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頑張った猫ちゃん、シロちゃん

 今日は頑張った猫、シロちゃんのご紹介です。

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今のシロちゃん。
やっぱり病院に来ると緊張しちゃうみたい。
お目目がまん丸になりました。



シロちゃんは、名前の通り白い毛の猫さんです。地域猫として、Oさんの仕事場近くに住んでいました。

「いつも顔を出す猫ちゃんの足がなくなってるの!でもね、捕まえようとしたんだけど、3本足で走ってね、いなくなっちゃったのよぉ。」

Oさんが自宅で飼育している猫さんの診察にいらしたとき、心配してシロさん情報を伝えてくれました。Oさんの仕事場近くには線路があり、電車にひかれちゃったのではないかということでした。どの程度の傷なのか、気になります。ほんと、どこかで死んじゃってるのでしょうか。心配です。

それにしても猫ちゃんは気丈なものです。その傷ついた足を抱えながら、3本足で歩いているのですから。

 

その翌々日の昼休憩、Oさんが飛び込んできてくれました。

「センセー!捕まったわぁ~!」

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術後のシロちゃんです。
しっぽ短くなっています。
だらり~ん、つらそうです。





さてさて、猫さん(そのときはまだ名前が付いていませんでした)、ちょっと興奮気味でしたが、全身のチェック、そして血液検査などおとなしく(というほどでもないですが、派手な抵抗もなく)させてくれました。

右の後ろ足は膝から下がなくなっています。傷は化膿して、異臭を出していました。頼みの綱の左後ろ足ですが、指がいくつかありませんでした。これだけでも重症なのに、この左足を着けて歩いていたなんて、えらかったわね。それから尻尾の先っぽも痛めていて、ここも切除しないとだめそうでした。血液検査の結果から貧血があることは分かりましたが、手術をしないわけにはいきません。すぐに点滴ができるように静脈内に針を通し、抗菌薬の点滴を行いながら全身麻酔がかけられました。時刻は3時を回り、午後の診察時間になってしまいましたが、緊急ですもの、ごめんなさい。外来診察もお預かりや、お待ちいただくようなかたちで、猫さんの手術が始められました。(この日診察にいらしてお時間をくださった患者さん、ありがとうございました。)

 

手術は3か所です。まずは一番ひどいところ、失って化膿している右の後ろ足の汚い部分を取り除いて、きれいな部分でとどめ、先を皮膚でくるむ断脚の手術です。骨の先を筋肉でくるみ、さらに皮膚がはじけないようにゆとりを持って縫い合わせます。それから、左の後ろ足ですが、なんとか残った指とパットを無理のないようにつなぎ合わせる形成手術です。縫い合わせの仕方によっては、この足を着地して歩くため皮膚がずる剝けになってしまいます。着地する部分がけずれてしまわないように、また突っ張って傷がはじけてしまわないように注意深く縫い合わせました。それから尻尾の手術です。気になる尻尾が長すぎると残った尻尾の痛みを感じ、先々猫が噛んでしまうので、やや短めに整形しました。麻酔から2時間。猫さんの手術は無事終了しました。

外科チームはあとを祈るのみになりました。

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右後ろあしは切除してなくなっています。
痛々しいです。
投げ出された左後ろ足もほそーくなっています。




そこからバトンタッチされたのが、術後管理を担当するチームです。

元々が屋外で暮らしているので、栄養状態も優れているわけでもなく、軽度の貧血も手術により喪失した血液もあることから、悪化してました。そんなわけでなかなか思うように状態が良くなっていきません。舐める程度には食餌もしてくれましたが、ウンチの状態もゆるゆる。下痢便です。検便すると「マンソン裂頭条虫」や「つぼ型吸虫」などの、へびやかえるを中間宿主にするおなかの寄生虫がいることも分かりました。点滴したり、駆虫薬を与えたり、傷の消毒をしたり。健康な猫さんなら、悪いところを取ってしまうとぐんぐん良くなっていくのに、隣室の猫舎が入れ替わり立ち替わりニューフェイスに変わっていくのに、シロちゃん(この頃にはすでに、呼び名はシロちゃんになっていました)の部屋だけ、新陳代謝なし。点滴もアミノ酸を入れたものやちょっとハイカロリーなものにしても、ぐぐぐーっと良くなる気配が見いだせませんでした。かろうじて体重はキープ。だけど、ここでガツンと力が欲しいですっ!

 

「ハートさんちの夢子ちゃん」はいつも誰かの命を救う救世主。みんなのエンジェルなのですが、今回も夢ちゃんが血液を分けてくれました。いつも感じることですが、輸血のための血液をドナーから採血するのは心が痛みます。こんなことするために生まれてきたんじゃない。だけど動物病院に飼われているからという理由で、何度となく血液を供給してくれています。私たちは善意で自分の血液を献血するし、自己血輸血のために術前に採血することもあるでしょうが、すべて自分の意思です。でも、猫も犬も、そんなことはありません。

「ごめんね、夢ちゃん」。

 

そんな悲しみを抜け、夢ちゃんから赤血球の命をもらうと、シロちゃんはめきめきと良くなってくれました。そして、お外猫の意地を見せつけてくれます。

「しゃー!」

おいおい、それはないだろぉ~(泣)

こうして、そのあと体重も増え、鉄剤の効果も出て貧血も改善され、シロちゃんの体重は一番少なかったときの2割増し。すっかり傷も癒え、Oさんに連絡できる日が来ました。


 しろ4
今のシロちゃん。
しっぽの毛がなかなか伸びてきません。
なんだか目立っちゃうなぁ。
指2本がなくなった左後ろ足は
機能異常をほとんど感じさせません。


Oさん、その後仕事場から自宅に連れて行ってくださり、今は先住猫さん(おっとりしたやさしい猫ちゃんなのです)も受け入れてくれ、シロちゃんは立派な飼育猫さんになっています。

ほんと、シロちゃん、よく頑張ってくれました。

そして保護してくださったOさんにも感謝です。

 

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ご支援ありがとうございます。

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袋物のほか、アクセサリーなどの小物もあります。
手作り上手な患者さんのご協力です。

おわりに

今回の手術と入院の費用は、病院とOさん、そして皆さんからいただいた「のらねこさんのためのご協力金」を一部利用させていただきました。ありがとうございます。今後も身寄りのない猫さんの救助に使わせていただきます。これからもご協力願えると助かります。

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

クリスマスの危険

 ホリデーデインジャラス!

今年はクリスマスに向けて3連休といううれしい並びになりました。今日は「みんなが楽しんでいる休日に犬や猫に訪れる危険なこと」をお話しします。これに失敗するとあなたの休日も台無しです。気を引き締めて、まず危険物を動物から遠ざけておきましょう。

 
イラスト家族とクリスマス

1、ハウスクリーニング

洗浄液 

ゲストのためにおうちをお掃除しているときに使われる掃除品の中には化学的に良くないものもあります。台所や浴室の洗浄や床用のワックスがけなど、動物が入らないようにして掃除を始めましょう。熱が入ると近くにいる動物のことを忘れがちになります。
といっても、今からパーティーのご準備に使われるというより、大掃除になるのかもしれませんね。

2、タマネギやニンニク

いらすとたまねぎ

腕を振るってごちそうを作られる方もおありでしょう。タマネギやニンニクは調理途中の細かく刻んだものも、調理後の甘いものも動物にとって危険です。溶血(赤血球を溶かします)性の中毒を起こします。切れ端を落としたり、コロコロのペコロスを転がして遊んでいるうちに食べてしまうことがあります。ご注意ください。


 
3、脂肪たっぷりの食品
イラストオードブルイラストクリスマスケーキ 
クリスマスのオードブルやケーキなど、脂肪分を多く含む料理が重なります。これらのごちそうを食べると、急性膵炎のもとになります。嘔吐や下痢、腹痛で元気や食欲を無くします。膵炎はとても怖い病気です。


  
4、チョコレート
チョコレート

チョコレート中毒も心配されます。食べると嘔吐、高血圧、心拍数の増加などをおこします。チョコレートに含まれるテオフィリンは心臓に良くありません。


5、ブドウやレーズン
レーズン

ブドウやレーズンは大量摂取で急性の腎障害を起こすことが知られています。

6、シュガーレスキャンディー
キャンディー
キシリトールは低血糖をおこします。また肝臓に悪い影響を与えます。

7、鳥の骨
イラストチキン

骨付き肉はクリスマスのごちそうですが、鶏の骨は縦に裂け消化管を傷つけます。

8、アルコール
イラストワイン
 犬も酔います。その後低血圧や昏睡になることも。甘口のアルコールを喜んで口にするかもしれませんが、面白がって与えないでください。

9、ポインセチア

 イラストポインセチア
お部屋の植物にも
危険なものがあります。クリスマスのグリーンとして人気の高いポインセチアは誤食すると消化管刺激作用があります。


10、百合



イラスト百合

カサブランカなど、大ぶりの百合はお部屋をリッチに演出してくれます。こちらも誤食は腎臓に悪い作用があります。また生花を活けた水を飲んでも影響が現れます。注意してください。


11、ヤドリギ

 クリスマスリースに赤や白のヤドリギが使われることがあります。しかし食べると消化管刺激があります。シャミシャミ癖のある猫には特に注意が必要です。

12、キャンドル
イラストろうそく
キャンドルは食卓にもお部屋にもおしゃれな演出が出来ますが、犬の尻尾はキャンドルを叩き落とし、ぼや騒ぎを起こす危険があります。


13、クリスマスツリー

イラストツリー

猫がクリスマスツリーに上って木を倒すことがあります。けがに注意してください。

14、オーナメント
イラストオーナメント

ツリーを彩
るオーナメントも、犬や猫がじゃれて遊んでいるうちに誤飲してしまうこともあります。



15、ティンセル

 キラキラのクリスマス飾りは犬にも猫にも魅力的です。特に猫はリボンのように長いものが大好きです。はじめは舐めているだけに見えますが、舐めながら飲み込んでしまうことがあります。

16、電気コード

イルミネーション

チカチカ光る
小さなライトにも注意が必要です。じゃれて遊んでいるうちに噛んで感電してしまうことがあります。



17、お客さま
イラストおきゃくさま

パーティーに訪れるお客さまが動物のストレスになることもあります。またぱっと開いた玄関の隙間から屋外へ飛び出ることもあるかもしれません。クレートでひとり静かな夜を過ごさせてやるのも愛情です。


18、暖房器具
イラスト灯油ストーブ

電気コードを絡ませたり、灯油ストーブの上に飛び乗ったりなどトラブルが発生することがあります。関心の目が動物からそれやすいため、あえて、注意する必要があります。

追加:スノーグローブ

イラストスノーグローブ

スノーグローブは傾けて揺らすと雪がちらちら舞うように見える置物です。
犬や猫が台に乗って落とすと割れて中身が出てきます。
ガラス片でパットを傷つけたり、液体にエチレングリコールが使われていることもあるので
誤って摂取すると急性腎不全をおこします。
動物の手の届かないところに飾っておきましょう。


 

さて、年末も押し迫ってきました。どうぞどなたさまもお健やかに新しい年をお迎えください。この寒空のもと、無理してお仕事なさいませんよう。くれぐれもご自愛ください。

ことしも当ブログへお越しくださり、たいへんありがとうございました。またお電話やコメントで新しいつながりの出来ましたこと、とてもうれしく思います。
    合掌

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

高齢猫の体重減少

 高齢猫の体重減少についておはなしします。

 

高齢猫の体重減少はよく認められる症状です。猫の寿命はこの20年くらいの間にとても延びてきたので体重減少が気になる猫も増えてきました。

しかし高齢になった猫は生理的に体重が減ってくるものと思われていて、体重変化にあまり気を使ってもらえない節があります。確かに生理的な原因からも体重減少は発生します。栄養素(脂肪やたんぱく質)の消化・吸収能力が低下するため、同じだけ食べていても太らず体重が減ってきます。初期はこのような仕組みに対して代償機能が働くために、これまで以上に良く食べる(多食になっている)こともあり、「しっかり食べるのだから」と心配に及ばないこともあるでしょう。これと反対に味覚や嗅覚が変化してくるため食の嗜好性が変わって、これまで喜んで食べていたフードを食べ残す現象が出てくることもあります。多頭飼育ではこの食べ残しを他の猫が食べてしまうため、気付かれずに過ぎてしまいます。

このように消化吸収能力の低下が体重減少につながるケース、食の変化が体重変化につながるケースのほかに、病気に由来して体重が減少するケースもあります。最も心配なのは病的原因による体重低下です。

生理的な理由による体重減少であっても、食事の変更によりこれを補うことができれば、もとの体重を取り戻すことができるでしょう。また、病気が原因の体重減少であれば、なおさらのこと病気に対処してもとの体重を取り戻したいものです。

まずは体重変動に気付くことから、そして、病気由来の体重減少ではないかを確認し、さらに原因となる病気を探り、それぞれの疾患を治療しましょう。

 

 

<体重の変化?>

前回の体重から今回の体重を引いたものが体重差です。この体重差は何百gとかの変化になるだろうと思います。しかし、もとが数kgですから100g200gのことでも人に換算すると大きな変化になります。それでこれを体重減少率という割合にして考えていきます。

例えば1年前に6.0kgあった体重が今年の検査で5.2kgに変化していたとします。800g減です。0.8÷6.00.13これに100をかけた数値、13%が減少率です。1年で13%の体重減少がみられました。

10%を超える体重減少は有意な減少で、ウンチやオシッコのことや食後かどうかを考慮したとしても体重低下が認められます。すぐに対処した方が良いでしょう。5%から10%の間にある場合も検査を受けた方が安心です。5%未満の減少であれば心配の要らない場合もあるため、近いうちにもう一度同じ条件で体重測定をし、さらに体重減少が続いていれば検査に入りましょう。

 

<食事量は適正だろうか>

何をどのくらい食べているのかは、個体の健康を探る上でとても大切なことです。エネルギー要求量に見合ったカロリー摂取がなければいけません。痩せてくると免疫力も低下し、さまざまな病気を呼びこんでしまいます。

食欲の変化は無いでしょうか。口内炎や歯科疾患があり、口が痛かったら食べる量は減少してきます。これまでと同じだけ食べられているのでしょうか、正確な把握が必要です。

また食べたものが消化器疾患等により、おさまっておらず、嘔吐などにより出てしまっていないかどうかも今一度確認してもらえるといいですね。

 

 

<高齢猫に体重減少をもたらす病気>

高齢猫で慢性的に体重減少を引き起こす原因となる病気がいくつかあります。高齢の猫は加齢に伴って免疫機能の低下を招きやすく、そのため感染性の病気や腫瘍にもかかりやすくなっています。高齢猫に発生しやすい(体重減少を伴う可能性のある)病気をあげておきます。

・甲状腺機能亢進症

・慢性腎臓病

・糖尿病

・炎症性腸疾患や消化管の腫瘍

・猫免疫不全ウィルス感染症

・消化管以外の腫瘍

・肝臓の病気

・猫白血病ウィルス感染症

この中で、正常に食欲があるにもかかわらず体重減少を起こしやすい病気は以下の4つです。

①甲状腺機能亢進症

 体重減少そのものがこの病気を示唆する初期症状になっています。

②糖尿病

 高齢猫の好発疾患です。増加傾向にあると思います。栄養(ブドウ糖)が体に利用されることなく尿と一緒に排泄されてしまうので猫は痩せてきます。

③慢性腎臓病

 腎臓病の初期は食欲があっても痩せてくることがあります。腎臓病になると食欲がなくなる、というのはある程度進行している場合です。

④炎症性腸疾患

 食欲の変化と嘔吐、下痢を伴う場合があります。あまり馴染みのない病名かもしれませんね。この病気のときもとても痩せてきます。

 

 

<病院へ行く前に>

まず、いろいろ思い出してみてください。

①食欲は?食べる量に変化は無いかしら?

②飲水量の変化は?尿はどうだろう?

③嘔吐は無いかしら?

④下痢や便秘はどうだろう?

⑤毛のつやはある?

⑥目が悪くなってきていない?

⑦最近飼育環境に変化は無かった?

⑧痛がるところは無いかなぁ?口やそのほかのところも。

⑨何か行動が変化したようなことは無い?

 

 <総合的な検査のはじめに>

病院では一般身体検査を行います。

皮膚は?目は?口は?様子を見ます。(視診といいます)

お腹の中に塊は無いだろうか?さわってみます。(触診です)

心臓や肺の音はどうだろう?(聴診です)

そのほか、歩様を診たり、神経学的な検査をすることもあります。

血圧測定も行いましょう。

複数の問題が隠されている場合が多いからです。

 

 

<問題点を整理します>

お家の方に伺った家での様子と、病院で観察できた様子から、ありがちな病気に的を絞って考察します。

こんな可能性は無いかな?あんな可能性は無いかな?これが大丈夫だから、この病気は否定できそうだな、という感じです。

それで検査のプランを立てます。どんな検査が有用になるのか、無駄にたくさんは行わないように考えています。

 

<検査室の検査>

血液や尿の検査を実施します。

ここで異常値が出るとさらに追加検査が必要になることもあります。

 

<画像の検査>

レントゲン検査や超音波検査などを実施します。

異常が見つけられないときにさらなる検査に進むかどうか悩むことになるかもしれません。

次は内視鏡と細胞の病理検査です。さらに試験開腹が必要なことも出てきます。これらの検査は麻酔が必要です。

 

以上の検査は順に行います。ですから途中で体重減少になる原因が判明すればそこから先の検査は行いません。

 

 

<治療>

体重減少にストップをかけるため、いくつかの治療があります。原因療法は体重減少を引き起こした病気が確定した場合、その病気に対してとられる治療法です。支持療法は原因療法と並行して特に体重を増やす目的でとられます。また体重減少が生理的な理由であった場合に行われるのも支持療法です。

高カロリーの食事を選んだり、食欲刺激剤を服用したり、ビタミン剤やサプリメントを使うこともあります。嘔吐があれば制吐剤を使用したりもします。

 

最も重要視しているのは食事療法です。最適な食事を適切な量食べて、体重増加につなげるのが重要だと考えています。

痩せてきた高齢猫の多くはこのような支持療法に良く反応して減少した体重を復活させることができます。嗜好性や消化性が高く、ハイカロリーな食事を個別に選択してご紹介しています。ご心配な点がありましたら遠慮なくスタッフにお声掛けください。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

肥満は病気?

今年も残すところあとひと月、朝夕めっきり寒くなってきました。
暖かい秋が続いていましたが、いよいよ冬の到来ですね。

呼吸器系の病気は寒い時期は治りが悪くなります。「お外へ遊びに行く」からといって元気であるとは限りません。猫のウィルス性鼻気管炎を発症させるウィルスは寒くて乾燥している時期に活発になり、ワクチン接種が延びている猫にしのび寄ります。そのまま寒い生活をしているとなかなか回復せず、悪くなっていきます。

屋外飼育の犬も「ぱくぱく食べる」から調子がいいとは言えません。寒くなるとからだを維持するための必要栄養量が高くなりますが、気候の良かった秋口と同じ分量のフードを与えていると知らないうちに少しずつ痩せてきてしまいます。ぱくぱく食べるのではなく、からだが必要としているために「がつがつ食べる」の構図に変化しているのかもしれないのです。

そんなわけで、お外生活の多い犬猫さんには、これからの季節、できるだけ暖かく過ごせるように生活空間を工夫していただき、また食事の量は少し多めにお願いします。
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さて、そんな話とは全く反対。お家でぬくぬく、家族にべったり過ごしている幸せわんこやにゃんこには「体重過多」から「肥満」という生活習慣病が始まっています。前回までの「肝臓のおはなし」の中に出てくる「空包性変性」などは高脂血症のたまもの。こうしたわんこ達は肝臓だけでなく、皮下にも、腹腔内にも脂肪がついていて、いわゆる肥満体型になっていることが多いのです。
「肝酵素が高い、肝臓が悪いんじゃないか、この数値を下げなくては肝臓によくない!」
と思っていらっしゃる飼い主さんがいらっしゃいますが、「肝空包性変性」では高脂血症や高コレステロール血症、そしてなんといっても体脂肪をコントロールしなければ、いくら肝臓によい薬やサプリメントを飲ませても希望通りの結果は出てきません。

「ダイエットねぇ、何度か挑戦してみたんだけど、うまくいかないのよねぇ」
「ダイエット食も与えてみたのよー。でもねぇ、食べないの」
「病院のやつなんて見向きもしないわ。お高いだけよね」
「じーっと見てくるの。あたしの眼を。でね、ついついおやつをあげちゃうの。少しだけよ。ほんのちょっと」
「そもそもうちの子、お散歩は嫌いだし。小さい子だからうちの中だけでも運動は十分でしょ」

みなさんのお気持ちもしっかり分かっています。それでもあえて、今、また、お伝えします。

今月の掲示板は「肥満」特集。
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クリスマスや忘年会、お正月に新年会。ごちそうがたっぷりな今だからこそ、ご注意いただきたい。肥満をテーマにしてみました。

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ひときわ目につくポスターです。


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肥満とはどのような状態なのか、肥満になりやすい犬は?


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どうして肥満だといけないのでしょうか?


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肥満を診断する方法にはどんなものがある?


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ボディコンディションスコアの見方、手にとってご覧ください。

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数々のダイエット作戦に失敗?今度は私たちと一緒にがんばりませんか?


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減量大作戦に有効なフードを集めてみました。

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これもOK。


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猫さんにも。
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こちらもごらんください。


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まんがパンフレットもお手にとってどうぞ。
 

ご来院の折りにご覧いただけると嬉しいです。
なお12月はクリスマスプレゼントやカレンダーなどご用意しております。
数に限りがございますのでお早めにお越しください。



テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

輸血

今日は輸血のことについてお話ししようと思います。

 

 

「貧血です。輸血が必要です」というシチュエーションは今日もどこかの動物病院で普通に繰り広げられているだろうと思います。ままあるできごとです。

 

 

<輸血をしなければならないとき>

1、外傷による大量出血があるとき。

 これは誰でもなんとかしなくちゃ!とおもうできごとです。

2、大がかりな手術で失血が予想されるとき。

 事前に準備してから手術に入るわけです。

3、持続的な出血がある場合の手術をするとき。

 たとえば腫瘍があって、いつもじわじわ出血しているようなとき、原因となる出血を抑え込みに行くわけですが、すでに貧血していますから補いながら手術をすることになります。

 

このように外科に関連した輸血は想像しやすいかと思いますが、貧血を引き起こした内科的な病気の治療のために輸血が必要になることがあります。

 

4、全身状態が低下していて食欲も出てこないようなとき。

 慢性的な貧血がいよいよひどくなってしまったような場合です。

5、溶血などにより赤血球の喪失の勢いが甚だしく造血が間に合わないようなとき。

 前回お話しした免疫介在性溶血性貧血(IMHA)などはその典型的な例です。

6、血小板数の低下で血液凝固に異常があり自然出血が止まらないようなとき。

 同じく免疫介在性血小板減少症(IMTP)です。

7、血液以外の薬で補えない物質があるとき。

遺伝疾患であるフォンヴィレブランド病(血友病によく似た病気です)は、フォンヴィレブランド因子を血液から補って出血を止めます。

このようにさまざまな場合がありますが、ひとことでいうと「輸血をしないと命が危ないようなとき」に輸血を行います。成分輸血ができるのはある程度大きな病院で、一般の動物病院では全血輸血になっています。

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<犬や猫にも血液型があるの?>

輸血、といえば気になるのが血液型です。

犬には9つの血液型があります。その中で重要なのはDEA1.1型とDEA1.2型です。

猫の血液型は3種類。A型、B型、AB型です。

犬も猫も輸血の安全性のために血液型を判定する検査を行います。どちらも簡易キットがあり、院内で検査が可能です。

犬ではDEA1.1(+)、DEA1.1(-)という判定ができます。

猫ではA型、B型の判定ができます。

事前に検査し、輸血による副反応を回避するようにしています。

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1回目の輸血は反応が起こらない?>

犬の輸血では、不適合輸血であっても最初の輸血であれば強い反応が起こるのはまれです。ラフにできますね。

しかし猫は別です。猫ではB型にA型の血液を輸血した場合は1回目でも危険で、A型にB型の血液を輸血した場合は赤血球の寿命が短く、望む効果が得られません。きちんとマッチした血液型同士の組み合わせで行うのが効果の得られる輸血になります。

