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ウェルネス訪問と健康診断

 今日は(1013日)獣医さんの日、米国にはTake your pet to the vet day(ペットを獣医さんへ連れて行く日)というのがありますが、それの日本版みたいに思ってもらえるといいかなぁ、なんて思います。

 今日は、1か月に1回のウェルネス訪問と1年に1回の健康診断のご提案をしたいと思います。猫さんのことを中心にお話ししますが、わんこも同じです。

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<猫を病院に連れて来てもらうこと>

開院当初、「犬や猫を病院に連れて行くなんてごく一部の限られた人だけ」、という認識が強くありました。猫はたいてい外出自由の飼育方法でしたし、のちの健康を考えて青年期に去勢手術をすることもなかったので、発情期にはけんかし放題でした。そして残念なことに怪我をしても「自分で舐めて治すもの」と言われ病院への来院はおろか消毒一つしてもらえないこともふつうでした。

猫の白血病ウィルス感染症が瞬く間に広まった頃からずいぶん月日が流れ、今はそんな風潮からすっかり変化しました。飼い主さんは猫の習性や行動上の特性を理解してくださっているし、冷暖完備の完全な屋内飼育で、ワクチン接種率も向上してきました。それでもまだ、「ウェルネス訪問」と言われる健康チェックのために病院に連れてきてもらえるまでには至っていません。ペット先進国といわれる米国でも、飼育されている猫で1年以内にウェルネス訪問を受けたことがある猫は半分以下であるという調査結果が出ています。 何も問題がなくても健康全般のことで動物病院に気軽に来院してもらうことが大切です。

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<病院に来るのはいやですか?>

 猫はストレスを敏感に感じ取る動物で、日常生活の変化を嫌います。猫をキャリーに入れ車に乗せて病院に来ることは、猫にもキャリーに入れるのを手伝ってくれる家族にもそして連れてきてくれる飼い主さん本人にも、それこそ関係者ご一同さま全員にとって非常にストレスの多いものだとお察しします。多くの飼い主さんが、「これは病気だ!」が決定的でない限り、猫を病院に連れて来るのは「すごく疲れる」(だからこのくらいでは病院に行きたくない)と感じているでしょう。

猫を病院に頻繁に連れてきたくないもう一つの理由は、猫が病気の症状を隠すので体調不良がわかりにくいという点にあると思います。猫のこの特性は、彼らが生き延びていくためのサバイバル戦術なのです。餌になる側の動物として、猫は本能的に衰弱や病気の兆候を見せたくないのです。猫は「健康で強い」ように行動し、自分自身が弱い動物に見えないようにしています。観察眼を厳しく持っていないと、猫の病気がいのちを脅かす段階に進行するまで、飼い主さんは猫が何かおかしなことになっていることに気づかないかもしれません。 残念ながら、そうなってからは良くて治療が長引くか、悪いと根本療法ができず支持療法だけしかできなくなる可能性もあります。

ですから、「嫌がるから」「疲れちゃうし」「どこも悪いところなんか無いよ」を理由に、病院に来ることをやめてはいけません。病気を早期に発見して診断し、治療や予防策を講じることが大切なのです。

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<定期的なウェルネス訪問が大切>

 猫は口頭で何が悪いのか教えてくれません。猫の日常の健康管理に熱心に関心を持つことはとても重要です。猫は具合が悪いときにそれを隠すという特性を持っています。ですから日常的に猫の健康状態を知っておくことはとても大切です。さらに重ねて病院訪問をすることで、猫がかかりやすい病気にはどのようなものがあるのか、年齢を重ねていく上でどのようなケアをしていく必要があるのかなど猫の健康に関する情報を飼い主さんが事前に知ることができます。病院に来たときはスマホを開かずに、待合室の掲示板その他にご注目ください。とにかく、猫は健康に関しては「秘密にする性質」があるので、 猫の健康を最高の状態に保つには、動物病院への定期的な来院(と健康診断)を、理由を付けて避けていてはいけません。

毎日のわずかな変化では飼い主さんが気づくことができない何かがあるかもしれませんが、定期的な来院でそれを明らかにすることができると思います。来院の 名目は何でもかまいません。「爪を切ること」や「ノミ避けの薬を滴下する」などを目的にして来ていただいて結構です。「近頃気になる何か」を飼い主さんとおしゃべりするうちに新たな発見につながることもあるし、不安に思っていた何かが解決することにも繋がるでしょう。体重測定や身体検査をするうちに猫はますます病院に慣れてくれます。

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<定期健康診断も大切>

健康診断では身体検査のほかに血液検査を行います。血液検査で、健康状態や猫の全身と臓器の機能について有益な情報を得ることができます。血液検査は、毎年の健康診断の重要な部分です。一般的な血球検査と血液電解質検査、血液生化学検査のほかに内分泌の検査や膵臓や心臓に関係する検査なども実施できます。同じように(もしくは少々多めに)採血した血液でできるので、猫に余分な負担はかかりません。年齢によっては血圧測定も行ないます。超音波検査やX線検査などの画像検査はさらに多くの情報が得られるので、病気が深刻な問題になる前に病気を発見することができます。尿検査は高齢猫に多い腎臓病をより早い時期に発見するために有用ですが、持参していただいた尿で実施する場合は全く猫に苦痛はありません。家庭で尿を採取することができない場合は、こちらで採尿いたします。

