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目が緑色です

 先週、緑内障のお話をしました。緑という色名がついていますが、目が緑色に変わる病気ではないです、とお話ししました。「いや、うちの子は目が緑色になっちゃったよ」という声が聞かれました。「暗いところで目が緑色に光るようになった」そうです。そうです。確かに、光に反射して緑になります。それはうっかりいたしました。ということで、続きのお話です。

 

<目が光る>

暗いところでは瞳孔(ひとみ、目の中心にある黒い部分)が開いています。特に猫は、明るいところでは縦長に見えている部分が暗い場所では大きくまん丸になっているのがわかると思います。(猫が驚いたときにもまん丸目玉になります。)これは暗いところでは光をたくさん目に入れて、物を見るのに都合の良い仕組みです。

一方、私たちから見た場合です。山間部では夜道に車のライトに照らされてぴかっと反射する野生動物の目玉にびっくりすることもあります。田舎では外歩きの猫に出くわすこともあります。ぴかっと反射は、動物の瞳孔が開いているときに強い光源が目に入り、目の中の奥にある反射板(タペタム)に光が反射されて出てくる光です。この光は緑色に見えることが多いです。

屋内では夜でも電灯をつけるので夜道のように真っ暗ではありません。なのに光に反射して目が緑色に見えるのはどうしてでしょう。病気のために瞳孔が開いたままになってしまったり、反射が亢進している状態になっているからです。これには眼圧が高くなってしまう緑内障(後期)や、全身性高血圧由来の網膜症、また網膜そのものの病気が考えられます。

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緑色の目をした猫さんですが、ここは虹彩です。
病気ではありません。




<網膜の病気>

網膜の病気で多いのは「進行性網膜萎縮症」や「突発性後天性網膜変性症」、「網膜剥離」です。

進行性網膜萎縮症は先天性の病気で、比較的若い年齢で発症します。暗いと見えにくい「夜盲」の状態から始まります。年齢も若く、まさか「視力に問題が出てきている」などとは思わないし、昼間の視力は備わっているし、進行もゆっくりなので気づかれにくいです。最近ではペットショップから購入する時点で遺伝子検査を実施してある個体もみられます。

一方、突発性後天性網膜変性症は、ある日突然に完全な視覚消失を迎えます。中高齢の犬に発症することが多いです。原因は不明で、免疫系の疾患の可能性が疑われています。

網膜剥離はぶどう膜炎や緑内障、全身性高血圧症に引き続いて発生する病態です。網膜が部分的あるいは完全に剥がれるので、出血したり充血したりしますから、「緑色に見える」時期の前には「目が赤い」時があったかもしれません。原因にもよりますが、涙が多かったり、目をしょぼしょぼさせているなど目の痛みから来る症状を伴うこともあります。網膜剥離は犬にも猫にも発生します。

 

<網膜の病気の治療>

進行性網膜萎縮症や突発性後天性網膜変性症では残念ながら治療法はありません。網膜剥離も早期で部分的な場合は、原因になる目の病気の治療に成功すれば視力の回復の可能性はありますが、むずかしいことの方が多いかと思います。抗酸化作用のあるサプリメントを使うことはありますが、視力回復を目的にしたものではありません。

網膜剥離の場合、炎症が起こっていると思われる段階ではステロイド療法(点眼と内服)を行ないます。全身性高血圧症に由来する場合は、血圧を下げる治療を行ないます。猫では腎臓病や甲状腺機能亢進症により全身性高血圧症が発生することが多くあります。このような病気であれば腎臓病や甲状腺機能亢進症の治療も積極的に行ないます。それでも視力を回復させる治療にはならないことが多いです。

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それにしても緑色の目をした猫は魅力的です。
繰り返しますが、これは病気ではありません。




<片目の盲目>

網膜剥離は片目で起こることが多いので、こんなお話をします。片方の目だけが見えていない場合は飼い主さんは気づきにくいと思います。行動に大きな変化が現れないからです。症状が進行して、左右のひとみの大きさに違いが表れるとか、「目が赤い」という時には注目するのでわかります。あとは両目とも網膜剥離になってしまったときになってはじめて気がつかれると思います。もし両目ともおかしくなっていても片目が部分的な剥離であれば視力が残されるため、気づかないこともあります。

 

<この子は注意!>

コリー、シェルティー、ボーダーコリーは網膜の病気が起こりえます。柴犬、コッカスパニエル、ミニチュアダックスは緑内障の危険性を持つ犬たちです。高齢猫は腎臓病や甲状腺機能亢進症の発生が多いので注意が必要です。

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暗闇で強い光が当たると目が反射します。
ミュージカル・キャッツのオープニングのようです。




