マーキングの多い犬の散歩、高齢犬の散歩

 犬のお散歩についてのお話、6回目です。

 

飼い主さんから見て「困った」行動では無いかもしれないけれど、傍目に好いものでは無いなと思われるお散歩行動として「マーキングの頻度が高いこと」があげられます。マーキングをうまくコントロールするにはどうしたらよいでしょうか。

それからすこし文に空きができると思いますので、高齢犬の散歩についてお話しします。

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3、マーキング頻度の高い犬

オス犬は散歩の途中でマーキング(においづけ)行動を行います。これは自分の縄張りを主張する行為なので、支配欲の強い犬はスポットごとにマーキングすることになります。

電柱やよその家の塀のかどや、玄関口、駐車している車のタイヤ、地面のシミ、植え込みなどはどこもマーキングスポットです。しかしこのような場所にオシッコをかけるのは大変失礼なことで、これを犬に許しているとしつけのできない恥ずかしい飼い主さんになってしまいます。周囲の方の反感を買うことにもなるでしょう。

すでに癖になってしまったマーキングはなんとかやめさせなければいけません。

 

<マーキングの対処法>

マーキングもまず「ニオイかぎ」をしてから始めるので、「ニオイかぎ」そやすそうな場所を犬より先に飼い主が気づき、そこを避けて通るようにします。また「ニオイかぎ」ができないようにリードを短く持つことも大切です。「ニオイかぎ」スポットを通過するときに、犬の名前を呼んで飼い主に注目させ、アイコンタクトをとって、おやつを与えるのがスマートな方法です。

とにかく、立ち止まらずに歩き去ることが有効です。このようなときに「ゴー」という命令で歩けるようにしつけておくと、恥ずかしい思いをしなくてすみます。それから犬を排泄してもよいところ、つまり水で尿を流せるところまで連れて行き、「シーシー」という排泄許可の声をかけながらオシッコをうながします。このときに尿を流すための水を入れたペットボトルが登場するわけです。水でオシッコを流すのは、臭いを取り、次に来る犬もここをスポットとしないようにするためです。

なお、縄張り意識に基づいたこの行動は、去勢手術をすることで抑えることもできます。うまく直せない場合はご相談ください。

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<理想的な排泄のしつけ>

もっともおすすめなのは、家庭内で排泄をする訓練をすることです。

室内犬であれば、ペットシーツを庭先に置いてもよいでしょう。おそらく子犬のときは屋内でペットシーツを使って、初めてのしつけが「トイレトレーニング」だったはずです。犬は足裏で排泄しても良い場所を覚えるものですから、そのまま、ペットシーツとともに、排泄場所を屋外に誘導していくだけですみます。これは運動器疾患などで、動物が運動できなくなったときでも、また歳をとって思うように歩けなくなったときにも、近くに排泄できる場所があると安心です。

屋外飼育の犬の場合は、敷地内の水で流せる場所を排泄の場所としてしつけるといいと思います。

排泄を飼い主の管理下におくことは、異常の発見が早くなり、健康管理上たいへん好ましいことです。

 

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4、高齢犬の散歩

高齢犬の散歩でご質問が多いのは「歳をとったからあまり歩かないし、いつ頃からなら1日1回にしてもいいでしょうか」というものです。一般的に理想だと考えられているのは朝と夕の2回の散歩で、もしそれが時間的に無理ならば夕方1回散歩に出かければよいと考えられている方が多いです。

 

子犬期や成犬時の散歩が

     「気分転換」

     「運動」

     「社会化させる」

といったことを目的としていたのと異なり、高齢犬の散歩は

     「運動で足腰のリハビリテーションをする」や

     「刺激を与え認知症を予防する」、

     「昼の運動で夜寝かせる」

などを主な目的にしています。

 

この目的に合うような散歩を実施するとなると、高齢犬の散歩は

・「1日に数回」、

・「身体の負担をかけないように短時間で」、

・「昼の間に頻繁に」、

・「段差の無い平らなところを」、

・「無理せずゆっくりと」

・「とにかく自力で歩いてもらう」

ようにお願いしたいです。関節炎などを患ってくると、動きたがらない犬も出てきます。こうした場合は鎮痛薬やサプリメントで治療しながら、また運動補助のできるサポーターを使用しつつも、できるだけ理想に近い散歩を実施するようお願いします。