ウェルネス訪問では基本的に身体検査が主体で、身体検査は猫の健康についての全体的な考えを示しますが、健康診断で実施する血液検査は特定の病気をよりよく見つけ出すことができます。

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<どうしても病院に来なくてはいけない!というときの臨床徴候>

 猫は変わりない日常生活が好きで、日常のルーチンなスケジュールから外れることを嫌います。猫が病気になったときに飼い主さんが最初に気づく徴候の一つが「日頃の行動の変化」です。もし猫にいつもの活動や行動と違うところが現れたら猫を病院に連れて病院に来てください。

·         ・食欲に変化がある(増えている、減った、無くなった、特定のものしか食べない)

·         ・別の場所で寝る(寝ている時間が増えているときも!)

·         ・隠れている(姿を見せない)

·         ・息づかいがおかしい(呼吸が速い、呼吸が浅い、一生懸命呼吸している)

·         ・トイレ習慣の変化(いつもと違う場所で排尿する)

·         ・排泄物の異常

·         ・通常とは違う行動が見られる

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<病院へ来るストレスを少なくすることができる?>

 猫がキャリーと良好な関係を築けるようにするために「キャリートレーニングとハンドリングトレーニング」が必要です。以前のブログでお話ししました。こちらです。

 http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-1073.html

http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-1072.html

これらは日常の訓練事項ですが、トレーニング前に猫に異変が起こった場合は、猫をキャリーに入れて連れてきていただく必要があります。とにかく猫をキャリーに入れる準備ができるまで、キャリーを片付けた場所から取り出さないでください。猫はとても賢いので、キャリーが家を離れることを意味することを知っています。ほとんどの猫は、キャリーを見た瞬間、身を隠します。「明日病院に行こう」と思って前の晩にキャリーを支度していると、翌朝にはたいてい姿を隠しているはずです。

キャリーに入らなかった場合は、洗濯ネットや目の粗い座布団カバーに潜ませて、病院に連れて来てください。猫は怖がるとジャンプして走りまわる傾向があります。ほえる犬がいる可能性がある待合室は、猫が飼い主さんの膝の上に座って静かにできる場所ではありません。びっくりして飛び上がってしまわないように、専用の袋が必要です。

 待合室がとても賑やかなとき、他の犬や知らない人の話し声から猫は大きなストレスを受ける可能性があります。これを避けるために、到着した猫はすぐに診察室に通してあげます。けれど、スタッフがほかの仕事に奔放していて待合室の状況を把握できない場合もありますので、もし騒々しい待合室から猫の避難を希望される場合はスタッフに申し出てください。私たちは病院訪問中の猫をより快適にする方法も学んでいます。CATvocateとして、猫とそのご家族にとってより良い病院環境を提供したいと思います。猫は愛らしくて、ユニークで、面白いキャラクターです。私たちができる限り一番良い世話をすることは私たちの責任です。

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さて、明日からで結構です。獣医さんの日のことを思い出して、犬や猫を病院に連れて来てください。できればこの日が「国民の祝日」として認められて、みんなが動物病院に来る犬や猫を祝福してくれる日が来るといいなぁ~なんて思います。あなたの犬や猫はそんなVet Dayを祝おうとは思わないかもしれませんけどね。でも、1か月に1回くらいの定期的な来院、そして1年に1回くらいの健康診断で、犬や猫が「健康で幸せな子」になる最高のチャンスをもらえることは間違いないです。

いつも犬主体になっているので、今回は来院回数の少ない猫に焦点を絞った書き方をしました。わんこもぜひ、来てください!

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健康プログラムのご案内


「身近にあって何でも相談に乗ってくれる総合医療のことをプライマリケアと呼びます。動物が体調を壊したときに真っ先に受診するのが家庭医(ホームドクター)で、体調を崩す前の健康管理や病気予防のすべてを担うのもプライマリケアを行う家庭医の仕事です。」
これは当院のホームページに掲げてある文章です。家庭医である当院の第一の仕事は病気予防です。あまり変化のないホームページよりは毎週更新のブログの方が、動きがあって目にとまりやすいかもしれないと思い、同じ内容になりますが、こちらにも書きだしておきます。

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<病気予防の考え>

「病気になってから病気を治すより、病気になりにくい身体をつくり、病気を予防して健康を維持する」という考えに基づいて、私たちは動物の健康増進をはかるお手伝いをしています。予防医学に習って、1次から3次の3つに分類しました。それぞれの考え方と、参加していただきたい予防プログラムのこと、そして私たちに出来ることなどをご紹介します。

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<病気から守ろう
 ~これが1次予防です>

1次予防では、健康な時から栄養や運動に気を配り、生活習慣の改善、生活環境の改善を通して病気にならない強い身体をつくります。
ワクチン接種による感染症予防、フィラリア予防薬の投与、ノミやマダニの駆除剤による外部寄生虫の予防は主だった予防としてよく知られています。またこれらのほかに病院がお手伝いすることのできる病気予防として、避妊手術や去勢手術を行うことがあります。不妊手術は望まない赤ちゃんの誕生をコントロールするという目的以外に、将来的に予防することができる病気がたくさんあります。幼いうちに不妊手術を行うことも一次予防として有意義なことです。
家庭でできる病気予防もたくさんあります。生活環境を整えること、バランスのとれた食事、適切な運動、日常の衛生習慣、しつけや社会化、定期的な美容などです。