<おわりに>

目の病気は一つの病気から進行して別の目の病気に変わっていく(続発してしまう)ことがあります。例えば進行性網膜萎縮症から白内障へ、ぶどう膜炎から網膜剥離へ、網膜剥離から緑内障へ、白内障からぶどう膜炎を経て緑内障や網膜剥離へという具合です。目の病気は急がなければいけないこともあるのですが、全身性の疾患のように「食べない」を起さないために「今日は忙しいから待っててね」「仕事が休みになる土曜日に行こうね」ということが起こりがちです。ひどくしないためには、「気がついたそのとき!」に来院していただくのがいいんじゃないかなぁ、とは進行した眼科疾患の視力を取り戻せないヤブな獣医さんの独り言?いえ、眼科専門医の先生でもそうお考えなんじゃないかと思います。

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犬の緑内障

10月になりました。もうカレンダーの残り枚数が3枚になってしまいました。季節の変わり目で不安定なお天気が続いていた9月も終わり、お出かけに気持ちの良い陽気になりました。10月第1週にはNational Wolk Your Dog Week というのがあります。それも今日が最終日ですが。「犬と一緒にお散歩に行きましょう週間」とでも訳したらいいのでしょうか。とにかく気持ちのいい季節にはわんことのお散歩も弾みます。ただし、わんこの視力が有るのなら、のことです。
今日はわんこの視力を急に奪っていく病気、「緑内障」についてお話しします。

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瞳が緑色になる病気・・・ではありません。
 

<緑内障というのは>

目の中には眼房水という水が入っています。眼房水の圧力が眼圧で、これによって目の張りや大きさが保たれています。緑内障は眼房水が溜まりすぎて高眼圧になり目の痛みを起こし、またゆくゆくは網膜の視神経に障害を起こすので失明してしまう病気です。
白内障は瞳が白くなる病気だから、緑内障は目が緑に見えてくる病気、と思われている患者さんもおられます。「緑になっていないから緑内障じゃない。大丈夫。」みたいな感じです。残念ですが「瞳の色が変わるので病気がすぐにわかる」という簡単なものではありません。

柴犬やシーズ、アメリカンコッカスパニエル、ゴールデンレトリーバーなど原発性に緑内障を起しやすい犬種が有ります。突然眼圧が上昇します。遺伝的な素因を持っています。目に構造的な問題があると考えられます。別の構造上の問題でビーグルは徐々に眼圧が上昇する好発犬種です。

また白内障やその他の目の病気に続発することも有りますので、人気犬種のダックスやトイプードル、チワワにも無縁の病気というわけではありません。続発性の緑内障ではこの犬種たちの発生が多いくらいです。なので、このわんこたちのご家族さんも「緑内障という怖い目の病気が有る」ことを記憶の隅に置いといてもらえるとウレシイです。

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柴犬は緑内障の好発品種です。


<典型的な柴犬の緑内障の場合>

年齢は7歳から8歳くらい。

急に発症し、激しい目の痛みがあります。

違和感があるため目をショボショボさせます。

痛みのために元気がなくなります。

ものすごい痛みから嘔吐してしまう犬もいます。

目の様子が変だからと顔を見てみようとするけれど、目の近くを触られるのも痛みのためにいやがります。

離れてみると、眼球がもう一方に比べて一回り大きくなっているように見えることもあります。

黒目のまわりの白い部分に血管が浮き出ていて赤く、恐怖映画の中に出てきそうな様相です。

ぱっと見た目が、濁りのために青く(~銀色に)感じられる場合があります。このときは中が見えません。瞳は見つけられません。

青くしっかり濁っていないまでも、黒目の部分がうすく白く濁っていることがあります。

明るいところに居るのに瞳がぱぁ~っと大きく開いているのに気づかれるかもしれません。そしてその大きさがそのまま変化しない(大きいまま)かもしれません。

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まぶしい!目をショボつかせるのが初期症状です。



<緑内障の病気経過>

症状を出す前にはすでに病気が始まっていて、潜伏期と呼ばれています。この時期は犬にとっては違和感が有るかもしれませんが、それを訴えることができるのかな?もし訴えられたとしてそれを受け止めることができるのかな?と思います。

次に時々眼圧が上がったり、平常に戻ったりの時期があります。「なんとなく目がおかしい」の段階です。来院されて、緑内障を疑って眼圧測定したものの異常値ではないことが多いです。ここで緑内障の治療薬を使ってしまうと後でほんとに緑内障だったかな、なんて心をもやもやさせる段階です。でも使わないで緑内障のステージを進めてしまったらもっと後悔するステージです。どちらにしても獣医さん泣かせの段階です。

その次の段階が、飼い主さんが犬の目の異常にはっきりと気づいて病院に連れてこられるときです。この段階で来られるのが一番多いです。先ほどお話ししたような症状が出ています。けれど残念なことに、たいていのこのステージで、多くの犬はすでに失明しています。

さらにこの時期を経過すると、症状があるのに眼圧は下がっています。

さらに経過したのが、私たちが「牛眼」と呼んでいる状態です。目玉がくりんと出ています。もちろん視力は有りません。

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初期治療に成功すれば視力の寿命を延ばすことができます。



<緑内障の治療>

緑内障の治療はひたすら眼圧を下げること。それはそのまま目の痛みを取ります。そして、もし視力が残されているのであればこれを救うことになりますが、これはあまり期待できないかもしれません。

