猫の伝染性腹膜炎・その3

 猫伝染性腹膜炎のお話、3回目です。

治療のことや、猫コロナウィルス抗体陽性野猫が猫伝染性腹膜炎を発症するのを防ぐために、どうしたらよいのだろうかということについてお話しし、連続3回のお話しの締めくくりにしたいと思います。

 

 

<猫伝染性腹膜炎は炎症性の病気?>

猫伝染性腹膜炎は「伝染性」が付いてはいますが、伝染性疾患としてくくるには水平感染は起こりにくい病気で、むしろウィルス性「感染症」の病気です。さらにその病態も「炎症」と免疫亢進による「アレルギー」様でもあります。そこで、治療は①ウィルス増殖を抑えることと、②炎症を抑えることが二大柱で、あとはそれぞれの症状に応じて対症治療を行います。

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<基本の治療・ガイドライン>

KIRK'S Current Veterinary Therapy に記されている治療が、猫伝染性腹膜炎治療のお手本としてあります。2005年版です。

ウェットタイプは胸腔内または腹腔内にステロイドの注射液を注入するほか、プレドニゾロン内服による治療です。はじめはかなりの高用量を使い、10日から14日ごとに、その薬量を減らしていきます。減量により悪化したらまた増やすこともあります。また、インターフェロンも使われます。1日おきに注射し、貯留液を認めなくなったら頻度を週に1回に減らす、というやり方です。

ドライタイプも同様です。ウェットタイプに同じプレドニゾロンを使い、インターフェロンは毎日です。

目の症状が出ている場合、点眼液にもステロイド剤を使用します。

インターフェロンはとても高価な治療なのですが、反応する場合と反応しない場合が有り、どのような症例に効果的なのかはその違いが分かっていません。

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<そのほかの治療>

トロンボキサン合成酵素阻害薬(塩酸オザグレル)はアレルギーの抑制に使われるお薬ですが、猫伝染性腹膜炎ウィルスによって亢進する血小板凝集を抑制する作用があります。血小板の凝集を抑えると血管炎の進行が抑えられ、場合によっては腹水の貯留がなくなったり抑えられたりします。1998年に亘先生が学位論文で発表されてから、日本ではKIRK'S Current Veterinary Therapy の治療に加えて使用される先生が多くいらっしゃいます。内服薬です。朝夕2回服用して貰います。

 

それでも猫伝染性腹膜炎に対する有効な治療方法はまだ確立されていません。致死的な病気なのでぜひ望まれるところです。

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<研究中の治療>

猫伝染性腹膜炎ウィルスがマクロファージ(細胞の名前です)に感染すると、ウィルスは細胞内で爆発的に増殖をはじめます。このときに猫伝染性腹膜炎の病態を悪くさせるサイトカインがいろいろ出てきます。この中の一つ、TNR-αに対して抑制的に働く薬として、ペントキシフィリン(薬品名トレンタール)がありますが、この薬は日本での製造が終了してしまいました。良く似たお薬のポリペントフィリンをドイツの大学で研究されていましたが、残念ながら効果なしとの評価を受けています。

「ポリプレニル免疫賦活剤はドライタイプの猫伝染性腹膜炎の生存期間を延長させる」と、テネシー大学から研究発表されています。完治ではないものの、猫の体調を改善させ、200日とか300日といった単位での生存日数を掲げられていて、これからの治療に非常に期待が持たれます。

翻訳されている記事です。

https://the-mal.com/news/feline-infectious-peritonitis 

 

日本でも、北里大学の高野先生たちが抗マラリア薬であるクロロキンの効果を研究されていました。抗ウィルス効果、サイトカイン産生抑制効果が認められています。しかしクロロキンも日本での製造が中止されてしまいました。現在はヒトのエリテマトーデスの治療薬として承認されているヒドロキシクロロキン(化学構造式はクロロキンに似ている薬です)で再度研究がなされています。TNF-αの活性を抑える薬や抗ウィルス薬を開発途中とのことです。結果が待ち遠しいです。

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<発症を予防する>

猫伝染性腹膜炎の発症は、感染している猫コロナウィルスが腸管内で増殖する際に変異して、猫伝染性腹膜炎ウィルスに変わることが原因です。このことを鑑みると、

①腸内の猫コロナウィルスを増やさないようにすること

②猫の免疫を低下させる原因を無くすこと

が必要になってきます。

繰り返しの重複感染を抑えるには、同居猫同士から糞便を介した経口感染をコントロールする必要があります。個人のご家庭では、多頭飼育をできるだけ避け個別飼育にし、トイレはそれぞれが別の物を使用し、食器とトイレは遠く離して(できれば別の部屋に)設置するという、衛生上の基本的な事項を守っていただくと良いでしょう。仲の悪い猫同士は別の部屋で管理し、ストレスを減らすことも大切なことです。

 

