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レプトスピラ症

 稲刈りが進み、刈り取られて薄茶色になっているところ、これから刈り取りを待つだけになっている金色のところ、刈り取られたところに小さい芽が出て青々としているところ、とパッチワークのように色取られた田圃がきれいです。秋の田、農作業というと「秋疫」(秋やみ)という病気が思い出されます。「秋疫」はレプトスピラ菌による人の感染症です。今日は「レプトスピラ症」についてお話しします。

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<レプトスピラ症ってどんな病気?>

レプトスピラ症はネズミから伝播された病原細菌による感染症で、人と動物に共通した病気でもあります。

昔は秋の稲刈り時期に農家の人たちの間で流行する病気でした。稲が実るとネズミが田圃に入るため、農作業の間に感染していたのです。昔の農作業は手作業だったため、指先に小さな擦り傷などができやすい状況でしたから、細菌がその傷から体内に侵入しやすかっただろうと思います。

感染源であるレプトスピラ菌は、ほどけたセーターの糸のようにくるくるっとよじれたかたちをしているため「らせん菌」と呼ばれるグループに入っています。

感染主(維持宿主とよびます)はネズミです。病原性のレプトスピラ細菌に感染した後、腎臓の中に菌を持っています(保菌しています)。菌を持ったネズミそのものは症状もなく過ごしています(不顕性感染といいます)が、常に尿中に菌を排泄しているため環境を汚染しています。ネズミの尿から排泄されたレプトスピラ菌はため水や池、川などに長い間生きています。台風や大水になったときに水面の近くに上がってきて、河川流域の雑草地(たいてい湿地になっています)には菌があふれるようになっています。人も犬も、ネズミの尿に汚染された水や土壌に接触すると皮膚(または粘膜)を経由してレプトスピラ菌に感染してしまいます。

人では四類感染症に指定されています。犬などの動物でも(牛や豚にも感染があります)、家畜伝染病予防法により届出が必要な伝染病になっています。

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<近年の感染・発症状況>

近年、農作業の機械化によって農業従事者のレプトスピラ症は激減しています。その代わり、シーカヤックなどのレジャー、川で水泳をするなど水との接触のある人や、屋外の野ネズミではなくイエネズミのいる環境と関わりのある人たち、すなわち解体業や土木工事業、下水道工事業、電気工事業の関係者と、生鮮食料品や調理関係者の感染が増加してきています。

犬も猟犬に多く見られていたのが、イエネズミの影響により屋内飼育犬でも発生が増えてきています。

2004年から2013年の10年間における犬レプトスピラ症の届出は、多い年で150件にも登っています。届け出件数が21件以上の県は6県あり、愛知県は11件から20件の第2グループに入っています。

全国のネズミのレプトスピラ菌保有率を調べたところ、平均で2.5%、名古屋のマンホールでは7%という高い割合で見られていました。

中国や、フィリピン、タイ、インドなどでは現在も日常的に発生しており、特異的な例になりますが、2005年の静岡県での発症例はペット輸入業者が販売用に仕入れた小動物を経由しての発症でした。

沖縄では多数の報告、普通はまれな猫の感染も確認されていて、常在地になっているのではないかと考えられています。

観光地、都市部の発生やインターナショナルな経由での感染が、現在のレプトスピラ症です。

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<犬のレプトスピラ症の症状>

レプトスピラ症は血清型といわれるさらに細かな分類があります。血清型によって病気の症状は異なります。

軽いものでは嘔吐や脱水、黄疸で、元気や食欲がなくなります。結膜が赤く充血するのもわかります。総合すると軽度の腎障害や肝障害です。中には知らずに自然治癒していくものもあるようです。

さらに進行していくと、強い黄疸が加わり、舌が溶ける(壊死する)ことによりよだれを出します。尿色は黄疸のためのオレンジ色から出血性の赤い色になり、急性の腎障害、肝障害のレベルがさらに悪くなっています。

重症のものでは、黄疸や血尿の症状に加え、血便も見られます。粘膜や皮膚にも出血の跡を見つけることができます。

甚急性の場合は、はなはだしく進行が早いため、腎障害や肝障害を認めるまでもなく、ショック様症状で死亡してしまいます。

運良く治療に反応したものは、慢性化し保菌動物になります。重篤な症状を脱しても慢性の腎臓病や肝臓病からさまざまな病状を残すこともまれではありません。

 

<レプトスピラ症を診断するとき>

急な発症と黄疸や腎障害を示す血液検査や病検査の所見から、レプトスピラ症を疑うことになります。尿または血液を検査材料にして、特殊な検査機関に依頼して、細菌の遺伝学的な検査をして貰います。数日から1週間以上は検査に時間がかかります。場合によっては死後、確定診断が出るようなこともあります。「死んでしまうのなら確定診断は出なくてもいいかな」と思われるかもしれませんが、人にも感染する病気なので確定診断をして届け出が必要です。今後の対処にも役立つ情報になるため、遺伝子検査は必要な検査です。