結論から言ってしまうと緑内障は「外科の病気」になるかもしれません。迅速に眼圧を下げるには点眼では時間がかかりすぎるからです。目に細い針を刺して水を抜く処置も急性期には必要な救急処置の範囲です。でもなかなか眼圧が下がらないといっても何度も針刺し処置ができるわけでもありません。しかし眼科専門医に愛犬を届けるのに急なことでうまく連携が運ぶかどうかはわかりません。やっぱり、この先のことはどうあれ、点眼による治療をはじめることになります。

もうひとつ、身も蓋もないことをいいますが、緑内障は進行性の病気です。つまり、治ることは無い。気長にいうと視力が確保できる期間をできるだけ伸ばしていく治療です。遺伝に裏打ちされた構造上の欠陥があるために発症した病気ですから、今は右だけまたは左だけの状態かもしれませんけれど、残された片方が同じような状態になるのも予想されます。もう一方が悪くまで最初の発症から1年少しというのが標準的な期間ですが、この片目は機能している期間をできるだけ長くしていきたいので、丈夫な方の目に予防的な点眼をするというのも治療の一環として必要になります。「え?悪いのは右ですけど。左に目薬をさすの?」とはよく言われます。そうなんです。けれど予防的な点眼は目に見えないので良くなっている感じがしない、やめたからといって急に悪くなるわけでもない、顔のまわりを触られるのが大嫌いで(しかも凶暴な?)柴犬に点眼をするのは、ごほうびのない作業を続けるのでモチベーションも上がらないだろうとお察しします。

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点眼をしっかりできた犬はうまくいきます。
がんばって!



<緑内障治療に使われる目薬>

目に痛みがある急な発症で、目に炎症がないとき、新しく動物用にできた白いキャップの目薬が有効です。これまでは空色キャップの目薬を処方していました。同じ成分ですが、今までのものよりも薬物濃度が高く、有効です。発症からすぐの段階では1時間ごとにでも点眼を繰り返すようにします。

もし炎症があるようなら、(目が青くなっていたり白く濁っていたりするとき)この目薬をはじめる前に、液が濁っている目薬(これも動物用です)をお願いします。この時、眼圧を下げるための目薬も併用しますが、動物用の白いキャップの目薬ではなく青いキャップの目薬です。

緑内障治療に使われる目薬は眼圧を下げることを目的としたものですが、大きく分けると眼房水を作るのを押える薬、前眼房に有る水を排出させるように働きかける薬、両方の作用がある薬が有ります。(その作用のさせ方によりもっと細かな分類があります。)それで、なかなか反応が悪いときは、一つだけでなく、二つとか三つくらい併用することになります。合剤になっているものもあります。

点眼液には11回と書いてあったりしますが、急性期のひどい状態を乗り越えるため、あえて12回から3回、またはそれ以上に頻回の点眼をお願いすることもあります。点眼液に書いてあることとお願いすることが違いますが、「先生、まちがっちゃったのね」ってことは無いです。急性期には念入りに点眼してください。そして眼圧はちゃんと下がって来るかどうかの再診は翌日とか翌々日とかすぐにお願いしています。

基本、再診日が近いというのは病状の変化が急であって、予後に不安があるときです。長期のお薬を処方できるのは状態が安定していて、予後に不安がないということです。

安定期には点眼回数は少なくて大丈夫です。予防的な点眼も同様です。予防していた方の目が怪しくなってきた場合、点眼液の種類が変わったり点眼回数が変わったりします。

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いよいよ!というときには手術もあります。



<緑内障の時の点眼以外の治療>

激しい痛みと炎症を抑えるために、点滴によるステロイド療法を行なうことがあります。

視神経を守るために、全身性高血圧のときに使うお薬を服用していただくことがあります。

使用できるサプリメントがあります。

外科が必要と思われるときには眼科専門医と連携する必要があります。急性期に連携するのが難しいかもしれません。このとき眼科専門医にお願いする外科は眼球切除術ではありません。虹彩を切ったりする手術で眼圧を下げる手術です。目を守るものです。

最終段階で連携をする場合の手術は眼球切除から義眼挿入手術になるかもしれません。

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お散歩にも注意が必要です。



<もうひとつ、大切なこと>

頸動脈に圧受容器があります。血圧を関知するところです。頸動脈を圧迫すると眼圧が上がります。興奮でも上昇します。暴れ症の柴犬が散歩の時、首輪からリードでつながれていて、ぐいぐい引っ張るのは眼圧を上げることになります。胴輪にして、しかもリードをつける部分が背中側ではなく前胸部にあるものを選んで装着してもらうのがおすすめです。前にあると勢いを制御しやすいからです。