このような犬の散歩についても個別にご相談賜ります。

 

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拾い食いをしてしまう犬の散歩

お散歩についてのお話5回目。困った行動をとる犬のお散歩についてです。

お散歩をしていて犬の行動に困ったことがある方がいらっしゃると思います。飼い主さんの「困った体験」のうち、多いのは「拾い食いをする(しそうな)こと」です。下ばかり向いてクンクンしながら歩くのも拾い食いにつながります。今回はこんな犬のお散歩に対処する方法についてお話しします。

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§3 困った行動をとる犬のためのお散歩講座

1、下ばかり向いて歩く犬

「ニオイかぎ」をしながら散歩を続ける、あるいは周りの興味あるものだけを見て散歩する犬がいます。好奇心が旺盛で、陽気な性格の犬に多いタイプです。周りに気をとられていて、自分の思うまま、飼い主を無視して先に進もうとします。

下向き行動を続けると、何か気に入ったものを見つけたときに「ニオイかぎ」をし、最後は口にものを入れるようになります。これが拾い食いです。

拾い食いは犬の健康に良くない行為ですので、絶対にやめさせなければいけません。

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<飲み込む犬の心理>

犬の方が地面に近いところを歩いているし、嗅覚も優れているので、飼い主が気づいたときにはすでに怪しい何かを口に含んでいることが多く、あわてて取り上げようとすると飼主をかむというのはよくあるパターンです。はじめはうまく取り出せても「いいものを見つけたら素早く飲み込まないと飼主にとられてしまう」というふうに犬が学習すると、何かいいものは無いかと必死で探し見つけ出したらとられる前に食べてしまおうという思いが先立ちます。それで食べ物のにおいのついた袋でも、食べられるかどうかを見極める前に飲み込んでしまうのです。

この「探す」→「見つける」→「すぐに飲み込む」の習慣がどんどん強化されていくと悪循環になってしまいます。

 

<ニオイかぎ歩きの対処法>

下ばかり向いて歩いている犬には、地面や周囲よりも飼主に注意を向けて歩くようにしつけます。飼主は犬に合わせて歩くのをやめ、一旦止まって、先に進もうとする犬の注意を自分の法へ引き寄せます。リードも一緒に引いて逆方向に半回転し、散歩で出会う目標物を一時視界から逃すのも良いでしょう。

このようなときこそ、飼主と犬の「アイコンタクト」が大切になってきます。目を合わせて飼い主に注意が向いたら、ほめてやります。おやつをやるのも補助になります。こうして犬が静止し、落ち着くのを待ってからまた歩き始めます。

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<拾い食い行動の対処法>

拾い食いもニオイかぎから始まります。ニオイかぎ行動をコントロールできれば拾い食いも防ぐことができます。対処方法も基本は同じです。

飼い主が拾い食いしそうな目標物に先に気づき、食べそうなものがあればリードを短く持ち直し(左手をたぐってリードの長さを変化させ)ます。怪しいものから避けて通ることが一番の拾い食い予防法です。近づきそうな場合は、名前を呼んで注意をそらせ、アイコンタクトがとれたらしっかりほめます。

散歩の途中で何か起こっても、飼い主に注意をそらすことができれば安心です。

 

<クールダウンさせる>

お散歩が大好きな犬は、外に出るのをとても楽しみにしています。ハイテンションになって走り出したり、自分の思うように走り回ったりしてしまい、興奮のあまり周りがみえなくなっています。

このような場合、犬を静かに落ち着かせる(クールダウンさせる)ことは散歩らしい散歩をする上で重要になってきます。しっかりクールダウンさせるためには普段から「すわれ」「まて」のトレーニングをしておくことです。自転車や他の犬とすれ違うとき、交差点で信号待ちしているときなど、周りの状況を読み取ることができていないと危険です。いざというときに急な飛び出しを防ぐにはこのポイントで「まて」の命令を聴くことができれば、安心して散歩を楽しむことができます。

