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犬と猫の災害避難・続き

先週の続きです。

 6.日常の健康管理

避難所生活を最低限のストレスで乗り切るには、日常の健康が大切です。ふだんから健康チェックができていると病気のサインを見逃すこともありません。注意深く犬猫を観察しましょう。「いつものうちの子の様子」をしっかり理解しておくことが大切です。「あれ?前からこうだったっけ?」ということがないようにしておいて欲しいです。

実は猫にとって「肥満」はかなりマイナス要素です。「うちの猫はこれだけ蓄えがあるから何日か食べなくても大丈夫だ、痩せている猫の方が心配だろう」というのは素人考えです。猫は肝臓での代謝が独特な動物です。ことに脂質代謝は得意ではありません。「3日食べなきゃ脂肪肝」というのが我々の合い言葉で、太った猫がストレス状況下で食べられないと「肝リピドーシス」という怖い状況に陥ってしまいます。太り気味はぽっちゃりしていて可愛いのですが、太りすぎは危険信号です。

もう一点。「屋外散歩自由、排泄は外の畑」という猫、屋内の猫トイレでも排泄ができるようにしておきたいです。日常でも排泄物のチェックができないと病気の発見が遅れるという欠点がありますが、緊急時では畑のトイレが利用できません。慣れない小さなトイレを使わなくてはいけない状況は猫にとってかなりストレスは高いです。猫トイレでも排泄ができるように慣らしておいて欲しいです。

そのほか健康管理としては、不妊手術です。いつもお伝えしている病気予防や困った行動予防の改善になりますが、災害時に別の意味で必要です。迷子になって、そのときに発情が来てしまい交配した場合、不安な状況下で赤ちゃんを産んで育てていかなくてはいけなくなります。未実施の場合は災害時のことも含めて考えてみてください。それから年に1回の混合ワクチンの接種は、感染予防を考え、通年のノミマダニ予防と同様に基本的な健康対策です。また公共の衛生のためにもなります。(ノミマダニは人にも感染します)個の健康を意識すると、年に1回(高齢では年に2回)の健康診断も欠かせません。平常時の健康データを持っていることは、万が一のときにも有力な助けになります。また早期発見と早期治療ができます。困ったときに病気発覚がして慌てても、必要な検査や薬が得られません。

なお健康記録はまとめて残しておき、それらと一緒に写真(スマホの画像ではなくプリントしてある物)も持って出ましょう。新しく書き込めるようにメモ帳やボールペンも忘れずに。

7.万が一のことまで含めたしつけや訓練

やっぱりいざというときに心強いのは動物のメンタルがしっかりしていること。「可愛い可愛い、お好きなように」では逆境に弱いお姫様に育ってしまいます。様々な環境に慣らしておくことはいざというときに役に立ちます。

特定のひとりの家族だけ家族なら誰でも家族以外の人にも、の順で人に慣れるようにしていきます。人慣れという意味では、犬よりも猫の方が深刻でしょう。子猫時代(猫の社会化期は生後8週から12週で、早期で短いのが特徴です)にいろいろな経験をすると人見知りがなくなります。成猫になってからのしつけは根気が必要ですが全くできないことは無いので諦めずに訓練していただきたいです。お友だちが来たときに、なるべく自然体で大声を上げず、(猫の場合はじっと目を見ることがないようにしながら)おやつを与えてもらいます。無理に「抱っこされてみなよ!」と強要するのは恐怖心を煽るだけですのでやめてください。

その後スキンシップのトレーニングです。どこを触っても怒らないようにしていきましょう。ハーネスとリードに慣れてもらう必要もあります。身体に合ったものを選んでください。

社会化訓練はよその人、他の犬や猫に遭っても攻撃的にもならず、びくびくしたりもしないような社会性を身につけることです。家庭内にお客さんがあまりいらっしゃらないご家庭では、社会化訓練は主に散歩で養うことになります。人気のない時間帯や場所を選んで出かけていても、徐々に犬友達ができそうな時間帯と場所に出かけるようにしてください。「引っ込み思案」「内弁慶」「散歩嫌い」で済ませないようにしてください。

