のしっかりした靴を用意しておくと安心です。普段から履かせ慣らしておく必要はあります。

布製の折りたたみ式ケージは余裕があれば車内に潜ませておくと便利です。軽いので、やや広めのものを選んでもらうと、猫トイレも入れられ簡易ハウスができあがりです。現状、同行避難が原則として認められていますが、まだ同伴避難になっておらず、猫の安心のためには車内泊が想定されます。犬はリードで散歩ができますが、猫の場合はずっとハードキャリーのまま過ごすのは窮屈です。

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4.
薬、フード、水、おやつと、トイレ関連用品

持って行かないといけない物、第一選択品リストです。

なんと言っても命に関わるものですから、まずは薬です。明日で薬が終わるところだった!ということがないように、普段から手持ちは多い方が安心です。(なくなるちょっと前には再診にいらしてください。)また処方食は食事だけれど、栄養学的な側面から飼い主さんが積極的に関わることができる治療薬の扱いであることを忘れないでください。うちの子のための特別食は避難所から供給されませんので、必ず持ち出しましょう。

いつものドライフードのほかに、お気に入りの食事(ストレス下でも食べられるかもしれない!)、大好物の缶詰フード(こういうときのために滅多にあげてはいけません!)、おやつも持って行きます。「腹が減れば喰うだろう」ではいけません。犬も猫もストレスがいっぱいです。食欲不振の状況下でも「これなら食べれるかも」と犬猫が思ってくれるような食事も必ず入れます。

そして水。人の分は配られても、犬や猫の分までは配給されません。ペットの水はご自身で確保して置いてください。

さらにトイレ関連の消耗品を支度します。ペットシーツや猫砂、新聞紙や片付けに必要なビニール袋も多めに用意しましょう。車内泊になれば狭い空間で匂いが上がってきます。すぐにゴミが出せないかもしれませんから二重に縛りニオイ避けになるよう、たくさん用意する必要があります。食器とトイレは小ぶりのものを準備できていると都合がいいです。もしマーキングくせのあるオス犬ならば、マナーベルトもしっかり持ちましょう。

犬や猫の周りのことはすべてやってあげないといけません。待っていれば届くという期待はできません。そうでなくても非日常の生活になるので、日常のものがなくては不安メーターが上昇するばかりです。消耗品は最低3日分、ゆとりがあれば7日分を目安にしたらどうかしら、とお伝えしています。

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5.
できればこれも

もし、以前にもらったことがある分離不安症(や雷恐怖症など)の薬やサプリメントが残っていれば、これは絶対に携帯して避難してください。ストレスで落ち着かないとき、不安な気持ちを和らげる効果があります。

匂いのついたバスタオルか毛布も安心の源です。大きければキャリーの上からかぶせることができて、視界を遮ることができてさらに良好。小さめのふわふわはキャリーの中に入れてあげましょう。

猫のためのハーネスとリードは、もし預けなければいけない場合に重宝します。(ふだんから慣らしておく必要はあります。)

おもちゃが犬にも猫にも必要になります。クリッカーや笛などを訓練で使っているものがあればそれらも持ち出し品に加えてください。

汚れたところを拭くのに貴重な飲み水は使えません。ウェットティシューが役に立つでしょう。軍手、チャック付き袋、粘着テープと油性ペンも便利品です。粘着テープを貼ったら、その上に名前の記入ができます。

続きは次週に。

先週読んだ小説の中で、先天性の病気を持つ我が子に対してお父さんがコメントしている言葉がすごく印象的だったので紹介します。伊坂幸太郎の「太陽のシール」です。
「敵チームにはじめから5点献上して試合が始まったようなもんだよ。しかもゴールキーパーはなし。リキはさ、そういう圧倒的に不利な試合条件で生きているんだ」
まだ幼少なのに病気が見つかってしまうことがあります。条件の悪い試合運びになってしまうでしょうが、私たちはそばにいて、負け試合だって懸命に闘う彼らを応援してやりたいと思います。


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犬のあえぎとふるえ

 犬の激しい呼吸と身体の震え

健康な犬が突然おかしな動きを見せ、息を切らしたり、激しく呼吸をしたり、身体を揺らして震えている場合、飼い主さんはとても心配されます。人がいろいろな理由で急に病気になるのと同じように、犬も「何かおかしい!」ときに喘ぎ、震えます。

あえぎと身体のふるえ

あえぎと震えの組み合わせは、突然起こることもありますが、徐々に発症することもあります。問題がいつ始まったかが分かると、原因を絞り込むのに役立ちます。犬がすでに何かの病気と診断されている場合、救急で診察を受けるときに、どんな病気にかかっていて、今はどのような薬を服用しているのか、今回の症状はいつ頃どのような形で発症したのかなど詳細に話していただけると、症状(パンティングやシェイクを含むおかしい様子)の元の理由が分かりやすく、今回の症状の転帰について、そしてここからの回復の期待値をよりしっかり受け取ることができると思います。

ハァハァする速い呼吸(パンティング)と身体のふるえ(激しいけいれんのことも単なる揺れやふるえのこともあるかもしれません)の組み合わせは、いろいろな原因によって引き起こされます。あえぎやふるえの最も一般的な原因には次のようなことが考えられます。⇒から始まる下の段にどうしたらいいのかも付け加えました。

息が荒い

犬が過呼吸で口を開けてハァハァ息をしている、息を切らしている様子があるけれど、息と一緒に身体が揺れているような場合は、犬が落ち着きすぐにリラックス状態になりそうな「単純な運動過多」を示している可能性があります。

