猫が病院嫌いなので連れて行きたくないです!

 「猫を病院に連れて行く」

これが難題になっている飼い主さんがおられます。

そこには様々な理由があります。それなりに分かりますが、「それでも病院へ連れて来ていただいた方がいいんです」というお話をいたします。

 

1、「そもそも、うちの猫ちゃんは健康。それなのにどうして嫌がる病院に連れていかなくてはいけないの?」

はい、健康だと病院とは縁がないように思われますね。

しかし目に見えない(無症候性、といいます)病気は多く、そうした病気のほとんどはわからないところで少しずつ悪くなっています。そして症状を現わしたとしてもわずかな変化なため、飼い主さんに気付かれないことが多いのです。

例えば体重はどうでしょうか。「毎日見ている」からこそ分からない、だけどそのような変化が数カ月続くと大きな変化になっているのです。知らないうちに痩せていた、または太っていたというのはよくあることです。毎日少しずつの変化は、時間軸に対し定点ポイントで観察してみると変化はよくわかります。

このようなわけで、目に見えない変化をキャッチするための定期的な健康診断はとても重要ですし、不顕性の病気だからこそ健康診断は威力を発揮します。

検査をして「なにも異常が見つからなかった」「本当に健康だった」という結果が得られるのは大変安心できることですし、「初期段階で異常を発見できた」のであれば早期治療を始められラッキーです。

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2、「うちの猫が痩せてきていて、毛のつやも無くなってきているのは分かっているけど、これは高齢猫として普通じゃないの?わざわざ病院に行ってもどうなるものでもないでしょう?」

これもよく聞かれることです。

でも体重減少や被毛の光沢が無くなってきていること、実はこれ自体が臨床症状です。そしてこれらの症状は高齢猫に内科的な疾患があると多く見られる現象で、正常ではないのです。

ウェイトロス、被毛失沢などは特徴的な病気に限定した症状ではありませんが、高齢猫に多いいくつかの病気の疑いが持たれますから、それらの疾患にターゲットを絞って検査を進めていくと診断結果も得られやすいと思います。

そんなわけで、病気による変化であれば、現代獣医学で改善できる可能性が高いというわけです。

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3、「うちの猫をあれこれ掻き回されたくないの。もう歳なんだから」

これもよくわかります。

まず、猫に痛みやストレスのかかる検査ではなく、飼い主さんにお話しを伺うことを中心とし、それから一般身体検査を行うのはいかがでしょうか。中高齢の猫に多い糖尿病や慢性腎臓病を最初に知ることができるのは複数回の尿検査ですが、ご家庭で排泄した尿を持ってきていただくと簡易検査はできます。こんなことからも有用な情報が得られ、今後の猫の健康サポートに役に立ちます。

さらに何回か病院に来院している間に、猫は一定のパターンで診察を受けること、つまりからだのどの部分に触れられて、どのような順でそれが進められて、どのくらい経つとそのタッチングから解放されるのかを知るようになります。それから私たちが決して猫に危害を加える存在ではないということも学習してくれるに違いありません。

まずは慣れることから始めてはいかがでしょうか。

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4、「慢性腎臓病とか治らない病気を検査する意味があるの?」

そう、確かに多くの慢性疾患は治ることはありません。残念なことです。しかし高齢猫に多い病気にかかる年齢になるまで大病もせずうまく飼ってきていただいて、この長寿を迎えられました。お宅の猫さんは幸せです。これまで病院とご縁がなかったというのも健康であった印です。

けれど獣医学は大きく進歩しています。もし「以前飼っていた猫のときは。。。」というのをお持ちでしたら、現在の治療との変化に驚かれるかもしれません。慢性の進行性の病気であっても、治療によって猫は多大な恩恵を得られます。完治することのない病気でも治療すると「生活の質」は向上し、より良い状態で寿命を長くすることができます。

検査はそれぞれの病気の病期分類と推奨される治療を決めるのに役にたちます。同じ病気でも個々の動物により病態が異なるため、必要とされる治療は少しずつ違います。これを検査で見極めてオリジナルの治療を得ることができます。

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5、「うちの猫はすごく悪くて、きっと手遅れだと言われてしまいそう」

高齢猫の具合が悪いと、「手の施しようがない」と言われてしまうのが怖い、という飼い主さんもおられます。「もう今さらやれることなんてないかも」と考えてしまうようです。

どのような状態になっていても、猫の生活の質の回復を第一の目的にして獣医療を行います。完治を目的とした手術や入院によるハードな治療を行うのかどうかは飼い主さんが決めることです。完全な健康を取り戻すことが叶わなくても、目の前の猫に対して何が一番望ましい治療なのかを考え、それを選択することができます。

そしてもうひとつ付け加えておきます。「すごく悪い」というのが飼い主さんの全くの思い違いであることもあります。もうだめだと思ったところからの復活ですが、これはほんのちょっとしたことからの脱却でした。これは実際にあったことです。

そのようなわけで、病院に来院されると、不安に思っていたことを解決でき心の重石がとれるかもしれません。

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猫は「音」に対してとても神経質ですし、日常と非日常、いつもの場所とそうじゃないところ(これをホームとアウェイと私は言っていますが)の違いをとても敏感にとらえています。だから病院に行くときだけに使われる(入らなければいけない)キャリーは大嫌いです。これは引っ越した新しい家を落ち着かない空間だと感じることと同じです。また車で連れてこられる間中鳴いている(はず)と思いますが、車のエンジン音も嫌いです。これは掃除機や洗濯機と同じように予想外に突然唸りだす機械音と同じです。家電の音であれば逃げることができますが、車の中は閉鎖空間ですから逃げられません。助けて!という意味で鳴くでしょう。でもそのあと動物病院が待っている、というところまでは予測していません。病院が嫌いで行きたがらないから鳴いている、と考えるのは間違いです。

 

猫はストレスにとても弱い動物です。まずはキャリーを(トンネルタイプなら両方のドアを開け放ち素通りできるようにし、上蓋タイプならひょっこり入れる籠のようにして)常に居る部屋の隅に遊びの空間のように設置しておきます。これはキャリーに慣れさせ、怖い入れ物という認識を覆すためです。またホームの匂いのするものをキャリー内に一緒に入れて、少しでも気分が和らぐようにしてやります。

それから車の音を消すことはできませんが、暑い夏の間を除いてはキャリーに布などを被せると、少しでしょうが音から逃れることができます。

病院から帰った後はごほうびをあげて気分を紛らわしてやりましょう。もし病院から帰ったときに(病院の匂いをまとってきた猫に対し)家に残っていた別の猫が意地悪をする可能性があるのであれば、フェリウェイを使うなどして、病院の残り香がないようにします。

 

 

「具合が悪いんじゃないか」と思う。でも「猫が病院を嫌いだから連れて行くのがかわいそう」と考えるのはあまりに寂しいです。ちょっと考えなおして、連れてきていただけないでしょうか。

今日はそんな気持ちのことをつらつらとお話ししました。

 

今年も残すところあとわずか。暖かい冬で助かっていますが、油断はできません。問題がないまま、年越しができますように。病気の犬も猫も安定した状態で新年を迎えることができますように。      合掌

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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