あらかじめうちのわんこに緑内障の遺伝素因があるかどうかを調べる遺伝子検査があります。緑内障好発犬種はこの検査で陽性であったら絶対に、また遺伝子検査をしていなくても、首輪にかかる圧力を分散させると、目を守ることになります。

 

10月9日は「てくてく」お散歩の日だそうです。いつまでも視力を保って、すがすがしい秋空の下、気持ちよくお散歩に出かけたいです。 

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犬の白内障・4

犬の白内障について4回目です。
いいことばかり書いてあるけど、実際、違うじゃないの、ということがないように。マイナス面についてもおしらせしておきます。

 <白内障手術に伴うリスク>

白内障手術は非常に成功率の高い手術ですが、リスクもあります。手術後の視力改善の可能性は、ほとんどの犬にとって(90%〜95%と)高いです。けれどその残りの5%〜10%は合併症のために良好な視力を取り戻すことができません。最悪の場合は手術した目の片方または両方に永久的な失明となることがあります。白内障、炎症、および眼内手術に対する反応性には違いがあるため、白内障手術は人ほどの成功はありません。どのような手術においても常に完璧であるとは限らないこともご理解ください。特に(何度か言っていますが)水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)がある場合は成功率が低下します。
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失明を起こす目の病気はいくつかあります。
代表的なのが白内障や緑内障、網膜の病気です。
どこに異常が出るのかわかりやすくするため色をつけました。

 

術後の心配点を示しておきます。

①眼内の瘢痕組織のリスク

全てのイヌは眼内の瘢痕組織を発症します。瘢痕組織というのは、傷が治るときに全く同じ組織に置き換わることはなくて、傷を治そうというする組織が過剰に出てくる炎症性の組織のことです。皮膚にできた傷ならば「やけどの跡」のような毛が生えないつるんとした組織になりますが、目の場合、主に水晶体嚢が不透明になります。過度の瘢痕組織は視力を低下させます。子犬や若齢の犬は高齢犬よりも混濁を発症しやすいです。抗炎症薬と抗酸化剤ビジョンサプリメントで生涯サポートすると重度の混濁を形成するのを軽減させることができます。

②緑内障のリスク

緑内障は眼圧の上昇で知ることができます。これは白内障手術を受けたあと一時的に起こります。ほとんどの場合、眼圧上昇はほんの一時的で、手術後最初の12日以内に治療をすればすみやかに解決します。ただ手術後数ヶ月から数年たってから緑内障を発症することもあります。 緑内障は完全な失明の原因になります。愛犬の目がおかしいことを発見したら速やかに診察が必要です。追加の薬物療法、もしくは外科手術(眼圧制御のために行われる手術)で治療します。緑内障は「頭痛」のような症状でも発見が可能です。もし痛みのコントロールができないようであれば、残念ながら眼球摘出の手術が適応になるほどです。

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緑内障は目の中の水が溜まりすぎ眼圧が高まる病気です。



③網膜剥離のリスク。

網膜剥離はたいてい完全な視力喪失につながります。早期に対応されれば、手術成功率は高いようですが。

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網膜が定位置から分離したのが網膜剥離です。
網膜が裂けて眼内出血を起こすこともあります。




④眼内感染のリスク

これはまれです。しかし発生したら完全な視力喪失だけでなく眼球摘出手術が適応です。愛犬が不用意に目を掻いたり、こすりつけたりして目に感染をおこさないように細心の注意が必要です。

⑤全身麻酔のリスク

麻酔の安全性は近年著しく進歩してきています。私たち獣医師とそのスタッフはとても真剣に麻酔処置に当たりますし、麻酔中も幅広い項目(血液の酸素化、二酸化炭素レベル、呼吸数、体温、心拍数、および血圧)をモニタリングしています。モニタリングしていると身体に発生した異常をいち早く表示しますから、術中にそれに対応してすぐに処置することができます。
ですが、健康な動物でも一般的な麻酔下で亡くなることはあるので、一定数のリスクがあることもご承知ください。

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今回お話をしているのは白内障のこと。
水晶体が混濁した状態です。

 

<合併症リスクを減らすために>

このような合併症を発症するリスクを軽減することはできます。

①速やかに診察を受けること

白内障が疑われたらなるべく早いうちに診察にお越しください。もし糖尿病に罹患している犬であればなおさらです。早期に発見できたら手術の最適期を逃すことなくいけるかもしれません。「きっと白内障だわ。この子も歳だし、当然だよね」と間を開けないことです。水晶体が完全に不透明で目が見えなくなるまで待つのは良くありません。はじめはホームドクターの診察から。そして獣医眼科専門医の診察につながれます。

②治療時の指示に従うこと

治療時に受けた指示を守り、点眼やまたはサプリメントの投与を行ってください。点眼が困難な犬でも、根気よく点眼を続けるとうまく目薬をさせるようになります。「うちの子は目薬をささせない」とあきらめず、がんばってみてください。