キャリートレーニング(もちろんハンドリングトレーニングも含めて)は必須です。こちらについては詳しいことを以前にお話ししました。猫にはキャリーでなくても、形がしっかりとしているクッションカバーを普段から室内に置いておくと、中に入って遊べるかもしれません。網ネットの代用になります。クッションに入ったらジッパーを閉めてキャリーに入れます。クッションカバーの大きさは猫が入るくらいで十分です。広すぎても落ち着きません。クッションカバーでも、キャリーでも、日常的にリビングに置いといて、この中で遊んだりお昼寝したり、猫を空間に慣らしておくことが大切です。

小型犬のクレートトレーニングはどうしてもしておいて欲しいです。小さなお部屋に入れられてもギャンギャン鳴くことがないようにです。犬のストレス軽減のために必要なしつけです。

食事のしつけも大切です。「〇〇じゃないと食べない」のは困ります。「バランスの取れたドライフードをトッピングなしで誰からもらっても」食べられるようになっていて欲しいです。

しつけの完了は最終的には、家族に対する信頼を寄せる動物の行動です。犬も猫も、飼い主さんに絶対的な信頼を抱けるように、甘やかし専門で犬猫に媚びた飼い主さんにならないよう、強くたくましい飼い主さんでいてください。しっかりとしつけされた動物なら災害もうまく乗り越えられます。

8.一回荷物を背負ってみましょうか

リュックに荷物を積めて背負い、必要品を詰め込んだ大袋を左肩にかけて、柴犬を右手で持つ。とか、リュックに犬を入れて、左右の手に必需品を持つ。とか。リュックいっぱいに必要品を入れて背負い、ハードキャリーに体重オーバー気味の猫を入れて両手で持つ。とか。ちょっとシュミレーションしてみてください。動けるでしょうか。

あれもこれも集めている間は楽しかったのですが、いざ背負ってみるとがっくりでした。背負えない!動けない!(←実はスタッフみんな驚愕でした。)

避難警報が出る前ならゆっくりと見直すことができます。再度チェックしてみてください。


大型の台風が去って行きましたが、9月は台風シーズンで、この先も天候不順な日が続きそうです。今一度災害時の心得を見直しておき、いざというときの準備をしてみませんか。




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犬と猫の災害避難

 防災月間です。

いざというときに慌てないために、今できること、今しておくといいことをお話しします。

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1.大きな揺れから犬猫を守ることを考えて

ごく基本のことですが、自宅の防災設計は重要です。タンスが倒れないようにする、キャットタワーの安定性を考え天井に止めを付ける、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼るというようなことです。また、屋外もチェックしてください。リードに繋がれた犬が倒れた塀の下敷きにならないように、また割れたガラス窓が飛び散って怪我をしないように、繋ぐ位置も確認して屋外犬舎を置いてください。

丈夫な木箱など、身を隠すことができるような安全箱が日常の寝床になっていると安心です。

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2.迷子にさせないように

大きな揺れに驚いてパニックになった犬や猫が家から飛び出してしまう可能性があります。外出先でトラブルが発生して帰って来られなくなることも考えて、外出自由の猫には、迷子札のついた首輪を普段から付けておきましょう。屋外飼育の犬も迷子札必須です。それから首輪がゆるくてとっさの力で外れてしまわないかどうかも確認してください。

身元を示す迷子札はついていると安心ですが、迷子になってもなんとかなるようにというのであれば、なんといってもマイクロチップの挿入が一番です。首輪を付ける習慣がない、首輪を付けると嫌がって外してしまうという小型室内犬や猫も多いです。猫では付けていても首輪自体がセイフティーバックルで、引っかかると外れる安全設計ですから迷子札も役に立たない可能性もあります。マイクロチップの挿入こそ日頃考えておいて欲しいことです。

ご近所づきあいは大切です。姿が見えなくなったとき、「〇〇の方で見かけたけど、お宅の猫ちゃんじゃないの?」って教えてもらって現場に行って発見、とおっしゃる飼い主さん結構います。普段から良好な関係があると、地域情報も得られます。

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3.
キャリーバッグで避難します

ハードキャリーは前扉と蓋と開くので手強い猫ちゃんの診察用キャリーに一番おすすめであることは以前からお話ししています。重いのが難点ですが、非常に丈夫で、身体に対して小さめのものなら動物に安心感を与えられるし、大きめのものはそのままハウスとして利用できるので、小型犬と猫には絶対に用意しておいてもらいたい品です。避難するとき、猫はキャリーに入れる前に洗濯用網ネット(目が粗くて撚った糸が太めのものがおすすめです)に潜り込ませ、二重にします。猫はネットに包まれている方が安心できます。