飼い主さんも犬の調子に振り回されることがなくなり、落ち着いて出かけられることでしょう。

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<誤食を防ぐしつけ>

犬は食べられないいろいろなものを食べてしまいます。食べ物のにおいがついた食品包装材やおしぼり、およそ食べ物とは関係の無いおもちゃや軍手、靴下などでも遊びがエスカレートして飲み込んでしまうことがあります。誤食は屋内でも屋外でも起こる事件です。日頃から食卓の下に出入りさせないことや、こぼしたものを犬が食べるのを黙認しないことはとても大切ですが、家の中の片付けをしても完璧にやりきるのは難しいです。犬を監視できないときにはケージの中に入れるようにする習慣を付ける(クレートトレーニング)と、「拾い癖」がある犬との生活でも、平和な時間を作ることができます。

それから、「ちょうだい」「離せ」の訓練も大切です。くわえたおもちゃを「ちょうだい」とか「離せ」の命令で取り上げ、できたらほめておやつをあげるというトレーニングです。「おもちゃを取り上げられ」ても、→「飼い主に渡す」と→「ご褒美がもらえる」と学習することで、ものに対する執着心を押さえることができます。万が一困ったものを口にしても、飲み込む前に取り出すことができます。

 

<おなかがすいていてはだめ>

きわめて基本的なことですが、食事量が足りていないと、いつでも食べ物を探す行為をします。拾い食いや誤食が著しい場合は、栄養面や胃腸障害、代謝疾患が無いかどうか診察を受けられることもおすすめします。

食べっぷりがいいことを元気の印だと思っていたら、栄養状態が思わしくなく、おなかがすいているのでがつがつ食べているということはよくあることです。特に冬は寒さから身を守るためにエネルギー消費が増します。秋の頃よりもたくさん与えてください。

現在のボディコンディションがわからないときは診察にお越しください。

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2、草をたべてしまう犬

散歩中に道ばたの草を食べる犬がいます。

「草を食べるのですが、大丈夫でしょうか」とか「草を食べて嘔吐しますが、問題はありませんか」というご質問をお受けします。

犬が草を食べて、それを吐くことは珍しいことではありません。犬には胃がむかむかしたときに草を食べてその刺激で胃の内容物を吐き出そうとする習性があり、これは生理的な行動です。

しかし自宅の敷地以外の沿道や草むらであれば、除草剤などが噴霧されている可能性もあり、行為そのものには心配が無くても、草に問題があるかもしれません。犬が草を食べるのを黙認するのはおすすめできません。

 

<草むらに行くのをやめさせる>

草むらに入っていこうとするのは、犬が散歩の主導権をとっていることになります。好ましくないところに進んでいくときには、「下向き歩き」の場合と同じように、犬の関心を飼い主にそらせ、飼い主の思う方向に歩かせるようにしましょう。

 

<草を食べたがるのは病気のサイン>

消化器系の働きがうまくいっていないときに、草を食べようとする行為が盛んになることがあります。(習慣になっていることもあります。)注意深く観察し、続くようであれば診察にいらしてください。

また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている犬にとって、雑草の花粉は好ましいものではありません。散歩のときには犬が草むらに入り込まないように、うまくリードしてください。

 

 

今日のお話はここまでです。

次回6回目は、マーキングと排泄のお話をします。 

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散歩の場所、持ち物、健康観察

前回はお散歩の質と量、そして時間に関することについてお話ししました。
今回はお散歩についてのお話の4回目。
お散歩の場所、お散歩のときの持ち物、健康観察についてお話しします。

3、お散歩の場所

散歩のコースをどこにしようか、時に悩まれることがあるかもしれません。ほんの少し、ヒントをお伝えします。

 

<散歩コースはいくつか用意する>

毎日同じところを回るのも良いのですが、ときに気分が変わるように2つから3つくらい散歩コースを考えておかれると良いと思います。犬が勝手にいつもの道を進んでいくのではなく、散歩の主導権を握るのはこちらであることをアピールすることもできます。

 

<事前のチェックで安全な道を>

危険なところは無いか、あらかじめチェックしてからお散歩コースを決めてください。愛犬の散歩は楽しいものであり、恐怖を覚えさせてはいけません。万が一の事故を未然に防ぐためにも安全なコースを選びましょう。