さらにⅡ型ウィルスの発生という点を考えると

③犬と接触させないこと

も予防になるのかもしれません。

 

④集団飼育施設の衛生管理を行うこと

は、キャッテリーでの子猫の猫コロナウィルス感染を防ぐ上で重要です。

1か所で多数の猫を飼育するのを避けることは、集団飼育施設においては難しいこともあるかもしれませんが、猫を衛生的に保つという意味で大変重要です。さらに清潔の維持のほか、個々の猫のストレスを減らすためにもぜひ進めていただきたいことです。できれば仲の良い猫同士3~4頭ずつを別の部屋で飼育して貰うと良いです。理想は個別飼育です。

 

さらに

⑤ブリーダー施設に情報をフィードバックする

ことが可能ならば、購入先から繁殖元へ連絡を入れるのも、猫の将来のためになることでしょう。子猫が猫伝染性腹膜炎を発症するのはブリーダーの手を離れ、新しい家庭に入った頃に起こりやすいため、繁殖元では猫コロナウィルス感染について知ることがない可能性があります。情報を届けることにより、子猫が移行抗体の残る時期にウィルス陽性猫から隔離する策を取ることができるので、猫コロナウィルスの感染チェーンを徐々に絶つことができるかもしれません。

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<ワクチン接種>

米国では猫伝染性腹膜炎のワクチンがありますが、(経鼻接種です)有効性は十分には確立されていません。米国猫専門医協会(AAFP)では、このワクチンの使用をすすめてはいないそうです。

 

 

<どのように消毒をすすめていったら良いのか>

乾燥した環境で7週間も失活しないといわれる猫コロナウィルスですが、太陽光線や紫外線照射や熱などで不活化されるようです。56℃数分で感染性を失う、という記述も見かけました。ほとんどの消毒薬に感受性をもち、塩素やアルコールなど入手しやすい消毒薬や洗剤でも失活することから、猫コロナウィルス感染している(抗体陽性の)猫が使用するトイレは家庭用洗剤で洗ったのち、塩素消毒し、屋外で天日干ししておけば十分かと思います。

感染は

「猫の糞便」→(ヒトの手などが仲介する可能性もある)→「別の猫の口」

というルートで成立するので、⇒部分の消毒を徹底し、ここを断てれば感染は起こりません。

これらは猫コロナウィルスに関しての対策です。猫伝染性腹膜炎に対し水平感染が起こるためにとる対策、ということではありません。猫伝染性腹膜炎発症猫からウィルスが伝播されることもあり得ますが、通常これは起こりません。

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<おわりに>

予後不良の病気を診断してしまったとき、どんな風にお話しを切り出して行こうか、これが長く臨床をしていてもなかなか悩むところです。

診察に時間がかかると、途中で待合室を行き来しているVTに「悪そうだね。」って声がけしてくださる患者さんがいらっしゃいます。読みが深いです。VTからの連絡を受けて、「あー、察知されている。うん、そうなんだよ、そうなんだけどねっ。うわー。」っと言葉を飲み込んでいます。なんとかこの事態をブレイクさせる方法はないものか、考えていたりします。それから、説明室にお通しした段階で「先生の顔色で分かるわ。良くない病気なのね。」って先に口火を切ってくださる患者さんもいます。「すみません。大当たりです。」

そんなこんなで、「実は、、、」「あまり良くないお知らせですなんですが。」となるわけです。

それでも、今、頑張ってくれているのは目の前の猫さんなのだし、清書に書かれている数字はありますが「それはそれ、こちらはこちら」。ご家族の希望する治療方針をご相談しながら決定し、そこに沿うように努力していこうと思っています。

それから、繰り返しになりますが、猫コロナウィルス抗体価が陽性であることと、猫伝染性腹膜炎を発症しているということは別物です。もし抗体価が高かったとしても、抗体価の推移を見守り、できるだけストレスなく過ごすようにしてやりましょう。

今回はなかなか重い病気のこと、お話ししてきました。3回に渡る長いお話しにおつきあい、ありがとうございました。世界中からこの病気がなくなることを思ってやみません。

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猫伝染性腹膜炎・その2

猫伝染性腹膜炎のお話、2回目です。

どのような猫に対してこの病気を疑うのか、疑いがあったらどのような検査を行って診断に結びつけていくのかをお話しします。

 

 

<猫伝染性腹膜炎を発症しやすい猫>

猫伝染性腹膜炎を発症しやすい猫がいます。すべての年齢層の猫に見られるのですが、多頭飼育されている環境下(保護施設やブリーダー施設などのような)の若齢猫でもっともよく見られます。たいていは2歳未満で発症し、特に1歳未満の猫では病状の進行が早いです。17歳とかの高齢の猫でも見られますし、一部、感染に敏感な猫種や系統(ベンガルなど)があるようです。