布製のスリング(抱っこタイプ)やリュック(背負うタイプ)は両手が空くのが利点です。カートやバギーは複数の犬を同時に運べますが、道が割れたりしていると不安定で危険なため、災害時には不向きかもしれません。

キャリーに入れられない中型から大型の犬は胴輪(または首輪)とリードで移動になりますが、リードは革製または布製の伸び縮みしないものを使ってください。サイズを確認し、ゆるすぎないように調整し、リードがほどけやすい状態になっていないかも確認しておいてください。がれきの側を歩かなくてはならないことを想定すると、底がゴム製のしっかりした靴を用意しておくと安心です。普段から履かせ慣らしておく必要はあります。

布製の折りたたみ式ケージは余裕があれば車内に潜ませておくと便利です。軽いので、やや広めのものを選んでもらうと、猫トイレも入れられ簡易ハウスができあがりです。現状、同行避難が原則として認められていますが、まだ同伴避難になっておらず、猫の安心のためには車内泊が想定されます。犬はリードで散歩ができますが、猫の場合はずっとハードキャリーのまま過ごすのは窮屈です。

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4.
薬、フード、水、おやつと、トイレ関連用品

持って行かないといけない物、第一選択品リストです。

なんと言っても命に関わるものですから、まずは薬です。明日で薬が終わるところだった!ということがないように、普段から手持ちは多い方が安心です。(なくなるちょっと前には再診にいらしてください。)また処方食は食事だけれど、栄養学的な側面から飼い主さんが積極的に関わることができる治療薬の扱いであることを忘れないでください。うちの子のための特別食は避難所から供給されませんので、必ず持ち出しましょう。

いつものドライフードのほかに、お気に入りの食事(ストレス下でも食べられるかもしれない!)、大好物の缶詰フード(こういうときのために滅多にあげてはいけません!)、おやつも持って行きます。「腹が減れば喰うだろう」ではいけません。犬も猫もストレスがいっぱいです。食欲不振の状況下でも「これなら食べれるかも」と犬猫が思ってくれるような食事も必ず入れます。

そして水。人の分は配られても、犬や猫の分までは配給されません。ペットの水はご自身で確保して置いてください。

さらにトイレ関連の消耗品を支度します。ペットシーツや猫砂、新聞紙や片付けに必要なビニール袋も多めに用意しましょう。車内泊になれば狭い空間で匂いが上がってきます。すぐにゴミが出せないかもしれませんから二重に縛りニオイ避けになるよう、たくさん用意する必要があります。食器とトイレは小ぶりのものを準備できていると都合がいいです。もしマーキングくせのあるオス犬ならば、マナーベルトもしっかり持ちましょう。

犬や猫の周りのことはすべてやってあげないといけません。待っていれば届くという期待はできません。そうでなくても非日常の生活になるので、日常のものがなくては不安メーターが上昇するばかりです。消耗品は最低3日分、ゆとりがあれば7日分を目安にしたらどうかしら、とお伝えしています。

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5.
できればこれも

もし、以前にもらったことがある分離不安症(や雷恐怖症など)の薬やサプリメントが残っていれば、これは絶対に携帯して避難してください。ストレスで落ち着かないとき、不安な気持ちを和らげる効果があります。

匂いのついたバスタオルか毛布も安心の源です。大きければキャリーの上からかぶせることができて、視界を遮ることができてさらに良好。小さめのふわふわはキャリーの中に入れてあげましょう。

猫のためのハーネスとリードは、もし預けなければいけない場合に重宝します。(ふだんから慣らしておく必要はあります。)

おもちゃが犬にも猫にも必要になります。クリッカーや笛などを訓練で使っているものがあればそれらも持ち出し品に加えてください。

汚れたところを拭くのに貴重な飲み水は使えません。ウェットティシューが役に立つでしょう。軍手、チャック付き袋、粘着テープと油性ペンも便利品です。粘着テープを貼ったら、その上に名前の記入ができます。