 

<犬のレプトスピラ症の治療>

人への感染が心配な感染症ですので、隔離入院とし、補液と抗菌薬の治療を続けます。あとは対症療法です。

感染した血清型にもよりますが、早期の治療開始と犬の体力が生死を分けることになります。

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<ワクチンで予防する>

レプトスピラ菌は15の血清型が知られています。その中で、Leptospira Canicola(カニコーラ型)、Leptospira Hebdomadis(ヘブドマディス型)、Leptospira Interohaemorragiae(黄疸出血型)は特に検出の多い血清型で,

この3タイプはワクチンで予防が可能です。

アウトドアライフを家族で楽しみたいご家庭の犬、沼地や池にガシガシ入っていくアクティブな犬、もちろん猟犬には、屋外での活動が盛んになる季節の1か月前ころに、毎年強化免疫のためのワクチン接種を行なうようおすすめしています。また、近年ではイエネズミからの感染もあることから、完全屋内飼育の犬にも1年に1回の追加免疫は必要とされています。

この機会にワクチンの見直しをし、もし前回の接種から1年以上が経過している場合には、犬の健康時を見計らってワクチン接種にお越しください。犬と家族の健康を守る大切なワクチンです。


<そのほかの予防できること>

屋外で遊ぶときに、水辺に行かないようにする(たまり水を飲ませない)のはアクティブな愛犬と遊びに行く方は心得ていることと思います。
意外なことですが、日常は普通の生活をしている小型の犬でも危険はあり、集中豪雨で小川の水が氾濫したような場所でのお散歩も避けてください。
屋根裏にネズミが発生!という場合は積極的に対応してください。家族の力ではどうにもならないときには業者にお願いすることも考えてみてください。







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テーマ : 動物病院
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ノミ・マダニ予防のこと

未だ寒い季節、動物病院は閑散期になっています。学会や講演会のほか、春先の繁忙期に入る前にと気を利かせてくださる企業さんの新薬説明会などが催されます。実際、どの季節にも開催されてはいるのですが、ことに毎週のようにタイトなスケジュールで入ってきます。

この学会やセミナー、説明会で伺ってきたお話は、飼い主さんにも知っていて貰いたいと思うところがあります。開催からのタイムラグはありますが、お話ししていきます。

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<新薬のこと>

まずは犬用のノミ・マダニ内服タイプの駆除/予防薬の説明会でのお話から。この日はこのお薬の開発秘話や、特性など、「開発に協力をしていない立場の」創薬が専門の先生からお話を伺うことができました。日本でも「私はこの企業さんから特別な利益供与を受けていません」と断言してからお話に入られる先生も出てこられました。「公正な立場で評価しますよ」の表明です。

さて、ご紹介して貰ったお薬のことです。これまでにあったノミ・マダニ駆除薬は、皮膚に滴下するタイプのお薬と、②飲んでもらうタイプの2タイプで、後者は犬用、ソフトチュアブルというジャーキーのような柔らかめのお薬でした。今回は②の飲んでもらうタイプで、クッキーのようなタイプになります。これまでのノミ・マダニ予防薬に対して「お薬が好きじゃない、食べなかった」という犬や、「食べたけど痒くなった」「嘔吐してしまった」「下痢になってしまった」犬にはレパートリーが広がった分、助かるかもしれません。有効性や安全性、投薬プランなどのお話は、処方の際にさせていただくことにします。

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<SFTS新情報2018.2> 
さらに、動物のSFTSウィルス感染症に関しての研究の第一人者で有り、かつ多くの臨床例をまとめてこられた感染症がご専門の先生から、これまでの発症事例の経緯や、今現在のウィルス保有動物の調査結果などについて大変興味深い情報を拝聴することができました。 

昨年8月のブログです。SFTSウィルス感染症のことについて。

http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-978.html

 

さてSFTS、重症熱性血小板減少症候群は人と動物に共通の感染症です。「ダニを媒介して感染動物から人への感染する」つまり、「マダニ動物マダニ人」という感染経路をとると思われていたのが、新しく「マダニイヌ/ネコ人」や「マダニ人」の感染経路をとることができるということが分かってきました。こういうところがこの病気の恐ろしいところです。始めに感染した人から次に感染する人のことを「二次症例」といっていますが、中国での発症例では患者さんの診察を行った「コンサルタント医」、次に治療を行った「集中治療医」、さらに濃厚接触をされた「家族」、そしてご遺体の処理を行われた「納棺師」を巻き込んだものでした。

 

国立感染症研究所のHPを確認してください。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

 感染発生例についてのグラフは昨年末までの集計です。

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<ダニ麻痺>
西の方で「重症熱性血小板減少症(SFTS)」がじわりじわりと感染を広げている一方で、昨年北海道では「ダニ媒介脳炎」に感染した方の報道がありました。平成29年度の獣医学術学会では、札幌からお越しの先生に「ダニ媒介脳炎」のお話をお伺いすることができました。

