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マダニは怖い

気温が15度を上回ってくると蚊やノミと同じようにマダニも活動性を増してきます。そして湿度がぐーんと高まる梅雨時には、いよいよマダニの季節到来になります。

マダニ予防はもっと真剣に受け止められてもいいように思います。マダニが犬や猫の皮膚についていると「気色悪い」わけですが、マダニの吸血によって貧血を引き起こしたり、マダニによって致命的な病気が運ばれたりするからです。そしてその被害は動物に限らず人にも及びます。今日はマダニのことをお話しします。

 

<マダニの秘密>

マダニは足を8本持っています。昆虫ではなくて、クモに近い虫です。エサがある間だけ繁殖を繰り返します。メスのマダニは最大3000個の卵を産むことができます。森や浜辺の草、芝生、森林で生きていますが、都会に生えた草にも居て繁殖することが可能です。山にキャンプに行かなくても、町中散歩でも十分マダニの寄生を受けることが可能です。

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国立感染症研究所のHPから引用しています。
待合室、自販機わきにダウンロードした資料が置いてあります。
病院に来て、お時間が取れそうなときにはご覧ください。
サイトはこちらです。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html

<マダニはどこから来る?>

マダニはひゅーっと伸びた草の葉の先に集団で居て、犬が通り過ぎるのを待っています。犬は好奇心いっぱいの動物ですから、草むらに頭を突き刺すようにして進んだりします。待っていたマダニは犬が来たことを察知して、葉から犬の身体に飛び移ります。感染成立です。この時のマダニはごく小さな大きさで、ざっとみただけではわからないことが多いです。

マダニは簡単には見つからないような場所に隠れます。耳の先、まぶたの周り、頬、首輪の下になる首、足の指の間、尻尾の裏側、陰部周りが主要な居場所です。この場所でマダニは犬の血を吸って大きくなっていきます。

マダニは幼虫から成虫まで5段階あり、各ステージで一旦犬の身体から離れて脱皮します。少しばかり大きくなったところで、同じように犬に寄生します。そしてまた血を吸って大きくなって、落ちて脱皮して再び感染、これを繰り返し、最終的には甲州ブドウの大きさくらいになっていきます。

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マダニを取り除く道具が市販されています。
吻口からしっかり取り除かないといけません。
山に行かれる方は自分用にあるといいかも、です。
使い方には十分お気を付けください。
マダニの刺し口が体内に残ってしまうと肉芽形成してしまいます。
2020.2月の獣医学術学会での資料の一部もご覧いただけます。
マダニの口が残った場合の写真があります。

<マダニを取り除く?>

マダニの体内に感染性微生物があった場合、マダニの咬傷が成立してから3時間~6時間で感染が成立するといわれています。そのため、マダニを見つけたらできるだけ速く取り除いてやる必要があります。しかし素手でとった場合、手が感染性微生物で汚染されてしまいます。またしっかり口吻部を含めて取り切らないと、頑固なマダニの口吻が犬の皮膚に残ってしまいます。口吻は口のような棘(トゲ)です。手袋をして、マダニ専用のピンセット(フック)を使ってひねり取るのですが。「じゃ、やってみよう」と簡単に思わないでください。

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マダニが媒介する怖い病気、SFTSは人獣共通伝染病です。
国立感染症研究所の図です。 

ノミ・マダニ・フィラリア、全部予防したいですね。
ベーリンガーさんのサイトでもSFTSを知ることができます。
https://n-d-f.com/nomi_madani/sfts/


SFTSは猫からが最も危険?>

ダニ媒介性疾患は本当に脅威です。病原体に感染したダニが犬や人を咬むと病原体を犬や人に感染させます。ダニ媒介性の病気のうち、とくに近年その脅威が増しているのは急性熱性血小板減少症候群(SFTS)です。

イエネコはこのSFTSウイルスに対する感受性が高く、死亡例が多いことが知られています。そしてマダニを介さない猫から人への感染も認められているため、病院のスタッフや飼い主さんへのリスクから大きな脅威になっています。これには猫に噛まれてというルートの他に、排泄物や体液を拭くなどの処理のときに感染というルートもあります。猫の便や尿を片付けるのは飼い主さんです。そしてよだれを拭き取るなどの介護もするでしょう。猫がぶるんと身体をよじったときに被毛に付いた体液が乾燥してしまうとウイルスは身体についたまま目に見えなくなっています。そこから飛んだウイルスが結膜や呼吸器を通じて感染ということもあるそうです。

春先と秋口にSFTSの発生件数は増加しています。このウイルスに対する治療薬はありません。適切な時期に、迅速に的確な治療(対症療法です)を受けて重症化しないようにすることしかありません。(入院は隔離室です。)COVID-19にも引けを取らない怖さ、致死率を考えると新型コロナウイルス以上に恐ろしいウイルス疾患かもしれません。

