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長いお休みの僕たちへ

 コロナウイルス感染症で、連日家に居ることになった子どもたち、ギャングエイジの暴れん坊さんでなくても、ストレスが溜まってきているでしょう。大人もイライラしているかもしれません。お家の中でバタバタしているとお隣さんもイラッときています。猫とまったり過ごしている熟年家庭で、お孫さんを預かることになったご家庭では一番の被害者は猫さんです。実は、普段そんなに長い時間住居空間を共有することがなかった一部の猫たちにはストレスが表面化してきています。

 

<ゴジラの乱入>

映画で、ビルが立ち並ぶところに突如ゴジラが現れてビルを踏みつけていくシーンがありますが、子どもたちの乱入というのは、猫にとって生活圏があんな風に荒らされているように想像しています。本来、猫はルーティーンな生活がかき乱されるのが大嫌いで、日常の変化はストレスにつながります。なにせ「寝子」という名前が付いているくらい猫は静かに眠る時間が大切な動物です。本来は攻撃的ではない猫も、逃げ道を塞がれれば防御行動として反撃に出ます。それまで、マイルームは穏やかな世界でした。自分を中心に縄張りができていたのです。子どもたちはその縄張りエリアにずかずか入ってきたゴジラです。

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<ストレスを受けると>

猫にストレスがかかると心も体も調子が悪くなります。身体の不調は病気を発症することになりますし、心の病は問題行動となって出てきます。

「猫は病気を隠す名人」といわれています。野生では、病気であることがわかってしまうと捕食者から標的にされてしまうからです。そのためなかなか気づかれない、また気がついたときは「軽症ではない」段階になっていることが多いです。

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<ストレスから来る身体の不調>

ストレスを受けた猫の徴候は、いろいろです。

・下痢になる、嘔吐する、食欲が減退するなどの消化器症状が出ます。やたら食べるということもあります。

・頻尿、血尿などの泌尿器症状が出る猫もいます。トイレ以外のところで排泄してしまう、排尿痛のために鳴き声をあげる、スプレー行為が頻繁になるということもあります。

・被毛の毛切れ、一部分の地肌が他の部分よりもはっきり見える(脱毛とは違うのだけれどそのように見える)のは過剰なグルーミング行為の結果です。

・鼻水や涙が増すようなヘルペスウイルス感染が疑われるのが、免疫力低下の結果ということもあります。

・慢性疾患があるときは症状の悪化が見られます。 

<我慢をしている猫>

我慢をしている猫は無気力で、家族から遠のいています。または隠れていて、姿を現さない、家庭内引きこもりになっていることがあります。家族との交流がありません。そしていつもより眠っている時間が長く、一緒に遊ばなくなっています。このようにストレスが行動抑制につながるタイプの猫では、物静かになっているためにわかりにくいかもしれません。

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<怒っているように感じられる行動>

逆に反動としての行動が強く出る猫もいます。その場合、家具などへのスクラッチングが増えることがわかりやすい行動のひとつです。突然の音や動きに警戒し、ジャンプで反応します。尻尾をパタンパタン床にたたきつけていたりします。いかにもピリピリと緊張状態が強い様子です。そのほか、じっと行動観察をすると次のような様子が見えてきます。

・耳が頭の後ろの方に向けられていることが多い。耳を平らにしています。

・瞳孔がいつも広がっている。暗いところではないのに黒目が丸く大きくなっています。

・表情が固定されたまま。「怒っている」ように見えます。

・じっと座っていることが多い。頻繁に頭を振るような様子が見られることもあります。

・背中の皮膚が波打ち、小刻みに動く。

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<ゴジラ君を教育しましょう>

ゴジラ君に、正しい猫の接し方を教えてあげないと、猫は攻撃を始めてしまうか(子どもたちに被害が!)、もしくは病んでしまうかという結果になります。どちらにしても、猫のこころの衛生に大変よろしくない状態です。

こんなときこそ、ゴジラ君たちに愛猫教育をして欲しいのです。

<共感から動物との絆を作れる>

幼稚園の年長さんくらいになれば、自分以外の人がどんな考えを持つとか、どんな感情を抱くかということを理解できるようになります。それで、猫が怖がっているサインを見せたときには、猫がそのような状態であることを伝えてあげてください。そして「怖がっているとき、どうしたいと思うかしら?」などの言葉がけで、彼らが自分からとるべき行動を導き出せるようにしてあげてください。それから「居心地がいい」ことがどんなことなのか、「痛い」というのはどんなことかなどについても答えを導き出して欲しいと思います。猫も自分たちと同じように感情を持っているという「共感」が持てると、さらに動物を愛しく思うようになるでしょう。子どもの頃はヒューマンアニマルボンドの基礎を築いていくときです。

