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建仁寺・禅居庵

新年おめでとうございます。

年の初め感がまだまだ残る本日は、神社、いや、お寺さんのお話です。しばらく神社・お寺巡りのブログをお休みしていました。ずーっと病気の内容ばかりだと、話題が続かないこともあるのですよね。診療の合間にPCに向かうのですが、診療日にPCに向かう時間がとれなかったりして、毎週日曜日の更新を2週毎にしようかとも思っちゃったような次第です。私事ですが、13か月間の鳥居はくぐっちゃだめ期間もありまして、ここ1年ほどは硬いお話しばかりでした。昨年10月で神社参り解禁になったことですし、話題に欠いたときにはまた神社さんお寺さんを入れることにします。

 

さて、猪の神社といえば、京都・護王神社ですが、イノシシでも何でもないときに載せたような。

http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-533.html

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ということで、京都のもうひとつのイノシシさん。臨済宗建仁寺派の塔頭寺院、禅居庵です。こちらでは摩利支天さまをお祀りになっています。開運勝利のご利益お願いや、亥歳の守り本尊で、みなさんお参りに行かれるようです。

 

八坂通りから直接入る道もあるようですが、建仁寺さんの駐車場に近い花見小路通りから入ります。上の写真(建仁寺門)とは違う入り口です。祇園の街はいつ行っても混んでいます。近頃はJapaneseの方が少ないの?って思うくらいです。

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こちら、入って右手になりますが、この小書院が建仁寺さんおまいりのスタートになります。

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でもそちらに入らずに左手に進みますと、お庭をぐるりと回ることができます。建仁寺さんの拝観料がかからないで、お庭だけ散策させていただくかたちになりますかね。今日はお茶室や枯山水のお庭を見させていただかなくてもいいかな、というときもありますか?


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何回に1回はそんなこともいいかもしれません。(建仁寺さん、すみません。)
そしてまっすぐ行くと突き当たりは勅使門。ここからは出入りができなくなっています。
今回、お写真ありません。


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で、ここを右に曲がると、禅居庵さんの入り口、ご門があるので成る程、こちらか、と導かれるように入れます。こけの美しいお庭。庵です。まさしく。そして続く秘密の小道(ほんとうは、ゆずりあいの小道です)を抜けます。

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と、もう!イノシシさんの世界です。手水舎からして、イノシシ。

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数々の狛犬がイノシシ。光の加減でうまく撮影できなかったので、これだけですけど。もっとあります。

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猪突猛進のイノシシ。今年は粘って頑張れば道が開けるような気がします。

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なんか、りっぱだわぁ~、とお口を開けたまま見上げます。
ご本尊さまは撮影禁止のため、拝観させていただくだけです。

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来た道を戻らず、建仁寺さんの周りをぐるっと回るかたちで大和大路道へぬけます。
建仁寺禅居庵さんでした。


このようなかんじで、本年もゆるーくおつきあいいただけましたら幸いです。来週は病気関連。歯周病に戻ってお話ししようかと思います。
 

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テーマ : 神社めぐり
ジャンル : 旅行

ごあいさつ

 つつしんで初春のお慶びを申し上げます

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旧年中は当院をご利用いただきまして

大変ありがとうございました。

幼い子犬さん、子猫さんの成長を見られたことは

いつも新鮮で、大変楽しみでした。

いろいろな芸事を披露してくれたわんこさんたち、

とても愉しゅうございました。

ご家族の皆さんが愛犬に大切な時間を費やしてくれた賜です。

壁をよじ登るパフォーマンスもなく、

緊張しながらもコミュニケーションしてくれる猫さんも増えました。

愛され、うまく接してもらっていること、ひしひしと感じます。

そしてご高齢のおじいちゃん、おばあちゃんの犬猫さんを

診させていただくことは、残りが少なくなってくる貴重なお時間を

ご家族の皆さんと共有することでもあります。

お見送りさせていただけたことも光栄に思います。

日常診療の中でのご家族の方々との会話は

とても楽しく、時間を忘れてしまうほどです。

それからあたたかいお心遣いをいただき、

感激することがたくさんありました。

ありがとうございます。

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本年もご家族皆さまが健康を得られ

幸多き年となられますよう

心からお祈り申し上げます。

今後とも変わらぬお付き合いのほど、

よろしくお願いいたします。

 