北と西でダニ関連の怖い病気があるわけですが、混同されてしまっている患者さんもおられるようです。結論としては「ダニ予防をしておかないと怖い病気があります」ということで一緒なのですが、病気としては全く別のものです。

ダニが媒介するウィルスにより重篤な脳炎から神経麻痺をおこす病気が犬にもあります。犬では「ダニ麻痺」という病名で学んできました。けれどあくまでも海外の病気、日本のダニから犬が神経系の病気になることはないだろうとしているので、神経系の病気を診るときウィルス由来の疾患は普段は頭の奥の引き出しにしまったままになっています。

人では1993年に確定診断された患者さんが国内初で、つい最近の2016年に2例目の、2017年に3例目4例目の患者さんが診断されています。いずれも北海道内の発症です。では北海道以外の地域には発症がないのかというと、東京近郊で1948年に日本脳炎の疑いであった患者さんの残されていた資料から遺伝子解析を行ったところ、ダニ媒介脳炎ウイルスに分類される型が検出されたそうです。また動物を対象にした血清疫学的調査によると、西日本にも近しい型のウィルスがいる可能性が示されているそうです。しかし確定診断のための詳しい検査は特殊なため、全国でも数か所の研究機関でしか行うことができません。もしかすると、これまでの重症報告のあった患者さん以外にも、軽い感染で済んでしまった人や症状が出なかった人など、また重症だったけれど診断には至らなかった人の中にもダニ媒介脳炎の患者さんがいたのかもしれないということでした。

ほかの多くのダニ媒介性疾患と同様、このウィルスも犬に感染しないとも限りません。そして北海道地区だけでなくどこでもその危険があると思います。SFTS以外もダニに感染すると危険な病気があることをお伝えしました。

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<おすすめするノミ・マダニ予防>

さて、マダニの感染は明らかに発生件数が増えています。グラフからは月別の発生件数ですが、ピークは
5月ですが、4月から増加しているのが分かります。4月の気温ならまだ大丈夫かと思えばそうでもないのですね。それで、私たち自身を守るためにも「犬のノミ・マダニ予防は4月には始めてもらった方が安心」という結論になりました。

またSFTS症例の届出地域ですが、これまで当院で掲示してきた地図に比べ、こちらも広がりを見せています。

西尾地域でもマダニそのものの感染は増えてきています。バベシアの発生も数年前に一例ほど近くで報告されています。SFTSウィルス感染例はまだありませんが、「じわりじわり」というのがマダニ媒介性感染症の特徴だそうです。すぐ隣の県までかんせんが広がってきているということは、「愛知県は未だ大丈夫」なのではなく「もうじき感染がみられてもおかしくない」状況であることを示しているように思います。そんなわけで、
4月からノミ・マダニ予防を始めていただく」ことのほか、
月に1回、きっちり継続していただくことも大切ですし、
*「ことに西日本方面への里帰りやご旅行の際は予防を忘れないように
お願いしたいと思います。
野生動物の抗体陽性(過去に感染があったことをあらわします)は山梨県や千葉県でもみられていて、こうしたことも「東日本なら安全ということはない」ことを示しています。山梨県や長野県、岐阜県は夏になると気軽にお出かけしたい避暑地でもあるし、わんこと一緒にお出かけしたい所の代表格です。やはり「すぐそこまで危険は迫ってきている」と考えておく方がよいと思います。「ノミ・マダニ予防なしには(お散歩も含めて)お出かけはしない」くらいの気持ちでいた方がいいな、と判断しました。

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 <おわりに>
「うちのこを守るために」ワクチン接種やノミ・マダニ予防をするのが普通の考えです。でももう少し広範囲に考えを広げていただきますと、「個々の予防が地域の感染を減少させ、ひいては全体の感染を無くす」ことに繋がるのだということが分かります。「ひとりひとりのご協力で感染撲滅できる日が来る」という公衆衛生的な意識をもってノミ・マダニ予防をしていただけるとありがたいと思います。

 

今日のお話はここまでです。

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世界避妊手術の日

2月の最終火曜日は「世界避妊手術の日」です。犬や猫の避妊手術や去勢手術について知っていただきたい日です。

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 「避妊手術、去勢手術、しようか、しないでおこうか」、悩んでおられる飼い主さんはいっぱいいらっしゃいます。まだやっと成長しきるかどうかの時期に手術するかどうかを決めなければいけないのですから悩んで当たり前です。ワクチンが一通り終わって、トイレトレーニングができて、お散歩デビューも果たし、「ついこの間まで赤ちゃんだったのに、もう手術?」なんですからね。それから、「痛いんだろうな」、「手術は怖いな」という気持ちも入ります。