子犬や子猫のワクチンプログラムをご利用いただいていますが、おとなになってからも引き続きご利用ください。この予防プログラムは「どこで受けても同じ」というイメージを抱くと思われますが、毎年の積み重ねによって見えてくるものがあります。単に数字だけで体重の変化を追うこともあるでしょうが、大まかな犬のイメージが年々変化してくることに私たちは気づいています。「点」で捕らえた様子に比べ「線」でつかめる変化はとても意味のあることです。また変化が非常にゆっくりなため、毎日見ている家族にはわかりにくいけれど、年に1回か半年に1回のペースで診せていただく私たちにはわかる変化があります。大切なカルテは数年しても廃棄しないでずっとカルテ庫に保管しています。継続してプログラムにご参加ください。

また、もし家庭の事情などで予防から数年離れてしまっていたという場合も、構えることなくぜひ再利用いただければ幸いです。

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<異変に気づこう!調べよう!
 これが~2次予防です>

病気の発生を早期に発見し、早期に治療に入り、病気が重症化するのを防いだり、進行するのを抑えたり、合併症の発生を阻止するのが2次予防です。2次予防は、放っておくと重症化したり、合併症を併発したりする病気を早期に発見し、あまり悪くなっていないうちに治療し、進行するのを抑えて生活の質を高くするのが目的です。
これには定期的な健康診断が欠かせません。幼少期であれば遺伝性の疾患を発見する手立てになりますし、中年期なら肥満症や歯周病などの生活習慣病を、高齢期には心臓病、腎臓病、高血圧症、内分泌疾患などが腫瘍発見に並んで発見したい病気群です。

2次予防というと、必要とするのは高齢の犬猫たちというイメージですが、症状として表れる前の、検査でしかわからないくらいの小さな変化を見つけて治療に入るのが目的です。それぞれのライフステージに応じて、見つけるべき病気は異なります。そのため同じ検査を行うのではなく、年齢や犬種、猫によっておすすめする検査項目や検査頻度は異なってきます。個別のプログラムを飼育環境や病歴から判断して決定するのが最適です。 

なお、「検査で調べる」の前に、小さな変化を「おうちで気づく」ことも重要です。検査前の健康アンケートにしっかりご記入ください。「特に変化なし」の場合もチェックをいただけるとうれしいです。チェック項目は普段から気にしていただきたいポイントです。もし「これはどういう意味なんだろう?」とご記入に迷いがある場合はスタッフにご質問ください。

「去年受けたけど、どこもおかしなところはなかったし、別に必要ないんじゃないかな。今年はやらなくても良いかな」なんていう声も聞きます。特に安定している間は病気の早期発見を目的とするよりは「健常時のうちのこのデータ」を作ることが目的になっています。血液検査の基準範囲は幅広く、健康な動物は90%がこの間に入っているという数字です。それに対してうちの子はどのあたりにあるのかを見ることも意味があります。たいてい低い方の数字近くにある場合は、体調を壊したときに基準範囲内であってもこの子からすると「高め」であるわけです。それを「大丈夫」としてしまうか、「なんか高いぞ」ととらえるのか。それはデータを正しく読むことの重要な情報です。ぜひ、時間軸の線としてのとらえ方を途切れさせないで受けていただきたいと思います。

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<変わろう!
 ~検査結果を受けてアクションする>

2次予防として、多くの犬猫たちに健康診断プログラムに参加していただいておりますが、健康診断にも増して大切なのは、基準値とかけ離れた検査値を発見した後、それにどう向き合っていくかということです。結果に基づいてアフターケア管理、フォローアップの治療を行わないと、せっかく発見してももったいないことになってしまいます。健康診断を通して健康状態と生活上の改善すべき点が見えてきます。これから変わろうと思われる飼い主さんに私たちは多角的なフォローアップをしていきたいと考えています。
獣医療は獣医学のほか、看護学や栄養学、動物行動学など多方面の学問に支えられています。生活改善や食事管理(栄養面)、心理的な部分も含め、薬だけに頼らない治療を総合的に行っていく必要があります。過食や偏食といった栄養の乱れ、散歩恐怖症からくる運動不足などは、損なわれた生活習慣全般を改善する取り組みが必要です。快適な生活は伴侶動物の免疫力を高め、生命力を強化します。
「きっとだめ、これまでもそうだったから。」というのは、ご家族の中でも特定の人だけが頑張った結果ということが多いです。「がんばって変えたい。」場合は、ご家族だけでなく病院サイドの応援があった方が、成功率が高まります。検診の結果からわかったことをもとに、身体を気づかい、ケアしてあげると未来は明るくなります。ぜひ私たちをご利用ください。

