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学会のお話

 

「学会のためお休み」というのが多い当院の特別休診日ですが、参加した後のご報告をしていないから、疑われちゃったりしていないかな?
。。。というところで、今回は病気のお話じゃなくて、ちょっと休憩モードで学会のお話です。

 

小動物の動物病院の繁忙期は、狂犬病予防シーズンの4、5、6月。たいていの学会はこの時期を避けて開催されます。つまり、この時期以外ならいつでも、あちらこちらで開かれています。またこのシーズン中でも、勉強会は開催されています。オール全科なのが獣医さんではありますが、どの先生も興味のある分野や強化したい分野があって、卒業して何年か経つとだいたい参加傾向が決まってくるものです。もちろん引っ込み思案で学会は得意じゃ無い、という先生もおられます。ウェブ配信のセミナーも昨今できてきましたので、アクティブな私にとっても出不精モードのときには有り難いことです。


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新年度の始まりはここからです。
腫瘍学の雑誌の表紙はオシャレです。
  

さて、シーズン始まりは6月半ば、大宮で開催される「獣医麻酔外科学会」です。今年は6月の土曜日に急遽お休みにさせていただいてご迷惑をおかけしました。この学会では「獣医循環器学会」「獣医画像診断学会」「獣医内視鏡外科学会」が同時開催されます。獣医循環器学会はすでにもう100回を超える開催です。普段聴くことができない専門の先生からの教育講演を受講したり、今話題の○○病のことについて日本のトップの先生方が語り合う「僕はこうしていますよ」から「こう感じています」の話は翌日からの診療にすぐに役に立つお話です。そのほか若手の頑張っておられる先生たちが困難極まる病気の犬や猫に対して「こんな風にやってみたらうまくいきました」というような発表も伺うことができます。「それそれ、体験したことがある~、私もそうすれば良かったかもしれない~」の反省もあります。ただ単に、「すごいわぁ~、がんばってるなぁ~」なんてお口ぽかーんとしながら聴き、「いよいよ次はこんなことができるようになるのね」の最新研究情報なども入手することができます。ここは真剣に聴けば聴くほど、脳にしわが増え、重たくなりそうな学会です。


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通称「ねこ学会」
かわいい猫たちが迎えてくれます。

   

皆さんには「学会で~」と言っちゃっていますが、実は正式には学会ではなくてお勉強会というのもあります。6月最終週に開催されるのは、私たちは「ねこ学会」と言ってはいますが、「ねこの集会」というのが本当の開催名です。「猫は小さい犬なんかじゃない!」「猫には猫独特の病気がある!」「そもそも猫は猫として生まれ猫として生きているんだから!」というところを基本にして、いわゆる「猫の医学」を学ぶ集まりです。ここでは獣医師も動物看護士も隣同士の席で学びます。国際的にはISFMの組織がありますが、日本でもJSFMの組織が立ち上げられ、今年で開催が5回目になりました。


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いつも横浜で開かれる大きな学会です。
新幹線の中で予習と復習をしながら。
  

大きな学会は金曜日から土曜日、日曜日にかけて、会場も広いところででどかん!とまとめて行われるので、聴きたいセミナーが二つ三つかぶってしまうことがあります。テレビみたいに裏で録画できないわけですけれど、開催終了後、すべてのセミナーをまとめたDVDが、これまたどかん!という値段で販売されます。のべ数十時間。買ってもきっと開かなそうな気がするので「今だけ、本番!聞き漏らしませんぞ!」の気持ちで集中して学びます。

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地区ごとに出向いてくれる勉強会。
夜間が多いですが、昼間の開催はウレシイです。

  

それから以前に比べると勉強会を主催している団体も増えていまして、シリーズではありますが、毎日では無く月に1回、夜8時ころから開催されるものもあります。近くでは名古屋で開かれます。翌日が休診日ならまだしも、週半ばで診察日が3日も控えていると終了が11時、帰宅すると午前さまになるセミナーは健康上の理由で不参加になっています。