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新しい避妊手術パンフレットが出来上がりました。ワクチンの時に口頭で軽くご説明したり、子犬ちゃんの冊子でご案内はしていますが、ご家族皆さんお揃いでご来院くださっている時ばかりではないですし、ご家庭で話し合われるには資料が少ないかな、と思いました。でも、紙面の都合で要点だけ書きました。詳しくは院内の掲示板や、待合室に流れているTV、またスタッフ誰でもいいですのでお声がけください。それから診察室でも、お気軽に「どうしよう」「こんなところが心配なの」など、悩んでいることをお伝えください。手術の意思があるときだけお話しいただくのではなくて、「まだね、悩んでる途中なの」というのもお話しくださって結構なんですよ。

掲示板用の新しい資料です。

[お隣さんはどうしているのかな?どのくらいの割合で手術を受けているのかな?]
犬では約半数が、猫では8割近くが手術を受けています。
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[みんなはいつ頃手術を受けたの?おすすめはいつ頃?それを過ぎたら手術を受けられないの?]
6か月から9か月齢で手術を受けているお友達が一番多いです。手術はその時期を過ぎても受けられます。
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[どうして6か月齢なんていう小さい時に手術を受けるのがいいわけ?]
乳腺腫瘍の発症と避妊手術をした時期に関連があることがわかっているからなんです。どうせ手術をするなら乳腺腫瘍の予防までできた方がいいよね、ということで「遅くても2回目の発情が来る前までに」になりますが、2回目以降の発情が来た後でも子宮蓄膿症は予防できますので、いちばんおすすめの時を過ぎてしまっても手術ができないということではありません。
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[そもそも、避妊手術や去勢手術は必要な手術なの?]
実は避妊手術や去勢手術で病気の予防や問題行動発生の予防もできます。それで手術を受けてもらった子たちは健康で長生きできるし、こまったちゃんにならずにすむのです。
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[性ホルモンに関連した病気にはどんなものがあるの?]
男の子に多いのは前立腺肥大症や精巣腫瘍ですし、女の子に多いのは子宮蓄膿症や乳腺腫瘍です。そのほかにも性に関連した病気はいろいろあります。
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[性ホルモンに関連した問題行動というのはどんなものをいうの?]
猫では、女の子が発情期に激しい声で鳴くとか、男の子が年頃になるとふらふらっと出て行ってしまうこと、攻撃性が高まることや尿スプレー(かけしょん)をすることなどがあります。犬の場合、女の子は発情期に陰部出血があることや食欲が不安定になること、偽妊娠(想像妊娠でお乳が腫れてしまう)があります。男の子は攻撃性、尿スプレー、マウンティングなどです。
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[避妊手術や去勢手術にはマイナス面はないの?]
残念ながらいい面ばかりではありません。麻酔のリスクもありますし、縫合糸が体に合わなくて反応を起こすこともあります。発生率からすると極めてまれです。残念ながら術後しばらくするとじわりじわりと体重が増える肥満問題は、わりと一般的です。
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避妊手術、去勢手術の実施はご家族でじっくり話し合って決めてください。
それから、手術が終わったあとも気を付けなければいけないこともあります。肥満問題は必ずと言ってもいいくらい発生してしまいます。誰かが抜け駆けして甘ちゃんになっていると肥満は加速してしまいます。
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今日は新しい「避妊手術と去勢手術のパンフレット」のご紹介でした。

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ワクチン接種のこと

 76日はルイパスツールが世界ではじめてワクチン接種をした日です。この日は彼の業績にちなんで「ワクチンの日」になり、ワクチンの普及と接種率向上を図る取り組みがあちこちでされています。今日はワクチンのことについてお話しします。「犬や猫にはこんなワクチンがありますよ」的な紹介ではありません。

 

<ワクチン接種には基準となるガイドラインがあります>

わたしたちは、心臓病はACVIMの、腎臓病はIRISのというように、それぞれの専門家が推奨するガイドラインに従って診断や治療を進めています。そして犬と猫にワクチネーションをどのように進めていくと良いのかについても、心臓病や腎臓病と同様のガイドラインがあります。世界小動物獣医師会(World Small Animal Veterinary Association : WSAVA)のワクチネーションガイドライングループ(Vaccination Guidelines Group : VGG)によるガイドラインに沿って、日本の事情や当院のある地域性(感染の発生など)、それぞれの個体のライフスタイルを考慮して、またシェルター飼育される動物ではその環境を考えて、推奨するワクチンのタイプや推奨する時期、追加免疫などを決定しています。

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2010年版です。





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このほど2015年版の日本語訳ができました。
感謝です(><)




<ワクチン接種の目的はなんだろう>

個々の動物をそれぞれの病気から守ることはもちろんなのですが、動物たちが集まる社会の中で、ある程度の割合でワクチン接種がなされているとワクチン接種を施されていない動物もその恩恵にあずかれる「集団免疫」が成立します。つまり、ワクチン接種率が高まると感染症の大発生が起こるのを最小限度に食いとどめることができるのです。集団免疫ができあがると、母乳からの免疫を受け取ることができなかった幼い子犬や子猫、ある種の病気のために免疫抑制剤の使用によってワクチン接種ができない動物たち、ワクチン接種でアナフィラキシーショックを起こすため接種することができない動物たちなども間接的に守ることができるわけです。