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<身体をいたわろう!
 これが~3次予防です>

不幸にして病気になってしまってからも、今後の再発を予防することは大切です。一時的に機能が低下してしまった状況からでもリハビリテーションによって、機能を回復しQOLの高い生活を得ることができます。関節症などの進行性の病気になっても、それなりの治療を施すことで動物が寝たきりにならないようにするのは3次予防になるでしょう。

3次予防は、病気が発症した後の、後遺症を克服する治療です。再発防止に努め、残された身体の機能を回復させます。いわば動物が寝たきりにならないようにする予防でもあります。高齢犬や高齢猫のケアについても考えています。 
「もうやれることはない。」のではなく、愛犬愛猫とご家族の生活の質をより良いものにするためにできることは、いろいろあります。「病院治療」プラス「おうち介護」で、より良い状態で長生きさせることが可能です。病院でできないことをお家で、またお家でできないことを病院で、の考え方です。

 

 

今日は病気予防の考え方についてお話ししました。当院の掲げる健康プログラムは子犬を対象にした「すくすくコース」、子猫を対象にした「のびのびコース」、大人の犬を対象にした「すこやかコース」、大人の猫を対象にした「いきいきコース」があります。「すこやかさん」や「いきいきさん」では、ワクチンのときに血液検査などの健康診断をリーズナブルに受けられるように設定しています。愛犬や愛猫が「健康でいること」を私たちも願っています。ぜひご利用ください。

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尿検査のおすすめ

 先日、全身麻酔をかけての処置を行なうのに、年齢の話が出ました。当院開業以来ずっとおつきあいのある患者さんです。麻酔処置には皆さん不安がつきものです。その猫の年齢は現在12歳で、不安がなく麻酔ができるという年齢でもありません。猫の平均寿命は1415歳ですから平均的な寿命までもう少しあります。もちろん希望される天寿はもっとずっと先のはずです。一代目のわんこは成犬になってからの診察でしたが、開業当初の当時は8歳というのはすでに高齢犬であり、10年も生きてくれたら長生きというお話をしていました。「今はね~、みんな長生きになったよね~」で話は終わり、麻酔前検査の結果も悪くなかったことから、猫さんの残りの人生をQOLの高いものにするため麻酔下での処置を行ないました。(無事終了しております。)

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オールシーズン、健康診断の季節です。
まめにチェックできるのは理想ですが。。。




<みんな長寿になってきた>

さて、犬と猫の平均寿命に関してのデータがありました。なんと当院開業頃の1990年では犬8.6歳、猫5.1歳でした。(そっかぁ。思ってた以上に猫の寿命は短かった!)それが昨年2017年になると、犬14.19歳、猫15.33歳です。猫は外出する猫と屋内飼育の猫で別々の数値も出ています。外出猫は13.83歳、屋内猫では16.25歳です。寿命はデータで見ても間違いなく伸びているのがわかります。そして犬8.6→14.19も立派なものですが、猫の5.1→16.25の伸びは驚異的です。

こんなにも寿命が延びた猫ですが、それでも飼っている方としてはもっと長生きして欲しいと願っています。残念ながら平均寿命がそこまで延びているのに、たどり着けずに亡くなってしまう猫もいます。(平均ですから、上回る猫がいれば下回る猫もいて当然のことではありますが。)

なんとか病気を早期に発見し、病気に対してどのように対応していけばいいのか、できるだけいつものスタイルを崩さずに家族とこのまま一緒にいる時間を長くすることはできないものか。治療に明け暮れる最期を病院で過ごすのではなく、病気はあるけれどもうまくケアしながらはたからの見た目は健康で、家族とおだやかに過ごす時間をのばすことはできないものか。これがみんなの幸せにつながるような気がします。

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特に尿検査は猫の腎臓病を
早期にキャッチすることができます。
 

<尿検査のおすすめ>

そこでご提案です。ずいぶん前からおすすめしていることではありますが、改めて「尿検査」のおすすめです。今回おすすめする尿検査は、定期健康診断で血液検査を受けてくださるよりももっと気軽に行なうものです。思いついたから、ちょうど猫がオシッコしているところに出くわしたから、フードやノミ駆除薬のお求めついでに、わんこの用事で来ることになったから、そんなラフなかんじで「お家でオシッコを採って尿検査を受けてみませんか」というおすすめです。もちろんわんこも大歓迎です。

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おしょうゆ差しが猫の命を救う、
なんてハイスケールなキャッチコピーなんでしょう!
当院の「お手軽に尿検査」とは
スケールが違います。(><)

<尿の検査>

尿の検査はいくつかあります。

    物理的性状のチェック。

色を見る、濁りを見る、においをかぐ、比重を調べる、の検査です。

    化学的性状のチェック。

これは尿検査用の試験紙で調べます。

    顕微鏡で観察。

遠心分離した尿の沈殿物を顕微鏡で観察します。

    このほかにも細かく調べたいものを外注検査に依頼することがあります。

「お気軽に尿検査」では、ラフな感じで採取した自然尿でもあまり結果に影響を受けることがないだろうと思われる①と②の検査だけにとどめ、まずは「調べてみること」に重点を置きたいと考えています。