 

<散歩コースの障害>

町中ではほとんどの道路はアスファルト舗装され、土の上を歩ける機会は無くなったように思います。コンクリート製や金属製の板が敷かれているところを通ったりまたいだりする必要もあるかもしれません。これらのところは、夏に大変熱くなっているので、こうしたところが無い道を選ぶように配慮するのも散歩コースを決める上での注意点になります。

また、排水路の蓋の上や、工事用のマットなど、犬が歩くのを極端に嫌う場所があるようです。足の裏に感じる感触や見た目で怖いと判断するようで、そこだけ避けて通るという「不得意な場所」があるのは事実です。いやがる場所を無理に歩かせようとせず、別の道を選んでください。

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<郊外の散歩>

郊外を散歩する場合、どの犬も大好きなのは草の生えているところです。しかし、アレルギー体質の犬にはおすすめではありません。草むらにはアレルゲンが多く、ここに入り込むと皮膚のかゆみが悪化し、目がしょぼしょぼして涙が出てくることがあります。

 

<住宅街の散歩>

住宅街を歩くとき、通り道の家に必ず吠えてくる犬がいるとか、敷地内で放し飼いになっている大型犬がいるような場合があるかもしれません。塀からひょいっと顔を出され吠えられると、犬は恐怖で足がすくんでしまうかもしれません。このような道も散歩コースにはふさわしくありません。

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<犬種によって注意する道>

坂道や階段状になっている場所での運動が不向きな犬がいます。股関節や膝蓋骨がもともと不安定な犬、腰に負担がかかりやすいダックスやコーギーなどには高低差のある場所は好ましくありません。また高齢になった犬でも平坦な道を選ぶようにしてください。

 

<家から道まで>

家から出るときも注意は必要です。玄関から思い切りジャンプで飛び降りなければいけないほどの段差がある場合、道路までの庭先の足元が大人仕様の飛び石になっているような場合、犬が危なっかしく飛び跳ねないといけないような場合は、道路まで抱っこで出かけるくらいの注意は必要です。

 

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4、散歩の時の持ち物

犬の引っ張りがうまく制御できないので軍手が必需品だという飼い主さんもいらっしゃいます。ご自身の手を守るために必要です。

両手が自由に使えるように肩掛けポーチやウエストポーチも重宝します。

そしてポーチの中に入れるものはというと、ティッシュペーパーやビニール袋、ときにスコップです。ここまではごく普通に皆さんがご用意して出かけられるかと思います。さらに水の入ったペットボトルも用意していただけるといいと思います。

訓練途中の犬には、ドライフードや小さく砕いたクッキーなどのおやつも必要かもしれません。注目させるための(音の出る)おもちゃやクリッカーなども重宝します。

 

<排泄の後片付け>

散歩の時に犬のリードだけをつかんで出かける飼い主さんは、今ではすっかりいなくなりました。みなさん、犬が便をしたときに片付けるためのビニール袋や拭き取り用の紙をもって出かけてくださいます。さらにスコップなどを用意してくださる方もいます。公道で犬が排便をした後の片付けは飼い主さんのエチケットとして、とても普及したと思います。なお、排便の処理は袋に入れて家に持ち帰り生ゴミとして処分して完了です。袋に入れて公園に設置されているゴミ箱に捨てるとか、道の角に寄せておくのでは片付けたことにはなりません。最後まできちんとしましょう。

さらにもう一つお願いしたいのは、排尿をしてしまったときに尿を流す水を入れておくペットボトルです。都市部では当たり前になっている排尿の片付けも、田舎ではまだ普及していません。当院の周辺でも、都市部の飼い主さん並みに尿のことまで心配りしていただけると犬を飼う人のマナーレベルはかなり高いものになると思っています。

もちろん、散歩の目的は「気分転換のため」「運動のため」「社会化のため」であって、「排泄をさせるため」ではありません。ですから散歩前に家庭で排泄を済ませ、散歩中はスマートに運動できれば、これらのマナー用具は何かあったときのために持ち歩くことになります。