続きは次週に。

先週読んだ小説の中で、先天性の病気を持つ我が子に対してお父さんがコメントしている言葉がすごく印象的だったので紹介します。伊坂幸太郎の「太陽のシール」です。
「敵チームにはじめから5点献上して試合が始まったようなもんだよ。しかもゴールキーパーはなし。リキはさ、そういう圧倒的に不利な試合条件で生きているんだ」
まだ幼少なのに病気が見つかってしまうことがあります。条件の悪い試合運びになってしまうでしょうが、私たちはそばにいて、負け試合だって懸命に闘う彼らを応援してやりたいと思います。


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パグ、夏の諸注意

 パグ・夏の諸注意

パグは多くの短頭犬種の一品種ですが、愛嬌のある風貌と性格から、流行に関係なく不動の人気があります。ただし、あらゆる短頭種の犬と一緒で、平らで鼻のつぶれた顔が犬にどのように影響し、問題を引き起こす可能性があるかを知る必要があります。パグ(他のフラットフェイス犬の品種でも共通です)を所有している場合、夏の安全性を保つためには、鼻の長い犬に要求される平均的な注意事項を遙かに超える注意深さが必要です。

短頭症のリスク

夏に特別な注意を必要とするパグの原因の多くは、平らな顔、つまり鼻が短いことです。このようなマズルの形態は、口内の表面積が小さくなり、冷却のための酸素の交換が可能になります。また、鼻孔が狭くなり、口蓋が細長くなります。これらすべてを組み合わせると、空気を十分に取得するのが難しくなります。パグは簡単にヒートアップする傾向があり、過熱すると冷めるのが難しいのも特徴です。暑い天候で運動すると、鼻の長い犬種よりも速く熱が上昇します。

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太りがち

パグの皮膚はだぶだぶしていて、太る余地が有り、実際多くのパグは太りすぎです。ほとんどのパグの飼い主さんは、健康的な体重の犬を特定することができず、代わりに、ちょうど良い体型の犬を「細すぎる」と解釈しがちです。余分な体重を動かすことで犬は過熱しやすくなるし、運動をする危険性が高くなります。犬が過体重になることを許可(または見逃しているかもしれません)し、肥満を解決するための措置を講じないと、健康に影響することが多くなってきます。犬の体重の監視と管理は動物病院が介入した方がうまくいくことが多いです。犬の体重が気になりだしたらすぐに診察にお越しください。

泳ぐことができない

平らなパグの顔が意味するもう1つのことは、この種の犬は通常泳ぐことができないことです。これは、パグの平らな面により、前進を維持しながら鼻孔を水上に保つことができなくなるためです。また同じ運動を維持するのもヒートアップにつながり、この犬では危険です。水源はパグにとって危険になる可能性があることを意味します。清潔な浅い水の中にいて、監視の下では安全に水泳することができますが、散歩途中に池や川がある場合、絶対に目を離してはいけません。
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日よけと水の用意

日陰と新鮮で冷たい水がない状態で犬を放置しないでください。基本的に真夏の屋外飼育はパグにとって危険が高すぎます。けれど屋内だからといって全く安心だということもありません。犬が1つの部屋またはクレートに閉じ込められている場合は、太陽の動きによっては、「涼しく日陰がある」という条件に合致しない時間帯もあるかもしれません。犬が屋内にいても屋外にいても、常に自由に動いて涼しい場所を選び、水を手に入れられるようにする必要があります。エアコンは昼夜問わず必須です。

夏の運動

犬は夏でも運動する必要があります。過熱リスクを減らすために一日の涼しい時間帯で行うようにしてください。とにかく暑いときはほとんどの犬は歩きたくないので、早朝と深夜に外に出して、苦労したり暑すぎたりする兆候がないか常に注意深く監視します。
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熱い舗装

すべてのタイプの犬に対して見落とされがちなことは、高温の舗装が犬の足を火傷させる可能性です。飼い主さんにも気付かれないくらい速効発生する可能性があります。靴下を脱いで舗装が熱すぎないかどうか確認してください。裸足で止まっていられないくらい熱い場合は、犬の足にも熱すぎます。犬を散歩する時間帯と場所の両方を見直してください。熱せられた地面による火傷の危険性は、草地やその他の涼しい場所に犬を連れて行くことで回避できます。