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大人向けの書籍ですが、待合室に置いてあります。

<接し方を教えてあげて>

言葉で理解できても、実際に猫とどう接したらいいのかわからない子どもたちもいます。大好きだけれどぎゅーっと抱きしめてしまう、尻尾をつかんでしまうというのは、正しいふれあい方がわかっていないからです。

今、ストレスを抱えている猫を使って抱かせてあげるのは無謀ですから、ぬいぐるみを使うなどして教えてあげてください。やさしく触れること、抱くときの注意、乱暴に扱わないようにすることなどです。猫は顔周りの、自分でグルーミングすることができない場所を撫でてもらうのが好きです。頬や頭頂や顎の下など。強くない力でそっと撫でる方法を教えてあげてください。

叩く、追いかけ回す、待ち伏せして驚かせることは絶対にしないように。排泄中や睡眠中、食事中は彼らをそっとしておくように、決して邪魔しないように伝えてください。

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アニマルプラネット「猫ヘルパー」でおなじみの
ジャクソン氏の本もあります。
来院のたびに参考になるところを
めくってもらうのもいいと思います。

<愛撫誘発性攻撃行動がある>

猫を撫でるときは毛並みに沿って撫でることを伝えてください。それでも猫は、はじめはごろごろ言いながら撫でられていたくせに、突然キックして噛みついてくることがあります。「猫は頭から尻尾までを何度も撫でられるのが好きじゃない」と伝えてください。愛撫誘発性攻撃行動を起こされると私たちもがっかりしますが、撫ですぎで猫パンチを食らうと子どもたちも傷つく可能性があります。

<大人が気をつけること>

「触っちゃだめ」「静かにして」「あっちに行って遊びなさい」と行動を否定するだけでは学ぶことができません。子どもが猫に優しくできるように見守り、指導してあげてください。猫にはやさしく接すること、大きな声を上げないこと、動きをスローモーションにすることなどを特に伝えてください。愛情を持って名前を呼ぶように教えてあげてください。猫は猫のかたちをしていますが、彼らの友達であることを、心を持つ仲間であることを教えてあげてください。おもちゃではありません。

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きっと猫の気持ちが分かるようになります。

<ボディランゲージがわかるともっと楽しい>

猫を相手に「やっていいこと」「やってはいけないこと」だけを単に伝えるだけでは動物にやさしい子どもを育てることができないと思います。「猫ちゃんはどんな気持ちかしら」を考えることができる子どもになって欲しいのです。今の猫の気持ちが分かるのがボディランゲージです。「こんな風にしているときは気分のいいときなんだよ」、「こういう行動をとっているときは君を友達だと思っていないときだね」などと解説してあげること、猫の行動に興味を持って猫への理解が進むと思います。

 

新学期が始まるまで、あと2週間くらいになりましたが、これを機に猫学を学んでくれる子どもたちが出現してくれると嬉しいです。

それから、もし、猫にストレスがあると感じられましたら、動物病院に連れてきてください。病状と共に現在の環境もお伝えいただくと、病気に対する私たちの理解が進みます。よろしくお願いします

 

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

ペットメモリアルデー

 今日はWorld Pet Memorial Day です。忘れられない動物たちのことをしっかり思い出してあげましょう。

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<トラちゃんのこと>

私の忘れられない猫さんのひとり、トラちゃんのことをおはなしします。
トラはひとり暮らしのおじいちゃんに飼育されていた猫です。赤トラ白ぶちのとても体格の良い猫さんでした。今みたいに屋内飼育なんてことはなく、日中のほとんどを屋外で過ごす猫でした。
1年に2回か3回来院されていました。1回はワクチンです。そしてもう1回~2回は咬まれた傷のために。当時はまだ猫免疫不全ウィルスの猫も市内にあまりなく、怪我をして帰ってきてもウィルス性の病気を心配する必要はありませんでした。ばい菌が身体に入ってお熱が出さないようにする治療、傷を消毒したり、ときには膿のために腫れ上がったところを排膿させるといった、洗浄したり傷周りをきれいにしたりの抗菌療法で十分でした。2週間効果が持続する抗菌薬の注射もありませんでしたから、家で薬を投与してもらいました。今思うと、薬の匂いがぷんぷんするトラは元気で快復力もあったし、ちょっとの傷ではへこたれず食欲も旺盛でしたので、重症化することもなく、すぐに治ってくれていました。