世の中は犬が大好きな人ばかりではありません。犬が嫌いな人もいらっしゃいます。「散歩途中に犬がおしっこをした」(これって当たり前だよね)と思っている事象が、犬嫌いの方には「公道で犬が排尿している」(のを許し、そのまま片付けないで)立ち去った」というふうに映っていることをご理解ください。

泉佐野市のように、市が環境美化推進条例をつくり、犬のふんを放置した飼い主さんに過料を徴収(現在は1万円)している地区もあります。池田市では犬の尿により腐食したと思われる街灯が倒れて女の子が大けがをするという事故も発生しました。ますます、犬の飼い主さんのマナー向上が望まれるところです。

 

5、健康観察

それにしても、散歩そのものが排泄行為になってしまっている犬はまだいます。その場合は片付けることに加え、健康観察も行ってください。屋内の至近距離で観察することと比べると、屋外ではやはり不十分な点も出てしまいますが、排便の様子、出にくくは無いか、何度もしゃがむことは無いか、などを見てください。排尿についても同じです。一回の排尿量はしっかりあるのか、尿の勢いはあるか、何度も排尿姿勢を繰り返すことは無いかなどの行動をチェックします。それから便そのものの観察です。形があるのか、崩れていないか、水分量はどうか、異物が混じっていないか、血がついていたりはしないかです。片付けをするときにつかむので観察しやすいと思います。尿については、よほど色が濃いとか、たまたま雪の降った翌朝でも無い限り、異常に気がつきにくいと思います。水を流す前に、吸水性の高い白い紙(ティッシュペーパーよりは厚みのあるキッチンペーパーの方が、判断がつきやすいと思います)をかぶせ、色調だけでも観察するようにしてください。

散歩中は排泄の観察以外にも、歩様やその他の健康観察も可能です。大きく体を揺らしたり、ケンケンしていると足の具合が悪いのがわかるでしょう。真っ直ぐ歩かせているはずなのに片方にずれたり、円を描くように回っていたり、頭をかしげて歩くこともあるかもしれません。歩いている途中でも立ち止まって、どこかを掻いていたり、頭を振ってみたり、気になるところがあるサインを出す場合があります。身体のどこかが膨らんでいるとか、毛並みが乱れている場所があるとかも見ていきます。犬とのふれあいが散歩時間だけになっている場合は、特にしっかりお願いします。


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お散歩の質と量

お散歩についてのお話、3回目です。

 

お散歩が大好きに育ってくれたわんこ、いろいろ要求してきますね。その要求すべてに答えて、わんこが十分満足できるお散歩を実行していますか。犬が欲する時間帯に、望むだけの時間を費やして、十分な運動量を実行するのはなかなか大変です。それで散歩の質と量について疑問が生まれてきます。本当はどのくらい散歩をしたらよいのでしょう。3回目と4回目は成犬になった犬の理想の散歩についてお話しします。
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§2 お散歩大好き犬のためのお散歩講座

たいていの犬は散歩を繰り返すうちに飼い主さんと出かける散歩が大好きになります。犬と一緒の散歩は、知らないうちに犬友達ができたりして、私たちも心身ともにリフレッシュできます。毎日の日課として、散歩時間を生活のパターン中に組み入れたいものです。

 

1、お散歩の質と量

<何分散歩をすれば良いですか?>

散歩に関する質問で最も多いのは「何分くらい散歩をするのがいいのか」という散歩の時間に関するものです。一般に散歩の量は時間をもとに考えられることが多いようです。しかし最適な散歩時間は、犬の品種や年齢、季節や外気温など様々な要素があり、一概に決めることはできません。さらに、ゆっくり歩くのかまたは速歩のようなものか、しっかり走るのか、散歩コースが平坦な場所なのかアップダウンのある場所かによって運動の質が変わってきます。犬のその日の体調なども考慮すると、おすすめの散歩を時間で表すことができません。

 

<評価の目安は犬の様子>

時間をもとに判断するのが難しいとなると、何をもとに判断すれば良いのでしょうか。目安になるのは、散歩から帰った後の犬の状態です。

疲れ切った様子であれば散歩の内容が重すぎるということです。これには時間が長すぎるのか走り込みすぎるのかということもあるでしょう。少なくなってはいますが、犬が猛スピードで走りたがるので飼い主さんがとても追いつかないので自転車(やバイク!)で引き運動をしていることがあります。散歩というよりは筋トレになっていますね。