総じて、多頭飼育されてきた経歴のある若齢猫で怪しい症状が見られると、疑いは濃くなります。

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<猫伝染性腹膜炎を疑うときの猫の様子>

「もしかして、この子、猫伝染性腹膜炎なのでは!」、と閃くきっかけになる猫の様子はいろいろです。

    ウェットタイプを疑うとき

 おなかがでっぷりしていたり、呼吸が苦しそうであったりすると、腹水や胸水を疑います。活動性が低下していて元気がないとか、寝ていることが多いなどの沈うつがあるということがわかったり、身体に触れたときに熱感があったり、検温で軽い発熱があるのが認められたりすると心配が増していきます。

②ドライタイプを疑うとき

 こちらの方がわかりにくいです。だるそうにしている日が続いていること、元気がなく静かにしていること、食欲が低下し体重が減ってきていることなどしか分かりません。身体に触れてみて、リンパ節が大きいかな?腎臓が腫れっぽいかな?と感じることや、可視粘膜を見て色白だったり軽く黄ばんでいたりするのも不安が増します。

③目の様子

目の様子に変化があるのも心配な要素です。透明であるはずの角膜に何か着いているように見えたり、目が濁って見えたり(目の中に卵の白身のような物や血の塊などが浮かんでいるように見える)、虹彩の色が変わってきているとか、左右の目で瞳孔(黒目・ひとみ)の大きさに違いがあるとかすると、なおさら「もしや」「まさか」の疑いを持つことになります。わけもなく目が小刻みに動いている(揺れている)ときも心配です。

④そのほか

バランスよく動くことができないとか、震えがある、異常な行動を取る、過敏な反応があるなどの神経症状があるのも心配要素です。

  

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<診断のために行う検査と疑いを深めることになる検査結果>

診断のために、院内では次のような検査をしていきます。疑いが濃厚になる結果を示しておきます。

①ウェットタイプを疑うとき

腹水や胸水が確認されたら、診断と治療を兼ねて水を抜き、採取した液体を検査します。採取した液体のタンパク量やアルブミン・グロブリン比(A/G)、総白血球数、細胞成分を調べます。血液検査も行います。猫伝染性腹膜炎の腹水や胸水はたいてい琥珀色で透明です。採取した液をポンプから容器に出して空気に触れさせておくと、ゼリー様のぷるるんとしたかたまりができてくるのも、怪しさが増してくる所見です。この採取液を検査してみると、タンパク量が多く、A/Gが低いこと、さらに白血球の数が少ないことや、調べた細胞は好中球が多数というような場合、猫伝染性腹膜炎の疑いがさらに強まります。血液検査では貧血や白血球増多、総蛋白の増加とアルブミン・クレアチニン比の減少が疑いを強める所見です。

②ドライタイプを疑うとき

 ウェットタイプと同様の血液検査を行います。疑わしい所見は同様です。

 さらにX線や超音波などの画像検査も行います。これは猫伝染性腹膜炎を疑って、というよりも、何か手がかりはないだろうかと猫の身体の情報を収集するために実施するというのが近いかもしれません。なにせ、ドライタイプの所見は、あれやこれやいろいろな病気でもみられることの多い所見と重複しています。腹部のリンパ節や腎臓などに腫瘍のようなものが見られると診断は複雑になります。

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<確定診断に結びつけるための追加検査>

院内の検査で疑いが増した場合、次に外部の検査機関に委託して追加の検査を行います。

①ウェットタイプを疑うとき

 採取した液体や血漿(血液の上澄み液)を外部の検査機関に送ります。腹水または胸水で猫コロナウィルスの抗体価を、血液で蛋白分画を調べて貰います。

②ドライタイプを疑うとき

 血漿(血液の上澄み液)を外部機関に送ります。猫コロナウィルスの抗体価、蛋白分画を調べて貰います。炎症性蛋白の値(血清アミロイドASAAなど)を調べて貰うこともあります。

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<猫コロナウィルスの抗体検査の解釈>

猫コロナウィルス(FCoV)の抗体価の検査は猫伝染性腹膜炎の診断をするときによく用いられる検査です。ですが、あくまでも猫コロナウィルスの抗体価を見るものであって、猫伝染性腹膜炎ウィルスの抗体検査ではありません。抗体価が高いからといって猫伝染性腹膜炎を発症しているとはいえません。また、猫コロナウィルス抗体価がマイナス(―)であるのならば猫伝染性腹膜炎は発症していないと言い切れますが、抗体価が低くても猫伝染性腹膜炎でないとは言い切れません。体内のウィルス(抗原)と抗体が結合して免疫複合体を形成しているため、結果として見かけ上抗体価が減少しているだけなのかもしれないからです。猫伝染性腹膜炎を疑う症状があって、抗体価が高いときには、猫伝染性腹膜炎を診断するに十分確定的になります。


 

臨床症状は出ていない

臨床症状が出ている

抗体価(―)