おじいちゃんもお歳を召され、しばらくお顔を拝見しない年がつづいたある日、「前から調子が悪かったけど、おらも病院通いで、こいつを連れて来れんじゃった」といっていらっしゃいました。おじいちゃんも痩せてしまっていましたが、トラも痩せ以前に比べると一回りも二回りも小さく変化していました。検査すると、血糖値が高く、尿には糖のほかケトン体も検出され、身体は酸性化しているのがわかりました。「糖尿病」を未治療のままにしていると「糖尿病性ケトアシドーシス」という病状になります。猫にはとても辛い状態です。緊急の治療で血糖値を下げ、点滴で酸性に傾いた身体を元に戻し、一命は取り留めました。が、問題はそのあと。おじいちゃんではインスリン注射は難しいし、誰かお手伝いしてくれる同居の家族もいません。食事をコントロールするだけしかできませんでした。そんな細々した管理でも数年は悪化することなく経過でき、おじいちゃんが入院で留守にするときは、トラも病院で加療するなどしていましたが、標準的な治療には至りませんでした。おじいちゃんの連れはトラしかいなかったので、トラを病院の子として引き取って治療していくのはおじいちゃんからトラを引き離すことになってしまうのでできませんでした。いろいろ心残りのあるトラちゃんでした。

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<飼い主さんと伴侶動物>

飼い主さんが病気だと、どうしてか飼育されている動物にも異変が起こることがあります。飼い主さんの低迷している気を動物が吸収してくれるのでしょうか。長くこんな仕事をしているとそういうケースが多々あります。
入院中に病態が悪化したのでご自宅にお電話して面会に来て貰うことになったけれど、なかなかご家族がいらっしゃらないことがありました。この時、おばあちゃまも具合を悪くされて入院していたとかで、どうも病院を間違って大慌てでおばあちゃんのご面会に行かれていたのでした。おばあちゃまもわんこも、二人そろって元気になって退院できて、それからは「あのときは・・・」の笑い話になりました。でもこんな事例ばかりではありません。

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<みんなが元気なのが一番だけれど>

お一人で犬や猫を飼育されているとき、またほかのご家族がいそがしくてあまり動物のお世話に関わっていないようなとき、中心になって動物の飼育をしてくださるご家族さんにご病気があると動物の管理が大変なことがあります。飼い主さんが入院している間、犬猫のお薬を与えるのにお預かりすることがあります。動物の日常の一コマを見せてもらえるし、動物とも仲良しになれるし、闘病中のご家族さまには申し訳ないのですが、私たちは楽しく過ごさせてもらっています。安心してご静養いただければと思います。いざというとき誰かにSOSが出せるようになっているといいですね。
親戚の方が飼い主さんと連絡が取れなくなって、お家に行ったときに飼い主さんがお亡くなりになっていた事がありました。犬の薬袋から当院と連絡を取っていただけ、親戚の方にはわんこの現在の病気のことをお知らせすることができました。そして今後の犬のことを話し合ううちに、そのまま養子として迎え入れていただけることになりました。ありがたいことです。

「家で猫を飼っています」という車に貼るシールがあるそうです。万が一交通事故に遭ったときに、ご自宅に猫がいることを知らせてくれるものだそうです。みんな元気なのが一番だけど、まさかのときのヘルプ体勢があると動物には安心です。
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<悲しみを乗り越えて>

「ペット」から「伴侶動物」や「コンパニオンアニマル」といわれるようになって久しいです。動物たちはしっかり家族の一員としての立場を確立しました。それだけ身近で密な関係になってしまったから、動物が突然具合が悪くなったときや、病気が重篤だと知ったとき、そして速すぎる死が来るかもしれないことを知ったとき、私たちはうまく受け入れられません。どうしたら「治る」のか「元通りになる」のか奔放します。けれどそれを受け入れていくこともまた、愛する動物から課されています。「おどろきの日」が来ても動物と一緒に頑張れる、決してエゴにならない、動物目線で考えられるようにならなくてはい
けないと思います。そしていよいよ「お別れの日」が来ても悲しむだけの毎日を過ごすことなく、乗り越えることができたらいいと思います。

小さな家族が虹の橋へ向け旅立っていったばかりの方もいらっしゃると思います。お仕事をしていなかったら毎日泣いているでしょう。あれを見てもこれを見ても、至る所に一緒に暮らしてきた思い出があるのですから。わびしくて、虚しくて、寂しくて。けれどまぶたを閉じていてはもったいないです。目をしっかりと開けて見ていかないと、ほかにもある素晴らしい人生のシャッターチャンスを見逃してしまうかもしれません。残ったものを大事にしてみてはどうでしょうか。一緒に過ごしてきた彼らは飼い主さんが長く悲しんでいてくれることを望んではいないはずです。笑顔で思い出して、
元気で暮らしていることを報告することがいい供養になるような気がします。
待合室にはいくつかのスピリチュアルな本もご用意があります。貸し出しも可能です。辛い気持ちに答えが見いだせる一節を見つけられるかもしれません。