③再診を受けること

専門病院で手術が済んでからも獣医眼科専門医が推奨する再診日には犬を連れて行ってください。眼科専門医による定期的な再検査が必要です。
残念なことに獣医眼科専門医への再診が予定通りではなく、数ヶ月から数年後になってしまっている犬もあります。実は彼らはベストなタイミングでベストな治療を行えなくなった患者さんを嘆いています。せっかく白内障の手術により素晴らしいビジョンを獲得したにもかかわらず、のちに発症した緑内障の治療が遅れたために視力が再び失われていることがあります。そうした事態を起こさないためにも診察にお出かけください。

④サプリメントの投与をすること

特定の犬用抗酸化剤ビジョンサプリメント(点眼液ですが、薬効的にサプリメントの扱いになっているものがあります)を使用して生涯、眼のサポートをしてください。

⑤胴輪をつけること

目の手術後は首輪を避けて胴輪で散歩するようお願いしていますが、目の異常が見つかった場合は手術の有無にかかわらず胴輪にしていただく方が、知らないうちに合併症を発症していた場合にも有益になると思います。

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悪くならないように。
目のチェックポイントと点眼方法について、
掲示してあります。




<おまけのおはなし> 

さて、獣医眼科専門医と彼らのスタッフたちはすばらしい眼科ケアチームで、白内障手術が済んだ後も犬の眼科ケアを生涯にわたって行ってくれます。手術した眼がうまくいっているかどうか、もう一方の目はだいじょうぶなのか、ときには詳しい検査なども含めて診療していきます。ご希望により獣医眼科専門医を紹介いたします。犬の目ができるだけ健康で良いビジョンを保てるように、ホームドクターは獣医眼科専門医と一緒に愛犬のケアをしていきます。

もう過ぎてしまいましたが、10月13日は「じゅういさんの日」なんです。多くの方は獣医師をホームドクターとして見ていることと思います。獣医学は非常に早いスピードで進歩しています。それに伴って、それぞれの獣医師は自分の関心のある分野についてより深い知識や技術を習得しています。ホームドクターの中でも「自分は○○の専門医です」と名乗っておられる先生もいますし、「まだ学習途中であるけれど○○分野については詳しいです」という先生もおられます。分野によってはまだ国内で「○○専門医の制度」が立ち上がっていない分野もあり、広く看板に掲げられていません。ある先生が得意としている分野があるのだけれど一般の患者さんが知る機会が無いということもあるでしょう。たまたまその得意分野の病気に遭遇したら分かるのにと思いますが、病気になるのは好ましいことではありません。ホームドクターのほとんどは「専門の」または「得意の」分野を持っています。もし機会があったら診療の合間に尋ねてみると良いかもしれません。キラキラした瞳で専門分野のお話しをしてくださるだろうと思います。

さて、そのようなこともあり、今回、白内障については、ホームドクターがしていること、そしてご縁があればご紹介させていただく獣医眼科専門医のことも交えて白内障のお話しをしました。私は眼科は専門ではないためご紹介を取らせていただいております。これからもジェネラリストとして、それぞれの動物の最善を考え、間違いのない治療をするよう努めていきます。




次回は失明した犬との暮らしについてお話しします。


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犬の白内障・3

犬の白内障について3回目です。

「うちの子の手術には不安が残るなぁ」ということが大方のご意見だろうと思います。これは「手術関連ではどんなことがあるのかをよく知らないから」なのかもしれません。少し具体的にお話しします。「なるほどわかった。これなら受けられるかも。」と思われるか、「やっぱり無理だわ。こわい。」と思われるか分かりませんが、ひとつの判断材料にはなるでしょう。手術についてお話しします。

<白内障の手術は絶対に必要なわけでは無いけれど>

白内障手術は、ヒトでは一般的に行われる手術ですが、白内障になったすべての犬が白内障手術を受ける必要があるかというとそうではない場合もあります。実際、ほとんどの犬は白内障の手術を受けていません。犬の場合、水晶体の不透明度は小さくても大きくても白内障ですが、どれもが視力を著しく損なうものではないからなのかもしれません。犬の目に白内障があるからというだけで、すべての犬が白内障手術を受けなければならないことはありません。白内障手術が必要になっているかどうかは獣医眼科専門医の判断によります。

白内障手術は、生命には無関係の手術です。救命手術ではありません。犬のQOLを高めるための手術です。犬が白内障手術を受けることができるかどうかを決定する前に、獣医眼科専門医は多くの基準に適合しているかどうかを細かくチェックします。白内障手術で盲目に近くなった犬の視力を回復させてあげられることは獣医眼科専門医にとってとても満足度の高い仕事です。おおきなやりがいがあるわけです。彼らによって手術され、視力を失った犬がもう一度視力を取り戻すことができるようになるわけですから。盲目だった犬が家族を見て、おもちゃで遊んで、素晴らしい景色を見ることができるようになるというのは、犬にも家族にも、人生が変化するくらいのできごとにちがいありません。犬が高齢で、聴覚障害や認知機能障害を抱えている場合なら、その視力を回復して生活の質を大きく変えることができるとすれば、もっとそう感じるだろうと思います。