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猫の慢性腎臓病は罹患率の高い病気です。
 

<尿検査でわかること>

    「におい」と「色」と「透明度」これが最初のチェックです。

キツい特異なにおいは細菌感染や糖尿病などを疑わせるものです。濃いオレンジ色は黄疸が出てきている印、肝臓や胆道の病気が疑われます。膀胱炎や腫瘍などで粘膜表面から出血があると赤い血の色をした尿になります。色味がない尿は尿を濃くする機能(腎臓など)が衰えてきているせいかもしれません。「透明度」が低いのは尿の中に蛋白や細胞などの成分が混じっているために混濁していることを現しています。炎症や腫瘍が示唆されます。

 さらに「比重」を調べると数値的に出てきますから、腎臓の尿濃縮機能をもうちょっと詳しく知ることができます。       

    「尿試験紙」でのチェックです。

「尿試験紙」は「ウロペーパー」と呼ぶこともあります。化学的な性状を見ていきます。「pH」は尿の酸性度アルカリ度を見ます。これは食事による影響が強く、尿結石のできやすさを示唆します。「尿タンパク」は腎機能異常があるときや炎症や腫瘍で細胞成分が出現しているときに高くなります。「潜血反応」は肉眼的は血尿が見られない(尿が赤くなっていない)場合も出血を機敏にキャッチします。赤血球崩壊や筋肉の損傷があるときにも反応します。「ビリルビン」は黄疸や溶血で陽性に反応します。「グルコース」は血糖値が上昇している糖尿病の時のほか、腎臓の異常があるときに再吸収できなかった尿糖が反応し陽性になります。そのほか重度の糖尿病で糖代謝が損なわれたときに出てくる物質である「ケトン体」を検出することもできます。また動物には意義のない検査項目も含まれている試験紙がありますが、それは一緒に結果が出てきても判断の参考にはしません。

    さらに尿を顕微鏡で調べる検査を行なうこともありますが、今回おすすめする検査はここまでは考えていません。

    「お気軽に尿検査」でとても心配な結果が出た場合、追加検査のためにご来院を促すことがあります。詳しい尿検査のための尿は採ってきてもらう尿ではなく、病院で新たに採取する尿、可能であれば膀胱穿刺によって得られた尿で行ないたいと思います。

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見本のトイレを待合室に展示して置きました。

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花王さんのコンセプトは1週間取り替えなくても大丈夫な、ですが、
これについての解説はいらしていただいたときにお話しします。




<具体的な尿の採取方法>

尿を持ってきていただくとなると、おうちの方が尿を採取しなければなりません。これで「お手軽な尿検査」になるの?というお叱りを受けそうです。なぜなら猫が排尿しているところに、清潔な紙コップなどで尿を受けようとしても、それは「お手軽」どころか困難極まることだからです。猫砂の代わりに手芸用のビーズをトイレに入れて、いつものペットシーツを裏返しにするかまたはペットシーツを敷かずにそのままトレイで尿を受け止めるという方法があります。これまでだと、このやり方での採取をお願いしていました。けれど「尿検査」のために手芸用ビーズを購入し、採取できたらビーズを洗って次の機会にまたそれを使うというのは手間とお金がかかるので、ちょっと申し訳ない感じがします。
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こんなのです。手芸用ビーズ。

今回、猫の腎臓病用のお薬を作っている会社ベーリンガーさんと、トイレメーカーの花王さんとのご協力もあり、計画していたよりも早く「お手軽に尿検査」を実施することができました。花王さんが開発してくださった猫砂(とトイレ)ならうまく尿を透過させる(猫砂が尿を吸収しない・尿によって砂が固まらない)ため、トレイに尿を受け止めることができます。トレイに料理用のラップを敷いたり、ペットシーツを裏返しにしたり、そもそも何も敷かなくてもトレイから簡単に尿採取できそうです。これならビーズを買わなくてもいいです。似た形状のトイレを使っているのであれば猫砂をその製品に変更するだけでも大丈夫かもしれません。でも、企画の「尿採取用きんぎょ」にはトイレがお安く購入できるチケットも入っていますから、この際チケットを利用してトイレを新品にするのもありです。複数の猫が同一のトイレを使用する場合は、時間を見計らってうまく採取してください。
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こんな手順で採っていただきます。
説明の図ポスターです。

「どうしてもオシッコが取れない!」という場合は、いつものように、膀胱に尿が溜まっている時間帯で病院に来てください。こちらで尿道に管を通して、または膀胱に針を刺して尿採取することにします。これだと「お気軽に~」のコンセプトではなくなってしまうかもしれませんが、高齢になっている猫さんには少なくとも半年ごとの尿検査をおすすめしたいです。そこまで高齢になっていない猫さんたちには、これまで通りですが「無理なくキャリーに入って貰う」ための「リビングにキャリー!」「キャリーにおもちゃ!」の練習を積んでいただけるといいかと思います。(キャリートレーニングをご存じないとき、いらしたときにご説明いたします。すごく大事ですので口頭でお話ししたいです。)

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食欲があることは健康の印にはなりません。
よく食べることが症状である病気もあります。