おそらく陰性でしょう。

 

抗体価が低い

可能性があります。

必ずしも猫伝染性腹膜炎ということではないです。

疑いは残ります。

猫伝染性腹膜炎ではないとは言い切れません。

抗体価が高い

 

猫伝染性腹膜炎でしょう。

ほぼ確定的です。



 
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<確定診断をする検査>

特殊な検査になります。免疫染色法でマクロファージから猫コロナウィルス抗原を検出するのが確定診断になります。「ウィルス検出=陽性=猫伝染性腹膜炎が確定」です。しかし、陰性であっても猫伝染性腹膜炎ではないと言い切れません。

検体はウェットタイプなら滲出液ですが、ドライタイプだと腹腔内にできた肉芽腫病変から採取したもの(生検)になります。ドライタイプ疑いの猫に全身麻酔下で開腹手術を行い、検体を採取するのは現実的ではありません。

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<疑いを突き詰めた先に何があるのだろうか>

陽性であることを確認するために免疫染色法という特殊な検査まで実施する意味はどこにあるのだろうかと考えることがあります。

諸外国では、猫伝染性腹膜炎のような予後不良の病気を発症している場合、動物が苦しむ前に安楽死を推奨されていることが多いです。欧州猫病学諮問委員会(The  Europian Advisory Board on Cat Diseases : ABCD)もこの疾病に対し、「一度は治療してみるものの、3日以内に改善しない場合は治療が難しい、安楽死を考えるべき」、という推奨ラインを出しています。診断後の寿命がわずか9日、という数字は生存期間が短い病気であるということをいっているのではなく、そうした推奨に従う症例が多いからなのだろうと思います。さすがに安楽死となると、きっちり診断をつける必要があります。あいまいのまま、疑いがあるくらいで安楽死を実施することはできないからです。特殊であろうが、高価な検査であろうが、確定診断に結びつける必要があるでしょう。

私たちは日本に住み、和の心で日常を送っています。合理的といえば合理的、でも割り切れなさが残るこの推奨ラインに従うには苦痛があります。「疑いがある」ことを「間違いない」にまで煮詰めて安楽死に臨むよりは、「おそらくそうだろう」の線で留め起きながら、愛猫が苦しまないよう緩和療法を交えた治療を行い、自然死を迎えるまで暖かく見守ることを選択する方が、日本人としての考えに近い気がします。家庭猫という状況であれば(特殊なキャッテリーという状況でなければ)なおさらそうだろうと思います。

そのようなわけで、当院では、多くの病気については世界的なその道の専門家が推奨するガイドラインに沿った治療を学び、理解し、実践することを目指してはいますが、この猫伝染性腹膜炎に関しては、そうした世界の王道に沿わない道を選択しています。

 

 

今日のお話はここまでです。

次回は治療のことや、どうしたら発症を防ぐことができるのか、といった内容でお話ししたいと思います。

 

    

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猫伝染性腹膜炎・その1

 はじめに花子ちゃんのお話をしましょう。

 

はなちゃんは10歳半のロシアンブルー、とても健康に過ごしてきました。体重も4.8kgをずっとキープしていて、毛づやも良好、処方食を購入がてら定期的に爪切りに来てくれていた猫さんです。

今月に入って「なんだかいつものフードを喜んで食べないの」とお母さんから電話が入りました。それでも同居の別の猫さんが食べている食事なら口にするとのこと、「そっちを食べさせても良いかしら?」というご質問でした。「食事内容が飽きてきたのなら良いのですけど、病気だと困るから様子を見ておかしかったら診察にいらしてくださいね」と電話での会話を終えました。3日後、「やっぱり食べないわ」とお母さんが心配顔ではなちゃんを連れて来てくれました。

さて、1ヶ月半ぶりに見るはなちゃんは体重が750g減少、これは体重の割合からすると17%に相当します。体重が60kgあった人なら、1ヶ月半で約10kgの減量を達成したことになります。いや、それはなんとも急激に痩せすぎです。背中がごつごつ、おなかの皮下脂肪が垂れて、緊張感なくたぷたぷしていました。身体検査に続いて、早速血液検査をはじめました。

血球の検査では白血球の数が多く、その割に赤血球の数は少なく、貧血がありました。そして血小板も少なめです。血液を回すと上澄みの血漿はうっすら黄色。生化学的検査をみると総蛋白は高く、なのにアルブミンがとても低くなっていました。はなちゃんは幼少期、なかなか治らない頑固な下痢のため他院から転医されてきたいきさつが有ります。これまでの血液検査でも総蛋白が高めのこともありましたが、こんなに(9.5g/dl)高かったことはありません。蛋白分画の検査と猫コロナウィルスの抗体検査を外注依頼することにしました。後日、蛋白分画からはα2,β、γ分画のグロブリンが高く、またFCoVの抗体値も1600倍と高めで、猫コロナウィルス感染症が濃厚に疑われました。