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<手術の様子は?>

イヌの白内障手術のために使用される手技と器具は、人間に使用されるものと同じです。手術に使われる機器は非常に高価です。手術は高倍率の手術用顕微鏡を使い行われます。水晶体を超音波で乳化し吸引する装置も高価な機械です。

目(角膜または結膜)に3mmほどの小さな切れこみをつくり、そこから水晶体を保持する袋(水晶体嚢)に穴が開けられます。その後、特殊なプローブを差し込み、水晶体を超音波乳化して水晶体嚢内の濁った内容物すべてを吸引していきます。曇った水晶体が除去された後には空になった水晶体の袋が残ります。眼内レンズ(Intraocular lens : IOL)をその袋の内に挿入します。眼内レンズは、硬質ポリマープラスチックレンズまたは軟質折りたたみレンズのいずれかです。挿入する眼内レンズは、どちらにするか、またソノサイズにするのか、獣医眼科専門医が選びます。それから非常に細い吸収縫合糸で眼を閉じていきます。犬の眼の構造物に、ほんのわずかな傷がついても悲惨な影響を及ぼすことがありますので、白内障手術はとても技術の高い、繊細な手術です。

両眼が罹患している場合、通常は両眼を同時に手術されます。

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<どのくらい見えるようになる?>

犬の白内障手術がうまくいくと、傍目にはほぼ正常に見えますが、犬は完璧な視力を取り戻すわけではありません。元の生体レンズがいかに精密に作られているのかということに尽きます。

犬は手術後、ヒトよりも多くの炎症をおこすのでより瘢痕を残しやすくなっています。この瘢痕は視力をわずかに低下させます。手術後の炎症や瘢痕(水晶体嚢胞白濁)は、抗炎症薬および経口抗酸化剤補給の両方によって軽くすることができます。レンズの摘出術は、特に子犬や若犬で関心をもたれますが、不透明化のリスクを軽減する最も良い方法は、眼内レンズの植込み、ブドウ膜炎のコントロール、日々抗酸化剤の補給を行うことです。抗酸化物質サプリメントには、相乗的に作用して不透明化のリスクを軽減するための成分が含まれています。水晶体嚢が不透明になると、それらは獣医学的に元に戻すことはできません。人では白内障手術後に発生する嚢胞の不透明をレーザー手術で軽減することができるそうですが、犬ではできません。ほとんどの飼い主さんは、白内障手術が行われた後、犬が驚異的に視力を取り戻しているのに気付かれますが、視覚困難が残ることも知っておいてください。

手術後、白内障は再発することはありませんが、形成された瘢痕組織、緑内障、網膜剥離のために、白内障手術後の視力年数がそう長くない犬もいます。術後再び失明する確率は3年後で10~20%だそうです。それからまれなケースになりますが、白内障手術の時点で眼内レンズの設置ができない犬もいます。
術後数週間、数ヶ月、または生涯にわたって再診と、抗炎症薬などの点眼薬が必要になります。手術の後も、特定の抗酸化剤サプリメントを使用すると、二次的な緑内障や網膜剥離のリスクを軽減するのに役立ちます。

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<白内障手術は高価?>

白内障手術は高価だと思います。それは特殊な装置と、獣医眼科専門医に高度なテクニックのトレーニングが必要なためです。犬の白内障手術に使用される機械と器具は、人の白内障手術に使用されるのと同じものです。さらに、認定の獣医眼科専門医は高度なトレーニングと専門知識の取得のために多大な資金を使っています。特別な治療を受ける対価として高価であるに違いありませんがが、いろいろなことを考慮すると妥当なところになるのだろうと思います。

人は白内障手術を受けるとき保険に加入しているため、通常正規料金を窓口で支払うことはありません。犬ではそうはいきません。犬の白内障手術とそれに関連した診察や治療のための費用、100%を支払うことになります。遺伝性の白内障の場合、保険会社によっては遺伝性疾患の手術を除外することがあるかもしれません。犬の健康保険を持っている場合は、白内障手術をカバーするかどうかを保険会社に確認してください。主な保険会社では、高齢犬に発症した白内障の手術は、保険適応内になるようです。

    
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<白内障手術を受けるとき>

最初のステップは獣医眼科専門医による診察です。紹介させていただきます。予約の診療になります。

専門医のいる病院では、検査を実施して愛犬が手術適応かどうかを判断します。手術前には全身の身体検査と血液検査も行われます。全身麻酔のリスク評価をするためです。これらの検査に合格すると、眼科専門病院では網膜電図検査(electroretinographyERG)や眼球専門の超音波機械を使っての検査が実施されます。こちらの検査は鎮静処置されたのちに行われるので、犬は不安や不快感を引き起こすことはありません。ERG検査は白内障手術を行うために、カメラのフィルムに相当する網膜が機能しているかどうかを調べるために行われます。眼の超音波検査は、網膜剥離がないかどうかを判定するために必要な検査です。さらに眼の排液角度を評価し、眼が術後に緑内障を発症する遺伝的リスクが増加しているかどうかをみるのにゴニオスコピーの検査を実施されるかもしれません。