より多くの動物たちにワクチン接種を受けていただき、接種率を上げたいと思うので、多くの患者さんにワクチン接種をおすすめしています。

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こんな風に詳細なガイドラインが出ています。
各国による状況の違いも踏まえた上での
推奨プランになっています。
これをもとに日本の、愛知県の、西尾地区の
各ご家庭の飼育状況などを考えて
各動物のワクチネーションを決めるのが良いわけです。


<ネットでささやかれていること>

インターネット上では不確定な情報が氾濫しています。個人の飼い主さんのブログで最も多いのは、「ワクチン接種は3年に1回でよい」というものです。おそらく「海外ではこうなっている!」というところから出てきている発言なのだろうと思われます。

海外のワクチンメーカーの使用説明書にある記述は「3年ごと(場合により4年)」になっています。このようなワクチンを使用して「毎年ワクチン接種を行う」と適応外使用になってしまいます。これは科学的根拠に基づいて、というよりは法的な問題に基づいた接種規定であるかもしれません。でも、つい最近まで年1回の再接種が推奨されていて、近年同じ製剤で3年(から4年)として承認されたものです。

残念ながら国内で流通しているワクチンには「3年または4年ごとの接種で」という説明事項は見られません。こうなると慣例通り1年ごとの接種を推奨していかないと、もし3年目に入る前に伝染病の感染を発症してしまった場合には、「残念でした」では済まされない状況になってしまいます。

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主な3つのウィルス疾患についての免疫状況を
インハウスラボで調べられます。

 <本当のところ追加接種間隔はどうなのか>

それにしてもワクチンは「免疫が残っているのに必要以上に接種する必要はないだろう」というのが統一見解です。問題は「前回の接種からどのくらい経過すると免疫の低下が起こるのか」ということです。免疫持続期間(duration of immunity : DOI)はワクチンの種類(メーカーではありません。予防できる疾病とでもいいましょうか。)によっても異なるようです。海外でもコアワクチン(後述します)については3年ごとですが、人獣共通伝染病であるレプトスピラのワクチンについては1年ごとの接種が推奨されています。

 VGGは「抗体検査」を重要視しています。年に1回のヘルスチェックでワクチンを接種するにふさわしい抗体の低下が見られているかどうかを調べたうえで、ワクチン接種をするかどうかを決める、というものです。「年に1回のワクチンを」ではなく、「年に1回の抗体検査を」すすめているのです。そうすると、1年後に接種になる動物もいれば、3年先まで追加接種を受けなくても大丈夫だった動物もいる、ということになるのだろうと思います。

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何度もワクチンを接種するのは怖いですか?
ワクチンは費用対効果を考えると非常に優秀な予防法です。

 <日本の実情はどうなのか>

日本では犬も猫もワクチン接種率は他の先進国に比べ非常に劣っています。また都会と地方によっても接種率に違いがあるだろうと思われます。国内のワクチンメーカーさんが「伴侶動物ワクチン懇話会」で発行したポスターによると、国内のワクチン接種率は全国を慣らした数字ですが、犬が20数%で猫が10数%です。これは集団免疫の観点から見ると十分とは言えない数値です。もしくは個々の動物の免疫が高まっていれば、「とりあえずうちの子は安心」レベルになるのでしょうか。

一方、病院単位で「抗体の力価を調べる」ことはこの春始まったばかりのことです。これまでは、例えば「ジステンパーが疑われるがワクチンは接種してあるはずだ」というようなとき、外注で検査を実施していました。この春すでに検査を受けられた方もおありかと思いますが、院内で調べるこの検査、フィラリアの検査と違って、結構煩雑な手順で、慣れないVTさんにさせるのはヒューマンエラーのもとになりそうな作業なのです。(泣)また全行程が30分ちょっとかかるため、外来で採血をさせていただいた後、結果は後日報告になりますので、結果抗体の値が低ければ、あらためてワクチン接種にご来院いただく必要があります。さらにこれまでやってこなかった検査ですので、健康診断の価格はこの分が上乗せになってしまうのでごめんなさい、というところです。(さらに、もし春先の狂犬病予防シーズンにワクチン接種の時期が重なっている動物が大勢いると、混雑必至、昼休憩は検査タイムになるだろうと予想されます。午後診察のモチベーションをキープするのが大変だっ!)(←これは私たちの実情で、飼い主さんには関係ないことですけれどね。)こんなことを踏まえた上で「ワクチン前の抗体検査」が飼い主さんたちから受け入れられるとVGG推奨の世界標準のことができると思いますし、そう遠くない将来にもこうしたことが基準になることも願っています。