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<猫コロナウィルス感染症>

猫コロナウィルス感染症は、一般的な感染症です。猫コロナウィルスは世界中で猫の集団内に広く存在しているそうです。猫の血液中の抗体を調べると、抗体を持っている猫は案外多くみられます。これらの猫は軽い下痢などの腸炎症状を示すこともありますが、ほとんどは症状が見られません。抗体を持っている猫のうち35~70%が糞便中にウィルスを出します。この糞便から次の猫に猫コロナウィルスが感染します。猫コロナウィルスに自然感染した猫は1週間くらいで糞便中にウィルスを排泄するようになり、ウィルスを数週間から数ヶ月、まれには生涯を通じて排泄し続けます。無症状でウィルスを出し続ける猫はキャリアーと呼ばれています。こんな風にして、猫コロナウィルスは集団のなかで簡単に感染していきます。

1頭だけで飼育されている猫は猫コロナウィルスに感染していないことが多いです。

 

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<猫コロナウィルス>

猫コロナウィルスはウィルス学的には、ニドウィルス目、コロナウィルス科、コロナウィルス属、猫コロナウィルス(Feline Coronavirus : FCoV)という分類になります。RNAウィルスの中では最も大きいウィルスになります。さらに、Ⅰ型FCoVとⅡ型FCoVに分類されますが、多くはⅠ型です。(野外で流行している株の98%がこちらだそうです。)Ⅰ型FCoVが元祖FCoVといった感じの位置づけなのに対し、Ⅱ型はFCoVに犬コロナウィルスの遺伝子の一部が組み合わさって発生した新型FCoVです。(元祖とか新型という呼び方は、その特性から、今、ここで呼んでいるだけの名称です。一般的にこのように呼ばれているわけではありません。)従来は猫腸コロナウィルス(Feline Enteric Coronavirus : FECV)と猫伝染性腹膜炎ウィルス(Feline Infectious Peritonitisvirus : FIPV)の分類でした。

猫コロナウィルスは乾燥した環境の中で7週間も活性力を保持しています。(病原性を保っています。)ですから猫トイレのほか、人の手、服、靴などを経由して別の場所に運ばれここから間接的に感染する可能性もあります。けれどほとんどの消毒薬や家庭用の洗剤あたりでもすぐに失活する(病原性を失う)ので、しっかり洗って消毒すれば感染を防ぐのは難しいことではありません。

 

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<猫コロナウィルス感染から猫伝染性腹膜炎へ>

猫コロナウィルスに感染した多くの猫は症状がないか、または軽度の腸炎(症状は主に軽い下痢です)を示すくらいですが、この中の一部の猫は猫伝染性腹膜炎を発症します。9頭のうち1頭くらい(12%程度)が猫伝染性腹膜炎を発症するだろうと言われています。

猫コロナウィルス感染症が猫伝染性腹膜炎へと変わることの要因は、一つにはウィルス側の問題、もう一つは猫側の問題です。

ウィルス側の問題というのは、感染したウィルスが遺伝子変異することです。コロナウィルスは突然変異を起こしやすいウィルスです。突然変異により、低病原性の猫コロナウィルスから高病原性の伝染性腹膜炎ウィルスに変異します。ウィルスの突然変異を誘発する因子が何なのかは不明です。

猫側の問題として、「集団飼育で強いストレスがかかった猫」や「猫免疫不全ウィルスや猫白血病ウィルスなどのウィルスに感染した猫」に伝染性腹膜炎が認められていることから、ストレスや別のウィルス感染が引き金になっていることが考えられます。ストレス要因としては「新しい環境への入居」(新たな飼育環境:譲渡やペットホテルなども含まれます)、「引っ越し」、「手術」(避妊や去勢)などがあります。

 

猫伝染性腹膜炎はこのような

    強毒の猫伝染性腹膜炎ウィルス(FIPV)が猫の体内で生まれること、

に次いで

    猫に免疫系の異常が生じること、

が重なって発症することになります。

突然変異ウィルスに対して猫が免疫亢進状態になるのはどうしてなのか、その理由は分かっていませんが、アレルギー状態の亢進が起こります。

猫伝染性腹膜炎にはウェットタイプとドライタイプがあることが知られていますが、同じウィルスの感染症で症状の様式が異なるのは、猫の免疫系のうちどの系統が強く出たのかによるものです。少々専門的な話になりますが、猫の免疫のうち、主にBリンパ球が強く働くと免疫複合体が形成されてⅢ型アレルギーが引き起こされ血管炎がおこり、胸水や腹水を主症状とするいわゆる「Wet type」の猫伝染性腹膜炎を発症します。一方、主にTリンパ球が活性化されて細胞免疫の異常が起こると、Ⅳ型アレルギーになり、肉芽腫性の病変が腎臓やリンパ節につくられ、いわゆる「Dry type」の猫伝染性腹膜炎を発症します。

