FC2ブログ

ノミの予防法1

 

ノミ(とマダニ)の予防法

2週つづけて、ノミの刺咬症やノミ感染の合併症そして環境対策についてお話ししました。ノミは本当に迷惑な寄生虫で、動物がノミに寄生されたことに気がつかないでいると、瞬く間に家庭内で繁殖してしまい、家族が被害に遭うなどの深刻な問題が生まれます。1匹のメスのノミは3週間の寿命で最大2,000個の卵を産むことができると言われています。生半可な対策では、ノミ退治ができたと思っても、すぐにまた寄生されてしまいます。暖かい条件下でノミは越冬できるので、冬でもふ化したりさなぎから成ノミに返ったりしてノミは増え続けます。

ノミの被害が犬猫と家族に及ぶのを防ぐために利用できるノミとマダニの薬がたくさん出ています。最も有効なのは、滴下剤(スポットオン)と経口薬ですが、ご存知の通りこれら2つの方法以外にもあります。順にご紹介しますので、どの方法が「うちの子」に最適かを知り、良い方法を選択してください。とにかく、家に持ち込まないことが最も重要です。そして犬や猫に付着したノミは繁殖しないうちに排除することが大切です。

なお、多くのノミ駆除薬はマダニに対する効果も持っています。マダニに刺されるのはノミ以上に危険です。ダニ刺咬により感染する病気はたくさんあり、なかでも近年西日本を中心に感染者が増大している重症熱性血小板減少症(SFTS)の感染は深刻です。感染した犬猫からヒトに感染する事例も認められています。薬剤を選ぶ際は、剤形のほかにマダニに対する効果の有無も考慮しておくと良いと思います。

eto_remake_inu.png 
1.カラー(首輪)

ボルホプラスカラー(バイエル社)←カラーで有効なのはこれだけです

ノミの首輪は、濃縮化学物質を使用して、犬のノミ(およびマダニ)を撃退します。化学物質は首輪から徐々に放出され、動物のからだ全体に分散し、効果は約5か月間続きます。ノミとマダニの首輪の成分はプロポクスルとフルメトリンです。屋内飼育の犬、猫には使用してはいけません。このカラーを付けている犬を長時間にわたって抱いていてもいけません。ノミの首輪は、皮膚に密着させて使用する必要があります。カラーの下に2本の指を置いて、しっかりと固定しないようにします。くるくる回るくらいに締めます。余った部分を犬が噛んで飲み込んでしまわないように切り取ります。また、襟の周りに傷がないことも確認してください。この化学物質に非常に敏感な個体があり、首回りに皮膚炎をおこすことがあります。「首輪」とありますが、普段使いの首輪の代わりになるものではありません。一定の力が加わるとちぎれるような加工がされています。

ホームセンターで購入が可能な首輪はピレトリンやフェノトリンなどのピレスロイド系殺虫剤を主成分とし、昆虫成長阻止剤(IGR)を含む製剤です。市販品のノミとり首輪は安価でお手軽なため、選択している飼い主さんもよく見受けます。ピレトリンは除虫菊の成分で、薬効は限られています。近くの地域での寄生の程度(ほぼいないに等しいくらいの状況)、付けてからの期間(短く、1か月後には薬剤濃度が低下)など、限定的です。犬をノミやマダニから保護する力は弱く(つまり、大して効かない)、そのわりに臭いが強く、ペットを刺激することもあります。

もう一つ注意したいことがあります。ピレスロイド(合成ピレトリン、例としてペルメトリンおよびシフェノトリン)は、猫にとって非常に有毒です。Malik先生らによる研究では、ピレスロイド中毒の猫が何匹か報告されています。誤って、または故意に犬専用製剤を使用したケースと、猫が薬剤使用した犬に密接に接触したケースで発生しました。このため、猫と一緒に暮らす犬や猫のいる家庭で環境処理を使用する場合は、犬には安全であってもピレスロイドを選択しない方が賢明です。
*とにかく、大型犬用のボルホカラー以外は効果の面でおすすめできるものはありません。

keitai_spray_jokin.png 
2.スプレーとパウダー(粉)