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基本は病気にならないでいて欲しい、それだけなのに
難しい問題はいっぱいありますね。
 

<考えられる理想のかたちはどんなものだろう>

これは考える理想で、飼い主さんが連れてこられる都合のことや、受けられる検査の費用面などは受け入れが可能かどうかはさておき、のものです。

①春はフィラリアと狂犬病予防だけですませる。この時期にノミやマダニの予防をはじめる。

②(初夏から夏になるでしょうけど、)キャンプの前1~2か月くらいのところで健康検査で採血しワクチンの抗体値を調べる。この日にレプトスピラのワクチンを済ませる。猟犬の場合はもう少しずれても。

③結果により他の5種または6種のワクチンを接種する。抗体価があればワクチン接種は不要。

④夏の暑さを乗り越えた秋から冬の始まりに、体重検査程度の軽い健康検査をする。初夏に実施した血液検査で異常値が出たのならば、ここでも血液検査。

1年に1回だけ、全部をこの日に済ませたい、と思われている大きめわんこの飼い主さんからすると、労力が倍増しそうですね。

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主流になっているワクチンのすべてが
コアワクチンになっているわけではありません。



<コアワクチンとノンコアワクチン、推奨されていないワクチン>

VGGはワクチンを3つの段階に分けています。

コアワクチンは、すべての犬と猫に接種すべきワクチンで、

犬の場合①犬ジステンパーウィルス(CDV

    ②犬アデノウィルス(CAV

    ③犬パルボウィルス(CPV)から犬を守るワクチンです。

猫の場合①猫汎白血球減少症ウィルス(FPV

    ②猫カリシウィルス(FCV

    ③猫ヘルペスウィルス(FHV)から猫を守るワクチンです。

どちらも結構シンプルです。

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猫のワクチンもいろいろありますが。



ノンコアワクチンは地域的な要因や地域環境、ライフスタイルによって特定の感染症のリスクがある動物に必要なワクチンで、重要だと思われているのは人獣共通伝染病であるレプトスピラ症です。世界的にも注目が集まっていて、各国で研究報告が増えているそうです。レプトスピラの接種頻度はこれまで6か月から1年ごとという比較的短期間での追加接種が推奨されてきましたが、VGG2015年改訂版では1年ごとに変更されました。農場、郊外、汚れた水辺などのリスクのある地域に頻繁に行く場合、お散歩コースがこれに相当する犬、キャンプなどのアウトドアライフを飼い主さんと共有する犬、ドッグラン施設で他の動物と交流することが予想される場合も、そしてワイルドな実猟犬ではもちろん接種が必須です。

外出する猫の場合、猫免疫不全ウィルスワクチン(FIV)はノンコアワクチンとしておすすめします。西尾地域では猫免疫不全ウィルスの感染症は比較的発生頻度の高い感染症です。VGGではこれまで非推奨ワクチンに分類していましたが、ワクチンの有効性、リスクのある猫に利益になるという観点から2015年の改訂版ではノンコアワクチンに再分類されました。

猫白血病ウィルス(FeLV)もノンコアワクチンに分類されています。

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猫免疫不全ウィルス(猫エイズ)のワクチンは
ノンコアワクチンに分類されています。




非推奨ワクチンに分類されているのがコロナウィルスのワクチンです。日本ではコロナウィルス感染症ワクチンが含まれる6種混合ワクチンは普通に流通しています。コロナウィルス感染症が問題にされているのは途上国であるアジアや中南米などの地域に限られているため、非推奨ワクチンに分類されています。個人的には、猫の伝染性腹膜炎の発生原因となるのもコロナウィルスであるし、人で問題になっている新興感染症では従来のウィルスが宿主を越えて感染することから、犬猫同居の場合などは特に、犬にコロナウィルスワクチンを接種しておいたら猫の無症状感染と体内でのウィルス変異を防ぐことができるのではないかと(想像レベルのことでエビデンスはないのですけれども)思っています。(人のSARSの原因になっているのはコロナウィルスです。)

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主となるワクチンではないですが、外出する猫には
おすすめしています。



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感染するととても怖い病気だからです。



<ワンヘルスの概念と狂犬病予防>

新興感染症というのは「新たに出現した人の感染症」のことをいいますが、このほとんどは野生動物や家畜動物の病原体に由来すると提唱されています。これまで人の健康は人の、動物の健康は動物の、という区切りで研究されてきたわけですけれども、野生動物の住む世界と家畜や人が住む世界の境界がはっきりしなくなってきていることなどから互いの感染症が種の垣根を越えて感染してきています。ここは、「人の医療」、「動物の医療」、さらに「環境衛生」に従事する人が連携して「感染症を管理する」ことが合理的で効率の良い結果をもたらすだろうというのが「ワンヘルス」の概念です。「人も動物も環境も健康であること」がひいては私たち人の感染症を減らす(無くす)ことになります。この取り組みの中でも最重要課題になっているのは人獣共通感染症である「狂犬病」です。狂犬病は新興感染症でも、再興感染症でもなく、ずっと世界に広く発生している感染症です。ワンヘルス委員会の取り組みは、日本でその接種が義務づけられている狂犬病予防の取り組みと重なるものです。こちらは抗体云々という考えではなしに、継続して年1回の接種をお願いしたいと思います。