<特に尿検査を受けて欲しい猫たち>

青年期から成猫期(中年期にかけても)の猫では泌尿器症候群の心配があります。尿pH(や、結晶を見つける顕微鏡検査)で尿石症を発見することができるかもしれません。尿道閉塞症は発見が遅れたら命に関わります。また発見が早く対処が優れていたとしても腎臓に爪痕を残します。予防できるに越したことはありません。多頭飼育や家の外に野良猫がいっぱい集まってくる家に住んでいる猫の場合、ストレスが高いため尿石症や特発性膀胱炎を起しやすくなっています。おやつが大好きでいっぱい貰ってしまう猫は尿石症になりやすい傾向にあります。こんな猫たちは特に尿検査がおすすめです。

成猫期に入る頃、徐々に障害が始まるタイプの先天性の腎臓病をピックアップすることができるかもしれません。ペルシャ猫は遺伝的に多発性嚢胞腎を持つ傾向がある猫ですが、短毛の日本猫にも発生があります。水の飲み方が多いかも!と心配される猫にもお気軽尿検査はおすすめです。

中年期から熟年期では、いわゆる猫の慢性腎臓病や糖尿病を早期に知ることができます。この年齢のすべての猫にはぜひ尿検査を受けていただきたいです。早期に発見し、早期に対処で健康寿命を延ばすことが可能です。

太っている猫、太っていたけど痩せてきた猫たちはどの年齢層であっても糖尿病が懸念されます。この子たちももちろん、お手軽尿検査を受けてください。

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不適切な場所で排尿をしてしまう猫さんのうち
半分くらいはトイレの改善で症状が消失します。
適切なトイレとトイレの環境は非常に重要です。

<おまけ・尿検査の標準値>

尿検査の標準値を記しておきます。

    物理的性状

・色:黄色(淡い黄色から暗目の黄色)

・透明度:透明

・におい:軽いにおい(アンモニア臭はほぼありません)

・比重:1.035以上

    (ほんとに健康だ!と思う猫は1.0401.050くらいあります)

    (1.060くらいまでなら脱水もないでしょう)

② 化学的性状

  ・pH:弱酸性6.5前後

  ・尿タンパク:-

  ・潜血:-

  ・ビリルビン:-

  ・ブドウ糖:-

  ・ケトン体:-

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採尿用「きんぎょ」たくさんあります。
ご自由にお持ち帰りいただき、
尿を入れて持ってきてください!




<おわりに>

初診時で慢性腎臓病(IRISのCKDステージ4)であった猫さん、集中治療によって著しい高窒素血症が低下し一度は食事が食べられるまでに回復しました。けれど長くは続きません。まだ年齢の若い猫さんでした。ドナーさんが見つかれば腎移植が適応だったのかもしれません。

同じ頃、歯科処置のための麻酔前検査で腎機能に不安が見つかり、エコー検査から多発性嚢胞腎を発見した猫さんがいました。先ほどの猫さんよりは年齢の高い猫さんです。まだ結構腎実質が残っていました。腎ケアの開始です。うまくケアしていけば、まだしばらくいつもの生活を続けていくことが可能です。

ハイシニアの猫さんだと腎臓病で寿命が終わることに納得できても、まだそこまで年齢が行っていない猫さんだと無念な気持ちが高まります。早期に知っていれば、しんどい思いをする期間が短くて済むのかもしれない。そういう気持ちから猫さんの「お手軽尿検査」を企画しました。実にタイムリーに花王さん、ベーリンガーさんの「尿検査」企画と重なり実現が早まりました。感謝です!この機会にぜひ、多くの猫さんに「お手軽尿検査」を受けていただけますよう願っています。


夜は大変冷えてきました。お風邪など召されていませんか。今週は喉の調子が悪くて、飴をなめながら診療させていただきました。おやつが手放せない人みたいでした。診療中に失礼いたしました。

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レプトスピラ症

 稲刈りが進み、刈り取られて薄茶色になっているところ、これから刈り取りを待つだけになっている金色のところ、刈り取られたところに小さい芽が出て青々としているところ、とパッチワークのように色取られた田圃がきれいです。秋の田、農作業というと「秋疫」(秋やみ)という病気が思い出されます。「秋疫」はレプトスピラ菌による人の感染症です。今日は「レプトスピラ症」についてお話しします。

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<レプトスピラ症ってどんな病気?>

レプトスピラ症はネズミから伝播された病原細菌による感染症で、人と動物に共通した病気でもあります。

昔は秋の稲刈り時期に農家の人たちの間で流行する病気でした。稲が実るとネズミが田圃に入るため、農作業の間に感染していたのです。昔の農作業は手作業だったため、指先に小さな擦り傷などができやすい状況でしたから、細菌がその傷から体内に侵入しやすかっただろうと思います。

感染源であるレプトスピラ菌は、ほどけたセーターの糸のようにくるくるっとよじれたかたちをしているため「らせん菌」と呼ばれるグループに入っています。

感染主(維持宿主とよびます)はネズミです。病原性のレプトスピラ細菌に感染した後、腎臓の中に菌を持っています(保菌しています)。菌を持ったネズミそのものは症状もなく過ごしています(不顕性感染といいます)が、常に尿中に菌を排泄しているため環境を汚染しています。ネズミの尿から排泄されたレプトスピラ菌はため水や池、川などに長い間生きています。台風や大水になったときに水面の近くに上がってきて、河川流域の雑草地(たいてい湿地になっています)には菌があふれるようになっています。人も犬も、ネズミの尿に汚染された水や土壌に接触すると皮膚(または粘膜)を経由してレプトスピラ菌に感染してしまいます。