冷却パック

犬用に様々なクーリング用アクセサリーが販売されています。気象条件に関係なく犬の中心部の温度を下げることができて、夏でも涼しさを維持することもできます。氷のパックを保持したり、水に浸して犬の体に着用するように設計された冷却ベストやジャケットです。とても効果的ですが、使用上の注意をよく読んで管理しながら使ってください。いつの間にか乾燥していたり冷却効果がなくなったりして、余計に暑くなってしまうことがあります。

というわけで、今日はパグの日。でもパグじゃなくても夏の注意は共通です。日本では7月23日頃の「大暑」から8月23日頃の「処暑」までが「本格的な暑さの季節」です。ヨーロッパでもおおいぬ座のシリウスが太陽と同じ方向に現れるこの期間を「ドッグデイズ」として、猛暑のために体調を崩し病気になりやすい季節として注意しているそうです。もうしばらく暑い日が続きますが、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
もうひとつ!パグ好きさんにはお誕生日の次くらいにお祝いしたい日だと思いますが、健康的にお祝いしてください!

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散歩の利点2

ロコモ予防のためのお散歩について先週からお話ししています。 

<散歩はからだの健康に役立つ>

散歩は身体の健康を維持するのにとても良いことです。身体を健康で活発に保つことができます。

運動器系(骨や関節、筋肉や腱、靱帯、神経など)は一番恩恵を受ける器官でしょう。トレーニングしているようなものです。ついでに体重管理にも役立ちます。

身体を動かすと心臓や血管などの循環器系にも、呼吸器系にも良い効果があります。運動すると血の巡りが良くなります。酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す、肺の働きも活発になります。

そして排便を促し、食欲をそそるため、胃腸の運動も良くなります。便秘の解消にもなります。ですから消化器系にも良いのです。 

<こころの健康に役立つ>

そしてこころの健康にも役立ちます。穴掘り行動、引っ掻き行動などの破壊的な問題行動を無くすのに大変有効です。犬は子供のような存在で、退屈すると体力を持て余してしまい、動きたくて仕方がなくなります。むやみやたらと人に飛びついてくるのもエネルギーが溜まっている徴候です。有り余るエネルギーを消費するために散歩は好都合な運動です。

注意を引こうとする行動も散歩によって減少します。ワンワン鳴いて人を呼ぶ行動や、いわゆる何に向かっても吠え出す無駄吠えなど、犬が家族に注意を向けて欲しいことを示しています。定期的に歩いていると犬は満足し、これらの行動を起こさなくなります。十分な運動を得られた犬はこのような多動性や興奮症などを見せなくなり、リラックスして夜もすぐに就寝に付くことができるでしょう。

<絆が深まり自信が付く>

犬と一緒の時間を過ごすということは、デイリーなグルーミングや歯みがきなどのケアと一緒で、犬は飼い主さんが自分のために時間を割いてくれていることを十分理解できますので、とても高い信頼関係を築くことができます。

少々シャイな犬は、散歩を好まないことが多いです。「外は怖い、うちの中なら安全」というように学習してしまうのです。けれど、定期的な散歩で飼い主さんに信頼感を寄せた犬は、自分に自信を持つようになります。こわがりさんも社交的になれます。お散歩仲間の犬と仲良くできたり、ママ友さんに撫でてもらったり抱っこしてもらったりというようなことができるようになります。「内弁慶で~」という犬こそ、散歩に出ていってもらいだいと思います。

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<散歩で注意すること>

    散歩の前に

お散歩前に身体のウォーミングアップができると急な筋肉疲労を起こすことがありません。特に高齢の犬では指先から順に身体の近くの筋肉へ向かって、もみほぐしたりマッサージするなどして準備運動をしてあげると寝ていてこわばった関節や筋肉をほぐすことができるのでおすすめです。

散歩前は、特に胸の深い大型犬ではよく知られている「胃拡張捻転症候群」を引き起こすことがあるため、空腹で出かけてください。お腹が空いていると拾い食いが心配だという場合、リードの引き方が違っているために発生するトラブルです。散歩法を変えると拾い食いは修正が可能です。

ペットボトルにお水を、携帯用のボウルを、そしてウンチをとるビニール袋などの用具を持って出かけてください。万が一に備えて、家族に連絡ができるスマホも持っていきましょう。クリッカーやしつけに使うフード(またはにんじんのサイコロカットなどのおやつ)、おもちゃなどを持って出かけるのもおすすめです。荷物が多くなりすぎるので注意ください。