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ワクチンについて、疑問に思う点も多数あるかと思います。またの機会にお話しすることができればと思います。今日のお話はここまでです。

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ノミとマダニの予防について

 風薫る5月。さわやかな風が吹き抜け、1年で最も気持ちの良い季節。。。。のはずなのに、日中は真夏のような暑さで熱中症に罹患する犬も来院しています。夜間はまだ涼しく、眠れないような熱帯夜にはなっていませんが、その分、昼と夜の温度差があり、体調を崩しやすくなってます。「夏バテ」の言葉に代表されるように、食欲不振や嘔吐、下痢などの胃腸障害になるのもこの季節変わりの時期に多いことです。
屋外犬舎も屋内のケージも、風通しを考えて冬場とは違うところに設置し、水はいつでも自由に十分飲めるように支度をお願いします。食欲が優れないときには、不安から、いつもと違うものを与えがちですが、嘔吐や下痢を誘発しやすく、食べたことで安心し、動物の観察を怠ってしまったり、動物病院への来院が遅れたりします。いつも通りのものを食べない場合は、体調が優れないものと考え、早めの来院をお願いします。

さて、急に高温になってくると、ありがたくない外部寄生虫の繁殖も盛んになり、ノミやマダニの予防をうっかり忘れていると、すでに身体に付いてしまっていることもあります。ことのほか新しい情報もありませんが、もう一度簡単にお話をしておきます。

 
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6月の掲示板はノミとマダニ特集です。

<ノミについて知ってください> 

動物の身体に寄生しているノミは成虫です。ノミは蝶々と同じように形を変えて成長していきます。卵を産み、卵が孵化して幼虫になり、さなぎを作ってまゆの中ですごし、その後羽化して成虫になります。卵からさなぎになるまでの間は飼育環境中で過ごし、動物の身体に5匹のノミの成虫がいたと仮定すると、95匹の卵・幼虫・さなぎが環境中に潜んでいるといわれます。ノミが動物に寄生してから吸血、交接し卵を産むまではたったの24時間から48時間で、生まれた卵から成虫になり再び寄生するまでのライフサイクルは気温1315℃で活発になり、真夏では最短で12日~14日でひとまわりするといわれています。その後、成虫のままでも気温さえ条件が整っていれば最長120日も生き続けます。暖かければノミはどんどん増えていくという怖いお話です。

卵や幼虫・さなぎが潜んでいるのは猫や犬がよくいる所です。屋内であれば、ソファやベッドの上、カーペットの上、ペットのベッドの周り、家具の下、部屋の隅、壁際です。寄生を許してしまった場合は、このような場所の掃除をきっちりしておかないと、再感染を繰り返すことになります。念入りに掃除機をかけ、ダストボックスはすぐに廃棄処分しましょう。また屋外では庭先の直射日光の当たらないところで、犬舎の下、縁の下、草むらなどに多くみられます。

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ノミの生活環について。
  
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一度ノミの寄生を許してしまうと家じゅうがノミだらけになってしまうわけがわかります。


<マダニについて知ってください> 

一方マダニは卵から孵化しても同じ形のまま吸血と脱皮を繰り返し、3回目で成ダニになり卵を産みます。生まれてすぐは1mmくらいだった体長も成ダニの段階になると未吸血時で4mmくらいですが、目いっぱい吸血すると、ぶどう(デラウェア)サイズにまで大きくなることがあります。マダニは犬の身体でも耳や目の周り、鼻の頭など毛の薄く短いところを中心に寄生することが多いです。

マダニは山の中だけに限らず、河川敷やあぜ道、木の豊かな公園などにも生息しています。ひゅっと伸びた葉の先端部分にいて、近くを動物が通りかかるのを待っています。

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マダニは普通のお散歩コースにも潜んでいます。



<ノミとマダニの動物と人への被害について> 

ノミによる犬猫の被害は、寄生されることで痒い(掻痒症)、ノミアレルギー性皮膚炎などの目に見える変化のほか、サナダムシ(うりざね条虫)の寄生など、目に見えないものもあります。また、ノミはジャンプの選手とも言われるほど高く遠く飛ぶことができます。人のひざ丈くらいは簡単に飛び上がりますから、わたしたちも足をかまれるなどの被害をこうむることがあります。また猫の「バルトネラヘンセラ」という病気を持ったノミにかまれると、人は「猫引っ掻き病」になります。リンパ節が大きく腫れあがり、だるいなどの症状が出ます。

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ノミやマダニは付いてると気持ちが悪い、だけじゃありません!