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ジャンル : ペット

動物の中毒防止週間

3月第3週は「National Animal Poison Prevention Week」。これは「動物の中毒を防止する週間」と訳していったらいいでしょうか。とにかく、飼育動物は人との生活と密接に繋がっています。けれど意外なものが「危険」です。そして何にでも好奇心を示す「知りたがりのおさるのじょーじ」みたいな子猫ちゃん、子犬ちゃんは何かに夢中になっているかと思うととんでもないことをしてくれていることがあります。

 

今日のブログでは「そんなものが危険だったなんて!」というものを分かっていただいて、そうした危険物を犬や猫から遠ざけていただけたら目的達成です。そして「まさか、そんなものを口にしちゃうわけ?」の「まさか」が発生するのが犬や猫の怖いところ。ご家族の皆さんへも周知のこと、お願いしたいです。

 

あるアメリカの資料ですが、事故の発生原因のワースト10が載っていました。ご紹介します。

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10位:ガーデニング用の製品

・除草剤

・殺菌剤

*これらは不用意に瓶を倒して皮膚に付着したとか、その付着部を気にして舐めてしまうとかいうことで、経皮吸収や経口摂取してしまう毒物です。車庫で保管してあることが多い商品です。雨風を防げる車庫を犬舎代わりに使われているご家庭もありますが、犬が飛びついて悪さができる範囲内にこれらのものを置いてはいないかどうかご確認ください。



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9位:殺鼠剤

*日本では減っていると思いますが、これらを誤って食べてしまうことがあります。ガーデニング製品と同じように車庫に保管されていることが多い製品です。このほかに不凍液も同じような場所で保管されることがあります。エチレングリコールは甘く、たまたま倒して舐めてしまったというときに、命取りになる薬品です。



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8位:植物

・散歩中にある植物

・屋内の観葉植物

*自由にさせていると勝手にむしゃむしゃしていることがあります。植物の中には危険なものもあります。



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7位:チョコレート

*気がついたら大量に食べられていたという誤摂食が発生しやすい食品例です。そもそも食料品の中で別枠に「チョコレート」とあるのですから、チョコレートの誤飲事例がよく発生しているということかもしれません。大袋で買ってあるチョコレート、たくさん貰って戸棚にしまい切れていないチョコレート、要注意です。



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6位:動物用薬

*チュアブルタイプのフィラリア予防薬はオイシイので処方したその日に「1年分をまとめて食べちゃったんです」という事件も何回かあります。そのほかにも、投薬を容易にするためクッキータイプになっている薬も有り、誤食を起こしやすくなっていると思います。



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5位:家庭内の薬品

・掃除用洗剤

・洗濯用洗剤

・食器洗いの洗剤

・洗濯用柔軟剤など

*どうしてこんなものを?と思う商品群です。不意に暴れていてボトルを倒したら液剤が出てきて被毛を汚し、それを舐めるに至ったのかもしれません。予備の買い置きをしておく機会が多いと思う商品です。また毎日使うものなので手に取りやすい所に保存してあると思うのですが、家人が留守のときにはしっかり閉められる戸の中に入れ込んだ方が安全です。また補充用は簡易包装なので犬が何かと間違って破いてしまうこともありますので、しっかり保管が大原則です。



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4位:家庭用の食品

・タマネギ

・ニンニク

・レーズン

・アルコール

・キシリトールなど

*ネットに入れて保存するのが基本のタマネギやニンニクは犬や猫が転がして遊んでいるうちに誤って食べてしまうことも起こります。調理したものの中にネギの類があるときはハウスメイドの食べ物を与えないのはご存知ですが、生のものも遊びで食べてしまうことがあるのでご注意ください。

*そのほかの食べ物も犬が倒せるところに置いてあると危険です。



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3位:殺虫剤

*殺虫剤のくくりに何が入るのかと思いましたけど、ゴキブリやアリのための薬がこれに相当するのでしょう。たしかに、事故が多いです。ホウ酸団子の少量誤飲は毎年あるくらいです。自家製で作るときには特に注意が必要です。



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2位:人体薬(処方された薬)

*ご家族の方が内服するのを犬は見ているのでしょう。「おいしいんだろう」と思ってみているのかもしれません。その興味が誤食になってしまいます。「小さいお子さんの手が届かないところに」という注意書きはそのまま「愛犬の手が届かないところに」置いていただけますようお願いしたいです。