    散歩の途中で

散歩中に、息がハァハァ、荒くなってきたときにはクールダウンさせるために水を飲ませてあげたいです。

止まって欲しい交差点まできたら、必ずクリッカーを鳴らし関心を散歩者に向けさせます。目が合いストップできたらおやつ(またはフード)をごほうびとして与えます。

休憩場所まで行ったら、おもちゃで遊んでもいいし、「座れ」「立て」を繰り返すスクワットなどの体操をしながらおやつを与えるのもいいと思います。

排泄した場合は周りの方の迷惑にならないように片付けましょう。オシッコのところも水で流してください。

危険がないように監視してください。散歩中は犬から目をそらさないようにしましょう。

    散歩の後で

帰宅後は足の裏のチェックを兼ねて、足を拭いてあげます。落ち着いていないときは、おもちゃなどで関心をそらすようにします。(寒いところを歩いてきた犬にはパットにワセリンなどのクリームを塗り、パットを保護することも考えてください。)

また筋肉のクールダウンのために、マッサージをします。

  帰宅したらお水を与えます。落ち着いたところで食事も与えます。

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<お散歩を楽しくするヒント>

    わくわくさせる

お散歩の基本の歩き方ができるようになってからですが、ときには犬が行きたい道を選ばせたり、本能である「クンクン」をさせてあげるのもいいです。たいていの飼い主さんはこちらの歩き方を主にしています。これが正しい方法ではないけれども、全否定ではなく、犬が喜ぶのならこういう散歩もいいです。ただし、この歩き方をさせると途端に拾い食いをしてしまう犬ではおすすめではありません。

新しい散歩ルートを開拓するのも犬はわくわくします。

車で出かけていって、いつもと違う公園の周りを歩くのも変化があって楽しいでしょう。これは休日に限るかもしれません。

    バラエティ豊かにする

歩くペースを途中で変えて、「行くよ!」と声をかけてから小走りに走るのも変化があって犬は楽しくなります。休憩地に行ってから遊びを取り入れます。おもちゃでもいいし、筋トレでもいいです。

散歩途中で家族の誰かとパートナーチェンジすると犬は驚くかもしれませんが、家を出るときはお母さんと行ったのに、途中でお父さんが待っていてくれたら気分は上がります。家族とグループウォークするのもいいです。

    犬との散歩を楽しむ

あまり人がいないところだったら、鼻歌を歌うもよし、休憩地で犬を後ろ足立ちさせてダンシングするもよしです。犬を追いかけたり、犬に追いかけさせたりという追いかけっこもいいです。

ゆったり歩いた後で、マットを引いて犬のヨガ、ドガで筋肉マッサージなどを行なうのも天気の良い日でしたらいいと思います。

    減量のための散歩

体重管理のための散歩はやはり成果が出ないと楽しくないです。運動だけで減量するのは難しいので、おやつカットや療法食、サプリメントなどと併用した方が短期間で効果が見えてきます。長期戦ではあるけれども、まず6%ほど体重が落ちるまでを目標にがんばってください。この数値を切ってくると、犬の動きに変化があるという報告があります。犬が軽やかな動きに変わってきて、自主的に動くようになるようです。

 

<さんぽは雑用ではない!>

ということで、「散歩は飼い主の義務、しなくちゃいけない雑用の一つ」という呪縛から「いいことずくめのお散歩」に考えを変えていただくことができたでしょうか。犬の散歩は雑用ではありません。犬にはもちろんですが、散歩に連れ出す飼い主さんの健康にも有益です。

犬の個性も、家族のライフスタイルもいろいろでしょうが、マイドッグランを持つ贅沢わんこにも、健康と社交性をもたらす散歩はおすすめです。犬は見返りを求めない素晴らしいパートナーです。裏切りもありません。お散歩中は楽しく、彼らに集中して絆を深めてください。

 

最後にまとめです!