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<猫伝染性腹膜炎の不思議>

一般的な話ですが、ウィルス感染をおこすと体内にウィルスと闘う抗体がつくられます。抗体は抗原であるウィルスをとらえて結合し、ウィルスが働けないようにします。これが免疫力です。自然感染による能動免疫というのは、自分自身が作り出した免疫力で病気と闘い、打ち勝つ力を持ちます。

ところが猫伝染性腹膜炎の場合は免疫力があることが身体にマイナスに働きます。不思議なところですが、猫伝染性腹膜炎では、抗体があるとマクロファージ(細胞の名前です。この細胞を好んで感染していきます。)の中で抗体が外れてウィルス増殖が始まるので、逆に感染が強まってしまうのです。(専門的には抗体介在性増強といいます。)猫コロナウィルス抗体陽性の猫では、抗体介在性増強により猫伝染性腹膜炎ウィルスが爆発的に増殖し、発症は早まり、また症状も悪化していきます。

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今日のお話はここまでで、次回に続けます。

猫伝染性腹膜炎はいろいろと分かっていない部分が多く存在します。それはそのまま、診断の難しさや、治療法が確立できないことにつながっていて、完治させることができない病気になっています。

次回は猫伝染性腹膜炎を疑うときの猫の様子、確定診断へのみちのりについて、そして次々回は治療のことなどをお話しする予定です。

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猫汎白血球減少症 2

 猫汎白血球減少症のお話の続きです。

 

<密度の濃い治療を行います>

感染した猫はすぐに命を救うための治療が必要になります。

嘔吐や下痢によって多くの水分が失われるため、脱水はこの病気の主症状で、なおかつ命を危険にさらす可能性があります。すぐに解消しなければいけません。脱水は「水」と「電解質」の欠乏です。バランスのとれた補液を行い、体液を回復させます。

腸内細菌による日和見感染から体を守るために抗菌薬を使用します。

そして抗ウィルス作用や、免疫を強める作用を期待して、猫インターフェロンを使います。

白血球を増やす作用のある特殊な薬を使うこともできます。

白血球減少に続いて、血小板の減少や赤血球の減少(貧血)を起こすことがあります。それぞれに応じた治療を行います。

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<手厚いサポートは生死を分けることができます>

危険な状態から回復するまで、猫には安静が必要です。賑やかな場所から離れ、暖かく静かに休養できる場所を提供してください。もし猫に苦手な子供がいるとしたら、彼らから遠ざけてやると、安全でゆっくり静養できる環境になります。これは他の猫から隔離することでもあります。感染を拡大させないために必要な処置です。

家庭で看護するときに必要なことはほかにもあります。猫トイレと猫用の寝床の近くにきっちり蓋のできるゴミ箱を用意してください。ウィルスに汚染された簡易手袋や使い捨てのペーパーなどをその場で処分することができます。世話をする人がウィルスを遠くに持ち出すのも避けることができます。

十分に愛情をかけてやることは特に大切です。猫に快適な環境を提供することと同じくらい大切です。けれど、厳重な衛生管理を行わないとウィルスを残したり、遠くへ運んだりすることになってしまいます。看護する場合も必要以上の身体的な接触を避け、感染猫に触れた後は特に清潔にし、もし同居猫がいる場合はほかの猫に感染を広めないように十分注意してください。

子猫を除いて、ウィルス感染から回復の兆しを見るのはほんの数日のことです。その少しの間だけ、頻繁に病院に通ってもらうことや、密なケアをお願いします。

猫が免疫系統に異常を持たない場合は、生涯免疫を獲得することができるといわれています。また病後、猫がこのウィルスに対するキャリアー(保菌者、ずっと体内にウィルスを持ち続けて、何かの折にウィルスを排泄して感染源となる)ことはありません。

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<残念な結果になることもあります>

多くは体力の無い子猫に起こることですが、急な病気の進行により亡くなることもあります。子猫の致死率は非常に高く、90%以上になることもあります。

パルボウィルス感染症は、嘔吐や下痢を主症状にする消化器系の疾患ですが、子犬のパルボウィルス感染症に見られるような急性の心筋炎のパターンをとることもあります。朝、様子がおかしいと思いつつも仕事に出かけ、仕事が終わって帰宅したらすでに冷たくなっていたというような甚急性の経過をとる子猫もまれではありません。

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<リスクの高い猫>

この病気に対するハイリスクな猫は、

    野猫の集団の中で生まれた子猫(栄養不良から免疫が弱くなっていることが多いです)

    シェルターに保護された子猫

    生後2ヶ月から6ヶ月くらいの子猫(親譲りの免疫が切れた頃です)

    妊娠中の母猫(免疫状態が薄くなっています)

    猫免疫不全ウィルスに感染している猫

    屋外に出ていく猫(ほかの猫と接触する可能性が高いです)