人では四類感染症に指定されています。犬などの動物でも(牛や豚にも感染があります)、家畜伝染病予防法により届出が必要な伝染病になっています。

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<近年の感染・発症状況>

近年、農作業の機械化によって農業従事者のレプトスピラ症は激減しています。その代わり、シーカヤックなどのレジャー、川で水泳をするなど水との接触のある人や、屋外の野ネズミではなくイエネズミのいる環境と関わりのある人たち、すなわち解体業や土木工事業、下水道工事業、電気工事業の関係者と、生鮮食料品や調理関係者の感染が増加してきています。

犬も猟犬に多く見られていたのが、イエネズミの影響により屋内飼育犬でも発生が増えてきています。

2004年から2013年の10年間における犬レプトスピラ症の届出は、多い年で150件にも登っています。届け出件数が21件以上の県は6県あり、愛知県は11件から20件の第2グループに入っています。

全国のネズミのレプトスピラ菌保有率を調べたところ、平均で2.5%、名古屋のマンホールでは7%という高い割合で見られていました。

中国や、フィリピン、タイ、インドなどでは現在も日常的に発生しており、特異的な例になりますが、2005年の静岡県での発症例はペット輸入業者が販売用に仕入れた小動物を経由しての発症でした。

沖縄では多数の報告、普通はまれな猫の感染も確認されていて、常在地になっているのではないかと考えられています。

観光地、都市部の発生やインターナショナルな経由での感染が、現在のレプトスピラ症です。

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<犬のレプトスピラ症の症状>

レプトスピラ症は血清型といわれるさらに細かな分類があります。血清型によって病気の症状は異なります。

軽いものでは嘔吐や脱水、黄疸で、元気や食欲がなくなります。結膜が赤く充血するのもわかります。総合すると軽度の腎障害や肝障害です。中には知らずに自然治癒していくものもあるようです。

さらに進行していくと、強い黄疸が加わり、舌が溶ける(壊死する)ことによりよだれを出します。尿色は黄疸のためのオレンジ色から出血性の赤い色になり、急性の腎障害、肝障害のレベルがさらに悪くなっています。

重症のものでは、黄疸や血尿の症状に加え、血便も見られます。粘膜や皮膚にも出血の跡を見つけることができます。

甚急性の場合は、はなはだしく進行が早いため、腎障害や肝障害を認めるまでもなく、ショック様症状で死亡してしまいます。

運良く治療に反応したものは、慢性化し保菌動物になります。重篤な症状を脱しても慢性の腎臓病や肝臓病からさまざまな病状を残すこともまれではありません。

 

<レプトスピラ症を診断するとき>

急な発症と黄疸や腎障害を示す血液検査や病検査の所見から、レプトスピラ症を疑うことになります。尿または血液を検査材料にして、特殊な検査機関に依頼して、細菌の遺伝学的な検査をして貰います。数日から1週間以上は検査に時間がかかります。場合によっては死後、確定診断が出るようなこともあります。「死んでしまうのなら確定診断は出なくてもいいかな」と思われるかもしれませんが、人にも感染する病気なので確定診断をして届け出が必要です。今後の対処にも役立つ情報になるため、遺伝子検査は必要な検査です。

 

<犬のレプトスピラ症の治療>

人への感染が心配な感染症ですので、隔離入院とし、補液と抗菌薬の治療を続けます。あとは対症療法です。

感染した血清型にもよりますが、早期の治療開始と犬の体力が生死を分けることになります。

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<ワクチンで予防する>

レプトスピラ菌は15の血清型が知られています。その中で、Leptospira Canicola(カニコーラ型)、Leptospira Hebdomadis(ヘブドマディス型)、Leptospira Interohaemorragiae(黄疸出血型)は特に検出の多い血清型で,

この3タイプはワクチンで予防が可能です。

アウトドアライフを家族で楽しみたいご家庭の犬、沼地や池にガシガシ入っていくアクティブな犬、もちろん猟犬には、屋外での活動が盛んになる季節の1か月前ころに、毎年強化免疫のためのワクチン接種を行なうようおすすめしています。また、近年ではイエネズミからの感染もあることから、完全屋内飼育の犬にも1年に1回の追加免疫は必要とされています。

この機会にワクチンの見直しをし、もし前回の接種から1年以上が経過している場合には、犬の健康時を見計らってワクチン接種にお越しください。犬と家族の健康を守る大切なワクチンです。


<そのほかの予防できること>

屋外で遊ぶときに、水辺に行かないようにする(たまり水を飲ませない)のはアクティブな愛犬と遊びに行く方は心得ていることと思います。
意外なことですが、日常は普通の生活をしている小型の犬でも危険はあり、集中豪雨で小川の水が氾濫したような場所でのお散歩も避けてください。
屋根裏にネズミが発生!という場合は積極的に対応してください。家族の力ではどうにもならないときには業者にお願いすることも考えてみてください。







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血液検査・カリウムの値が高い

 血液検査結果・カリウムが高いときの判断について

 この前、「元気でなんともないのにリンが低い」ことについてお話ししました。今日は、「元気でなんともないのにカリウムが高い」のお話です。

 <カリウムの役割>

カリウムもリンと同じように、生態の機能を維持するためになくてはならない大切なミネラルの一つです。

細胞の中のカリウムは神経や筋肉の興奮と、興奮の情報を伝える役割をしています。カリウムの濃度が異常を示すと、知覚異常や意識障害、脱力、麻痺といった、とても怖いことが起ります。心臓の筋肉(心筋)も刺激が伝わって収縮し、拍動しますが、カリウムの異常が進むと、重篤な不整脈が発生し、心停止するなど致命的な結果を招くことになります。

 

<カリウムの摂取と排泄>

カリウムは食物中にあるものが腸から吸収され、90%以上が尿中に排泄されます。

カリウムの出し入れの調節をしているのは副腎から分泌されるホルモン(アルドステロン)です。

血中のカリウムは尿中に排泄すべきかどうかを厳重にコントロールされています。腎臓が正常に機能していると不要なカリウムは体外に排泄されます。

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<カリウム異常はどこが悪い?>

血液検査でカリウムの値を調べると、主に腎臓と副腎の機能を知ることができます。たとえば副腎皮質機能低下症。また、尿路結石症などで完全に尿路が閉塞され、急性の腎障害があるときにもカリウムが高くなります。

そのほか腫瘍細胞が急に崩れていったとき、体調が著しく悪く身体が酸性に傾いたときなどでもカリウムは高くなります。またインスリンが不足していてカリウムが細胞内に取り込まれないときにも血中のカリウムの値は高くなります。

 

<病気の診断>

身体のどこかに異常があってカリウムの値が高くなるとき、それぞれに他の検査項目に異常を見ることが多いです。

先ほどの例でいきますと、副腎皮質機能低下症ではカリウムが高いけれど、そのほかのナトリウムやクロールなどの電解質は低くなります。腎臓の機能異常があれば高窒素血症が現れます。細胞が破壊されればほかの細胞内にある酵素の上昇も見られますし、インスリンが不足する事態というのは高血糖の状態が見られます。

カリウム値だけでなく総合的に判断します。

 

<服用している薬によっても影響を受ける>

心臓の病気、腎臓の病気などで処方しているお薬によっても血清カリウム濃度が高くなることがあります。

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<偽の高カリウム血症>

病的にカリウムが高い場合、他の項目に異常が見られるはず。「健康そのもの、元気いっぱい」で、「他の項目には異常が無い」、それなのに「カリウム値だけが高い」ことがあります。

実は採血や採血してから検査をするまでの課程に問題があって、カリウムの値が高くなってしまうことがあります。偽の高カリウム血症です。

 

<カリウムの体内分布>

カリウムは身体の中で98%が細胞の中にあります。体液の中のカリウムはわずか2%で、そのうちの98%は血中の赤血球の中に存在します。ということは。。。

 

<病気以外でカリウムが高くなってしまう原因>

    血中の赤血球にカリウムがたくさん存在していると言うことは、赤血球が壊れると高カリウム血症になると言うことです。溶血は偽の高カリウム血症の原因になります。

  駆血帯(くけつたい・血管を浮き立たせるために腕に巻くゴム製のものです)をしてから、血管を探し出すまでに時間がかかってしまい、しばらく腕を圧迫した状態が続いていると、細胞内からカリウムが血液中に流れ出てきて、偽の高カリウム血症の原因になります。また、針を刺してから十分な血液量が採取できないために、くるぶしあたりを「こきこきこき」と握ったり伸ばしたりを繰り返して(クレンチングとかハンドグリップとかいいます)いても筋肉細胞からカリウムが流出してしまいます。なお、採血をしている間、駆血帯はそのままで解放していません。採血時間が長くなっています。高齢の犬、血管が細い犬、圧力の低い犬、体格の割に血液量が必要になった場合にこんなことが起りやすいです。「えっ!こんな所から血を採るんですか!」と驚かれることが多い頸静脈からの採血ですが、ここの血管は太く、駆血によるタイムロスが少ないため偽の高カリウム血症は発生しにくいです。

    血小板や白血球が異常に高いとき、凝固する過程でカリウムが流れ出して、偽の高カリウム血症を起すことがあります。

    採血をしてからそのままの状態で血液を置いておくと血球内からカリウムが漏れ出してしまうことがあります。30分では遠心分離して血球と血漿を分けることにしていますが、ときに「しまった!回し忘れた!」ということが起っているのかもしれません。すみません。

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<偽の高カリウム血症は心配なし>

偽の高カリウム血症は病気ではなく、採血と採血後の検体の取り扱いの問題です。全く心配はありません。

 

 

今日のお話はここまでです。

暑く湿度の高い日が続きます。ノミやマダニなど繁殖スピードが高まり、被害も瞬く間に広がってしまうことが予想されます。外部寄生虫の駆除薬はホームセンター等で市販されている商品では十分な効果が得られません。動物病院で処方したものをお使いください。

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