一方、部屋に戻ってもまだ走り回るなど、元気が有り余っている様子が見られるようであれば、散歩が足りていないことが考えられます。

普通に歩く散歩だけでは満足できない種類や性格の犬がいます。こうした犬には散歩に加えて、全身を使う運動、たとえばフリスビーやボール遊びなどをするといいかもしれません。散歩の途中で広場に立ち寄り、「持って来い」遊びをするのもいいですし、小型の犬ならば家の中で夜のひとときを「持って来い」遊びに使うのもよいでしょう。日常的にこれらの時間を作るのができない場合は、週末にドッグランに出かけて普段の運動不足を補うのもおすすめです。ただし、成長途中の犬ではまだ関節がしっかりしていないため、激しすぎるジャンプ遊びは体がしっかりできあがってから行うようにしてください。

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<犬種別散歩量のおおまかな目安>

     超小型犬、小型犬

活発な種類では朝夕10分程度行います。

引っ込み思案な犬でも社会化のため週に数回は出かけましょう。

     中型犬

朝夕30分程度が基本です。

     大型犬

朝夕1時間程度の散歩がほしいところです。

途中でランニングを入れることが必要です。

 

<運動制限のある犬>

心臓病や関節疾患、骨折などで運動が好ましくない状況にある犬では、どのくらいの運動なら大丈夫なのか、個別にご相談を承ります。それぞれのおうちわんこに適したお散歩を決めていきましょう。

なお、ワクチン接種後しばらくは激しい運動はお休みしましょう。

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2、散歩の時間帯

散歩の時間帯というと、朝7時頃と夕方5時頃の決まった時間に出かけるのが理想的だと思っていませんか。実際この時間帯に外に出ると、犬の散歩をしている人にたくさん出会います。

 

<時間を決める?>

時間を決めて散歩に行く方法だと、散歩時刻に近づくと犬が散歩をせがんで吠えるようになります。規則正しい生活はとても良いことですが、こちらの都合によっては毎日同じ時刻に散歩に行けないことがあります。犬に我慢をさせなければならない状況があっても、犬は「要求吠え」を繰り返します。そして「吠える」「散歩に行く」がつながるため、犬は自分の行きたい時に吠えて要求するようになります。深夜でも早朝でも、嵐の日でも寒い日でも、「犬に鳴かれるとご近所迷惑になってしまうから」と、犬の要求に応えて散歩に行かなければならない結果になってしまいます。

そこで、散歩の時刻を決めないという方法もあることをお知らせしておきます。犬の散歩の時刻をはっきり決めないようにすると、「犬の散歩時間になった」という時間の縛りから飼い主さんが解放されます。飼い主さんの自由な時刻に出かけ、わざと犬に不意打ちをかけるようにします。「要求する」「出かけられる」の公式をくずし、犬からの請求を受け入れない体制をとることにします。

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<注意が必要な時間帯>

時間に関して気を配っていただきたいことがあります。

     季節によって変える。

季節によって散歩の時間帯を少しずらします。夏は朝早く、夕は遅くします。暑さから逃れるためです。同様に冬は朝遅く、夕は早くします。少しでも冷え込みのきつい時間を避けましょう。

     食事との関係。

食後に激しく運動をすると、心臓がばくばくして気分が悪くなり、食べたものを吐いてしまうことがあります。また胸の深い超大型犬種では、急性胃捻転といった救急疾患になってしまうことがあります。おなかがすいていると拾い食いをしてしまいそうで心配だという声を聞くことがありますが、散歩は食事の前に出かけてください。拾い食いをさせない散歩方法については、またの機会に(§3のところで)お話しします。

なお、糖尿病の犬でインスリン注射をしている場合、急な低血糖が起こることも懸念されますので、食事と散歩時刻にインスリン注射の時刻も考慮して個別に決定していきましょう。ご相談ください。

今日のお話はここまでです。次回に続きます。

    

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お散歩デビュー

 お散歩のお話2回目です

 