です。ウィルスが多量にある環境内に、これらの猫が入り込んだ場合は絶望的になります。

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<ウィルスを広めないために>

消毒は最も大切なことです。家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)の薄め液が有効です。

糞便や吐物など、排泄物に汚染された猫のトイレや食器、寝具、おもちゃの類はしっかり消毒されなければいけません。ケージに入れたときに柵が汚染を受けたときも、消毒液にしっかり浸漬する必要があります。通院用のキャリーも同じです。しっかり消毒を繰り返してもすべてのウィルスの痕跡をなくすことはなかなか難しいことがあります。

間違いなくウィルスを根絶するために最良な方法はすべてを廃棄処分することです。残された汚染物に、感染猫は反応することはありませんが、ウィルスの痕跡が残るとほかの猫が感染する可能性は十分あります。

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<予防手段はワクチンです>

猫汎白血球減少症は、猫に対するコアワクチン(中心的な、必ず接種しておきたいワクチン)の一つです。これは屋内飼育の猫だから接種しなくても大丈夫ということはなく、必ず定期的にワクチンを受ける必要があります。

子猫の時は89週齢時と12週齢時の2回接種が推奨されます。その後成猫になってからも1年ごとの追加接種が推奨されます。

感染状況が高いシェルターなどの施設に保護された子猫は16週齢時に3回目のワクチン接種をうけることが推奨されています。

猫汎白血球減少症単独のワクチンではなく、猫ウィルス性鼻気管炎(猫カリシウィルスと猫ヘルペスウィルス)を含めた3種混合ワクチンが一般に接種可能なワクチンです。弱毒生ワクチンと不活化ワクチンがあります。弱毒生ワクチンは、接種後、迅速な感染防御がはじまります。健康上問題の無い猫は、この弱毒生ワクチンの接種をおすすめします。

弱毒生ワクチンをおすすめしない猫もいます。お母さん猫の初乳(生まれてはじめの1週間くらいに分泌される免疫がいっぱい詰まった母乳です)を飲むことができなかった幼少の子猫は、早くからワクチン接種を必要としますが、こんな小さなか弱い猫は不活化ワクチンを接種されるべきですし、猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)の感染がわかっている猫も不活化ワクチンを使って予防されるべきです。

正しいワクチン接種でかわいい猫を病気から守りましょう。

 

 

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猫汎白血球減少症

 猫汎白血球減少症についてお話しします。

この秋、体の動揺の止まらない子猫の診察をする機会がありました。さらに冬になり、白血球をカウントできない子猫たち、それも近隣出身ではない子猫を数頭、続けて診察することになりました。頭のどこかで、「パンロイコは昔の病気、今はワクチンをみなさん接種してくれるようになって診ることもなくなった」と思っていたのですが、「まさかのパンロイコ」は今なお健在で子猫を中心に暴れまくっているのでした。

ほとんど説明する機会も無くなってきた汎白血球減少症ですが、まとめてみました。長くなってしまったので、今日と来週の2回に分けて掲載することにします。

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<汎白血球減少症>

この病気は「猫ジステンパー」とも呼ばれ、非常に伝染力が強く、感染すると命に関わる恐ろしい病気です。「猫ジステンパー」とも呼ばれますが、「犬ジステンパー」とは全く違う病気です。病気は「猫パルボウィルス」に感染して発症する感染症で「猫パルボウィルス感染症」と呼ばれることもあります。「pan leucopenia」すなわち「pan=汎=すべての」+「leuco=白血球」+「penia=欠乏症」という言い方が、この病気の特徴をよく表しているので、私は主に「汎白血球減少症」と呼んでいます。このあともこの名称で綴っていきます。

 

<ウィルスの特徴>

パルボウィルスは直径20~22ナノメートル(1ナノメートルは1mmの100万分の1)というきわめて小さなウィルスです。正20面体対称立体をしています。パルボウィルスは様々な動物を宿主とします。元々はミンクの腸炎でこのウィルスが確認されています。さらに猫だけでなく、アライグマや犬に感染を起こすパルボウィルスも確認されています。ことに犬のパルボウィルスは1978年にアメリカで発症するとわずか1年あまりの間に全世界に広まってしまいました。人でも「伝染性紅斑」の原因となっているのがパルボウィルスです。

パルボウィルスは感染猫の体外(乾いていて、体温よりも低い気温で、栄養の供給されないような環境の中)でも、最長1年くらいは生存が可能です。つまりとても生命力が強いです。そして小さくて軽いため、何かに付着したり、また離れて空中を舞うことができます。