<お散歩のNG>

    リードが短すぎる

50cm程度の短い紐はお散歩向きではありません。動きが制限されすぎて犬が楽しめません。

    クンクンなしの速歩

あっという間にお散歩タイムが過ぎてしまい、犬は他動的に動かされているだけの印象を受けると思います。

    自由にさせすぎる

危険です。この方法をよく見かけます。

    電話をかける、話に夢中になる

これも危険です。ハンズフリーでも会話に集中し、犬の方に関心が向かなくなるため、やめてください。電話をするのは犬とご自身の緊急時だけです。

    使い古したリード

これも危険です。

    変化のない散歩

いつもと変わらない道をいつもの時間にいつものようにたらたら歩くのはつまらないです。

コロナさえなければ今週にはオリンピックが始まっていたのかと思うととても残念です。今年は運動器疾患をメインテーマにちょこちょこお話しする予定でした。先週と今週は最も身近な運動である「散歩」に焦点を当ててお話ししました。「うちの子はお散歩が嫌い」というのをお聞きするととても残念です。引きこもりっ子をなくし、お散歩好きのわんこに育って行って欲しいです。 

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散歩の利点1

加齢に伴い筋力が低下し関節や脊椎の病気になり、運動器の機能全般が衰えてきます。こうしたロコモティブシンドロームの予防にはいろいろな運動がありますが、基本になる運動は散歩です。散歩は身体を動かす運動になることと気分転換、そして社会化という3つの目的を持っていますが、忙しいとき、疲れているとき、雨降りで足元の状態が悪いとき、夏の暑さや冬の寒さ、周りが暗くなっている時間帯など、一緒に出かける飼い主さんの散歩のモチベーションが上がらない日もあるでしょう。行かないと排泄ができないなど、どうしても散歩をしなくてはいけない理由を除いてしまえば、サボりたい日もあるに違いありません。でも、散歩には他に代えることができない利点がたくさん有ります。新型コロナウイルス感染症蔓延のために厳格に「ステイホーム」を守っていたときにどうにも気が滅入ってきたかと思います。ずっと屋内に籠りっきりになっている犬や外に繋がれたままになっている犬が、毎日のお散歩をどれだけ待ちわびていたのか、外出自粛のときに身にしみて分かったかたも大勢いらっしゃることかと思います。散歩のあれこれを知って、気が乗らない日のモチベーションをあげてもらえるとうれしいです。

<そもそも、庭でめいっぱい走る空間があれば!>

「放し飼いできるほどの広い空間があればいいじゃないか」、「ロングリードをロープに繋げてあれば運動量は十分じゃないか」、「散歩に変わるほどの運動量を朝夕2回に限らず昼間もめいっぱい動けるではないか」という意見があります。フェンスで囲ってあって、放すところには危険なものが存在しない、十分な広さがあるところ。なんと自分専用のドッグランを持つ贅沢な環境です。

でも、この条件を満たしている動物が他にもいます。柵があって、それなりの広さがあって、安全な場所に閉鎖されて単独でいる。そう、動物園動物です。「自由がないのではないか」、「ストレスがあるのではないか」、「仲間を欲しがっているのではないのか」など切ない気持ちで彼らを見たことはないですか。ときに逃げ出してしまったというニュースを耳にすると思います。やはり囲みの中だけでは外に出たくなってしまいます。フェンスの下の土の穴掘りをするのは、新しい場所を目指す行動なのかもしれません。

素晴らしいマイドッグランを持っていても、犬は不満です。

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<気持ちが満たされない>

犬は社会的な動物で、行動も多様性に富んでいるので、ドッグラン環境だけでは飽きてしまいます。いろいろなものを見たり、新しい匂いを嗅いだり、足の裏の新しい刺激を感じたり、なじみのない音を聞いたり、走るときの風を感じたりなど、脳への新しい刺激が犬を成長させます。

犬の運動を庭に頼ってしまうと、欲求不満になってしまうことも珍しくありません。破壊的な行動を起こしたり、無駄吠えをするようになったり、おとなしい犬でも反復行動をとるようになります。

 <庭ではできないことを散歩が提供する>

散歩では、庭で走り回る以外のことを犬に体験させてやることができます。社会に出て研修するようなことかもしれません。犬は本来好奇心がいっぱいの探検家なので、散歩は犬の好奇心を満たしてやることができます。精神的な刺激です。知らない人、子供、犬に出会い、バイクの音、自転車にも遭遇するかもしれません。新しい発見です。こうしていろいろなものに慣れてきます。なにより、お散歩で必ず出会う犬友達ができるかもしれません。