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猫をマダニ感染から守りましょう。
ZOETISさんのサイトから引用しました。
かわいらしい図で、気持ち悪くなく、ご覧になれると思います。
分かりやすいです。
https://www.nekomamo.com/parasite/mite/tick/sick/


<SFTSの症状は特異的ではない>

猫に何かあったら病院に行こうと思われるかもしれません。しかしSFTSに感染した猫の症状は「元気がない」「食欲がない」というもので、この病気に特徴的なものではありません。「嘔吐」や「下痢」がみられることもあります。診察をすると「熱がある」ことと「軽い黄疸」が確認されます。それから院内で一般的な血液検査を実施すると「白血球減少」と「血小板減少」「肝酵素値の上昇」「ビリルビン値の上昇」「(炎症をみる)SAA値の上昇」がわかってきます。そこから、特定の施設で確定診断になる検査を実施してもらって陽性ならば確定ということになります。ただ、発症してからの経過は急激です。発症から死亡まで5日(回復する場合は7日目でようやく治療に反応する)というもので、末期症状である「けいれん」や「血が止まらない」のを発見した頃では遅いようです。致死率は60%程度(人では27%)と言われています。見つけ次第動物病院に急行しても、確定診断が下る頃には天国にという感じになります。

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通年予防が理想的です。
BAYERさんのサイトから引用しました。
寄生虫の解説ならこちらが一番詳しいと思います。
https://www.bayer-pet.jp/pet/library/parasite/madani/madani07.html

<一番いいのは?>

とにかく予防です。ノミとマダニの両方に効く薬を投与します。犬ならば内服薬を毎月のませる(食べさせる)かまたは、スポットオン薬を毎月滴下する、猫ならばスポットオン薬が標準予防です。市販薬はマダニには効きません。

屋内飼育100%であればノミだけに効果がある薬を選択するのもいいでしょうが、すぐ近くだけ、庭先だけであっても屋外に出る場合はノミとマダニ、両方に効くお薬を使わないと、マダニの脅威から逃れ安心を手に入れることはできません。

 

今年は単純な「予防」のことだけをお話しするのではなく、「怖い病気」を知ってもらった上で「予防の大切さを知っていただく」のスタンスで行くことにしましたので、「うっわー!」ということになるかもしれません。
来週は、「ノミ・マダニ駆除薬」を安全に使っていただくためのお約束について。

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猫伝染性腹膜炎2

 猫伝染性腹膜炎のお話し、続きです。
ネコ伝染性腹膜炎は、ネココロナウイルスの感染によって引き起こされますが、現在猛威を振るっているヒトの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすコロナウイルスと、猫伝染性腹膜炎を引き起こすコロナウイルスは異なるものです。

猫伝染性腹膜炎の影響を受けやすい猫

猫伝染性腹膜炎はあらゆる年齢の猫に発生する可能性がありますが、若い猫によく見られます。診断された症例の約80%は2歳未満の猫で、多くの症例は412か月齢の子猫で見られます。猫伝染性腹膜炎は猫コロナウイルス感染が容易に広がる環境であるため、多頭飼育や繁殖世帯で飼育されている猫にもよく見られます。混雑した環境(猫密度が高い)は猫ストレスの原因のひとつで、免疫応答を損なうので病気の発症の要因となる可能性があります。(遺伝学も疾患への感受性に役割を果たすことができるという証拠があります。)
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血液検査だけで分かるわけではありません。

猫伝染性腹膜炎の診断

猫伝染性腹膜炎は、猫伝染性腹膜炎の診断に特有の臨床的兆候がなく、診断を確認する簡単な血液検査もないため、対処が非常に難しい疾患です。疑わしいと思うのは次のようなときです。

1)猫伝染性腹膜炎でよく見られる症状が出ている
2)猫の疫学的な条件が一致する(2歳未満、または高齢、多頭飼育の中に居る、繁殖場で生まれ育ってきた)。
3)日常的な血液検査での所見は
  •  リンパ球の数が少ない
  •   好中球が多い
  •  貧血
  •  グロブリン値が高い(TP↑ALB↓A/G↓
  •   肝臓酵素が上昇している(ALT↑ALP↑
  •  ビリルビン値が上昇している(BIL↑:黄疸)   
です。ただし3)の血液検査の変化は猫伝染性腹膜炎にだけ見られものではなく、他の疾患でも発生しますが、適切な兆候と組み合わせて複数の変化が見られる場合、猫伝染性腹膜炎の診断はより可能性が高くなります。これらの異常の多くは、疾患の初期段階には存在しない可能性があります。(のちになって出てくることもあるので、継続した血液検査が必要になることがあります。)最近では
  • 血清アミロイドA(SAA)
がFIPのときの炎症反応を反映して高くなることも知られているので、検査項目に追加しています。
腹水や胸水ある場合は、穿刺して体液サンプルを採取し、細胞とタンパク質の含有量を分析します。この検査はかなり診断に対して有用になります。場合によってはタンパク質の分類を検査します。(グロブリン濃度が高いと感染陽性が濃厚です。)

血液でコロナウイルスに対する抗体を探すのは限定的な価値しかありません。猫が猫伝染性腹膜炎ウイルスに感染していようといまいと、猫コロナウイルスに対する抗体が発生していて、抗体検査では猫伝染性腹膜炎ウイルス株を区別できないのです。(完全に健康でも検査結果は陽性に出てきます。)そして抗体価はほとんどがグレーゾーン部分に入ってきます。
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総合的な診断です。

猫伝染性腹膜炎の診断の確認

猫伝染性腹膜炎の診断を確認するのに最も適した検査は、影響を受けた組織から生検サンプルを採取することです。手術により採取します。典型的な猫伝染性腹膜炎の炎症が見られます。これでも猫伝染性腹膜炎ウイルスの感染を示唆するというレベルです。確定診断は、損傷した組織内にウイルス自体の存在を示す「免疫組織化学」と呼ばれる方法にゆだねられます。

けれど病状が深刻な猫では検体採取のために手術することができないし、また飼い主さんも希望されないこともあって、たいていはウイルスの存在をもって証明することになる「確定診断」はつきません。「限りなく陽性」で終わります。グループ内の他の猫への影響を考えた場合、死後の病理解剖検査(免疫組織化学を使用して)で陽性を確認する必要があるかもしれませんが、ほとんど行なわれません。

ウイルス自体は、PCR検査(連日の報道で名前が知られるようになりました。ウイルスの存在を見つけ出す分子技術です)を使用して検出することもできます。たとえば、猫伝染性腹膜炎の典型的な特性を持つ液体貯留があるとき、腹水や胸水のサンプルがコロナウイルスのPCR陽性であるとき、猫伝染性腹膜炎が根本的な原因であることを強く示唆することになります。けれどPCRでも異なるタイプのコロナウイルス(猫伝染性腹膜炎ウイルス株と猫腸炎コロナウイルス株)を区別できないため、決定的なものではありません。
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ウイルスをやっつける薬が見つかりましたが実用化には至っていません。

猫伝染性腹膜炎の治療

猫伝染性腹膜炎は診断だけでなく、治療が難しい状況も続いています。つまり不治で致命的です。支持療法(輸液療法、抗炎症薬)は、状態を緩和するために行ないます。インターフェロン療法は免疫系や炎症の調節などに作用する効果を期待して使います。

ヒトの新興ウイルス感染症に使用されている新しい抗ウイルス薬が、猫伝染性腹膜炎に対しても有効な可能性があることが示されています。最近ではCOVID-19の情報の中で登場しているので名前を聞いたことがあるかもしれません。核酸アナログ製剤であるGS-441524のプロドラッグであるレムデシビルがそれです。ウイルスに、複製に必要な核酸に類似した偽物を取り込ませ、ウイルスの増殖を抑える仕組みです。(プロドラッグというのは、体内に入ってから有効成分が分解されないように化学構造を変換した薬です)これまで、様々な研究をされてきても何一つ有効な答えが見つからなかった中で、一筋の光が差してきたような感じです。けれど現実的な実用段階に至るまでにはもう少し時間がかかりそうです。現時点では、猫に対して安全であることを証明された正規の研究報告が出ていません。海外薬は出ていますが、個人輸入して使用するのは推奨されません。(なお、現在海外で使われている動物用薬の治療方法は12週間、毎日、11回皮下注射する方法で、現実的ではないように思います。
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ワクチン開発には困難があります。

猫伝染性腹膜炎の予防

猫伝染性腹膜炎のワクチンを入手できる国も有ります。ただしこのワクチンは16週齢以上の子猫にしか接種できません。このようなワクチンを使用する主な兆候は、特に猫伝染性腹膜炎の病歴がある飼育世帯ですが、子猫にワクチン接種できるまで(16週間)、ほぼ常に猫コロナウイルスに曝されているため、ワクチンの価値はないだろうとされています。
コロナウイルスは特殊な免疫システムが働くため、ワクチンを作るのも難しいとされています。それは抗体依存性感染増強(ADE)が起こりやすいからです。これはウイルスなどから身体を守るはずの抗体が免疫細胞などへのウイルス感染を促進させてしまう仕組みです。この結果、ウイルスに感染した免疫細胞は暴走し、症状を悪化させてしまうのです。猫コロナウイルスに対する抗体を持った猫がもう一度同じウイルスに感染すると重症化することが有るのですが、それはこのようなことが起こっているからだろうと推測されています。どのような条件でこのようなことが発生するのかは分かっていません。
ワクチンの開発に対しては抗体が関連する免疫(液性免疫)を発動させることなく、免疫細胞に主導権を持たせた免疫が獲得できるように作られる必要があるといわれています。

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元気でいるためにできること。

発症リスクを軽減するには

猫伝染性腹膜炎は一般的な家庭猫ではあまり見られることではありません。発生リスクを減らすためには、
  猫の数が多くないところから入手し、

  少ない頭数で、

  新規の導入を行なわず

  安定したグループで飼うこと

が必要です。なお
⑤ トイレと食器や水食器は離して設置し
  毎日トイレ掃除をし、
  良好な衛生状態を維持してください
  すべての猫にストレスがないように環境を整え、
  予防医療(ワクチンその他)の実施を心がけてください。
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飼い主さんの体調不良のときには、
猫の世話をお願いできる方を探してください。
新型コロナウイルス感染症が疑われるときは
できれば猫とも離れてお過ごしください。

さて、今週はニューヨークから2頭の飼い猫でCOVID-19の感染が見られたというニュースが入ってきました。1頭は家族に感染症状は見られなかったため屋外で感染してきたかまたは家族が不顕性感染であった可能性がありそうです。もう一頭は感染していた飼い主からの感染が疑われています。2頭とも呼吸器感染が有り、動物の検査機関でPCR検査を受け陽性が確認され、追って国立獣医検査機関(National Veterinary services Laboratories : NVSL)で再検査され再度陽性が確認されています。

米国疾病対策予防センター(CDC)の推奨しているペットの扱いについて、以前のWSAVAの提言と重なる部分もありますが、載せておきます。
<家族もペットも健康で症状がないとき>
・うちの子を他の人に触らせない
・うちの子を外で他の動物と接触させない
・犬の散歩は2mの距離を守る
・人が集まるところやドッグランには行かない
<自分や家族の誰かが感染してしまった>
・感染者ではない人が動物の世話をする
・感染者はペットと濃厚接触しない
・どうしても世話を変わってもらえないときはマスクをし、手洗いをしっかりする
・うちの子が誰かと接触しないようにする

現在の日本では感染が疑われても犬や猫のコロナウイルスPCR検査を受けることはできません。IDEXXラボラトリー(検査機関の名前です)でも検査できません。
・犬呼吸器パネル→犬コロナウイルスが含まれますが新型コロナウイルスを調べるものではありません
・猫の上気道呼吸器疾患/結膜炎パネル→コロナウイルスは含まれていません。
・猫伝染性腹膜炎パネル→猫コロナウイルス、FIP、FECVで、新型コロナウイルスを調べるものではありません。

GWが始まりました。みなさま、お家にいるばかりで退屈かもしれませんが、それこそがご自愛の道です。お休み明けに元気でお目にかかれますよう、犬猫といっしょにお家遊びを楽しんでください。





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猫伝染性腹膜炎1

 猫伝染性腹膜炎について

ネコ伝染性腹膜炎(FIP)は致命的な病気です。

ネコ伝染性腹膜炎は、ネココロナウイルスの感染によって引き起こされます。ただ、注意していただきたいのは、現在猛威を振るっているヒトの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすコロナウイルスと、猫伝染性腹膜炎を引き起こすコロナウイルスは異なるものです。やや専門的な話になりますが、猫に影響を与えるコロナウイルス(猫コロナウイルス:FCoVと呼ばれます)はアルファコロナウイルスで、ヒトに新型コロナウイルス感染症を引き起こしているSARS-Cov-2コロナウイルスはベータコロナウイルスです。そしてFIPを引き起こす猫コロナウイルスはヒトに感染することはありません。

今日は猫にだけ感染する猫コロナウイルスについてお話しします。(猫コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスは同一ではありません。コロナウイルスグループの中に猫伝染性腹膜炎ウイルスが入るという認識でいてください。)
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原因

猫ではコロナウイルスの感染はよく見られますが、ほとんどの場合は軽い下痢以外の問題は発生しません。まれに、ウイルスが強毒の性質に変異(変化)し、この変異したウイルス株が猫伝染性腹膜炎の原因になります。

感染した猫では、ウイルスが全身に広がり、さまざまな異なる兆候を引き起こす可能性があります(腹部に体液が蓄積する腹膜炎を含みますが、他の猫では体液が胸腔に蓄積することがあります。他のウイルスでは脳、目、肝臓、腎臓などに影響を与える炎症を引き起こす可能性があります。
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猫はどのようにコロナウイルスに感染しますか?

コロナウイルス感染症は多数の猫が一緒に飼育されている施設で発症しやすく、かつ広まりやすい傾向があります。飼い猫の感染率2540%に対し集団飼育猫では80100%です

猫がウイルスを口から入れてしまうと感染が起こります。ウイルスは主に腸管に感染し、そこで増殖します。猫コロナウイルスは糞便中に放出され、環境内でしばらく(数日または数週間)生きています。

注)体外に出た猫コロナウイルスも、新型コロナウイルスの特性として現在知られているような一般的な消毒剤(台所用洗剤や石鹸、アルコールなど)によって容易に破壊できます。消毒については今日のお話の最後に。

ウイルスと猫の関係は複雑です。猫の中には猫コロナウイルスに持続的に感染したままで、糞便中にウイルスを排出する猫がいます。不顕性感染といわれるタイプです。また、ウイルスに感染し強い免疫を発達させ、将来の感染から身体を守れる猫もいます。そのほか感染してウイルスを排除することができても、のちに再発性の感染症にかかる猫もいます。

ほとんどの場合、猫コロナウイルスによる感染は、腸炎症状の軽い下痢を引き起こすか(下痢になるのは若い猫で見られる可能性が高いです)または全く症状を示さないため、猫コロナウイルス感染を特定する診断はほとんど行われません。
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猫コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎を引き起こす?

猫コロナウイルスによる感染は通常、腸管だけにおこります。この腸の感染を引き起こす猫コロナウイルス株は、ネコ腸内コロナウイルス(FECV)と呼ばれることもあります。

猫コロナウイルスに感染しているとき、猫の身体の中でウイルスの突然変異が起こることがあります。それまでは軽い下痢かほとんど症状を現さなかったものが、突如、病気を発生させる凶暴性をもったウイルス株に変容します。この凶暴ウイルス株が猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)です。猫コロナウイルスの猫伝染性腹膜炎ウイルス株は猫腸コロナウイルスとは異なり、腸で増殖せず、免疫系の重要な細胞の1つであるマクロファージに感染します。良好な免疫応答ができないとウイルスが全身に広がります。猫コロナウイルスに感染していて猫伝染性腹膜炎ウイルス株が出現したとき、猫が猫伝染性腹膜炎を発症するか、健康を維持するかは、その免疫反応の質に依存します。強い免疫反応(特に「細胞性免疫」と呼ばれる種類の免疫)があれば猫は感染を抑え、症状の発生を防ぐことができます。

猫伝染性腹膜炎の多く(またはほとんど)のケースで、ウイルスは猫の糞便から排出されません。
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猫伝染性腹膜炎の臨床症状

猫伝染性腹膜炎はいろいろな症状を示しますが、どれも猫伝染性腹膜炎に独特のものではありません。そのため症状から猫伝染性腹膜炎を診断することができません。複雑な検査が必要です。

初期の兆候は、熱が出たり下がったりし、だるそうに寝てばかりで、食欲不振になっていることが一般的です。数日間(はっきりわからないので、もしかすると数週間とか数か月ということもあるかもしれません)そのようなぐだぐだした様子が続いた後に、他の兆候が発生します。

次に出てくる症状で私たちは「ウエットタイプ」とか「ドライタイプ」としています。実際には両方の混在ということも少なくありません。
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「ウェットタイプ」

ウエットタイプでは、お腹(腹腔内)に液体が溜まります。腹水のためにお腹は大きく膨れます。胸の中(胸腔内)に液体が溜まることもあります。それは呼吸困難の症状をもたらします。お腹と胸、両方の場合もあります。猫伝染性腹膜炎による感染は「血管炎」が発生するため、血液から腹部または胸部に液体が漏れ出し液体がたまります。腹部に体液の蓄積が発生したことがこの病名の由来です。貯留した液体は透明な黄色でタンパク質に富むため、採取するときにとろっとした感じがあります。けれど他の病気(肝臓の病気や腫瘍など)でも同じような液体の貯留が発生しますので、腹腔または胸腔に液体が溜まった病気がすべて猫伝染性腹膜炎という診断になるわけではありません。
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「ドライタイプ」

ウエットタイプではない感染は、長期にわたる炎症を引き起こし、体内のいろいろな場所の血管周囲に発生します。こういう変化は、「液体がしみ出す」に対して「細胞が集まる」反応になります。「炎症性肉芽腫形成」といいます。目や脳に出ることが多く、そのほか肝臓、腎臓、肺、皮膚を含む体内のほぼすべての組織に影響が出ます。そのため、目の中の出血や濁り(ぶどう膜炎として知られています)、ふらふらした歩き方(神経学的な徴候です)や、肝臓や他の内臓の病変で発生する可能性のある他の漠然とした疾患の兆候(黄疸)など、幅広い兆候が観察される場合があります。ただし、ぶどう膜炎も、ふらふらした歩行も、黄疸も猫伝染性腹膜炎に限った症状ではないため、他の疾患との鑑別が必要です。

猫伝染泥腹膜炎で局所に限局されたケース(ドライタイプで目の症状が出ているというケースなど)では、猫がウイルス増殖を抑えるのに役立つ部分的な免疫反応を起こしたと考えられています。滲出液の発生を防いではいるものの、病気の発生をくい止めるには不十分な免疫応答です。

ドライタイプとウエットタイプの両方の疾患が組み合わさった兆候が現れることがあります。

症状発症からのスピードは速い

いつから始まったのか分からないくらいののろさで発症した病気も、いったん症状が出始まると、時間とともに徐々に悪化するし、その時点からの悪化のスピードも早まります。安楽死という言葉が頭をよぎるようになるまで数日(または数週間という単位)になることさえあります。

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消毒薬について
「ヒトと動物のコロナウイルスに対する消毒薬の研究」という論文からは
①62~71%エタノール
②0.5%過酸化水素水
③0.1%次亜塩素酸ナトリウム
が有効とされており、これらはウイルスを1分以内に不活化させるそうです。
④加熱(56℃30分以上)は不活化のために効果的だそうです。(マスクの消毒に熱湯消毒は良さそうです。)ただしこれらも有機物の存在によって変わってくるそうです。
SARSコロナウイルスに対する消毒法は国立感染症研究所によると家庭で使用する一般的な消毒薬として、
⑤70~80%エタノール
をあげていますが、現在なかなか入手困難です。
⑥界面活性剤をぬるま湯で溶かしたもの
 (台所用合成洗剤として濃度0.5%以上)
が現実的かもしれません。これは1リットルのぬるま湯に5~10㎖程度の台所用洗剤を加えた物です。成分としては
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、または
・硫酸エステルナトリウム
を16%以上含むものです。

注:③0.1%~0.02%次亜塩素酸ナトリウム溶液について
ノロウイルス対策としてキッチンハイターを用いた消毒法があります。便や吐物など直接ウイルス排泄があると考えられる床には0.1%で、トイレの便座やドアノブ・手すりには0.02%が推奨されています。これはコロナウイルスにも有効です。ただし金属に対しては腐食してしまう可能性があるため注意が必要です。花王のHPに薄め液の作り方が出ています。参照ください。私たちはパルボウイルス感染症が発生したときによく利用していますが、濃度が濃すぎるのはいけません。ご注意ください。
https://www.kao.com/jp/soudan/topics/topics_107.html
なお、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは異なります。ご注意ください。



以上を状況により使い分けていただくと、アルコール欠品でも身近なところに消毒液は豊富にあります。ご安心して実行ください。






















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犬の汎親和性コロナウイルス

 犬のコロナウイルス感染症についての続きのお話です。


前2回のコロナウイルス感染症は、①腸コロナウイルスならば混合感染が無ければ軽度の下痢程度。②呼吸器コロナウイルスならば子犬によくあるケンネルコフ。で、あまり怖いイメージはなかったと思います。けれどこれら二つの他に、おそろしく怖いタイプのものがあります。それが今回お話しする③汎親和性コロナウイルス株の感染です。

犬汎親和性コロナウイルス(Canine pantropic coronavirus)について

犬コロナウイルスには異なる特性がある汎親和性株(canine pantropic coronavirus)も同定されています。汎親和性というのは汎=広い範囲の、親和性=臓器の細胞を好む(取り付く)という意味で、つまりいろいろな組織を侵します。

ウイルスが犬の体内のどこの細胞を感染先として選ぶか(向性)によって、病気のタイプや毒性、症状などが変わります。たとえば先々週お話しした犬コロナウイルス(CCoV)は腸の上皮細胞を好むので腸炎を起こしますし、先週お話しした犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)は気道の粘膜を好むので風邪のような呼吸器症状を起こします。

犬コロナウイルスは絶え間なく変異を繰り返しています。それはゲノム内で突然変異が起こったり、遺伝子配列が挿入されたり欠落したりすることで発生しています。

腸炎を起こす犬コロナウイルス(CCoV)と汎親和性コロナウイルス株を遺伝子比較すると、遺伝子配列の一部がわずかに変異しているだけですが、腸に取り付くだけだったウイルスが多臓器に取り付いて全身の極めて重篤な状態を引き起こします。

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<犬の汎親和性コロナウイルス株に感染した犬>

イタリア、バーリ大学のブオナヴォリア(Canio Buonavoglia 先生たちは2005年にコロナウイルスによって致命的な感染を受け亡くなった犬たちについて最初に報告した研究グループです。イタリアのバーリのペットショップで重篤な全身性疾患に陥った子犬4頭が始まりです。症状は、発熱(39.5°C40°C)、嗜眠(元気なく寝てばかりいること)、食欲不振、嘔吐、出血性下痢で、次いで運動失調や発作といった神経系の症状が現れ、これが死の徴候になりました。犬の死後病理検査が実施されると、腹腔、腸、肝臓、脾臓、肺など複数の臓器に異変が認められました。彼らはこれを「犬の高病原性コロナウイルス」としています。

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<続きの研究と発表>

続く研究で、感染時の年齢により病気が致命的にならない可能性も示されましたが、汎親和性犬コロナウイルス株の出現は、ペットの犬に対して潜在的な脅威となりました。もし子犬で説明できない致命的な病気が発生した場合には、原因としてこの新しいコロナウイルス感染を考慮されるべきだと、先生は結んでいます。

その後2008年から2009年に、同じような全身性疾患の発生がフランスやベルギーで、2012年にはベルギーで見つかり、2014年にはブラジルでも確認されています。パルボウイルスとの混合感染で悪化しているようです。2018年にはイタリアのオオカミでもこのウイルスが見つかっていて(それまでの発生は犬に限られていました)、ヨーロッパの野生肉食動物にも新しいコロナウイルスは広まってしまったようです。

現在のところ、日本では、汎親和性コロナウイルス感染症の発生報告はありません。
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 <コロナウイルス感染から自分とペットを守る>

香港の2頭の犬(ポメラニアンとジャーマンシェパード)やベルギーの猫、そしてつい最近の香港の猫のニュースから、多くの飼い主さんは「自分がコロナウイルスに感染すると、最終的には飼っている犬、猫を病気にさせてしまうのではないか」と心配してしまいます。

(犬や猫への感染が継続して発生しているというニュースは耳にしません。差し迫る危険性は低いと思われます。またそのように感染した犬から再び人への感染が起こることは無いだろうと、繰り返し、強調していわれています。)

ウイルスが感染するというのは、私たちの細胞の中にウイルスが侵入することをいいます。侵入するときはウイルスに付いている鍵と、細胞に付いている鍵穴の形状が一致する必要があります。ヒトのウイルスの鍵のかたちと、犬や猫の細胞に付いている鍵穴のかたちは異なるため、ウイルスは犬や猫に侵入できないことになっています。(宿主特異性といっています。)ただしコロナウイルスは非常に遺伝子変異を起こしやすいウイルスで、これまでも、「コウモリ→ラクダ→ヒト」(MERSコロナウイルスの場合)などといった経路でウイルスが変わって人に感染するようになってきていますので、「絶対に大丈夫」を言ってあげることはできません。人から動物への異変を作らないこと、そして定着させないことはとても重要です。そしてなんといってもかわいい「うちの子」が日本での発生第一号にならないようにすることも大切なことです。

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わたしたちは、人と動物の間で感染性微生物が伝播するのを防ぐために措置を講じることが重要です。まずは、犬や猫の頼りになる飼い主さん、あなたが病気にならないように、切にお願いいたします。
そして犬猫の安全のためには以下のようなことがおすすめです。

  1.  石鹸と温水で3060秒間手をよく洗ってください。犬や猫(や他の動物でも)、動物の排泄物に触れた後は手を洗ってください。これは習慣になっているといいと思います。ハンドソープは泡タイプも液状タイプも石鹸濃度が薄いので、昔からある固形石鹸がおすすめです。外出先などで、石鹸と水が使用できない場合は、アルコールベースの手指消毒ジェルを使用してください。
  2.  病気のときは、(そうでない場合でも!)他の人や犬や猫との密接な接触を避けてください。
  3.  少なくとも12か月ごとに、健康診断を受けさせてください。犬や猫が歯周病、肥満、その他の病気などによって、深刻な免疫不全に陥ることが無いように、軽度のものも含めすべての異常を解決していきましょう。 

今回の新型コロナウイルスが万が一、人獣共通感染症になってしまうと、危険すぎる犬や猫をこれまでのようにかわいがるわけにはいかなくなってしまいます。とにかくどんな場合でも(病気の犬や猫を見ているのが切なくても、健康なときの愛情表現を受け入れてやりたいと思っても)、濃厚な接触はやめ、節度ある飼育を心がけてください

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ジャンル : ペット

犬呼吸器コロナウイルス

 先週の続きです。一般に犬のコロナウイルス感染症といえば腸炎です。けれど呼吸器を冒すタイプのコロナウイルスもあります。

犬呼吸器コロナウイルスについて


犬のコロナウイルス(CCoV)には第2のタイプが存在することがわかっています。2003年にイギ​​リスで急性呼吸器感染症の犬で最初に発見されました。グループIIとして知られるこの株は、腸ではなく犬の気道に影響を与えます。この犬呼吸器コロナウイルス(Canine respiratory coronavirusCRCoV)は、腸に問題を起こすコロナとは別の仲間、ベータコロナウイルスに分類されます。

このウイルスは主にイギリス、アイルランド、ギリシャ、イタリアといった欧州で見られていますが、望月先生や石田先生たちによる「Etiologic Study of Upper Respiratory Infections of Household Dogs:飼い犬の上部呼吸器感染症の病因学的研究」(2008年)の発表により、このウイルスが日本にも存在することが明らかにされています。また最近の研究から、米国とカナダにも存在し、試験した犬の約50%がウイルスに対する抗体を持っていたことからCRCoVの感染が過去にあったことが伺えます。

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<感染症の症状は?>

CRCoVは急性呼吸器感染症(風邪のような感染症)を引き起こします。ほとんどの犬は、咳、くしゃみ、鼻漏(鼻汁)といった軽い症状だけで、食欲が低下することも元気がなくなることもありません。

犬呼吸器コロナウイルス感染症という病名を使うことはなく、犬感染性呼吸器疾患(CIRD)または伝染性気管気管支炎(ITB)と言っています。「ケンネルコフ」(犬小屋の咳の意味)と言う方が、なじみがあるかもしれません。CRCoV感染は単独でも感染性呼吸器疾患(CIRD)を引き起こす可能性がありますが、通常はパラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ジステンパーウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、気管支敗血症菌(Bordetella.bronchiseptica、マイコプラズマ類、連鎖球菌(zooepidemicusなどの他の病原微生物との同時感染で、病気を発症させています。単独感染よりも混合感染した場合の方が病状は強く出ることが多く、一部の犬は肺炎に進行することがあります。一部症状がない犬もあります。(無症状感染)

 

<感染は?>

犬のブリーディング施設、動物保護施設、ドッグショー会場など、多数の犬が一緒に(密室で)収容されている場合に感染リスクは高くなります。 腸コロナウイルスの感染と同じように、犬呼吸器コロナウイルスの感染もすべての年齢で感染が起こりますが、幼少の犬(ことに1歳未満の犬)で問題になることが多いです。

非常に伝染性が高く、感染した犬との直接接触、咳やくしゃみによって発生するエアロゾルによって広がります。症状の出ていない犬でも、他の犬に感染させる可能性のあるウイルスを排出します。

潜伏期間は不明ですが、数日かかる場合があります。ウイルスが排出される日数も不明です。通常、症状は12週間で消失します。

感染した犬を扱っている人の手を介して、食べ物や水食器、首輪や鎖、衣服を汚染する可能性があります。

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<診断は?>

犬感染性呼吸器疾患(CIRD)を引き起こす病原体はどれも、「咳、くしゃみ、鼻汁」の同じ症状を引き起こすので、症状だけで犬呼吸器コロナウイルスの感染を診断することはできません。確定診断を得るには、症状のある犬の鼻腔または喉の奥から検査材料をぬぐって採取し、外部の検査室に提出する必要があります。IDEXX(検査機関の名称です)は、「呼吸器疾患パネル」として、犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)、犬パラインフルエンザウイルス3型(CPIV-3)、犬アデノウイルス2型(CAV-2)、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬ヘルペスウイルス(CHV)、犬インフルエンザウイルス(H3N8,H1N1,H3N2)、犬ニューモウイルス(CnPnV)、気管支敗血症菌(Bordetella.b)、マイコプラズマ(Mycoplasma Cynos)、連鎖球菌(Streptococcus equi susp.zooepidemicus12項目の呼吸器病原体の検査を実施しています。検査方法は遺伝学的検査(リアルタイムPCR法)です。検査結果が出るまでには45(営業)日かかります。

*犬インフルエンザウイルス、犬ニューモウイルスは犬呼吸器コロナウイルスと同じく新興感染症に分類される呼吸器疾患の病原体です。日本での発生報告はありません。

 

<治療は?>

治療は、症状に基づいた支持療法(二次的な細菌感染の兆候があれば抗生物質、また猫のインターフェロンを犬に応用するなど)で、ウイルスに特異的な治療法はありません。一般的なケンネルコフの治療法です。

非常に伝染性が強いため、病気の蔓延を最小限に抑える目的で隔離をします。隔離時間は不明ですが、推定は3週間です。他の病原体との混合感染が疑われるときは、(数か月に渡って排出される可能性があるため)隔離期間をさらに延長します。

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<予防はできる?>

現時点では、犬呼吸器コロナウイルスに対するワクチンはありません。CRCoVは犬の腸内コロナウイルスとは異なるため、犬腸コロナウイルスのワクチンは接種しても効果的ではありません。パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型、ジステンパーウイルス等のワクチンが利用可能な他の呼吸器病原体に対してワクチン接種をします。(いわゆる犬の混合ワクチンです。)これにより、これらの病原体との混合感染のリスクが軽減されます。

CRCoVに一度感染すると再感染のリスクを減らすか、感染が起こった場合の症状を軽減する抗体が作られることが研究により示されています。感染による免疫の持続時間は不明です

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<感染の管理は?>

 CRCoV 感染の蔓延を防ぐための重要な管理は、犬を隔離することのほか、感染した犬を扱った人が看護のあと衣服を着替え、手を洗う必要があります(バイオセキュリティ対策)。このウイルスが環境内で存続する期間は不明ですが、数時間程度という説もあります。アルコール等の消毒剤によって不活化されます。水分はウイルスの生存を助けるので、洗浄後は完全に乾かしてください。

混合感染でなければ呼吸器コロナウイルスの感染も重症化しそうにない印象を受けます。が、一部恐ろしく手強いタイプのウイルスも存在しています。日本の日常診療では見かけることがないものです。次回に回します。


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