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<感染経路がはっきりしている場合ばかりではない>

そのようなわけで、何が感染源(ウィルスが付着しているもの)なのか特定ができないことがほとんどです。

猫から猫への接触だけでなく、何かを介してウィルスが運ばれて感染が成立してしまうという、目に見えない恐ろしさがあります。

もし同じ家の中で発症した猫がいれば、感染猫が使用していた食器やトイレのほか、世話をしている人の手指からも感染の機会があります。それも、数ヶ月とか1年近く経過した後でも、適切な消毒薬でウィルスを殺すことができなかった場合はウィルスが環境中に残っているので、ウィルスが付着していた換気扇やエアコンフィルターから風に乗って舞い落ちることもあります。

また、もしかすると屋外の感染猫の排泄物を踏んだことから靴を介してわたしたちが自宅にウィルスを持ち帰ることもあります。

(屋内でだけ過ごす猫にも汎白血球減少症の予防をするワクチンを定期的に接種するようにおすすめするのはこのような理由からです。)

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<ウィルスはどのように猫を攻撃するのか>

パルボウィルスは体内のさかんに細胞分裂が行われている部位を好みます。その結果、栄養を吸収する細胞を作る腸の上皮細胞、血液細胞を作り出す骨髄中の細胞、そして妊娠中のお母さん猫の子宮内の胎児の細胞が最も攻撃を受けることになります。

腸管の細胞が壊されると、猫は水分や栄養分の吸収ができなくなります。激しい脱水と衰弱が起こります。粘膜がはがれ落ちると腸内細菌が腸に分布している血管を介して体内に入り菌血症を起こします。

骨髄内で白血球が攻撃を受けると血中の白血球数が極端に少なくなります。白血球は細菌を食べて殺していく仕事をするもの、免疫を高めて病原体から体を守る仕事をするものなどありますが、すべての種類の白血球が無くなるために病原体から身を守ることができなくなります。

感染源からのバリアーになるはずだった白血球の喪失で、リンパ球の駐在所であるリンパ節はウィルスに乗っ取られてしまうと(リンパ系への侵入)、猫の免疫力は瞬く間に無くなっていきます。ウィルスからも、体内にいた常在細菌からも簡単にやられてしまいます。

妊娠初期の段階で感染した母猫は流産を起こします。妊娠後期の感染になると、早産を起こします。胎盤もまた盛んに細胞が作られている組織です。また胎児である子猫は主に小脳を侵されます。小脳は運動やバランスの調整を行う組織です。小脳の形成不全を伴って生まれてきた子猫は、不安定な歩き方をしたり、集中しているときでさえも静止できず体を揺らします。成長するに従い、こうした揺れは軽くなりますが、すっかり正常に戻ることはありません。

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<感染した猫の様子は>

・急な発熱や嘔吐、元気消失から病気は始まります。

・あまりにも免疫力の無い子猫はそのまま亡くなってしまうこともあります。

・食事に対する関心も失せ、おとなしくうなだれます。

・1日か2日くらい、姿を見せない猫がいるかもしれません。

・じっと隠れて体調が悪いのをしのいでいます。

・水を飲みたそうに水食器の前で頭を下に傾けている姿を見るかもしれません。

・激しい嘔吐が続きます。

・血にまみれた下痢です。

・トマトジュースのような鮮血の赤い水様便を噴射します。

・とろっとした粘液が混じった便だったりもします。

・非常に血生臭い便、悪臭です。

・日常好んでリラックスしている場所にいないかもしれません。

・妊娠初期のお母さん猫は流産や早産をおこすことがあります。

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<病院へ急ぎましょう>

みるみるうちに状態は悪化していきます。

病院では、

    屋内で暮らしているのか、屋外にも出るのか。

    最近ほかの猫が新しくメンバーに加わっていないか。

    いつごろどんなワクチンを接種したかのか。

などを年齢や性別などのプロフィールと一緒に伺います。

それから

    おうちでどのような状態だったのか。

    どんなふうに病気が経過してきているのか。

を伺います。

そして、ほかの病気も視野に入れながら血液検査や糞便検査を行います。

血まみれの便は特徴的な症状ですが、病気の経過途中ではまだ現れないこともありますし、ほかの病気でも同じ症状を出しますので、区別が必要になります。

決め手になるのは、血球検査で、白血球数が極端に少ないことです。普通、血球数のカウントは機械にさせますが、特別な場合は、血液を薄くのばして染色し顕微鏡下で視覚的に観察することがあります。機械の数値に間違いが無いかを確認する作業です。機械と、人による作業とのダブルチェックを行います。

血球検査で疑問が残るような場合、もう一つの確認として糞便を材料にしてウィルスチェックをすることもあります。犬用のパルボウィルスキットを使います。100%の信頼度があるわけではありませんが、参考にはなります。最近ワクチンを接種したばかりというような場合は擬陽性の結果に出ることがあります。ワクチン接種後間もない場合は、まだ免疫が作られておらず、ワクチン株ではない強いウィルスに感染してしまうこともあります。


今日のお話はここまでです。
治療について、予防については次回お話しすることにします。

 

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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