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1位:人体薬(一般薬、サプリメントを含む)

*栄えあるワーストワンは私たちのお薬。(1位、2位どちらもですが。)これはいかに私たちが自分のお薬を不所作に手近に置くかということをあらわしていると思います。まぁ、朝、昼、夕と1日に3回もご用のある品物はそう多くはありません。ですが、大事そうに13度も扱う所作を、しっかり見られているのだろうと思います。簡単には開けられない蓋付きの缶に保存するか、冷蔵庫などにしっかりしまい込むのが良いかもしれません。

 

 

以上、「あれを食べると危険!」はあちこちで紹介されているので「まさかのあれが危険」を紹介しました。食べないことが一番ですが、万が一食べてしまったときには気づいたときにすぐ処置をするのが大切です。毒物は吸収されてからではそれを取り除くのにはしかるべき施設があるところでしかできないのです。「このくらいは大丈夫なんじゃないの」の油断はいけません。ちなみに、食べてから吸収されるまでの時間ですが、分の単位を考えていてください。

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ジャンル : ペット

猫のストレスを考える

 慌ただしい年の暮れ、今日は年末年始と猫ちゃんとストレスについてお話しします。

 

<猫のストレスサイン>

猫がストレスを感じているとき、どのような仕草をするのでしょうか。

そもそもストレスって何でしょう。

猫の正常な身体的バランス、こころのバランスを崩すような出来事、状況はすべてストレスです。そして自分自身でこれらのストレスと向き合って対処するために起こす行動がストレスサインです。これをご家族に分かっていただかないことには、ストレスをなくすことはできません。

猫はストレスを感じると爪研ぎや、尿のマーキング、ものかげに隠れるなどします。ストレスサインだとは気づかれにくいと思いますが、実はストレス回避の行動です。

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猫のストレスについて、掲示板に張り出しました。
 

<猫の本来のライフタイル>

元々の猫の生活のことを思い出してください。猫は一日のほとんどの時間を外ですごしています。そして生活に必要な「食べる」「排泄する」などの環境に自由にアクセスできています。適度に仲間と過ごし、適度に仲間との距離を保ち個で行動しています。互いに適当な距離を置きけんかをしないように保っていて、十分なプライバシーがあります。毎日の生活は習慣になっていて、同じときに同じことを繰り返しています。変化を好みません。

 

<今の猫のライフスタイル>

今、飼育されている猫たちはほとんど屋内飼育100%になってきました。この外出が制限された状況は本来の姿と大きく異なってきています。好みの生活環境があっても、それを選択する自由は猫にはありません。飼い主さんが提供してくれた環境に住まうだけです。

同居人を選ぶことができません。思いがけず家族が増えたりします。「ケッコンしました

さらに同居猫を選ぶことだってできません。「かわいそうな猫チャン拾ってきましたの

それからいつも同じ行動パターンをとりたいのに、人と暮らしていると突然の来客があります。

宅配の人が玄関に訪れることもあります。

まさかの引っ越しもあります。

飼い主さんの気分によって、ある日急に食器が変わります。「かわいい食器でしょ

トイレ砂の種類が変わります。「これ、安かったんだ~

服なんか着せられてしまいます。「寒そうにしてたじゃない

食事が変わります。「ごめん、いつものフード、買い忘れてた。コンビニで買ってきたよ

人と密に生活する現代の猫の生活は、猫本来の行動を自由にとることができなくなっていて、猫は知らず知らずのうちにストレスを強いられています。

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猫がストレスを感じやすいのはこんな生活です。



<猫がストレスを感じやすい環境>

次のような環境は猫にとってストレスが高くなっています。

・屋内だけで過ごさせている、多頭飼育である。

・一頭ごとに食事をすることができない(まとまって食事をする)。

・それぞれの猫ごとのトイレがない(共同トイレを使用している)。

・来客が多い(週に1度以上は来客がある)。

・たびたび部屋の模様替えをする(季節によるラグの取り替え、新しい家具、リフォームや引っ越しもある)。

・騒々しい環境にいる(子供たちが賑やか、お父さんの声が大きい、テレビの音量が大きい)。

・留守にすることが多い。

・家族の外出に伴って車や電車で移動する。

・ちょくちょくペットホテルを利用している。

いかがでしょうか。

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これが猫のストレス行動だった!
 