2、お散歩デビュー

いよいよお散歩デビューです。この時期の散歩の目的は犬を外の世界にならすことです。屋外の環境は犬にとって新たな世界の始まりです。しつけよりも犬が外の世界に抵抗なくなじめるようにすることが肝心です。

 

<はじめの一歩>

はじめの一歩はだっこからでも出かけられます。飼い主さんの優しい腕に抱かれていれば、多少の変化があっても安心ですし、急にパニックになることもありません。

こうして屋外の物音や広さ、明るさなどに慣れさせてください。

家族以外の人、帽子をかぶっている人やめがねをかけた人、制服を着ている人、元気な声を出す子供たちなどいろいろな存在を知ってもらいます。バイクや車の音など、とにかくすべてが初めての経験になります。

急ぎすぎないようにしてください。

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<臆病でうまく歩けない犬>

臆病でうまく歩けない犬がいます。とにかく無理をせず、犬に自由に動いてもらいましょう。ここを失敗すると「お外が嫌い」「お散歩を喜ばない」「うちの中が大好き」という内弁慶な犬を作ってしまいます。恐怖をうまく乗り越えられるように協力してやってください。散歩の途中におやつを持った家族の誰かに待ち伏せをしてもらい、そこまで行くとうれしいことがある、頑張って歩くと良いことがあるというのを覚えさせるのも良い方法です。犬と楽しく散歩ができるようにするにはこの時期に無理をせず、でも忍耐強く犬が動けるようになるのを待ちます。

あまりにも動かない犬を散歩に連れ出すのは犬への虐待になるのではないか、足がすくんで動けない犬に紐を付けて外に出しても犬のためにならないのではないかと感じられるかもしれません。超小型の犬では屋内を自由に走り回るだけで運動量は十分足りるはずだし、そもそも排泄は屋内のペットトイレで失敗無くできるから散歩はしなくてもいいと思い始めるのは、このようなときです。散歩の目的は「排泄のため」ではありません。「気分転換」と「運動」、そして何より「社会化させる」ことにあります。全く外に出ない犬は家族しか知らない視野の狭い犬に育ちます。外に出て家族以外の人や犬などを知り、仲良くできるように慣れさせていくのも散歩の大切な目的の一つになります。交通量の激しい道の歩道を歩くのも、ビュウビュウ自転車が走り抜けるのも怖いかもしれません。そこを抱っこで切り抜け、静かな公園まで行ってから腕から下ろすなどして、徐々に慣れさせてみてください。何度もチャレンジしているうちに少しずつ道を歩くのも大丈夫になっていきます。歩けるようになったら基本の形にはいっていきましょう。

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<元気で活発な犬>

初めて外に出るときの様子は犬によって違います。陽気で活発な犬は興味津々、すぐにダッシュしてあちこち走り回りたくなるかもしれません。

このタイプの犬は自由にさせるのではなく、散歩する人が犬の動きをコントロールする訓練を同時に始めた方が、上手な散歩への近道になります。とにかく走りたがるので、リードを持つ飼い主さんが主導し、犬の勝手な動きを制御するようにします。真っ直ぐ強く引いていくようであれば、わざと向きを変えたり止まったり、歩く速度を変更したりします。飼い主さんの動きに注目しないと首輪に強く力がかかり苦しいということを体で覚えてもらうのです。

このタイプの犬は興奮症ですから、興味の対象となるものを見つけると突っ走り、飛びつき、拾い食いをすることになります。散歩の時の困ったクセがつく前に飼い主さんが犬の動きを無視した動きをとることで、「散歩中は常に飼い主さんの行動に注目しなければならず、自分が勝手に動くことはできない」と学習させることができます。飼い主さんがわざと「止まる」「向きを変える」「動くスポードを変える」という動きをして犬をコントロールする方法は、散歩では無いように感じられるかもしれません。またこのように犬を訓練するのは面倒くさくてうんざりだと思うかもしれません。しかし犬との散歩はこれから10年以上続けることになります。どうか頑張ってマスターしてください。

それと同時に「交差点では」「立ち止まる」というように、状況に合わせて「こんな時には」「こうする」を覚えさせます。飼い主さんとのルールを決めるわけです。このようにすると、散歩中の事故を未然に防ぐことができます。