こうして超音波検査やERG検査に合格すると、白内障の手術を予約することができます。手術当日は手術前の集中的な眼科治療を受けるため、朝早く病院に到着する必要があるかもしれません。術前には規則正しい時刻でいろいろな点眼薬の投与がされ、着々と手術の準備が整っていきます。そうして全身麻酔下で手術が行われ、順調であれば数日を病院で過ごした後に帰宅できるようになります。

手術後は胴輪を着用してもらいます。散歩をするときのリードは首輪ではなく胴輪に付けるのです。それは頸静脈に圧力がかかり、眼圧が上昇するのを防ぐためです。

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<手術を受けてから>

術後帰宅してからも指示通りに点眼薬をつけ、内服薬を投与するよう指示が出ます。目を自分で傷つけてしまわないように、犬はエリザベスカラーをつけて帰ってきます。生活に不自由なことがあっても、絶対に外さないでください。それから毎日ていねいに眼を観察してください。視力は通常、手術後1週間のうちには(通常は24時間以内に)改善されますが、機能的視力の復帰には23週間かかることがあります。ほとんどの犬は手術後にわずかな痛みがあるか、または全く示さないこともあるようです。退院後もたびたび再診の必要があります。決められた日に再診に出かけてください。



犬の白内障の手術は人のように「あたりまえ」になっていません。またあれこれ制約も多いし、術後はさらに「やらなければいけないこと」が沢山あります。でもそれをやってのけ、得られることは大きいので、もし「頑張れそう!」という場合にはぜひ手術への道を選択してみてください。

長くなりました。次に続きます。

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犬の白内障・2

犬の白内障のお話し、続きです。
2回目の今回は内科的な治療のことについて。 

<白内障の治療法>

白内障を発症すると、そのままでは再び水晶体を透明にする方法は知られていません。また点眼でも水晶体を透明に戻すことはできません。
病期でいうと、未成熟、成熟、それから過熟白内障は、外科的に治療することができます。「外科手術であれば、水晶体の濁りをとりのぞき、再び視力を取り戻すことができる」かもしれません。
ですから白内障の根治手術は外科療法になるのです。

 
<白く濁ったレンズはもとに戻らない>

白内障を元に戻すことはできません。水晶体が曇ってしまえば、それを取り除くための白内障手術が行われない限り、濁りはそのままです。2つだけ例外があります。

1)栄養性白内障は、栄養状況が良くなると時間とともに改善できます。

2)過熟白内障は、経時的に透明な領域が出てくることがあります。

けれど、①はごくまれなケースで老年性の白内障を心配している場合には無関係です。そして②の場合は、過熟白内障のステージで水晶体起因性ぶどう膜炎になったときに生じ、これは網膜剥離、緑内障、水晶体の脱臼を起こす可能性が出てきますから、良くない兆候なのです。

 
<手術を選択しなかったら?>

未成熟~成熟~過熟期の白内障は、手術してあるかどうかに関わらず、目の中の深刻な反応性炎症
(水晶体起因性ぶどう膜炎)を引き起こす可能性があります。水晶体起因性ぶどう膜炎になると、緑内障または網膜剥離などを併発することがあります。また水晶体起因性ぶどう膜炎があると白内障手術をしようと思ったときに手術の成功率を低下させてしまいます。ですから水晶体起因性ぶどう膜炎を発症していないかどうかを確かめること、もし発症してしまった場合はしっかり治療することが大切になってきます。
合併症としてレンズの脱臼や緑内障を発症すると、眼が痛みます。頭痛のかたちで愛犬に痛みが襲ってくることもあります。

ですから、手術を選択しない場合でも、定期的に眼の診察は受けてください。目薬はずっと投与する必要があります。白内障の手術を行うのには最適な時期があります。はじめは手術をしないつもりだったけど、後で手術することに気が変わったわというようなとき、外科手術成功率は時間の経過とともに低下してしまうし、後日になってからはもう手術をすることができなくなったという場合もあります。

白内障手術をしなくても合併症を発症することもなく大丈夫かもしれないし、そうではないかもしれません。このあたりは時間経過しないとわかりません。けれど最終的に水晶体起因性ぶどう膜炎に次ぐ緑内障を発症するか、または非常に痛みを伴うレンズ脱臼を発症するという最悪の事態が起こる可能性は残ります。このような状態を何らかの薬や点眼薬で事前にコントロールすることはできません。発症してからは痛みを抑えるために眼球摘出手術を行うか、または、視力の望みがある場合には、石灰化した水晶体の除去手術をすることになるかもしれません。緑内障の場合は別の手術があります。

白内障で視力を失ってしまっても、たいていの犬は安全で安定した環境にいます。ほぼ、100%屋内飼育で、高齢になっているために静かで動きの少ない日常を過ごしていると思います。目が痛いことがなければ、視力喪失にも適切に対応できます。部屋の中の家具の配置などはもうすっかり頭にインプットされているでしょうから。問題は犬が白内障由来の痛みを持っているのかどうかを正しく判断できるかどうかです。これは意外に難しいと思います。二次的な緑内障を発症していれば頭痛がありますが、進行してこないと犬は明らかな痛み(のそぶり)を見せることはありません。でも緑内障になった時には目が大きくなって、視神経の破壊のために完全な失明になってしまいます。この眼球が大きくなった状態まで進行してしまうと、増加した眼圧を制御するのに点眼薬や内服薬の投与では不十分で、痛みを和らげるため別の手術が必要になります。

結局、「手術が必要になります」しか言ってなくてごめんなさい。愛犬が痛みと折り合いをつけ、飼い主さんが愛犬の顔貌の変化になじんでしまえば、従来の手術をしない選択も有りになるのですけれど。

さて。もう一度、念を圧しておきます。
犬に白内障があるけれども手術を受けようと決断する余裕がない場合はありますよね。それは経済的な意味に限らず、眼にメスを入れるという恐怖からも踏み切れないでしょう。そのようなときでも定期的な診察で眼を評価することは非常に重要です。白内障から生じる合併症を予防するためには罹患した目の診察と治療とが必要です。白内障は水晶体起因性ぶどう膜炎など多くの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。合併症も初期であれば対応ができます。でもどうにもならなくなってからは、やはり手術という選択しか無くなってしまうことがあって、その手術も眼球摘出手術になることもあります。さらに外科による目の喪失ではなくて、自然経過からの目の喪失もあることも知っておいてください。



<やっぱり内科的な治療を希望します>

それでも、外科手術に踏み切ることができないという場合、または早期の段階でまだ手術には及ばないときに治療はできないのかというと、そうではありません。
白内障の発症の重症度を予防または軽減するのに、水晶体へ栄養的なサポートをすることができます。よく「進行を遅らせる」と言っている治療法がそれです。点眼療法です。さらに犬の眼をサポートするために特別に設計されたサプリメントがあります。サプリメントには飲ませるサプリと点眼液として水晶体に栄養を届ける眼のサプリの二つがあります。点眼液のサプリは、点眼薬と間違えられそうですが、効能からするとサプリメントの扱いになるため、「点眼液サプリ」としてご紹介します。はじめに点眼療法を選んだからといって、後に手術をする妨げになるわけではありません。抗酸化剤の補給は、白内障手術後に発生する眼の炎症を軽減するのにも役立ちます。

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進行した白内障で合併症を発症するときがあります。

<白内障関連で処方する薬>

「白内障ですよ」と診断されたときに処方する目薬、サプリメントについてご紹介しておきます。

白内障で外科治療を選択しなかったら無治療のまま経過させてしまうわけではありません。内科治療はおうちでの経過観察、そして定期的な病院診察を行い、何か合併症が発生したのをすぐに見つけられるようにするという面で意味のあることです。たいていは水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)の治療が主な治療になります。白内障の発生から水晶体起因性ぶどう膜炎を発症するまでは平均で17か月で、若いとそれよりも期間が短いようです。

初発白内障だったら、まだ濁りはほんのわずかのはずです。この時期には水晶体に栄養を送り、水晶体内部の化学反応から濁りが始まるのをセーブしていくことができます。この時期から始めるのがポイントです。もっと進んで白さが際立ってきてからでは遅いです。「あらっ!」っと思ったときから始めるのが大切です。「まさかぁ」「まだそんなに白くないし」「目は十分見えてるよ」の段階です。

このときに使われるのが「進行を予防する目薬」で、ピレノキシンやグルタチオンが使われます。

サプリメントも使われます。抗酸化作用のあるものです。犬専用の点眼液、経口サプリがあります。プロアントシアニジン、N-アセチルカルノシンです。

未熟白内障の末期になってくると水晶体起因性ぶどう膜炎を併発することが多く、目が赤く充血し始めます。それでもまだ眼圧は高くないところです。この頃になると、非ステロイドの消炎鎮痛薬(NSAIDs)の点眼液が適応になります。いろいろなものがあります。プラノプロフェンやジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウムなどが代表的な物です。

水晶体起因性ぶどう膜炎が重度になると、非ステロイドのお薬では炎症を抑えられなくなってきます。こうなってくるとステロイド点眼薬が出番です。ステロイド薬は角膜に傷があると傷を悪化させてしまうので、角膜に注意しながら投与します。ジフルプレドナート、デキサメサゾン、ベータメサゾンなどがあります。

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白内障の手術の簡単な説明も掲示しました。




犬の白内障について、内科治療を中心にお話ししました。
次回は、手術についてお話しします。

10月10日は目の愛護デー。あなたの愛犬の素晴らしいビジョンがいつまでも続きますように。もちろんあなたのアイビジョンも。



 

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