<猫が不安を感じているときのサイン>

猫は不安になると次のような行動をとります。

・来客があるとき、いつの間にかいなくなる。

・窓越しに他の猫を見て嘔吐することがある。

・庭先、窓の近くに他の猫がやってきて窓越しに怒っている。

・毛繕いを非常にまめに行っている。

・よく毛玉を吐いている。

・暗いところでじっとしている。

・屋内で尿スプレーをしている(不適切な排泄がある)。

・飼い主の動きを目で追っている。

・背中の皮膚を波打たせている。

・同居猫にシャーという。

・同居猫を避けている。

・なでなでしている途中で急に逃げ出す。

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愛猫のストレス度をチェックしましょう。



<猫のストレスを減らす>

ストレスを強く感じている猫の生活は改善させてやるのが一番です。それでも、こちらの生活に合わせて貰わないといけないこともあります。現代の猫がある程度のストレスを感じてしまうのは避けられないことです。けれどできるだけストレスの少ない環境作りをしてやることは飼い主さんの使命です。健康管理はもちろんのことですが生活環境にも気を配ってあげましょう。

猫をリラックスさせるフェロモンがあります。猫の頬から分泌されているフェイシャルフェロモンは猫の生活環境にある物や人、同居猫に親しみを示すために猫が頬をこすりつけて「猫印」をつけているものです。これを人工的に作り出した商品があります。環境中にこのフェロモンを撒いて猫を安心させることができます。拡散タイプとスプレータイプがあります。

またお母さんのおっぱいから出るミルクの成分の中に気持ちを落ち着かせたり寝付きをよくしたりする作用があるものがあります。ΑS1トリプシンカゼインです。猫の穏やかな暮らしのためにサプリメントとして使うことができます。

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動物病院がストレス回避に協力できることがあります。
飼い主さんのストレスも減ります。




<年末年始におすすめの使い方>

留守番や来客などを予定している出来事の1週間位前からはじめてください。

サプリメントを飲ませはじめます。

拡散タイプのフェロモンをお部屋のコンセントに差し込みます。

好んで寝る場所、昼間よく過ごしているところには、拡散タイプとは別にスプレータイプのフェロモンを吹きかけてやります。朝夕2回です。

 

<外出を予定している場合の使い方>

サプリメントは数日前から服用はじめます。

キャリーを使う15分前にキャリーの中にスプレーを吹き付けた布を入れます。

直接キャリーにスプレーを吹き付けてもOKです。

猫の体に直接吹きかけないようにしてください。

アルコール臭がするので15分待っていただいています。

 

 年末年始は日常と違う生活になります。平常であることが大好きな猫にはストレスの高いイベントになります。いくつかの工夫で猫を穏やかに過ごさせてやれます。サプリメント、フェロモンはいつも病院に置いてあります。お気軽にご相談ください。


今年はもう一回ブログ更新日である日曜日が巡って参りますが、本年最終の日曜日はブログを休みさせていただきまして、今回を今年の最終にします。今年もおつきあいありがとうございました。寒さ厳しき折、どうぞ皆さま、お風邪など召されませぬようご自愛いただき、よいお年をお迎えください。



テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

動物飼育と子どもの教育

 小動物の獣医さんの参加する学会というと、犬や猫などを対象にした先端獣医療の研究成果を発表したり、聞いたりを想像されるかもしれません。規模の大きな学会は大動物の診療をしている先生、公衆衛生方面の先生、お役所関係の先生、獣医師以外で動物関連のお仕事をされていらっしゃる先生たちも一同に集まります。あまりにも畑違いすぎてタイトルを聞いてもすっかり分からない研究内容のお話しも沢山あります。が、産業動物におけるアニマルウェルフェアのことやホースセラピー、災害時の動物救援センター構想、地域猫対策、笑顔あふれる動物園づくり、動物愛護管理法のことなど、人と動物双方に関わるさまざまな話題も拝聴できます。これは犬猫の病気を中心にした勉強会とはまた違う魅力になります。こんなシンポジウムは複数箇所で同時開催されるので身体一つ、脳みそ一つではとても足りませんから、どのお部屋でどの先生のお話を伺おうか悩みながら参加しています。

今日は学会でも話題になっていた「学校飼育動物」のことについてお話ししたいと思います。

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動物の飼育が子どもに与える影響については日々思うことがいっぱいです。動物病院には飼育者であるお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に、子どもたちも来てくれます。この子たちは動物が大好きです。体調不良で塾をお休みしてもおうちで寝ていないで動物病院には足を運んでくれますし、長期休みには必ず顔を出してくれたりします。いま、家庭で犬や猫を飼育できることはとても貴重なことだと思います。実際には動物が好きだけど親の許可が無くて飼うことができない子どもたちもいるし、残念なことに動物に全く関心が無い子どもたちもいます。

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がっこう動物新聞を掲示することがあります。

<動物飼育と子どもの教育>

①飼育はたいへんだ!