平成31年 元日

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

僧帽弁疾患の治療

 今年も休診日にはしっかりお休みをいただいておりました。すみません。お勉強のできるセミナーなどは日曜日のことが多いのです。「お休みの日に限ってうちの子は体調を壊すわ」というわんこやにゃんこさん、いらっしゃいました。ごめんなさい。そして飼い主さんには不安な日を過ごさせてしまったこと、お詫び申し上げます。

今年のおでかけ勉強の中でも心臓病のこと、とくに僧帽弁疾患に関して自分の中でスッキリできることがありましたので、今日はそのお話。

まずは前置きが長く続きます。

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<僧帽弁疾患>
僧帽弁疾患(専門的なことばでは粘液腫様僧帽弁変性症:
Myxomatous mitral valve degeneration:MMVDといいます)は世界中の先生方が大規模な研究をされています。(VETPROOFSVEPHECTOREPICなど。)それらは進行性であるこの病気で、うっ血性心不全が発生するのを遅らせるのが目的の研究です。こうした研究の結果が発表されると推奨される治療にも変化がおこります。

実は、いつから治療を始めるべきなのか(治療開始時期)について、常にもやもやしたものがありました。私がお薬を始めたいなと考えている段階よりも少し進行したステージから治療を開始することが推奨されているからです。進行していくのがわかっている病気なのに「まだこの段階では治療を始めない。もう少し病気が進行するのを待ってから治療に入る。」というのは地域のわんこの健康を守ることに主眼を置いている町の獣医さんとしてどうなのか。エビデンスに基づいた治療にしてみれば、私が考える段階で投薬を勧めるのは「行き過ぎな治療」になってしまいます。このジレンマを国際セミナーでジョシュア先生にご回答いただけました。この答えは最後にいたします。

<僧帽弁疾患のステージ分けのこと>

僧帽弁疾患は小型室内犬にとって、中高齢になったらほとんどのわんこが罹患している病気(13歳以上の犬の85%、キャバリアキングチャールスなら100%!)と言っても良いくらい日常で診察を行なう機会がある病気です。私たちが診察する循環器病のうち、3/4くらいは僧帽弁疾患です。

進行具合によって、病期のステージがからDまであります。キャバリアキングチャールスのように(残念ですけれど)リスクが高い犬種だと、既にステージはAです。まだ初期段階で心不全兆候を出していない段階はステージBです。うっ血性心不全兆候(=肺水腫と考えても良いかもしれません)が発生したらステージC、これは過去に発生したことがあるものも含めています。さらに進行したステージDですが、ここは普通の管理では難しい段階です。ステージBは心臓の拡大があるかないかでB1B2に細分されています。
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 <研究から勧められるようになった治療法>

VETPROOF studyでは、うっ血性心不全が発生する前段階(ステージB2です)でアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)を使うと、この薬を投与しない場合と比べて生存期間が5か月くらい延長するという結果が出ました。また、心不全兆候が発症するまでの期間も7か月から8か月くらい延長しています。一方SVEP studyでは、ここまでの差は出ませんでした。この研究では対象にしている犬がキャバリアのみでしたのでこのような結果になったのかもしれません。

これらの研究から心不全兆候が現れていない段階の僧帽弁疾患に対して70%以上の心臓病の専門医たちはACE阻害薬を推奨することになりました。ただ、あるときからこの薬だけでは希望する効果が十分に得られなくなることもわかってきました。(アルドステロンブレイクスルーと言っています。以前はACEエスケープと言っていました。)それで抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンを加えるとどうなるだろうか、という研究も始められました。昨年Hezzell先生たちは、「スピロノラクトンはステージB2の左心拡大を遅らせることができる。」と発表し「加えると良いぞ!」という結論になったわけです。小型犬は複数の薬を飲むのが苦手のわんこが多いです。今ある(ベナゼプリル+ピモベンダン)と同じような(ベナゼプリル+スピロノラクトン)の組み合わせの薬(合剤)が早く出現して欲しいです。(期待しています。エランコさん!)