日陰のある場所に連れて行き(よく冷えた屋内でもOK)、落ち着かせて水を与え、息切れが自然に直るかどうかを確認してください。

過熱、熱中症

非常に暑い日に定期的にクールダウンする時間をかけずにエネルギーの高い運動をするなどして、犬がひどく過熱した場合、熱中症になっている可能性があります。これは、身体を揺らしながら激しく呼吸をしている、「あえぎと揺れの組み合わせ」の最も一般的な原因です。歯茎が赤く粘着性になり口の中で泡が立つほど大量のよだれを分泌しているかもしれません。高体温で心拍数も高くなっています。熱中症はほとんどの人が知っている病気(状況)で、毎年夏には一定数の犬を苦しめています。急速に緊急事態にエスカレートし、致命的になる可能性がある深刻な状況です。

対処方法。すぐに動物病院に連絡を取ってください。(病院側は到着時までに準備が整えられるので、すぐに救急処置が可能になります。)すぐに見つけられる最も涼しい場所に連れていき、水を飲める状況ならば水を飲ませます。冷水に浸すという対処方法を素人が取ってはいけません。頚部や腋窩部、大腿内側部に冷やしたタオルを置いて病院に急行してください。車内もエアコンを最大風量にし、犬にあてながら移動してください。犬の最終的な生存と回復は、素早い発見と迅速な行動に依存します。病院に到着するころ、もし意識を取り戻していて一見大丈夫そうに見えても血管内では異常が進行しているかもしれません。処置を受けずに帰宅してはいけません。

心臓の問題

急性(定期的に発生するのはもっと危険!)のあえぎが心臓に起因している場合があります。息が苦しい状態です。心臓が肥大すると、気管を圧迫して呼吸を閉塞する可能性があります。血液の流れが悪く肺にうっ滞した状態では、肺で十分な酸素を得ることができないのでいのちの危険も伴います。食欲不振を伴うことが多く、発熱はありませんが、犬は横になって寝ることができません。

心臓の薬を飲ませ忘れてはいませんか。健康診断で心臓の問題を指摘されたけれどそのままにしてはいませんか。大至急病院と連絡を取ってください。入院が必要になるかもしれません。お薬を指示通りに飲ませていて、部屋の温度を下げていても日常的に呼吸の問題を起こす場合、家庭で簡易酸素テントを作りレンタル酸素発生装置等使うなどして、いつでも十分な酸素が吸えるように配慮する必要があるかもしれません。

感染と発熱

犬が感染の結果として発熱している場合、犬の体が中心部の温度を下げようとするため、高熱があえぎ(やそれに伴うふるえ)を引き起こす可能性があります。感染症はウイルスや細菌が体内に侵入して発生し、身体は侵入局所で闘います。しかしそれに敗れて感染が全身に波及すると、身体の反応として発熱します。

ひきつけを引き起こすほどの段階に達している場合、大至急治療を受ける必要があります。動物病院に連絡してください。感染源を突き止めることができれば根本療法の可能性があります。

低血糖

低血糖は、ふらつきや急な全身性のけいれんを引き起こす可能性があります。糖尿病の犬に食事を食べていることを確認せずにインスリン投与すると発生することがあります。ただし、血糖値が低くなるのは糖尿病の犬だけではありません。子犬は血糖値の急な低下を起こすことがあります。肝臓病で糖代謝がうまくいかないときや、膵臓の腫瘍の存在のために低血糖になることもあります。

糖尿病でインスリン注射後の低血糖発作は、濃いめの砂糖水(ガムシロップ等)を舐めさせ急場を乗り切り動物病院へ向かってください。

毒素の摂取

犬が有毒な何かを食べた場合、中毒の初期症状は嘔吐やよだれを垂らすことが多いですが、息をハァハァさせたり(気持ちが悪いせいかもしれません)、次第に身体のふらつきやふるえになる可能性があります。中毒性物質や特定の有害植物、ブドウ、チョコレート、キシリトール(一般的な人工甘味料)などの犬に有害な食べ物、家族の誰かが服用している薬など、犬が有毒かもしれないものを口にしたと思われる場合は、早期の治療介入で命を救う必要があります。

できるだけ早く病院に連れてきてください。摂取した物質が分かればそれが分かるものと摂取量についてもお知らせください。

外傷からの激しい痛み

犬が激しい痛みを感じている場合に、喘ぎや小刻みな震えなどの症状が発生する可能性があります。犬が怪我をしているかもしれないので、体を動かして確認してみてください。

調べてもわからない場合、明らかな怪我が見つかった場合は、できるだけ早く動物病院に連れてきてください。

恐怖

非常におびえた犬は、ハァハァの呼吸や小刻みなふるえなどの恐怖兆候を示します。防御的な攻撃行動(うなり声をあげる、歯をむき出しにする、噛みつこうとする)を取る場合と、逃避行動(隠れる、逃げるなど)に走る場合もあります。他にも苦痛の兆候を示しているかもしれません。多くの犬は大きな音を非常に恐れます。雷や豪雨の風の音、また花火大会などのイベントは、犬に影響を与える可能性があります。

外の音ができるだけ聞こえないように雨戸を閉め、部屋の中でテレビなどの音源を高めに設定してください。雷には静電気が関係しており、水を張っていないバスタブ(小型犬であれば洗面台)に入れると症状が和らぐ犬もいます。

内傷、お腹の激しい痛み

犬が震えてハァハァしている理由がわからない場合は、犬が内臓に何らかの痛みや不快感があって、そのために頻呼吸と身体の震えを引き起こしている可能性も考えに入れなくてはいけないかもしれません。膵炎や胆石、脾臓の腫瘍の破裂、尿管結石など、急な腹痛を起こす病気があります。

⇒過去の病歴から膵炎の再燃が考えられるとか、全く理由が見つからない場合でも、動物病院に連れてきてもらう方が良いです。

 

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プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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