マダニによる犬猫の被害は多数寄生による貧血のほか、「ヘモバルトネラ」(「ヘモプラズマ」)という病原体が猫の赤血球に寄生し貧血や黄疸を引き起こしたり、同じく「バベシア」という病原体が犬の赤血球に寄生し貧血や黄疸をおこすことがあります。マダニの人への害として近年注目を集めているのは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。2013年に日本で初めて死亡例が報告されました。SFTSウィルスによる患者発生地域は関西圏で、愛知県では未確認の段階ですが、ウィルスを保有しているマダニは近隣では静岡県、山梨県で確認されていますし、抗体陽性の野生動物(シカやイノシシ)は長野県で、抗体陽性の猟犬や飼い犬が三重県や長野県で確認されています。油断はできない状況にあります。

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SFTSやバベシア症の発生状況です。

 

ノミやマダニといえど、人にも関係する怖い病気をもたらす危険があるので、公衆衛生の意味からも寄生を許す前にしっかり予防しておくと安心です。

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SFTSはこんな病気。
 

 

<予防について> 

ノミやマダニの予防法はお伝えするまでも無く、動物病院で処方する滴下剤を1カ月に1回使用していただくことです。このほかに経口の予防剤もあります。昨年秋に発売された経口薬は副作用も少なく、犬の予防薬として新たにおすすめしています。


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ノミやマダニはどのように予防するのが良いのでしょうか。

 

<間違いだらけの予防法>

よくある間違いを挙げておきます。これらの方法は効果が無いだけでなく、場合によっては危険になります。

1、ノミ取り粉

 動物に直接ふりかけるのはやめてください。もし購入してしまった、という場合は、環境中に潜むノミ退治のために掃除の一環として使用してください。ふりかけて掃除機で吸い込む、ということです。その場合もその後しっかり拭き掃除をお願いします。

2、ノミ取り櫛

 「身体に付いたノミが気持ちよいほどよく取れる、取ったら潰すのが楽しみだ」とおっしゃる方もたまにはいらっしゃいますが、こちらは寄生したノミを発見するための道具としてとらえていただきたいです。ノミの成虫を潰すと中から卵が飛び散りますから、結局は新しいサイクルの元を環境中にばらまくことになってしまいます。やめてください。

3、ノミ取り首輪

 手っ取り早くて簡単なのはわかりますが、ホームセンターやショッピングセンター化した薬局などで市販されているものは効果がありません。動物が嫌がるだろうキツいハーブ(?)の臭いをさせているものもありますが身体によくありません。「全体が薬だと思うと、長さに余裕があっても切り取るのがもったいない」というわけで、長い部分をぶらぶらさせたまま巻きつけられている猫を見かけますが、余剰部分を食べてしまい、催吐処置をかけることになったとか、麻酔下で内視鏡を使って胃内から取りだすことになった場合が過去に数例あります。危険で効果の無い首輪をつけるくらいなら、同じお金を可愛らしい首輪を購入する方に使っていただきたいと思います。

4、ノミ取りシャンプー

 特別な薬用のシャンプーならノミが死んでしまうだろうと思われがちですが、せいぜい気絶して動きが鈍くなる程度に過ぎません。また体幹部を湯につけている間にノミは頭頂部に這い上がります。頭まで長時間薬液に浸しておくわけにはいきませんから、やはり取り逃がすことにもなります。ドライヤー乾燥している間に復活したノミは遠くへ飛んでいき、次の感染源を環境中にばらまくことになります。この方法もおすすめではありません。

5、ノミ取りアロマ

 ハーブの香りでノミを寄せ付けない、といいますが、蚊取り線香と蚊の関係でも知られるように、なかなか思うようにはいきません。また猫には特別な代謝経路があり、特にティーツリーオイルが有名ですが、有害なアロマもありますので、使わないようにお願いします。猫と同居しておられる方は日常的にお部屋の香りを楽しむ場合も、猫への禁忌を良く知った上で無害なものを選び、かすかに薫る程度で使用するようにしてください。

6、市販の滴下剤

動物病院で購入するのとあまり大差ない値段なので効くのだろうと思われてしまうようです。びっくりするほどの安価であれば効かないかも、と予防線を張ることにもなるのでしょうが、全く効きません。もったいないだけです。滴下する手間は同じですから、動物病院で処方された効果のあるものを正しくお使いください。

7、海水浴

 海が近いせいか、海で泳がせたらノミも浮かんでくるだろうと思われている飼い主さんがいらっしゃいます。もしアレルギー性皮膚炎にでもなっていたら海水がしみて、荒れた皮膚が痛痒くなることでしょう。絶対におやめください。

 
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答えはこの中に。
 

さて、明日から6月になりますね。6月の掲示板はノミとマダニについてです。来院されてお時間がありましたらご一読ください。また、疑問に思うことなど、何でも遠慮なくご相談ください。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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