実は猫では慢性腎臓病のために、アルドステロンブレイクスルーを起こしにくいとされているアンギオテンシンⅡ受容体阻害薬であるARB(商品名セミントラ)が発売されています。犬ではまだ健康犬でのデータしかないのですが、いずれ心臓病の犬でも研究結果が出るのではないかと心待ちにしています。もちろん犬用のお薬の販売もです。(こちらはベーリンガーさんに期待します!)

ピモベンダンは当初「不整脈を招くのかも」とか「急な休薬をすると突然死するのでは」ということで使用に際して神経を使った薬です。EPIC studyでは、ピモベンダンを投与された犬は投与されなかった犬に比べて心不全に陥るまでの期間が15か月くらい延びるという結果が出ました。これはQOLの高い期間が長く続くということです。それからこれまで言われてきた現象も、ピモベンダンを飲んでいようがいまいが有意な差はないということもわかりました。それで、使い始めの時期は以前よりも早いステージB2からになりました。(以前はおっかなびっくりこの薬を使う感じでしたが、今はいい薬だなぁ、頼もしいやつだなぁという感じで使わせて貰っています。)

そのようなわけで僧帽弁疾患はステージB2になったら、ACE阻害薬、ピモベンダン、スピロノラクトンの3種類のお薬を処方するのがスタンダードになりました。

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<ステージB2は範囲が広い>

ステージB1B2は、心雑音が聴取されるだけで、画像検査でも特別心臓は大きくなっているとは認められませんでした(B1)、と心雑音があって画像検査してみたら心臓が拡大しているのがわかりました(B2)という「心臓が大きくなっているかどうか」の差です。この大きさも、「計測してみると基準を超えるよね」から「一見して、でかいでしょ!」まであります。

「検査したら大きいのがわかったから、B2のステージ」と分類した中でも、「咳が出ます」「散歩をしたくなくなってる」「ピンポーン、でダッシュして玄関に行ったのに今は知らんぷり」という犬もいる一方で、「え?何ともないよ。今までと変わらないけど。うちの子の心臓でかかったの?」という犬もいます。

それで、ステージB2でも飼い主さんが感じられる明らかな症状が無い場合は1種類または2種類のお薬から始めることにしました。お薬が決まったからといって、そのままではなく、定期検診に来ていただき、心臓の様子を知るため血圧測定をしたり、もっと頻度は低くなりますけれど(少なくても1年に1回くらいは)血液や画像の検査で進行状況を診ていきたいと思っています。徐々に進行していく病気ですので、1種類から始めたお薬も2種類になり、スタンダードの3種類にと、足し算で増えていくことになるかと思います。

時々「えっ!心臓病の薬を飲ませているのに悪くなっちゃったの?」って言われまして、心苦しいのですが、お薬をのんでいても病気は進行していきます。進行を遅らせ、QOLの高い日々を1日でも長くさせるのを目標に置いた治療です。ご了承ください。また「これだけ飲んでるのに、なんか効かなくなっちゃったのか、近頃咳が多い」というときもあります。薬を増量をしたり、同じACE阻害薬の仲間でも別のものに変えたりするなどで対応します。また咳の原因が気管や気管支にあることもあり、こちらのせいだなと思われるときは呼吸器に対して働くお薬を別に追加します。これだけ飲んでいるからもう無理なんだろうと思わないで、いろいろ日常の様子をぶつけてください。

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<どうしてB1で治療をスタートさせないの?>

心雑音があるけれども心拡大がないときには、(のちのち心臓が大きくなることがわかっていながらも!)代償機能が働いているので身体に任せる。だから治療介入しない。というのが、現段階でB1に投薬不要の理由です。これが長いあいだ私をもやもやさせていました。でも「行けるところまでがんばれ。だめになったら応援してやる。」でいいの?という疑問というか不安ですね、これはとても簡単に解決されました。

「エビデンスがないから。」

たった一言でした。つまり、
B1から治療を始めたグループとB1から治療を始めていないグループとを比較検討した研究がないということです。「理論的には治療してもおかしくはない。」ということでしたが、エビデンスがない治療に関しては「飼い主さんの同意が得られれば、理屈は合っているから問題がないよ。」でした。

 <じゃ、始めてみるの?>

私の出した結論は、「NO」です。

もし処方するとなると、スタートはACE阻害薬。これで長生きになります。けれど長期服用によってアルドステロンブレイクスルーを起こしやすくなるでしょう。それと、「将来の不都合」に合わせていても「今の不都合」に寄り添っていません。今は不都合がないのですから。逆に投薬という不都合を飼い主さんに強いることになります。もうしばらく様子を見ることにします。ただし、心臓が大きくなっているという確認がなくても、全身性の高血圧が認められたら、そこは腎臓を守るために使います。

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<エビデンスに基づいた治療>

結局、エビデンスに基づいて診療をするとはいうものの、必ずしも教科書通りのことにはならず、この治療が「病気の犬や猫」に対して利益があるのか「飼い主さん」にとってはどうだろうか、で判断します。でも基本の指針をわかった上でアレンジすることになると思います。だって、人生いろいろ、わんこもにゃんこもいろいろ、ですものね。

 

さて、今年も残すところ今日明日の2日となってしまいました。お忙しい中、この長いブログにお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございます。

今年、いろいろなことが降りかかってきた飼い主さん、年末はことさらお忙しかったことと思います。体調を壊されてはいませんでしょうか。今年一年、お疲れさまでした。ほんと、頑張りましたよ。こちらの画像を送らせていただきます。ご笑納ください。

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来年も、小さく芽生えた病気の疑問を晴らすため、お出かけ勉強は続けるつもりです。すみません。でも、必ず診療でお返しします。

 年末のご挨拶を直接言えなかった皆さま、あらためまして。本年のご来院ありがとうございました。そして、ブログを読んでくださった皆さま、おつきあいありがとうございました。

 どなたさまも、今年の苦労はこのまま集結しますように。そして晴れて明るいお正月を迎えられますように。それから来年はもっともっと良い年になりますように。 合掌

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

薬剤耐性菌のおはなし

 11月は薬剤耐性対策推進月間です。世界保健機関(WHO)は1113日からの1週間を「世界抗菌薬啓発週間」として設定しています。薬剤耐性については主に「風邪は抗生物質では治りません」などとして人の方で言われているのを耳にすることが多いかと思われますが、犬や猫にあっても無関係ではありません。細菌と抗菌薬について、そして薬剤耐性についてご理解いただき、処方の抗菌薬を正しく服用することにご協力いただけるとうれしいです。

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AMR臨床リファレンスセンターのぽすたーです。



<感染症と細菌>

身体に病気をおこす元になる微生物が侵入して、症状が出た状態を感染症と言います。病原微生物には細菌のほかウィルスや真菌、寄生虫などがあります。病原体が体内に侵入しても免疫力が高くて感染が成立しないときは病気にはなりません。体内に微生物が入りこむルートはいろいろで、空気感染で呼吸器から入ってきたり、食べ物に混じって口から入ってきたり、蚊やマダニなどに刺されて入ってきたりなどです。

細菌は私たちの身体の中にも存在しています。皮膚の表面や腸などがよく知られている場所ですが、常在細菌は菌のいる場所を良い環境に保たせています。環境の中にも病原性を持つ悪い細菌だけでなく、良い仕事をしている細菌があります。醸造に関わっている細菌、ヨーグルトの菌や納豆菌などは良い菌の代表です。

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抗菌薬と耐性菌について院内に
資料を掲示しておきます。




<抗菌薬>

抗菌薬は抗生剤とか抗生物質と呼ばれることもあります。抗菌薬は細菌に作用する薬で、細菌の繁殖を抑えるように働いたり、細菌を死滅させるように働いたりします。(ウィルスや真菌などには効果がありません。)増殖を抑える作用は静菌性といわれますが、体内の食細胞などのはたらきによって最終的に殺菌されます。高濃度ならば殺菌的に働くというような抗菌薬もあります。

抗菌薬にはいろいろな種類があります。たいていは化学構造によって分類されて〇〇剤とか〇〇系という風に呼ばれます。開発された年によって第一世代の、とか第二世代のというようなグループ分けをされている薬もあります。抗菌薬はそれぞれの薬に特性があって、こんな細菌に効果が大、あんな細菌に効果が大というように、細菌に対して得意不得意があります。細菌の特性と攻撃の特性によって、効く効かないがあるという方が適切な表現かもしれません。抗菌薬を使用する量、使用期間でも有効性に違いが出ることがあります。

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人も動物も。そして環境も。
すべて健康であることが大切です。




<薬剤耐性菌>

細菌に対して効果がある抗菌薬でも、すべての細菌を攻撃しきれなくなることがあります。薬の攻撃を受けても生き残った細菌です。この細菌は抗菌薬のある環境でも増殖することができます。これが薬剤耐性菌です。薬によって死滅した菌が弱い菌だとすると、薬によって死滅することがなかった菌ですので、薬剤耐性菌は「手強い菌」です。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はよく知られた薬剤耐性菌です。皮膚や軟部組織の感染に見られることが多いです。またバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)も有名です。これは抗MRSA薬に対しても無効な腸球菌です。またペニシリン系だけでなくセフェム系の抗菌薬にも抵抗を示す基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌(ESBLs)や、多剤耐性緑膿菌(MDRP)なども出てきています。さらに手強いのは、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)です。悪夢の耐性菌と呼ばれています。カルバペネム系の抗菌薬はある意味最終兵器的存在ですから、これにも抵抗を示す細菌が出現したのは私たちにとって脅威でしかありません。

さらに「スーパーバグ」という悪魔の耐性菌もできています。最近のニュースを添付しておきます。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/post-10979_1.php

抗菌薬が効かない状況は、抗菌薬がなかった時代の状況に同じです。医療ドラマ「仁」ではペニシリンのない時代背景で主人公が手作りして患者を救うシーンがありました。効く薬があるのが当たり前の時代に生きていますが、薬の無い時代に逆戻りする恐怖を考えてみてください。

薬剤耐性菌が発生すると、身体を飛び越えて、人から人へ、また人から環境へと拡散していきます。環境の中には動物も関係してきます。薬剤耐性菌はみんなの努力で①作らせない、②感染しない、③広めない、④効く薬を残しておくことが大切です。

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ペットを介しての薬剤耐性についても
解説があります。




<医療・獣医療と薬剤耐性菌>

薬剤耐性菌は飛沫感染や接触感染、また血管や尿路に設置したカテーテルからの感染、抵抗力が低下することによる感染など複数のルートで感染が発生します。病院内で感染が起こらないようさまざまな配慮が採られています。

私たち小動物の獣医科病院でも、院内の一般消毒、動物を扱う前後での手指の消毒など対策をとっています。

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薬剤耐性菌はこんな風にして
できてきます。

 <耐性菌を発生させないために>

人の医療で主に言われているのは、①風邪に抗菌薬は効きません、②ウィルス感染に抗菌薬は意味がありませんだから、③むやみに「抗生物質を処方してください」とお願いするのはいけません、ということです。

動物病院で特にお願いしたいのは「決められたとおりに服用させてください」です。「良くなったから薬はやめた」、「いやがるから半分であきらめた」というのが実はがっかりのナンバーワンです。中には「次に同じようになったときのために、あえて残しておいて、すぐに病院に行けないときのために手元に置いてある」とおっしゃる飼い主さんもいらっしゃいます。そのお気持ちはわからないわけではありませんが、「やってはいけないこと!」です。さらに、「13回は無理だったから2回にした」というのもNGです。1日3回は、「8時間おきに投与する」の意味で、おそらく8時間を超えて12時間目までの4時間は薬効が低くなっています。勝手に中止したり、薬の量を減らしたりすると、血中の抗菌薬濃度が下がり、細菌が抗菌薬のある状況に慣れてしまいます。そうすると確実に殺したかった細菌を生き延びさせることになり、これが耐性菌を作らせてしまうのです。また症状がなくなったことと、体内の細菌が消滅したこととは違います。「良くなったのにまだのませなくちゃならないなんて、飲ませる方もしんどいんだよ」ってお気持ちも、ちゃんとわかっています。そうした努力があってこその今の状態ですから。でもきっちり細菌をやっつけずに過ごしてしまうと、感染症をぶり返してしまうことがあります。感染症の原因となった細菌が体内からいなくなるまできっちりと抗菌薬を飲ませてください。

抗菌薬はどこに発生した感染症なのかによって選択する薬が変わります。「11回なら飲ませられる」「チュアブルなら大丈夫」「甘いのが欲しい」などかなり無茶なご要望をいただくことがありますが、想定される細菌の種類によって、また年齢とか肝臓や腎臓の機能のことを考慮に入れて選んだお薬の中には、どうしても13回になってしまうお薬や、錠剤しかないもの、苦いお薬(!)になってしまうことがあります。ごめんなさい、これはどうにも変更しようがない、というお薬があることをご理解ください。「それじゃ、だめ。のませられないんだもの。無理矢理のませるなんてかわいそうだもん。薬はやらない。」なんてつれないことは言わないで!ご協力お願いします。

それから「お願いする再診日にきて欲しい」というのがあります。お薬の反応を見たいのです。だらだらと同じ薬は使いたくないのです。「その日はこれないから余分にちょうだいな」が耐性菌を発生させやすい環境を作っていることをご理解ください。

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薬剤耐性菌が増えるとこんな影響が出ます。
今からできる薬剤耐性予防6つを解説しています。




<どうして耐性菌を作ってしまってはいけないのか>

抗菌薬ができれば、必ず耐性菌ができる、これはペニシリンができたときにフレミングによって、すでに予言されていました。その通りになっています。ですが、今、新たな抗菌薬が作り出されてはいません。一つの薬をつくり出すには膨大は時間と費用がかかるのです。そこまでして創薬に成功しても企業にはあまり利益を生まないという事実もあります。それであんまり開発されなくなっています。けれどそんなことには関わらず耐性菌はできています。将来、耐性菌だらけの環境になってしまうと、抗菌薬はあっても無いに等しい状況になります。免疫力の低い子供や高齢者はその悲劇に最初に遭うことになります。

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重度の歯周病のある犬からたくさんの菌が分離されました。
耐性菌の疑いが認められました。




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各種抗菌薬で菌の感受性をみる検査です。
効果が無いことを示す左の方に多く
*マークが並んでいます。

 <悲劇を作らないようにするために>

薬剤耐性菌を作らないようにすること(正しく薬を使うこと)や、そうした菌に感染しないこと(手洗い消毒はすごくいい予防方法です)、感染したときにまわりに広めないようにすること(これは私たち獣医療を行なう者にとっての戒めでもあります)、耐性菌と戦える抗菌薬を残しておくこと(むやみやたらと新薬の処方はしません)は残念な将来にさせないために大切なことです。ご協力をお願いします。

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ジャンル : ペット

世界獣医デー

 木々の色がもえぎ色から若葉色にすっかり変わってきました。

今週はいつもより1日早く、土曜日のブログ更新です。

4月最終土曜日、今年は28日なわけですけれど、今日はWolrd Veterinary Day(世界獣医デー)です。そして付け足しになりますが、当院の35歳のお誕生日になります。

 
wvd 
World Veterinary Day(世界獣医デー)は、世界最大規模の獣医学会であるWorkd Veterinary AssociationWVA)(世界獣医学会)により2000年に創設されました。獣医師の存在や、仕事内容、そして社会に対する貢献などを知って貰うことを目的に制定された記念日です。もっと平たく言えば、

『世界中の獣医師はいろんな方面でいろんな苦労を抱えながら日々を送っているんだ。それをわかって、ありがとうを言ってもらえると明日の活力となるモチベーションがあがって、みんなもっともっと頑張れるぜ!』

というような意味合いを持っています。

毎年、特定のテーマが設定されていて、今年のテーマは「生活改善、食料の安全保障、安全性の向上させるための持続可能な開発における獣医師の役割」になっています。まどろっこしいですね。まぁ、

「農場の動物にスポットが当てられ、食糧である彼らの健康を守るのも私たちの使命ですけど、山積みされた問題がありまして、これからのこんな課題にこういう取り組みをしています」

という発表会になっています。日本の人口は減少をたどっていますが、世界の人口は増加しています。このままでは食糧難に陥ってしまうと試算されています。「安全な食糧を不足することなく供給すること」は、畜産動物を健康に保つことに基づいていますから、こうした活動に携わる獣医師の役割は大きいというわけです。

。。。というようなことを知っていただくと、「世界獣医デー」の目的は達成です。

日常、小動物の獣医療に携わっている私たちは、食糧関連のことに関わることはなく、ひたすらペットと呼ばれる動物の健康と福祉のことを考えて仕事しています。それから、もっと広いことといったら世界的な動きとしてのワンヘルスの考えに基づいた「人と動物に共通する感染症の問題」や「薬物耐性菌の問題」などにも関わっています。ワンヘルスというのは、「人と動物そして私たちの住む環境としての地球、それぞれの健康はひとつに繋がっている」という考えが基本になっています。201611月に福岡で開催された「世界獣医師会・世界医師会ンヘルスに関する国際会議」ではワンヘルスの概念に基づいて行動し、実践すると「福岡宣言」が明言されました。

「獣医さん」というと、動物の健康に携わっているだけのように思われるかもしれませんが、私たちは広く、人の健康や、地球の健康にも関わっていて、それぞれ別の分野で活躍しています。

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日本ではこの
4月最終の土曜日に「獣医さんの
日」をお祝いしたり、何かのイベントを開催したり、だれかにメッセージを出したりすることはないです。9月の秋分の日あたりに「動物愛護デー」がありますね。9月のお彼岸の週あたりの「動物愛護週間」に重ねて「動物感謝デー」としてイベントを催されることが多いです。ちょっと趣旨が違うようにも思いますが、純粋に「獣医さんの日」をお祝いするほどの予算も取れないというのは間違いなく原因の一つにあると思います。

私個人としては、この日を記念して、大動物の関係の獣医さん達や、感染症と関わっている公衆衛生関係の獣医さん達に感謝申し上げます。それからホーム病院である当院では難しい症例のときに高次病院へお願いするのですけれど、そうした先生たちにもありがとうを言わせていただきます。それからそれから、志だけは持っているけれどまだまだヒトとしても成長し切れていない子供たちに根気よく獣医学をご指導くださる大学の先生方にも厚くお礼申し上げます。


もし、あなたに今日の「獣医さんの日」を一緒にお祝いしていただけるのであれば、お肉を食べるときに彼らの努力のことを思い出して貰えるとウレシイです。それからあなたのペットといっぱい遊んでもらったり、健康観察して貰うことをお願いしたいです。そういうのが我々獣医師を喜ばせることなので。

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さて、もう一つのお祝い、当院の35周年のことですが、これまで続けてこられたのは多くの患者さんたちのおかげです。たくさんの感謝を申し上げます。


開業当初からおつきあいいただいている患者さんも、飼育する動物は
2代目から3代目のわんこに代替わりしています。時々間違って前のわんこの名前を呼んでしまったりするのに温かい眼で許してくださることにも感謝です。
患者さんも代替わりされて、「近頃、お父さんに似てこられましたよね」なんて会話することもあります。代が替わっても診察させていただけて光栄です。
新しい病院になってからの患者さん、たくさんの病院がある中、当院を選んでいただいてありがとうございます。
そして、多くのホームレスキャットたちの面倒を見てくださったり、訳ありの犬猫達の里親さんになってくださっている患者さんにも、感謝です。なかなかできることではありません。


これまでには、あまりにもいろいろなことがありすぎて、思い出すとじーんとしてきます。でも、皆さんに支えられて
35年の区切りまで参りました。これからも頑張っていきます。お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

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テーマ : 動物病院
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プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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