フロントスプレー(ベーリンガーインゲルハイム)←有効です

ペット用ノミ取りスプレーは即効性があります。「成ノミが卵を産むまでに要する時間」は寄生吸血後24時間から48時間と言われていますが、スプレー投与するとこの時間内に寄生する成ノミを100%駆除します。体重量から換算して体表面に適した分量を投与することができるので、未成熟な犬や猫ではスポットオンタイプの製品よりも安全に使用することができます。(生後2日齢の子犬子猫に対する投与試験でも安全性が認められています)しかし、投与は慎重に行なわなければいけません。作業する人も、口と目を保護し、薬剤を吸わないように注意して使用する必要があります。やや煩雑な面があるため、スプレーによる治療は診察室で行なっています。処置をしながら成ノミが死滅して身体から落下してくるのがわかります。有効成分はフィプロニルです。皮膚の皮脂に広がって全身に行き渡り効果も約1か月持続します。

市販薬のスプレーまたはパウダー製品もあります。比較的安価な商品です。これらの製品はピレトリンやフェノトリンなどのピレスロイド系殺虫剤とノミの卵や幼虫が繁殖するのを防ぐ昆虫成長阻止剤(IGR)が含まれている商品が多いです。除虫菊成分が主になった商品の有効性は低く、環境中のノミ生育数が少ない場合には「効いた気がする」かもしれませんが、すでに発生している成ノミに対する撃退効果は低いと思います。なお猫は「シューッ!」という音を嫌う動物であることも心に留め置きください。猫が居ないところで環境中(猫がよく居る場所)に噴霧するのは「猫のために対処している」という気分になれていいと思います。

柑橘油や他の植物抽出物を使用してノミやダニを撃退する天然由来のスプレーもあります。猫は柑橘類の抽出物に敏感である可能性があるため、猫には注意が必要です。商品のラベルを注意深く読んでください。ナチュラル製品とあっても、敏感な動物にとって有害になります。

*スプレー製剤で効果があるのは、フロントスプレーだけです。自家製でレモンからスプレーを作ることも知られています。このような、ナチュラルに、ごくごく自然なものだけでなんとかしたい場合のことは次々回に回します。

dog_mizu_tobasu.png 
3・シャンプー

ノミから犬を守るための防御策として薬用のノミ取りシャンプーという手段は概して気持ちの問題になると思います。安くて、寄生虫感染症から犬を保護している気持ちが高まる方法かもしれません。(既に寄生を受けた場合は数を減らすことができます。それも一時的です)

ノミ取りシャンプー製品の一般的な成分は通常フェノトリンなどのピレスロイド系殺虫剤で、接触した成虫のノミを殺すことになっています。殺虫効果はマイルドで、気絶させるレベルと考えてください。シャンプーを使用するときは、少なくとも1015分間、シャンプー剤を被毛に接触させたままにしてください。犬の目や口にシャンプー剤を入れないように気をつけてください。頭部を洗うのが怖いからと濡らさないでいると、体部を洗っている間にノミが頭部に這い上がってきて、すべてのノミを退治できないことが多いです。もしノミ退治にシャンプーだけを使用することに決めた場合は、頻繁に洗う必要があります。シャンプー後は十分にすすいで、被毛を乾燥させてください。

ノミとマダニのシャンプーは、成ノミとその卵を短時間洗い流すのに役立ちますが、全部を死滅させることはありません。駆除効果は「数を減らす」程度です。

ノミが寄生しないように予防することや、(一度数が減った後で)再寄生しないようにする効果、つまり長期的なノミ避けにはなりません。ノミの季節には、毎週シャンプーしてください。短期間かもしれませんが、動物はノミがいっぱいからだに付いた状態でいるより、快適だと思います。

*今回ご紹介した方法は一般的ではありません。病院で使う薬以外でなんとかしたいというお気持ちは分かりますが、「掃除する」「洗濯をする」「動物をシャンプーする」は予防や治療の一部でもあり、併用してもらいたい方法ですが、「市販薬に頼る」は無理があります。
次回は一般的なノミ予防の方法をお伝えします。



スポンサーサイト



テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

待合室閉鎖と新システムのお知らせ

 先週4月10日、愛知県から独自の緊急事態宣言が出されました。国の緊急事態宣言には含まれず、県からは具体的な業種に対する細かな要請も出されませんでした。当然、獣医療施設に対する区分も出ていませんが、おおむね先に提示された東京都に準じると判断しました。東京都は「獣医」(これは職業名のため本来であれば動物診療施設とか獣医療施設と称されるべきものだと思いましたがこのような表記でした)を「社会生活を維持する上で必要な施設」に分類していました。これはワシントン州やコロラド州、そしてカリフォルニア州のサンフランシスコで示された「essential business」(必須業務とでも訳したらいいのでしょうか)に相当する分類になると思われます。そこで、私たちもいわゆる「営業自粛」ではなく、要請された「適切な感染防止対策に協力する」ことを基に、診療を継続することにいたしました。米国の動物病院の診療体制をモデルにして、当院で受け入れられるシステムをこのお休みに考えました。この先、社会情勢が変化することがあれば別ですが、当面は病院を休診にはせず、しかし日常診療とは異なる感染防止の観点に沿う形で診療いたします。少々のご不便をおかけすることになると思いますし、明日4月14日からの新体制では慣れないことで混乱も伴うかもしれませんが、よろしくご了承ください。  