動物を飼うと、自由な時間が減ってしまいます。家庭動物は自分一人では生きていけないので飼育者がいろいろな世話をしなければなりません。まずはそうした管理の手間があることを子どもたちは体験します。

はじめにおうちの方にお願いしたいのは、危なっかしい接し方に対しては「正しい扱い方」を教えてやること。動物に噛まれたり、引っかかれたりしないようにしてください。それから、子どもたちは夢中期が過ぎるとお世話がおろそかになってきますから、そのときの対応です。「あんたが飼いたいっていったから飼ったんでしょ。ちゃんと世話をするって言ったでしょ。ほら、塾の前に犬の散歩に行っといで。」は、忙しいお母さんの発してしまう言葉ですが、ここは一部でも世話ができていることを認め褒めていただきたいです。「ポチは○○ちゃんのことが大好きだよね」「ポチは大喜びだね」と。行動を認めてもらえるとまたモチベーションがあがります。こんなことをしながら、「飼育する方も、飼育される方もいっしょに育っていく」感じです。新米のパパやママが赤ちゃんを育てていくのにちょっと似ているように思います。このようにして子どもたちが達成感のようなものを得られる喜びを持ってくれると、もっと動物好きに育ってくれそうです。

②思うようにならない!

それから、そのような手間をかけても、動物は勝手に行動します。自分の思うようにならないことを体験することも大切なことです。

思うようにならない動物を「しかる」のは間違いで、正しい接し方をすると動物は好ましくない行動をしなくなることを子どもたちに教えてやりたいです。こちらが思うようにしようとしても相手には相手なりの理由があるからそのような行動に出るのだと分かって初めて、「相手の立場に立って」「相手がどう考えているのか」をおもんばかることができます。「動物の行動学」という理論に基づいた「愛犬のしつけ」が有効です。そうした行動の中には「動物本来の本能に基づいた行動」もありますが、相手を理解することから「良好な関係性を築くこと」が学べます。

もし困った行動をとる動物にどう対処したら良いのか分からないときは、ご相談にお越しください。

③話し相手になってくれる!

楽しい時間を共有できる!

さらに動物と子どもたちとの距離が縮まると、子どもたちは世話をしながら学校であったいろいろな出来事を動物に打ち明けるようになります。テストの点が悪かったとか、時には友達関係のこともあるかもしれません。どんなことがあってもいつでも動物はやさしく受け止めてくれます。もちろんいっしょに楽しい時間を過ごすこともあります。たのしくじゃれ合って遊ぶ兄弟のような関係です。

動物飼育を通してこういう時間を過ごすことが子どもの成長に良い影響を与えてくれます。ここで動物は子どもたちに対して「心理的なサポーター」という大切な役割を果たしています。

④そしてオンリーワン!

愛情をかけることはいつも気づかっている、関心を持っているという行動や態度から現れます。名前をつけてかわいがるのはその動物が自分にとって「オンリーワン」になっていることです。ご家族の動物に対する接し方から子どもたちはこれを自然に身につけていきます。

ただ、残念なことに逆効果になってしまうこともあります。もしご家族の方が多忙やそのほかを理由に十分な世話ができていないと、それが子どもたちの愛着のレベル低下になってしまいます。どのような場合もぜひ、動物への気づかいを忘れないでください。

⑤家族が一つに!

家族間の会話も動物の話題で増えてきます。動物に何かイベントがあると家族の目が同じ方向を向くようになります。

誰かが気づいた動物の変化、面白い動作、誕生日のお祝い事でも会話は弾むでしょうが、具合が悪いとかいうときにも家族が共通の話題について考え、解決策を練っていきます。思いは一つです。もし動物の変化に最初に気づいたのが子どもであったら、それは観察眼に対して褒めてやりたいところです。とにかく動物にはこうした求心力があります。

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愛知県獣医師会編著の飼育ハンドブックです。

<学校での飼育動物管理>

子どもたちが家庭で犬や猫を飼育した経験があると答えているのは約半数、という結果が出ています。(国立青少年教育振興機構。2016.7)このように直接体験の機会が減っているこどもたちには学校飼育動物の果たす役割は大きいものになってきます。生き物に親しみを持つこと、そこから命を尊重すること、慈しむこと、そして命について学ぶことなど学年が上がるにつれて目標は変化していきますが、底辺をなすものは温かさの通ういのちを大切にすることです。