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ねこ学会のお土産。
診察中にじゃれてくれる猫さんありがとう。


学会でも勉強会でも、企業展示というのがあります。協賛してくださる企業さんのお力で、私たちの参加費も幾分かは助けられています。(それでもおサイフには冷気が吹き抜けていきますが~)休憩時間に企業さんの展示ブースをうろうろするのはお祭りのとき、縁日の屋台をのぞき込みながらそぞろ歩く感じに似ています。たとえば「麻酔外科学会」では主に高価な診断機器や麻酔後のリカバリールームになる犬舎などハイテク揃いのお店が並びます。外科器具は自分の手のひらになじむものを探したいので、直に触れることができる学会はありがたいです。書籍の販売もあります。新刊のあの本、気になっていたあの本、ぱらぱらめくって中身を確かめてから購入できます。購入しそびれてしまったあの雑誌のバックナンバーなんかもお願いすることができます。書籍は後日病院に届けていただくことになっています。重たいですものね。

一方、「猫の集会」などでは企業ブースも趣が違います。最初の休憩時間に駆け込みします。ここでは、普段手に入れることが難しい手作りの「ねこのおもちゃ」が並ぶのです。気に入ったものを選びたい!売り切れになっちゃう前に!の心理です。自分使いのねこグッズもいっしょにゲットです。「学会に行ってそれ?」っていうお土産を持ち帰ります。診察室で得意そうに猫のおもちゃをぴらぴらさせていたり、わんこのおやつが変わっていたりするときが、「アタラシモン」を仕入れてきたときです。そのほか、薬屋さんや検査関係の会社さんも参加されています。中部地区担当だった方が関東の担当になっていて、「お久しぶり~」「元気にしておられました~?」なんていう再会があるのもうれしいことです。新情報をいただいたり、お試しのフードをいただいたり、企業ブースも実りのある場所です。


 

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CATVOCATEの認定証をいただきました。
獣医師会の生涯研修の修了証や認定証と同様、
いただけるものがあると励むタイプです。

今月末も変則のお休みにさせていただいております。
明日の月曜日は診療、火曜日が休診です。すみません。

今回は大阪と東京の2つの会場で、3日連続で開催されるスペシャリストのための国際セミナーです。日程の調整が難しく、火曜日のみ受講することにしました。JAHAのセミナーは中身が濃く、通常は朝から夕方まで、3日間、合計18時間を同じテーマを学びます。90分1コマの大学の講義だと12講座分です。途中、うっぷしてしまわれる先生もちらほら見受けられるほどのハードさです。眠気覚ましの濃いコーヒーと、脳に栄養を与えるチョコレートを机の上に置いて受講です。先に送られてくる資料に目を通すつもりですが、ときには、新幹線の中で読む泥縄式予習になります。スペシャリストの先生はセミナーに関連した質問も、少々逸れているような質問でも丁寧に答えてくださいます。日々の診療で「こうしちゃいけないのかなぁ」など迷ったことをまとめて質問票に書けるように頭でまとめていきます。講師の先生は海外からお招きすることの方が多く、微妙な言い回しのこともありますが、通訳の先生が非常に上手で、わかりやすいのです。そんなこともJAHAのセミナーを気に入ってずーっと参加させてもらっている理由です。


今後ですが、8月のお休みには腎泌尿器学会があります。発足当時は各大学で持ち回り、学内で開催されていました。キリ番になる年はおしゃれな場所で開催されましたが、もっぱら都内の貸し会議室的な場所での開催で、お祭り的要素がみじんも感じられない、堅実な学会です。

8月の最終週は中部地区の学会もあります。北陸3県をふくめた中部地区8県が持ち回りで開催してい

ますが、今年は長野県での開催です。さらに9月には大きな大会、アジア小動物獣医師会連合会FASAVA-TOKYOが開かれることになっています。まとまってお休みをいただくことになると思います。これまで同様ご理解を賜わり、お休み前後の来院にご協力いただけますと幸いです。