 

3、お散歩訓練

楽しい散歩にするために、歩き方のしつけは不可欠です。犬がリードを引っ張って猛スピードで走り、あとから飼い主さんが走ってついて行くという、これはよくある悪い散歩のパターンです。リードを引っ張られた状態で犬の行きたい方向に飼い主さんがついて行くと、飼い主さんが犬を制御しているつもりでも、犬は「自分が行きたい方向に走ると後から人が着いてくる」と勘違いしてしまいます。

飼い主さんが正しくリードを持ち、散歩の時の犬と人の位置関係を身につけ、勝手に歩かせない方法について覚えてもらうと、犬とのお散歩は楽しいものになります。特に人の動きに犬が合わせるように誘導するために、リードの張りには注意してください。

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<基本のかたち>

さて、犬と一緒に歩くときの基本の形があります。散歩の時の基本体形は犬が人の左側です。犬を自分の左足の側に着くように誘導してください。リードの輪っかに右手親指をくぐらせ、「ぐー」で持ちます。紐を少したるませて、犬の首までの長さの2/5から半分くらいの位置を左手で、「ぐー」にして持ちます。右手の手首をリードの中にくぐらせたり、余ったリードを右手の手首に巻き付けたりしないようにしてください。これは万が一犬が急発進しても、飼い主さんがそれに引きずられて転倒しないようにするためです。左手はスライドさせて、要所要所で紐が短くなるように持ちます。左手は紐の長さを調節する役目をします。

 

<散歩のしつけ>

散歩のしつけの目的は、飼い主さんの横で歩くのは楽しいことだと犬に教えてやることです。基本の歩き方をマスターしないと、勝手に走って行く犬、飼い主さんの足元をくるくる回る犬、何度もリードを足首から外さなくてはならない犬になります。最終的には「飼い主さんを意識しながら真っ直ぐ歩く」ことができるようにするのが散歩のしつけの目標です。

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<具体的な方法>

自由気ままに動き回る犬をこのような歩き方になるようにコントロールするには訓練が必要です。具体的には3つの命令があります。

     方向転換

犬が勝手に進んでいったら、飼い主さんは犬と逆方向に向きを変え進みます。

     呼び戻し

犬が飼い主さんを忘れて一人で走って行ったら、飼い主さんは止まります。

このときに「来い」と声がけします。

     注意喚起

犬の意識が飼い主さんからそれて無くなりそうになったら、飼い主さんは犬の名前を呼びます。

この3つの組み合わせで、正しい歩行の練習が始まります。散歩の時に犬が興味を示すおもちゃやおやつ(ドライフードでもかまいません)を見せながら歩いてみるのも、常に飼い主さんに意識を向けさせる一つの方法です。

 

<アイコンタクト>

おやつやおもちゃを見せるときは必ず「アイコンタクト」です。犬の目線の先に飼い主さんの顔が来るようにおもちゃやおやつを差し出します。左手で犬を制御し、右手の親指と人差し指でおもちゃを持って、飼い主さんの鼻のあたりに右手を持って行き、犬の顔をしっかり見つめれば「アイコンタクト」の姿勢がとれます。「アイコンタクト」はとても大切なしつけの基礎となるものです。常に意識して犬と目が合うようにしましょう。散歩前から「アイコンタクト」ができて、犬が「待て」の命令が聴けていると、散歩のしつけの段階になってもスムーズに訓練が進みます。

外に出ると、あっと驚くような瞬間も出てきます。呼ばれた名前に反応し、飼い主さんに注意が向けられ、「待て」で犬の動きの制御が可能になっていると、いざというときに犬の命も守ってくれます。お散歩前にうまくできなかったとしても、家の中で繰り返し名前を呼んで「アイコンタクト」ができるようにしておきましょう。そして「待て」「来い」の服従訓練の練習も繰り返ししておきましょう。できたらうんと褒めてやることもお忘れ無く。

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子犬の時のお散歩についてのお話はここまでです。次回からは

「§2 お散歩大好き犬のためのお散歩講座」です。

 

 

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ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
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オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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