IMG_3793 (1)
受付の手前に診察券入れを置いてあります。
新しいシステムについての説明用紙は右の机におきました。
一部ずつお取りください。

 <来院システムの変更について>

さて、当院はプライマリケアをお約束する病院で、動物を「点」として診るだけでなく彼らの置かれている状態を見るため、「面」でも見させていただきたく、ご家族皆さんそろってのご来院も大歓迎してきましたが、今般のコロナ感染の観点からしばらくの間、来院プランの変更を考えています。

一つは可能な限り予約診療とさせていただくことであり、もう一つは待合室を閉鎖しその代わり駐車場の車内でお待ちいただくこと(カーブサイドケアと呼ばれています。後で詳細をお話しします)です。
IMG_3797 (1)
待合室は閉鎖しています。
 
IMG_3803 (2)
右側のテーブルに置いた新システム説明用紙です。
 
<待合室の閉鎖と新しいシステムについて>

患者さん同士また患者さんとスタッフの接触を最小限にし、社会的距離(2m)のガイドラインに準拠するように、待合室を閉鎖します。幸い駐車場にゆとりがありますので、お車でお待ちください。待合室は猫のコーナーだけを開けておりますので、徒歩や公共交通機関でお越しの場合は、こちらでお待ちください。可能な限り、お一人ずつお待ちいただけますようお願いいたします。

今後、順次予約診療としていくつもりですが、急な変更も無理ですので、当面の間は予約優先の来院順といたします。

    来院されたら、来院目的をメモに書いて診察券に貼り、ケースに入れてください。

    診察の番号札をお取りいただき、お車に戻られ、お待ちください。車の外からでも分かるように、番号札はワイパーで抑えるなど、車外の目立つところに置いてください。

    順番が来ましたら、お車までお迎えに参ります。このときにさらに詳しい状態等を書いた用紙をスタッフにお渡しください。どうしても飼い主さんと同伴でないと診療のできない伴侶動物には、申し訳ありませんが付き添いをお願いいたします。その際は必ずマスクを付けてください。

    診察途中で分からないことがあれば携帯している電話を通してお話を伺うことがあります。

    診察がおわりましたら、動物をお車までお届けに参ります。診療結果をメモでお渡しいたします。処方されるお薬についてもここでお知らせいたします。口頭でないと十分にお話が伝わらないと判断した場合は、診察室への入室をお願いすることになります。このときはマスクを付けてください。

    お薬の準備ができ、お会計が出ましたら、お電話いたします。

できるだけ会話をしなくて済むように(飛沫飛散を防ぐため)、用件をメモやお電話でお伝えすることといたします。次回来院日や来院時刻の予約を行います。

    お会計窓口にいらしてください。

 IMG_3804 (1)
診察の方、番号札をお持ちになりお車でお待ちください。
番号札はフロントガラス前面で目立つところに貼ってください。
当面は予約優先、次に来院順で診察を行ないます。

<完全な予約システムが整った場合>

    お電話で、または前回診療日に次回の診療予約をしていただきます。1時間を2つに区切る予定です。お話ではなくメモを読んだり書いたりすることで、いつも以上に1件あたりの診察時間は長引いてしまうことが予想されます。うまく稼働していくと1時間を3つに区切る方法でもうまくいくかもしれません。

    予約時刻にお越しいただきましたら、院内に入られる必要はありません。お車から来院された旨、お電話ください。

    車までお迎えに行きます。ご家庭でのご様子や心配事をご自宅で書いてきていただいたメモを受け取ります。

    診察します。

    診療メモとともにお返しにあがります。

    お会計が出たらお電話します。この電話で次回の来院予約をしていただきます。ご予定の書かれた手帳があると便利です。

    お会計に来てください。お薬のお渡しもここで行います。

 IMG_3805 (2)
お薬だけの場合、必要な薬をメモに書いて診察券に貼ってください。
もし外出する場合は、外出カードも添付してください。

<お薬やフードのみで予約されていない場合>

    先に診察券を出しに来てください。必要な薬やフードの数などをメモに書いて診察券と一緒にケースに入れてください。

    薬、またはフードの番号札をおとりになって、お車でお待ちください。もし、外出する場合は、外出カードを診察券に貼ってください。戻られる予定のおおよその時刻も記入いただけるとありがたいです。