家庭飼育と同じように、①世話のたいへんなことを感じ、②動物が思わぬ行動に出ることを困ることでしょう。それはお休みの日、特に長期休暇中の「餌やり当番」に現れてくるかと思います。学校での飼育にはともすると③動物から心理的サポーターをしてもらっていることや④オンリーワンとしての深い愛着を感じ取れない子どもたちも多いのではないかと思います。飼育係の子どもたちの間では⑤共通の話題から友達意識が増すかもしれません。けれど義務でお世話をするだけの教育では本末転倒になってしまいます。世話をしていく中で、子どもたちにはぜひ動物の温もりや命を感じてもらいたいと思います。

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どんな飼育舎が良いのかわかります。

<虹の橋のたもとへ>

それからどうしても避けることができないことに「死を体験すること」があります。

子どもたちが生まれたときにすでにご家庭で動物を飼育していた場合、または残念なことに寿命よりも早く伴侶動物に死が訪れたようなときに、子どもたちは各ご家庭で「死」を体験することになると思います。ウサギの寿命は犬や猫の寿命よりも短く平均5歳から8歳くらいです。ある程度お子さんが大きくなってから動物飼育を始めたようなご家庭だと、ライフサイクル的にみて初めての死の体験は家庭動物よりは学校飼育動物の方が確率は高くなるかもしれません。

「死んだら生き返らない、死んだ動物は見たり感じたりすることができない、誰にも死が訪れる」ことが「死」の概念だそうです。低学年の子どもたちにどのくらい理解されるのかは分かりませんが、お世話当番が回ってくる中学年の子どもたちにはもう理解できるはずです。

ずいぶん前になりますが、「温かい」こと、「触ると(受動的に)うごく」(能動的なものではないのだけれど)ことから、「まだ死んでいないはず」と飼育係の小学生さんが横たわったウサギを連れてきてくれました。若い先生も対応に困っていらっしゃいました。もしかすると死を分かっていたのだけれど受け入れられなかったのかもしれません。大切なものを失った子どもの反応に、ウサギに対する愛情が深かったことを感じました。死を受け入れることは私たち大人にだってつらいことです。それでも、喪失の悲しみから立ち直ることは、飼育していること以上に子どもたちに大きな成長が得られることだろうと信じています。

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オスメスの見分け方とか繁殖について。

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理想の食餌は?

<みんなに愛されて幸せだった>

今回の学会のご講演の中で、西東京市保谷第二小学校の古家、高橋両先生から子どもたちの「死」に対する反応がまちまちであることを教えていただきました。大泣きする子ども、静かになく子ども、受け入れられず落ち着かない子ども。その中で先生が「泣いていないのは愛情が浅いからなのではない」「悲しい出来事に対して受け取り方や反応はみんな違う」「しっかりお別れしましょう」と子どもたちに伝えると子どもたちの緊張もほぐれたとおっしゃっておられました。

子どもが初めて「死」と向き合うとき、大人はどのように対応したら良いのか、悩むところです。まずは静かに、お別れは悲しいことだと共感してやりたいです。そしてご遺体になったお身体にもそれまでと同じ姿勢で、自然になでて接してやりたいです。ブラシングやリボン付け、大好きだったおやつやおもちゃ、お花などを添えるなどの旅立ちへのお支度を調えつつも、また膝に抱いてなでるのも有りだと思います。お手紙を書くことができるお子さんならぜひお別れの言葉や絵を描いて、お手紙にしてもらいたいです。楽しかった思い出をお話ししながら、亡くなってもいつでも話しかけて良いし、それを動物は喜ぶと教えてやりたいと思います。

「生きているうちにしっかり愛情を注ぐ」のは後悔のない死を迎えるのに重要だと思います。

「みんなに愛されて動物が幸せだった」。旅立っていくすべての動物たちに、それからその動物に関わったすべての方にそう伝えたいと思います。

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飼育について、よくある質問と答え。

<本のご紹介>

新年度が始まりました。今年から新しく飼育係の学年に進級した子どもさんもいらっしゃるでしょう。着任早々、経験のない先生が動物飼育係に任命されることがあるともお聞きしました。愛知県獣医師会から「学校どうぶつ飼育ハンドブック」が出ています。待合室においてあります。実践的な内容なので、すぐに役に立つことばかりかと思います。お時間あるときに開いてみてください。

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動物の戸籍を作りましょう。

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飼育日誌をつけましょう。

<追加>

そうそう。はじめにご紹介したような学会には必ず「市民公開講座」があって、自由にご参加いただけます。もしお近くで開催されるというような情報が入手された日にはぜひぜひ、いらしてくださいませ。

 

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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