 実は猫の血液型に関する問題は輸血に限りません。B型のメス猫にA型のオス猫を交配し、A型またはAB型の子猫が産まれた場合、B型の母猫から初乳を飲んだ血液型の異なる子猫(A型、AB型)は新生子溶血を起こすことが知られています。交配に際してこの予防措置をとることは生まれた子猫を不幸にしないために必要なことかもしれません。B型の多い品種は研究により明らかにされていて、ブリティッシュショートヘアー、バーマン、コーニッシュレックス、デボンレックスあたりが2059%、アビシニアン、ペルシャ、ソマリ、スコティッシュフィールド、スフィンクスあたりで1120%です。

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<輸血前にもまだ検査>

輸血前までに個体の健康状態を知るため、さまざまな検査が実施されていると思います。それでもまだ検査を行います。

血液型の適合をみる検査のほかに、クロスマッチ試験を行います。これは必ず行います。血液型を知ることができない状況であっても、この検査だけは顕微鏡さえあればできるものです。

ドナー(供給する側)の赤血球とレシピエント(受け取る側)の血漿を合わせる主試験は、輸血した赤血球が体内で壊されないかどうかをみるものです。

ドナー(供給する側)の血漿とレシピエント(受け取る側)の赤血球を合わせる副試験は、輸血した血漿がもともと体にある赤血球を破壊しないかどうかをみるものです。

輸血した血液中の血漿は量的に薄められますから、あまり問題にはなりませんが、クロスマッチ試験では主試験、副試験の両方ともをチェックします。

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<輸血を始めます>

血液型も適合し、クロスマッチ試験でも適合が確認されたら、輸血量に相当する血液をドナーから採取します。新鮮な血液が一番効果を発揮します。

犬からは20ml/kg、猫では10ml/kgくらいが最大採血量です。1回の採血で2回分使えるくらい(2症例を助けてあげられること)の量を取れるといいよね、というのが理想ですが、ドナーにも無理のないくらい、レシピエントにも効果的な分量というと同じくらいの体重の個体からそのままそっくり1回分ということが多いです。

輸血前に抗ヒスタミン剤やプレドニゾロンなどを注射し、できるだけ副反応が起こらないようにします。

準備が整ったら、一般の輸液から輸血に切り替えます。血液が滴下しはじめたらこまめにレシピエントの様子を観察します。副反応が起こったらすぐに対応ができるようにするためです。麻酔の時のようにこまかにモニタリングすることもあります。

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<輸血は安全に命を救うものか?>

輸血の効果があると、予定分量の滴下が終了するころには皮膚に赤みがさしてきて、気分さえよくなるのか食事もじきに始められる個体もいますが、すべての個体で劇的な効果が認められるものではありません。中にはひどい副反応を示す場合もあります。

血液型の不適合は事前の検査をしっかり行っていても起こすことがあります。

副反応のうちでは血管内で赤血球が溶血するために起こる反応が最も多く、呼吸、脈ともに速くなります。じんましんやアナフィラキシーショックのようなアレルギー反応に関係する反応では顔が腫れたり、血圧が急に下がったりします。発熱性の反応を示すこともあります。

重篤な症状ではすぐに輸血を中止し処置を施します。軽度で薬剤投与により乗り切れそうであれば、少々の休憩の後、スピードを落として再スタートすることもあります。

命にかかわる状態だったから輸血が適応になったわけですが、輸血による副反応のために命を落とす結果にならないとも限りません。そこまで副反応が強く出ていなくても、個体によっては少しつらい治療の範疇になる場合もあります。輸血をすれば今の状態から回避できて、体調不良が迅速に回復するわけではないことも念頭に入れておいてください。

そのようなわけで、「随分いろいろな検査をするのだな」という思いは「輸血の必要性の確認を丁寧に行っているのだな」という方向に持っていっていただけると大変ありがたいと思います。

 

 

追記

 輸血を受ける際こころの余裕がありましたら、供血犬または供血猫として日々を送り、折りがあると血液供給をしてくれる動物に対して愛情をいただけるとうれしいです。また心を鬼にして採血している私たちの、薄情だなという自問に対しても救われる気持ちがいたします。ありがとうございます。 

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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