    お薬の準備が整いましたらお電話いたします。お会計にいらしてください。スタッフに余裕があるときはお車までお持ちいたします。車窓でお会計をいたします。釣り銭が出ないようにご準備いただけるとありがたいです。

 <薬やフードであらかじめお電話をいただく場合>

    必要な薬やフードの量をお電話でお伝えください。だいたいの到着時刻をお知らせください。その時刻までに準備することができそうにない場合は折り返しお電話することがあります。

    病院に到着しましたら再度お電話ください。支度ができている場合は、お会計にお越しください。まだできていない場合は車の中でお待ちください。スタッフに余裕があるときはお車までお届けに上がります。

 IMG_3800 (1)
メモでのやりとりが増えます。
殴り書きのようなメモですみません。

<診療の制限>

今後、制限する可能性がある診療一般についてお知らせいたします。

    安定した病状にある場合、再診を延期し、その間の療法食と薬の補充のみをお願いすることになるかもしれません。現在安定している動物には、これまで1か月分の処方をしていましたが、これを2か月分に延長します。

    緊急性のない不妊手術(注)やごく小さな良性腫瘍の手術、重度歯周病を除く麻酔下の歯科処置の延期をお願いするかもしれません。ただし、不妊手術を待つことで、乳腺腫瘍のリスクが高まったり、好ましくない行動を取る場合が考えられるような場合の不妊手術は実施いたします。(個体の利益にならないため)

    診療歴のない新規の犬猫の診療。ことに屋外飼育の病歴不明の猫では、ウイルス感染の可能性を完全に否定することはできず、お預かりするそのほかの猫たちに不利益をもたらす可能性があるため、診療の制限対象とさせていただきます。

(注)すでにご予約を受けている「さくら猫チケット」の猫の不妊手術は、ボランティアさんがTトラップを行うことに不安をお持ちでない限りは実施させていただきますが、6月分からのチケットの受け入れにつきましてはしばらくの間お休みさせていただきます。なお今回利用できなかったチケットについて、コロナ事態下での特別配慮はなく、いつも通り「返却」し必要になったときにまた取っていただく方針に変わりはないそうです。

 IMG_3827 (1)

<診療制限の対象としないもの>

これまで通りの診察を考えているのは

    当院で診察をしたことのある犬猫の病気診療。

    慢性疾患の際の定期検診(いわゆる再診)。

    フィラリアの検査とその予防薬の処方。(この時期をずらすわけにはいきません)

    健康診断とワクチン接種。(病気予防対策を延ばすこともできません)

    子犬や子猫のワクチンブースター。(しっかり予防すべき大切なときです)

    ノミ・マダニ予防薬の処方。(いわゆるシーズン処置ですので延期できません)

    定期の皮膚科診察とその治療である薬浴。(延ばしていたら悪化してしまいます)

以上です。

IMG_3796_20200417195405f20.jpg
受付はビニールで覆いをさせていただいています。

<ご理解いただきたいこと>

会話を通じての飛沫飛散を減少させるため、可能な限り「電話での会話」と「メモの活用」をすることとし、受付カウンターには患者さんとスタッフの健康と安全を守るため、ビニールカーテンを下ろしております。

新しいシステムの導入で、分かりにくい点も大いにあり、ご不便をおかけいたしますが、「人との接触機会の減少への取り組み」に参加し、1日も早い新型コロナウイルスの感染の消息に向けて協力することといたしました。みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。

重ねてお知らせいたしますが、ヒト→犬、ヒト→猫の感染は確認されていますが、ごくごくまれなことです。さらに、感染犬→ヒトも、感染猫→ヒトも今のところ認められていません。ただ、もともとが動物(コウモリの疑いが濃厚)由来感染症である可能性が高いため、過度な接触は避けてください。また石鹸で十分な時間しっかり手洗いしてください。ハンドソープの欠品はあっても石鹸はないはずです。また食器洗い洗剤でも有効です。アルコール欠品でもできることはたくさん有ります。手間を惜しまず手洗いしてください。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード