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目が緑色です

 先週、緑内障のお話をしました。緑という色名がついていますが、目が緑色に変わる病気ではないです、とお話ししました。「いや、うちの子は目が緑色になっちゃったよ」という声が聞かれました。「暗いところで目が緑色に光るようになった」そうです。そうです。確かに、光に反射して緑になります。それはうっかりいたしました。ということで、続きのお話です。

 

<目が光る>

暗いところでは瞳孔(ひとみ、目の中心にある黒い部分)が開いています。特に猫は、明るいところでは縦長に見えている部分が暗い場所では大きくまん丸になっているのがわかると思います。(猫が驚いたときにもまん丸目玉になります。)これは暗いところでは光をたくさん目に入れて、物を見るのに都合の良い仕組みです。

一方、私たちから見た場合です。山間部では夜道に車のライトに照らされてぴかっと反射する野生動物の目玉にびっくりすることもあります。田舎では外歩きの猫に出くわすこともあります。ぴかっと反射は、動物の瞳孔が開いているときに強い光源が目に入り、目の中の奥にある反射板(タペタム)に光が反射されて出てくる光です。この光は緑色に見えることが多いです。

屋内では夜でも電灯をつけるので夜道のように真っ暗ではありません。なのに光に反射して目が緑色に見えるのはどうしてでしょう。病気のために瞳孔が開いたままになってしまったり、反射が亢進している状態になっているからです。これには眼圧が高くなってしまう緑内障(後期)や、全身性高血圧由来の網膜症、また網膜そのものの病気が考えられます。

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緑色の目をした猫さんですが、ここは虹彩です。
病気ではありません。




<網膜の病気>

網膜の病気で多いのは「進行性網膜萎縮症」や「突発性後天性網膜変性症」、「網膜剥離」です。

進行性網膜萎縮症は先天性の病気で、比較的若い年齢で発症します。暗いと見えにくい「夜盲」の状態から始まります。年齢も若く、まさか「視力に問題が出てきている」などとは思わないし、昼間の視力は備わっているし、進行もゆっくりなので気づかれにくいです。最近ではペットショップから購入する時点で遺伝子検査を実施してある個体もみられます。

一方、突発性後天性網膜変性症は、ある日突然に完全な視覚消失を迎えます。中高齢の犬に発症することが多いです。原因は不明で、免疫系の疾患の可能性が疑われています。

網膜剥離はぶどう膜炎や緑内障、全身性高血圧症に引き続いて発生する病態です。網膜が部分的あるいは完全に剥がれるので、出血したり充血したりしますから、「緑色に見える」時期の前には「目が赤い」時があったかもしれません。原因にもよりますが、涙が多かったり、目をしょぼしょぼさせているなど目の痛みから来る症状を伴うこともあります。網膜剥離は犬にも猫にも発生します。

 

<網膜の病気の治療>

進行性網膜萎縮症や突発性後天性網膜変性症では残念ながら治療法はありません。網膜剥離も早期で部分的な場合は、原因になる目の病気の治療に成功すれば視力の回復の可能性はありますが、むずかしいことの方が多いかと思います。抗酸化作用のあるサプリメントを使うことはありますが、視力回復を目的にしたものではありません。

網膜剥離の場合、炎症が起こっていると思われる段階ではステロイド療法(点眼と内服)を行ないます。全身性高血圧症に由来する場合は、血圧を下げる治療を行ないます。猫では腎臓病や甲状腺機能亢進症により全身性高血圧症が発生することが多くあります。このような病気であれば腎臓病や甲状腺機能亢進症の治療も積極的に行ないます。それでも視力を回復させる治療にはならないことが多いです。

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それにしても緑色の目をした猫は魅力的です。
繰り返しますが、これは病気ではありません。




<片目の盲目>

網膜剥離は片目で起こることが多いので、こんなお話をします。片方の目だけが見えていない場合は飼い主さんは気づきにくいと思います。行動に大きな変化が現れないからです。症状が進行して、左右のひとみの大きさに違いが表れるとか、「目が赤い」という時には注目するのでわかります。あとは両目とも網膜剥離になってしまったときになってはじめて気がつかれると思います。もし両目ともおかしくなっていても片目が部分的な剥離であれば視力が残されるため、気づかないこともあります。

 

<この子は注意!>

コリー、シェルティー、ボーダーコリーは網膜の病気が起こりえます。柴犬、コッカスパニエル、ミニチュアダックスは緑内障の危険性を持つ犬たちです。高齢猫は腎臓病や甲状腺機能亢進症の発生が多いので注意が必要です。

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暗闇で強い光が当たると目が反射します。
ミュージカル・キャッツのオープニングのようです。




<おわりに>

目の病気は一つの病気から進行して別の目の病気に変わっていく(続発してしまう)ことがあります。例えば進行性網膜萎縮症から白内障へ、ぶどう膜炎から網膜剥離へ、網膜剥離から緑内障へ、白内障からぶどう膜炎を経て緑内障や網膜剥離へという具合です。目の病気は急がなければいけないこともあるのですが、全身性の疾患のように「食べない」を起さないために「今日は忙しいから待っててね」「仕事が休みになる土曜日に行こうね」ということが起こりがちです。ひどくしないためには、「気がついたそのとき!」に来院していただくのがいいんじゃないかなぁ、とは進行した眼科疾患の視力を取り戻せないヤブな獣医さんの独り言?いえ、眼科専門医の先生でもそうお考えなんじゃないかと思います。

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犬の緑内障

10月になりました。もうカレンダーの残り枚数が3枚になってしまいました。季節の変わり目で不安定なお天気が続いていた9月も終わり、お出かけに気持ちの良い陽気になりました。10月第1週にはNational Wolk Your Dog Week というのがあります。それも今日が最終日ですが。「犬と一緒にお散歩に行きましょう週間」とでも訳したらいいのでしょうか。とにかく気持ちのいい季節にはわんことのお散歩も弾みます。ただし、わんこの視力が有るのなら、のことです。
今日はわんこの視力を急に奪っていく病気、「緑内障」についてお話しします。

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瞳が緑色になる病気・・・ではありません。
 

<緑内障というのは>

目の中には眼房水という水が入っています。眼房水の圧力が眼圧で、これによって目の張りや大きさが保たれています。緑内障は眼房水が溜まりすぎて高眼圧になり目の痛みを起こし、またゆくゆくは網膜の視神経に障害を起こすので失明してしまう病気です。
白内障は瞳が白くなる病気だから、緑内障は目が緑に見えてくる病気、と思われている患者さんもおられます。「緑になっていないから緑内障じゃない。大丈夫。」みたいな感じです。残念ですが「瞳の色が変わるので病気がすぐにわかる」という簡単なものではありません。

柴犬やシーズ、アメリカンコッカスパニエル、ゴールデンレトリーバーなど原発性に緑内障を起しやすい犬種が有ります。突然眼圧が上昇します。遺伝的な素因を持っています。目に構造的な問題があると考えられます。別の構造上の問題でビーグルは徐々に眼圧が上昇する好発犬種です。

また白内障やその他の目の病気に続発することも有りますので、人気犬種のダックスやトイプードル、チワワにも無縁の病気というわけではありません。続発性の緑内障ではこの犬種たちの発生が多いくらいです。なので、このわんこたちのご家族さんも「緑内障という怖い目の病気が有る」ことを記憶の隅に置いといてもらえるとウレシイです。

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柴犬は緑内障の好発品種です。


<典型的な柴犬の緑内障の場合>

年齢は7歳から8歳くらい。

急に発症し、激しい目の痛みがあります。

違和感があるため目をショボショボさせます。

痛みのために元気がなくなります。

ものすごい痛みから嘔吐してしまう犬もいます。

目の様子が変だからと顔を見てみようとするけれど、目の近くを触られるのも痛みのためにいやがります。

離れてみると、眼球がもう一方に比べて一回り大きくなっているように見えることもあります。

黒目のまわりの白い部分に血管が浮き出ていて赤く、恐怖映画の中に出てきそうな様相です。

ぱっと見た目が、濁りのために青く(~銀色に)感じられる場合があります。このときは中が見えません。瞳は見つけられません。

青くしっかり濁っていないまでも、黒目の部分がうすく白く濁っていることがあります。

明るいところに居るのに瞳がぱぁ~っと大きく開いているのに気づかれるかもしれません。そしてその大きさがそのまま変化しない(大きいまま)かもしれません。

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まぶしい!目をショボつかせるのが初期症状です。



<緑内障の病気経過>

症状を出す前にはすでに病気が始まっていて、潜伏期と呼ばれています。この時期は犬にとっては違和感が有るかもしれませんが、それを訴えることができるのかな?もし訴えられたとしてそれを受け止めることができるのかな?と思います。

次に時々眼圧が上がったり、平常に戻ったりの時期があります。「なんとなく目がおかしい」の段階です。来院されて、緑内障を疑って眼圧測定したものの異常値ではないことが多いです。ここで緑内障の治療薬を使ってしまうと後でほんとに緑内障だったかな、なんて心をもやもやさせる段階です。でも使わないで緑内障のステージを進めてしまったらもっと後悔するステージです。どちらにしても獣医さん泣かせの段階です。

その次の段階が、飼い主さんが犬の目の異常にはっきりと気づいて病院に連れてこられるときです。この段階で来られるのが一番多いです。先ほどお話ししたような症状が出ています。けれど残念なことに、たいていのこのステージで、多くの犬はすでに失明しています。

さらにこの時期を経過すると、症状があるのに眼圧は下がっています。

さらに経過したのが、私たちが「牛眼」と呼んでいる状態です。目玉がくりんと出ています。もちろん視力は有りません。

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初期治療に成功すれば視力の寿命を延ばすことができます。



<緑内障の治療>

緑内障の治療はひたすら眼圧を下げること。それはそのまま目の痛みを取ります。そして、もし視力が残されているのであればこれを救うことになりますが、これはあまり期待できないかもしれません。

結論から言ってしまうと緑内障は「外科の病気」になるかもしれません。迅速に眼圧を下げるには点眼では時間がかかりすぎるからです。目に細い針を刺して水を抜く処置も急性期には必要な救急処置の範囲です。でもなかなか眼圧が下がらないといっても何度も針刺し処置ができるわけでもありません。しかし眼科専門医に愛犬を届けるのに急なことでうまく連携が運ぶかどうかはわかりません。やっぱり、この先のことはどうあれ、点眼による治療をはじめることになります。

もうひとつ、身も蓋もないことをいいますが、緑内障は進行性の病気です。つまり、治ることは無い。気長にいうと視力が確保できる期間をできるだけ伸ばしていく治療です。遺伝に裏打ちされた構造上の欠陥があるために発症した病気ですから、今は右だけまたは左だけの状態かもしれませんけれど、残された片方が同じような状態になるのも予想されます。もう一方が悪くまで最初の発症から1年少しというのが標準的な期間ですが、この片目は機能している期間をできるだけ長くしていきたいので、丈夫な方の目に予防的な点眼をするというのも治療の一環として必要になります。「え?悪いのは右ですけど。左に目薬をさすの?」とはよく言われます。そうなんです。けれど予防的な点眼は目に見えないので良くなっている感じがしない、やめたからといって急に悪くなるわけでもない、顔のまわりを触られるのが大嫌いで(しかも凶暴な?)柴犬に点眼をするのは、ごほうびのない作業を続けるのでモチベーションも上がらないだろうとお察しします。

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点眼をしっかりできた犬はうまくいきます。
がんばって!



<緑内障治療に使われる目薬>

目に痛みがある急な発症で、目に炎症がないとき、新しく動物用にできた白いキャップの目薬が有効です。これまでは空色キャップの目薬を処方していました。同じ成分ですが、今までのものよりも薬物濃度が高く、有効です。発症からすぐの段階では1時間ごとにでも点眼を繰り返すようにします。

もし炎症があるようなら、(目が青くなっていたり白く濁っていたりするとき)この目薬をはじめる前に、液が濁っている目薬(これも動物用です)をお願いします。この時、眼圧を下げるための目薬も併用しますが、動物用の白いキャップの目薬ではなく青いキャップの目薬です。

緑内障治療に使われる目薬は眼圧を下げることを目的としたものですが、大きく分けると眼房水を作るのを押える薬、前眼房に有る水を排出させるように働きかける薬、両方の作用がある薬が有ります。(その作用のさせ方によりもっと細かな分類があります。)それで、なかなか反応が悪いときは、一つだけでなく、二つとか三つくらい併用することになります。合剤になっているものもあります。

点眼液には11回と書いてあったりしますが、急性期のひどい状態を乗り越えるため、あえて12回から3回、またはそれ以上に頻回の点眼をお願いすることもあります。点眼液に書いてあることとお願いすることが違いますが、「先生、まちがっちゃったのね」ってことは無いです。急性期には念入りに点眼してください。そして眼圧はちゃんと下がって来るかどうかの再診は翌日とか翌々日とかすぐにお願いしています。

基本、再診日が近いというのは病状の変化が急であって、予後に不安があるときです。長期のお薬を処方できるのは状態が安定していて、予後に不安がないということです。

安定期には点眼回数は少なくて大丈夫です。予防的な点眼も同様です。予防していた方の目が怪しくなってきた場合、点眼液の種類が変わったり点眼回数が変わったりします。

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いよいよ!というときには手術もあります。



<緑内障の時の点眼以外の治療>

激しい痛みと炎症を抑えるために、点滴によるステロイド療法を行なうことがあります。

視神経を守るために、全身性高血圧のときに使うお薬を服用していただくことがあります。

使用できるサプリメントがあります。

外科が必要と思われるときには眼科専門医と連携する必要があります。急性期に連携するのが難しいかもしれません。このとき眼科専門医にお願いする外科は眼球切除術ではありません。虹彩を切ったりする手術で眼圧を下げる手術です。目を守るものです。

最終段階で連携をする場合の手術は眼球切除から義眼挿入手術になるかもしれません。

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お散歩にも注意が必要です。



<もうひとつ、大切なこと>

頸動脈に圧受容器があります。血圧を関知するところです。頸動脈を圧迫すると眼圧が上がります。興奮でも上昇します。暴れ症の柴犬が散歩の時、首輪からリードでつながれていて、ぐいぐい引っ張るのは眼圧を上げることになります。胴輪にして、しかもリードをつける部分が背中側ではなく前胸部にあるものを選んで装着してもらうのがおすすめです。前にあると勢いを制御しやすいからです。

あらかじめうちのわんこに緑内障の遺伝素因があるかどうかを調べる遺伝子検査があります。緑内障好発犬種はこの検査で陽性であったら絶対に、また遺伝子検査をしていなくても、首輪にかかる圧力を分散させると、目を守ることになります。

 

10月9日は「てくてく」お散歩の日だそうです。いつまでも視力を保って、すがすがしい秋空の下、気持ちよくお散歩に出かけたいです。 

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外耳炎が治らない

 アトピー性皮膚炎が治らない」のお話をしてきました。今日は「外耳炎が治らない」「外耳炎をすぐに繰り返す」のお話です。

当院で外耳炎は、心臓病や腎臓病、アトピー性皮膚炎と並んで定期的に来院していただいている病気のひとつです。「良くなったね」で、病院と距離が離れてしまうと再発しているのが外耳炎です。

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耳を振る、頭を傾ける、後ろ足で首の所を掻くのは
耳が悪くなっているサインです。

<だから、耳は悪くなりやすかった!>

耳は特殊な構造をしていることや、慢性化させる要因があるため、一度外耳炎を起すと治りにくかったり、治ったように見えて(本質的な構造の変化がないので)同じ条件が整ってしまうと再発しやすくなっています。そして悪化した状況を治さないとさらにひどくしてしまうことがあります。

    耳の入り口(耳孔)付近には軟骨のしわしわがあります。そしてそのあたりの皮膚に凹凸ができています。しわの溝には耳垢が入ってとりにくい構造になっています。

    さらに耳の入り口から奥へ向い、耳道は曲がっています。そして耳道は狭いです。

    耳道の奥の皮膚表面からは耳垢が産生されています。耳垢腺は汗の腺と考えてください。この分泌物はじっとり、しっとりしています。あぶら症の犬ではねっとりしていることもあります。奥から外へ耳垢は出てくるような仕組みになっていますが、ときに耳垢の排泄を妨げられていることがあります。

    耳の出口を塞ぐように耳がたれている犬がいます。耳が立っている犬でも、柴犬のように耳孔付近がきゅっと縮まっていて狭くなっている犬もいます。これでは耳垢が排泄されにくいです。

    耳道に毛が生えている犬がいます。実は奥の方を覗くと、奥にも毛が生えています。この耳の毛も耳垢が外に排泄されるのを妨げています。

    耳の中には常在菌がいます。菌は温かく湿った環境が大好きなので、耳の中は繁殖しやすい状況が整っています。

    それから耳の中だけに感染する寄生虫(耳ダニ)が入り込むことがあります。(犬よりは猫の方が耳ダニ汗腺は頻度が高いです。)

    異物が入ってしまうことがあります。散歩中に草の種が入ることはまれではありません。

    アレルギー性の疾患があったり、内分泌系の病気でホルモン異常があっても外耳炎が二次的に発症します。再発を繰り返します。

    高齢の犬では腫瘍ができていることがあります。慢性的な炎症からくる良性の過形成のこともあるし、腺癌のような悪性のこともあります。これだとなかなか治らないと感じると思います。

    特別な構造をしているために皮膚の角化異常を起こしたり、結合組織が過形成をおこして、耳を塞いでしまうことがあります。これはすごーく悪いときです。耳の付け根を触ると耳が硬く大きくなっているように感じるかもしれません。耳の中にサザエを入れてあるかのような感じがします。

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正常な耳と耳道のモデルです。
 

<悪くさせる要因は何だろう>

上記のような、構造的な問題はどうすることもできないわけですが、耳の毛の問題だったら、こまめなケアで毛の処理をすれば悪くなるのを防ぐことができるかもしれません。

アレルギー性の病気、たとえば食物アレルギーやアトピー性皮膚炎があると、皮膚の状態によって耳も悪化と良化を繰り返すと思います。一緒に診察していく必要があります。

甲状腺機能低下症のような内分泌的な病気があっても、耳垢排泄が滞ります。副腎皮質機能亢進症があると細菌感染を起しやすいため、外耳炎を繰り返す可能性が高いです。こうした内分泌系の病気がないかどうかは耳の診察の他、全身チェックや、血液検査を通して知ることになります。検査後、不足しているホルモンをお薬で補充する必要があります。

耳の中に異物はないか、構造異常が起こっていないかを見るには耳鏡などで耳の中を覗いて見る必要があります。異物は取り除けば済みますが、腫瘍は簡単に取り除くことができません。しっかりした治療計画を立てる必要がありそうです。

細菌やマラセチア(酵母菌)感染は耳垢を染色して顕微鏡で確認します。ひどい細菌感染では耳垢を材料にして細菌培養して、適切な抗菌薬を調べる必要が出てきます。まれにはMRSAなどの治療しにくい菌の感染があり、特殊な抗菌薬を長期間使用しなければならないようなこともあります。

このように発症の要因は何?をみていくには、さまざまな検査が不可欠です。「怪しいな」「調べさせて貰えないかな」というときがありますし、逆のこともあります。「困ったな」「調べたいけど痛みがひどすぎて検査どころじゃないぞ」というときです。まれですが耳の処置に麻酔をかけなければいけない状況もあります。耳処置に麻酔!それでも検査してきっちり調べて、しっかり処置ができれば治癒への道が開けます。

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炎症が起こっている耳のモデルです。
赤く腫れ、耳垢が耳介のしわに溜まり、耳道は狭まっています。
耳道奥には耳垢が、鼓膜の先でも漿液が溜まっています。

<外耳炎の治療>

外耳炎の治療の基本は耳道をキレイにすることです。耳垢があるとそこに点耳薬を入れても良くなりません。まずは溜まっている耳垢を取り除くことから始まります。じゃぶじゃぶと洗浄しても大丈夫なわんこと、そんなことはイヤですと言い張るわんこがいます。時間をかけるか麻酔をかけるか、さてどっち?ですが、無理のない方法を選ぶことが大半です。こうして治りが悪いことになります。

耳道をキレイにしたら次は点耳薬です。たいていの外耳炎用の点耳薬は炎症を抑える薬、抗菌薬、抗真菌薬の3つが合わさっています。クリームなのか、油っぽい薬なのか、ゲル状になっている薬かの違いと少しずつのそれぞれの薬の特性の違いです。細菌感染がひどく、耳だれが耳の外まで出てくるほどになっている場合は、水性の抗菌点耳液を使います。点耳液は滴下するというよりも、耳の中に薬を入れてしばらく耳を傾けておき薬が外に出ないように保持します。耳浴といいます。

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耳垢を染めて顕微鏡で見ると細菌や酵母菌を発見できます。

<全身療法を併用>

基本は外用だけです。でもそれだけだとちょっと不安というときがあります。細菌感染がひどいときの抗菌薬、マラセチアの増殖がある場合の抗真菌薬が主ですが、アレルギー疾患が関与しているときの抗アレルギー療法も全身療法です。内分泌疾患が隠されていたとわかったら、ホルモン剤も内服になります。

「耳が悪いけど、シャンプーしても大丈夫かなぁ?」というご質問を受けます。耳の中に水が入るのが心配で皆さんシャンプーを控えられるようです。アレルギーの関連した外耳炎では積極的に皮膚のケアを併用して貰った方が良いので、シャンプーOKですとお伝えしています。心配ならシャンプーをした日に診察にいらしてください。

多くの「治らない、再発性の外耳炎」はアレルギー関与のあるものです。スキンケアとお耳ケアはセットと考えて貰ってもいいくらいです。

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<良くなってもまた悪くなる>

はじめの「耳を振る」「耳の後ろを盛んに掻く」「耳が臭う」などの症状がなくなっても、外耳炎がくすぶっています。治療は続けます。それから耳垢のたまりもなく、すっかりよくなって、「ああ、良かった!」になりますが、それからの過ごし方が大切です。

おうちでお耳ケアができるときは週に1回くらい点耳薬を入れて貰ったり、シャンプー後にお手入れをして貰ったりします。おうちケア無理っ!というときは、来てください。春のお彼岸から秋のお彼岸ころまでの季節、「夕焼け小焼け」の放送が流れるのが6時になっている間は2週間に1回くらい来院していただいてお耳チェックできるといいと思います。そして放送が5時になる秋から冬の間は1か月に1回くらいのペースです。これだと再発があってもごく初期で治療を始められるし、たいていはそこそこ良い状態で維持することができます。


まだしばらく暑い日が続きそうです。外耳炎も悪化しやすいです。
「すっかり良くなった!」その後からの過ごし方で耳の状態は変わります。外耳炎は再発しやすい病気です。だから「悪化しないように良い状態を維持させる」のが大切。ぜひ「良くても再診」をお願いします。

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視力の低下した犬の生活のヒント

 失明したとき、犬はそれまでと違う行動を取るようになります。ただ、年齢や身体の状態、これまでされてきた訓練(学習した内容)、もし同居の動物がいればその動物との関わり、また家族との関係などさまざまな要因によっていろいろな反応が出てきます。攻撃的になったり沈うつになったり、中にはあんまり変わらないという犬もいるかもしれません。

まずは失明によって起こされる行動の変化と注意点をお話しします。それから失明した犬でもそのまま日常生活を送ることができるようにするためのお手伝いや訓練のことをお伝えします。何でもかんでも手を焼き世話をすることができれば良いかもしれませんが、もしお世話する人が留守になったら犬が困ります。犬には失明してからも自立した生活を送ってもらいたいです。

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<失明によって起こされる行動の変化と注意点>

1、攻撃行動

窮地に立たされたとき、「攻撃する」かまたは「逃げ出す」というのはよく知られたことです。犬は恐怖から「攻撃行動」を起こします。もしそれまでも「ビビリ」な犬であれば、見えない恐怖からうなったり、咬もうとしたりするかもしれません。いきなり犬に触って咬まれるというのは良くあることです。

注意:このときに叱ってしまうと状況は悪化してしまいます。こうすると攻撃性が増加してしまいます。決してご家族の方は噛んできた犬に対し叩いたり叱ったりしないでください。逆に「仕方ないよね、かわいそうなことになったのだから」と甘やかし、抱きしめたりおやつを与えるのも良くありません。攻撃行動に対しご褒美をもらえるわけですから攻撃行動を助長させることになります。必ず声がけしてから触るようにしましょう。びっくりさせないことが大切です。

2、沈うつ

中には置かれた状況に困惑してしまう犬もいます。どうしたらよいのか分からないのです。動きが緩慢になり、頭や尻尾を下げ、じっと静かになってしまいます。遊びもせず、日中寝ていることが多くなります。部屋の中で立ち尽くしているとかもあります。不安を感じています。

注意:飼い主さんが失明に対し落ち込んでいると犬にもそれが伝わります。悲しみの感情は犬には見せないようにお願いします。マッサージは心を落ち着かせることができます。1日に何度でも構いません。やさしく声掛けしながら体を触ってあげてください。

3、依存

自分から何かをするのをためらってしまう犬もいます。部屋を動き回りません。ご家族が時間になるとトイレに連れて行ってくれたり、ベッドルームに運んでくれたりして、手助けがくるのを待つだけになってしまいます。

注意:愛犬のためにいろいろとしてやりたくなりますが、甘やかしているとますます受け身になり、何もしなくなります。トレーニングを始め、新しい環境に対する自分の行動に対して自信を持たせてやりたいです。

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<生活に加えたいヒントいろいろ>

失明してもほとんど飼い主さんに気づかれない場合もあります。それまでの生活の繰り返しから、頭の中に家の中の構図を描けているのです。メンタルマップといいます。

全く見えなくなる前のぼんやりと見えているくらいの段階から補助してやると、完全失明の後にメンタルマップを描きやすくするための訓練もほとんど不要になるはずです。

目的は危険を最小限にすることで、危険回避が中心になります。その中で犬の生活上の楽しみや家族に依存しすぎない自立した生活にするための工夫が入ります。これまでと同じことを犬に要求することはできません。トイレの介助、食事の手助けなどいろいろありますが、できるだけ自立してやってもらうための「見守り・プラス・アルファ」で、人でいうところの「支援」になると思います。まだ「介護」にならない段階です。

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 1、特別な場所

安全な場所の提供をお願いします。昼間過ごす場所、夜寝るときに過ごす場所、それぞれが必要です。ベッドやケージを用意してください。できれば家族が最も多く時間を過ごす場所が理想的です。できるだけ孤独を感じないようにしてやってください。もしソファの上が定位置であったとしたら、落下トラブルを防ぐため、ソファの下に犬のベッドをおろしてください。またはソファに上りやすいようにスロープを設置してやってください。

屋外飼育であった場合、安全な屋内に移動させてやると犬は不安が減ります。

2、照明は明るく

犬が出入りする場所は明るい照明をつけたままにしておいてください。廊下にも常夜灯がともっているとそこを通って別のところに行く場合に案内になるはずです。

3、コントラストのエッジライン

視力低下とともに似たようなトーンの色合いを区別することができなくなってきます。視力が健常である私たちでも階段の縁にカラーの目印が付いていると安心して段を降りることができます。犬の視力が低下してきているけれどまだ完全に見えないわけではないという段階で目印をつけてやってください。ここから先は危険だという意味も含めて、玄関からたたきに降りるところ、角ばった壁のでっぱり部分などに、床や壁とはできるだけ色合いが違うものを張って目印にしてもらいたいです。ソファの座る部分の縁もそうです。私たちからすると膝の後ろが当たる部分ですが、からだ全体が乗る小型犬にとっては広いスペースの一部分が欠けたところがソファの縁になります。薄い色が多い調度品の中で、濃い色がついたビニールテープは重宝します。ビニールテープにはにおいもありますから嗅覚での覚えにもなると思います。また足裏で感じる期間があれば、完全な失明をした後でも、カラーテープを頼りにすることもできます。ビニールテープは短い周期で新しいものに交換してください。触れた感覚よりも嗅覚を頼っている場合のほうが多いと思われますので、ビニールテープのにおいが薄らぐ前に新しくしてもらいたいです。

4、遮へい

犬がこれより先に行くのは危険なことが多いと思われるところには柵をして、行けないようにしてください。階段の降り口や登り口、玄関につながる廊下へのドア口、キッチンへの侵入口など、見ていられないときに行ってしまってはいけない部分は「通せんぼ」してください。

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5、場所のにおい

例えば洗面所や脱衣室に犬のトイレがある場合、洗濯用洗剤やお風呂で使うシャンプーのにおいを頼りにトイレに行けるかもしれません。犬にとっての重要な場所にこのようなにおいと関連付けた指標をつけておきます。香りのアロマは犬に好ましくないものもありますので、お手軽ですがご注意ください。バニラエッセンスやメイプルの香りなどのキッチン用品も活用してください。これらは特に犬のフードボウルや水食器の位置を知らせるのに役立つかもしれません。

6、カーペット

目的のところへ誘導するのに細くしたカーペットも有効です。パッチワークのようにつなげるカーペットも活用すると便利です。家の中には特に犬にとって重要な場所があります。トイレ、ベッドルーム、食事の場所などです。ここへの移動がスムーズにいくように、ほかの床とは違う感触で、しかも目立つ色合いのカーペットを用意すると良いです。滑り止めのため、カーペットの下に特別なマットを敷くとか、縁をテープで止めるなど工夫も必要になると思います。DIYのホームセンターまたは通販で見つけることができると思います。

7、食器を置くところ

カーペット通路の先に、少し広めの別素材のカーペットを敷きます。犬の足4本が全部乗るくらいの広さがほしいです。ここが食事をする場所であることを足裏の触感で学べます。食器は専用の置き台を利用してください。普通の平台の上に食器を置くのでは食事中に食器が動いてしまいますので、専用の台を用意できない場合は、食器が動かないような工夫が必要です。食器がすっぽりとはまるようにダンボールの上面を円形にくりぬいてもらい、さらにそのダンボール箱をテープで台に固定するなど、専用の食器台を購入しなくても工作で代用品は作れます。

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8、音で知らせる

もし同居の犬や猫がいるのであれば、それぞれに違う音がする鈴をつけるのも別の動物が近づいてきた合図になります。お母さんを大好きな犬であれば、お母さんのエプロンポケットに鈴を忍ばせておくとお母さんの音がするのは近くにお母さんがいる印となり、犬は安心できます。猫の首輪のようなものをお母さんの足首につけてくれるのもうれしい工夫です。

9、家具の配置

基本的に、家具の配置を変えないことは古くから言われていることです。新しい家具が配置されるとこれまでのメンタルマップを脳内で新しく描きなおさなければいけないことになるからです。ただ、ちょうど犬が目的地に行こうとするライン上に家具が配置されていた場合は、それを別のところに移動させるほうが良い場合もあります。部屋の中央にあったベッドを壁際に押し付けるとか、動きやすいところを広く取ってソファに乗るための踏み台に乗りやすくさせるなど、犬にとって最善の方法を考えてやるとよいと思います。

10、家具の縁

リビングルームに置かれるテーブルの中にはガラステーブルのように縁がとがったものもあります。リビングのテーブルはやや低めで、屋内を動く小型犬の頭の高さに等しい場合があります。犬の顔を守るためにはガラスの縁などはやわらかな材質のものでカバーする必要があります。同じように尖った家具の足などはないか、チェックしてください。ここをカバーするのにはキルトの布がおすすめです。ちょっとそぐわないかも知れませんが、パイプ用断熱材のようなチューブ状の発砲スチロール材もよいですし、梱包材のぷちぷちも役立つと思います。工夫してもらえるとありがたいです。

11、新しい訓練

「マテ」はこの際、強化したい号令です。犬が何かしようとするとき、危険だと判断されたときは一時停止させることができます。また正しい位置になったときに「ジャンプ」とか「オッケー」の言葉かけと一緒にソファや床をトントンさせるなど、犬が安心して行動に移せるような練習を繰り返すことができると、声掛けのない場所で飛び乗る、または飛び降りるのをやめさせることもできます。

12、新居

全く新しいメンタルマップを描く必要が出てくるのが新居への引っ越しです。足裏の感触と嗅覚による案内を中心に転居前から匂いと生活の要所の関連付けを行っていきます。これには大変根気がいると思います。

13、家の庭

屋内と同じような要領で家の庭のメンタルマップを描けるようになると犬は屋外も楽しめます。低木の木をよけるとか、石組みを操作するのは難しそうではありますけれど。

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完全な失明になり、日常動作が思うようにならなくなるとご家族の手助けの度合いが大幅に増加します。たいていは高齢犬ですので、失明だけでなく聴覚の低下や運動麻痺なども徐々に入ってくるかもしれません。さらに認知機能障害も出てくるとすべての世話が「支援」から「介護」になりご家族の疲労が高まります。少しの工夫とお部屋の造作で愛犬の自立を助けることができます。早期のうちはできるだけ犬に「自分のこと」をしてもらえたらと思い、視力が弱くなってきたころからの行動を支えるヒントをお話ししました。

 

目が見えなくなる病気「白内障」に続いた「目」関連のお話は今回でいったん終了します。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

犬の白内障・4

犬の白内障について4回目です。
いいことばかり書いてあるけど、実際、違うじゃないの、ということがないように。マイナス面についてもおしらせしておきます。

 <白内障手術に伴うリスク>

白内障手術は非常に成功率の高い手術ですが、リスクもあります。手術後の視力改善の可能性は、ほとんどの犬にとって(90%〜95%と)高いです。けれどその残りの5%〜10%は合併症のために良好な視力を取り戻すことができません。最悪の場合は手術した目の片方または両方に永久的な失明となることがあります。白内障、炎症、および眼内手術に対する反応性には違いがあるため、白内障手術は人ほどの成功はありません。どのような手術においても常に完璧であるとは限らないこともご理解ください。特に(何度か言っていますが)水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)がある場合は成功率が低下します。
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失明を起こす目の病気はいくつかあります。
代表的なのが白内障や緑内障、網膜の病気です。
どこに異常が出るのかわかりやすくするため色をつけました。

 

術後の心配点を示しておきます。

①眼内の瘢痕組織のリスク

全てのイヌは眼内の瘢痕組織を発症します。瘢痕組織というのは、傷が治るときに全く同じ組織に置き換わることはなくて、傷を治そうというする組織が過剰に出てくる炎症性の組織のことです。皮膚にできた傷ならば「やけどの跡」のような毛が生えないつるんとした組織になりますが、目の場合、主に水晶体嚢が不透明になります。過度の瘢痕組織は視力を低下させます。子犬や若齢の犬は高齢犬よりも混濁を発症しやすいです。抗炎症薬と抗酸化剤ビジョンサプリメントで生涯サポートすると重度の混濁を形成するのを軽減させることができます。

②緑内障のリスク

緑内障は眼圧の上昇で知ることができます。これは白内障手術を受けたあと一時的に起こります。ほとんどの場合、眼圧上昇はほんの一時的で、手術後最初の12日以内に治療をすればすみやかに解決します。ただ手術後数ヶ月から数年たってから緑内障を発症することもあります。 緑内障は完全な失明の原因になります。愛犬の目がおかしいことを発見したら速やかに診察が必要です。追加の薬物療法、もしくは外科手術(眼圧制御のために行われる手術)で治療します。緑内障は「頭痛」のような症状でも発見が可能です。もし痛みのコントロールができないようであれば、残念ながら眼球摘出の手術が適応になるほどです。

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緑内障は目の中の水が溜まりすぎ眼圧が高まる病気です。



③網膜剥離のリスク。

網膜剥離はたいてい完全な視力喪失につながります。早期に対応されれば、手術成功率は高いようですが。

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網膜が定位置から分離したのが網膜剥離です。
網膜が裂けて眼内出血を起こすこともあります。




④眼内感染のリスク

これはまれです。しかし発生したら完全な視力喪失だけでなく眼球摘出手術が適応です。愛犬が不用意に目を掻いたり、こすりつけたりして目に感染をおこさないように細心の注意が必要です。

⑤全身麻酔のリスク

麻酔の安全性は近年著しく進歩してきています。私たち獣医師とそのスタッフはとても真剣に麻酔処置に当たりますし、麻酔中も幅広い項目(血液の酸素化、二酸化炭素レベル、呼吸数、体温、心拍数、および血圧)をモニタリングしています。モニタリングしていると身体に発生した異常をいち早く表示しますから、術中にそれに対応してすぐに処置することができます。
ですが、健康な動物でも一般的な麻酔下で亡くなることはあるので、一定数のリスクがあることもご承知ください。

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今回お話をしているのは白内障のこと。
水晶体が混濁した状態です。

 

<合併症リスクを減らすために>

このような合併症を発症するリスクを軽減することはできます。

①速やかに診察を受けること

白内障が疑われたらなるべく早いうちに診察にお越しください。もし糖尿病に罹患している犬であればなおさらです。早期に発見できたら手術の最適期を逃すことなくいけるかもしれません。「きっと白内障だわ。この子も歳だし、当然だよね」と間を開けないことです。水晶体が完全に不透明で目が見えなくなるまで待つのは良くありません。はじめはホームドクターの診察から。そして獣医眼科専門医の診察につながれます。

②治療時の指示に従うこと

治療時に受けた指示を守り、点眼やまたはサプリメントの投与を行ってください。点眼が困難な犬でも、根気よく点眼を続けるとうまく目薬をさせるようになります。「うちの子は目薬をささせない」とあきらめず、がんばってみてください。

③再診を受けること

専門病院で手術が済んでからも獣医眼科専門医が推奨する再診日には犬を連れて行ってください。眼科専門医による定期的な再検査が必要です。
残念なことに獣医眼科専門医への再診が予定通りではなく、数ヶ月から数年後になってしまっている犬もあります。実は彼らはベストなタイミングでベストな治療を行えなくなった患者さんを嘆いています。せっかく白内障の手術により素晴らしいビジョンを獲得したにもかかわらず、のちに発症した緑内障の治療が遅れたために視力が再び失われていることがあります。そうした事態を起こさないためにも診察にお出かけください。

④サプリメントの投与をすること

特定の犬用抗酸化剤ビジョンサプリメント(点眼液ですが、薬効的にサプリメントの扱いになっているものがあります)を使用して生涯、眼のサポートをしてください。

⑤胴輪をつけること

目の手術後は首輪を避けて胴輪で散歩するようお願いしていますが、目の異常が見つかった場合は手術の有無にかかわらず胴輪にしていただく方が、知らないうちに合併症を発症していた場合にも有益になると思います。

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悪くならないように。
目のチェックポイントと点眼方法について、
掲示してあります。




<おまけのおはなし> 

さて、獣医眼科専門医と彼らのスタッフたちはすばらしい眼科ケアチームで、白内障手術が済んだ後も犬の眼科ケアを生涯にわたって行ってくれます。手術した眼がうまくいっているかどうか、もう一方の目はだいじょうぶなのか、ときには詳しい検査なども含めて診療していきます。ご希望により獣医眼科専門医を紹介いたします。犬の目ができるだけ健康で良いビジョンを保てるように、ホームドクターは獣医眼科専門医と一緒に愛犬のケアをしていきます。

もう過ぎてしまいましたが、10月13日は「じゅういさんの日」なんです。多くの方は獣医師をホームドクターとして見ていることと思います。獣医学は非常に早いスピードで進歩しています。それに伴って、それぞれの獣医師は自分の関心のある分野についてより深い知識や技術を習得しています。ホームドクターの中でも「自分は○○の専門医です」と名乗っておられる先生もいますし、「まだ学習途中であるけれど○○分野については詳しいです」という先生もおられます。分野によってはまだ国内で「○○専門医の制度」が立ち上がっていない分野もあり、広く看板に掲げられていません。ある先生が得意としている分野があるのだけれど一般の患者さんが知る機会が無いということもあるでしょう。たまたまその得意分野の病気に遭遇したら分かるのにと思いますが、病気になるのは好ましいことではありません。ホームドクターのほとんどは「専門の」または「得意の」分野を持っています。もし機会があったら診療の合間に尋ねてみると良いかもしれません。キラキラした瞳で専門分野のお話しをしてくださるだろうと思います。

さて、そのようなこともあり、今回、白内障については、ホームドクターがしていること、そしてご縁があればご紹介させていただく獣医眼科専門医のことも交えて白内障のお話しをしました。私は眼科は専門ではないためご紹介を取らせていただいております。これからもジェネラリストとして、それぞれの動物の最善を考え、間違いのない治療をするよう努めていきます。




次回は失明した犬との暮らしについてお話しします。


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愛知県西尾市丁田町杢左51-3
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オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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