 

 


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ねこのひげ

 猫のひげについてお話ししましょう。

 

<ねこのひげがあるところ>

猫のひげは口唇部についているものを指すのが普通です。でもよく見てみると目の上、眉毛に当たる場所にもあるし、顎の部分にもあります。毛よりも太くてピンとしています。解剖学的には被毛に比べると皮膚のより深いところから出ていて、神経につながっています。

それから、ピン!と出ているひげ、顔回り以外でも見たことがありますよね。ひげという名前にするには抵抗があるけれど、毛じゃない。そう。前足の後ろにあります。

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<ひげの機能>

触覚としての機能がひげにはあります。ひげは筋肉や神経につながっていて、「触って感じる」レセプターの働きがあります。触れた、という感覚はそのま脳に信号が送られるわけです。私たちの皮膚のような存在です。

ひげの触覚としてのセンサーはとても敏感です。空気の動きもキャッチします。これは周囲の状況を知るのにとても役に立ちます。優秀なハンターとしての重要なアイテム、というわけです。

よく知られているのは「猫が狭いところを通れるかどうか、体を通す前に判断する役目がある」というところです。ひげの長さは体の幅と同じくらいだということです。立派な体格をした猫には立派なひげがあります。大量を崩したり、高齢になってきた猫はちょっと残念な長さ(や太さ、そして密度)のひげになっています。健康を図るためのバロメーターとしてみることもあるくらいです。

自然に抜け落ちることもありますが、また生えてきますし、成長もします。

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<感情を表すひげ>

ひげは猫の気持ちを表現する部位でもあります。猫が休んでいるときにはひげは動きません。興奮しているときは顔の前の方に向いてきます。顔に対して平行、もしくはやや後ろの方になっているときは、緊張や恐怖の兆候で、場合によっては攻撃を始める前になるかもしれません。

 

<ひげを切ってはいけない>

猫のひげはバランス感覚を取るのに必要です。決して切ってはいけません。本当は触れるだけでも痛いと感じているのかもしれません。

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<ウィスカーストレス>

猫のひげはとても敏感です。食べ物を食べるとき、水を飲むとき、「ひげが食器に当たるのを嫌う」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。食器にひげが触れるのを不快に思うようです。ウィスカーストレスと呼んでいます。猫は水食器も食事用の食器も、浅くて幅の広いものが好みのようです。

 

今回はちょっとライトに、猫のひげのお話でした。

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エリザベスカラーに替わる物

エリザベスカラーのお話、続きです。嫌われ者、エリカラーですが、「どうしても着けなきゃいけない状況、待ったなし、それでもエリカラは避けたい!」そういうときのエリカラに替わる物のお話しです。

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先週に続き再掲載。

エリザベスカラーに代わるもの

 プラスチック製のエリザベスカラー、かたいのが特徴でそれが仕事をしてくれるわけですが、やっぱり不便な面もあります。例えば首近くの皮膚の通気性が悪いため、湿疹が起こりやすいのです。エリカラーに代わる製品が現在たくさんあります。ご紹介します。箇条書きです。

1、ソフトカラー

 エリザベスカラーのように、ペットの首周りにフィットします。不織布の素材で作られているものが多いです。利点はカラーより軟らかい素材なので、快適かもしれないこと。欠点は適切に装着されていない場合、体を回転させ、傷を舐めることができてしまうこと。透明ではないので視界は悪いですが、軽いです。カラーよりも高価です。

2、ネックピロー(ドーナツ)

 大きなクッション入りのカラー、飛行機内でよく使われる首枕のかたちです。頚部の椎間板疾患の犬で、頚部の固定の意味で使うことがあります。とてもいい感じです。(本来のカラーの意味とは違いますが。)利点は軽いこと。容積はありますが、中身は空気です。ペットにとっては快適になるだろうと思われます。周辺の視野は良好です。ぶつかりにくいでしょう。顔周りの通気性も良好です。首回りだけ皮膚炎に気をつける必要があります。ネックピローを枕代わりに安眠できる犬もいます。欠点は身体が軟らかく向きを変えるのを上手な犬では口が届いてしまい、それを防ぐためにリングの直径を大きく取らなければならないこと。そうすると大型犬の場合は横になるのが難しいかもしれません。カラーよりも高価です。