<正しいお散歩ができていないと疲れる>

リードを介して、飼い主さんと犬は同じ動きをすることを強いられます。だから犬が縦横無尽に自分の好き勝手にジグザグ歩行をしたり、あまりに自由すぎて急に走り出したり、また立ち止まって匂いを嗅いだり、パクッと何か(本当に素早くて何だったのか確認できないのです!)を口に入れたりなどしてしまっては、同行者の飼い主さんは疲れてしまいます。これでは飼い主さんは犬との散歩を楽しめないと思います。

だから、一緒に歩くときの最低限のルールを犬に教え、それを守ってもらわなくてはお互いにハッピーな散歩にはなりません。それで、散歩の訓練、ウォーキングのトレーニングが必要なのです。子犬のときのお散歩デビューを甘く見てはいけません。はじめが肝心です。もちろん、途中からでも訓練のし直しもできるのでがんばりましょう。

*お散歩デビューの方法がわからない方、困ったお散歩をするようになってしまった犬の飼い主さん、ご相談に応じます。簡単なお散歩冊子のご用意もありますので遠慮なくお申し出ください。

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<安全なお散歩を始める>

基本的なことですが、飼い主さんが考える「犬の散歩」と「現状の犬の健康上の問題から推奨される散歩」は違うことがあります。

飼い主さんの健康のために速歩で歩くのがもう無理になっている高齢犬を見ることもあります。また散歩に出ると犬が気を失い倒れ込んでしまう(脳貧血とみなさんがいうやつです)を繰り返す心臓病の犬もいます。運動で体重コントロールをしようとがんばっていたけれど、関節炎のために骨が悲鳴を上げていたケースもあります。これらは質を変え、量を減らしてもらわないといけない状況です。逆もあります。若い犬で身体が前のめりに出て行くのに、飼い主さんがそのパワーに追いついていけないため、短時間で帰ってきてしまいます。いつも犬は運動不足でフラストレーションをためていて、飛びつき癖が付いてしまいました。

診察を通して、現状の運動が適切であるのかの判断をする必要があると思います。

<首輪やリード選びは大切>

首輪にするかハーネス(胴輪)にするか位の心づもりでペットショップに行くと、品数の多さに驚きます。そして色やデザインにばかり目が行ってしまいます。「サイズ?このくらいかなぁ~」と買ってきて、いざ装着するとゆるすぎてしまうとかキツくてはまらないという経験をしたことがある人は少なくありません。ゆるすぎるものは、穴を内側に開けて止めます。余りがぶらぶらしていて口に入ってしまうこともありますので、ここもきっちりとくくりつけなくてはいけません。大は小を兼ねますが、手間が生じます。

サイズを正しいものにするのはもちろんですが、もう1カ所しっかり見ていただきたいのは、裏側です。肌に触れる側に凹凸があって皮膚を刺激する様なデザインになっているものは避けてください。着用していて毛が擦れて脱毛してしまったり、皮膚が赤くなってきてしまうものは接触性皮膚炎を起こしている可能性が有り、別の素材のものに買い換える必要があります。

長年愛用してきているものの中には、破れそうになっていたり、皮膚の垢がたい積してしまっているようなものも見受けられます。さらに太ってきてキツくなっていたり、痩せてきてゆるくなってきていたりということもあります。散歩中に急な力で引っ張ったときに切れたり、外れてしまっては命に危険が生じます。実際に、首輪が外れて車にはねられてしまうという事故もあります。そのまま迷子になってしまったということもあります。

首輪やハーネスは命綱。安全に関係してくるものなので、最大限の注意を寄せて選んでください。DSC_0036.jpg 

<散歩中に観察>

まずはゆっくりとした歩行から始めてください。5分から10分歩いて疲れていないか、呼吸は安定しているかなど犬の調子を確認しながら進めます。高齢の犬に限らず、ゼーゼー、ガーガーと呼吸音が聞こえるのは気管や肺の機能に問題があることもあります。歩き始めにぎこちない歩き方をしていても歩いているうちに普通の歩行になるのは関節症の特徴で、「なんだ、ふつうに歩ける!」と思ってしまうと、犬の異変を見逃してしまったことになります。また歩き始めは大丈夫だったのに、疲れてきてから不自由な様子になることもあります。疲れて立ち止まることはないか、ここは運動負荷をかけずにいる日常では見えないことですから、しっかり見る必要があります。

 

 

次回につづきます。

    

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ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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