3、花びらカラー

 布製で、ある程度頑丈ですが折りたたみも可能です。利点は見栄えがいいこと。すごくかわいい。ライオンやカエルに変身させられます。欠点は重たいものがあること。布をいくつも重ねてありますから。それから壊れやすい製品もあります。円周の長さが異なるため、こまめに調製しないと傷に届いてしまうこともあります。カラーよりも高価です。ただ、実用性に劣り、不満に思う飼い主さんが多く出ました。

 4、術後服のこと

手術部位や創傷を保護するために市販の術後服を購入される飼い主さんももいらっしゃいます。
私たちは術部からの出血を抑えるため、またはそれを心配する場合、ときに動物が舐めるのを避けるためにお腹を伸縮性のネットで巻いています。これは柔軟な包帯材料で作られています。傷保護に焦点を置いてカスタマイズされた製品で見栄えはよくありませんが、安価で、汚れたり擦れたりした場合の交換が可能です。
市販の術後服は手術部位の周りの湿度を高めてしまう可能性があります。高価です。
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もっと詳しいエリカラーのお話、掲示板そばに置きました。

自家製のカラー(レッツDIY!)

犬や猫の首につけるカラーは基本が円錐形です。これは複雑な形状ではないので、手づくりを試みることもできます。休診日に突然必要性を感じたときに有用です。エリザベスカラーを作成する方法はいくつかありますが、最も簡単で効果的な方法のいくつかを以下ご紹介します。

DIY1:バケツカラー

古来から紹介されている方法です。今はどうかな?というのはありますが、これ、1の1だよな、って思うのではじめにご紹介します。基本的には、バケツの底に穴を開けてから犬の頭の上にスライドさせるだけです。犬の首輪に底を開けたバケツを接続し、所定の位置にそれを保つために、バケツの底近くの側面にいくつかの小さな穴を開け、首輪とバケツを丈夫な紐などでくくりつけます。けがを防ぐために、犬に装着する前に、ざらざらした縁を研磨するようにしてください。大きい犬向けです。

DIY2:カップ麺カラー

バケツカラーと同じように、猫や小型犬にはカップ麺の容器で代用できます。(どん○えカラー、とか呼んでいます。)見栄えに問題は残ります。急場しのぎなのでがまんして。

DIY3:段ボールのエリカラー

最終的な出来栄えがよくないかもしれませんが、段ボール紙をエリザベスカラーの形に作ることができます。段ボールのカラーは硬いプラスチック製のコーンではないので、長持ちはしませんが、必要な材料はすべて手に入れ易い物なので緊急時には重宝します。円形から一部分をカットし、円錐形にします。首回りの太さに応じて中央をくりぬきます。重たいですね。

DIY4:紙皿のエリカラー

段ボールの代わりに円形の紙皿の中央に首に回すための穴を開け、紙皿を閉じると、簡易型のエリザベスカラーができます。小型犬と猫向けです。くりぬいた中心部の端近くに小さな穴をいくつかあけて、この穴を利用して紐で首輪につなげます。もしくは列状に開けた穴にソフトなリボンを通し、これ自体を首の太さに合わせて引き締めて固定することも可能です。

DIY5:タオルカラー

古いタオルを首に巻き付けるだけで、ドーナツカラーを再現させることができます。犬の大きさに応じて二~三度度タオルを折りたたみ、首にタオルを巻きつけます。それからタオルを固定するために上からベルトを使用すれば完了です。タオルの襟はバイトノットカラーとよく似た働きをします。主に身体の後ろ半分を噛むのを防ぐことができます。これはほとんどの犬にとってもかなり快適です。結構お勧め。
これを段ボールで作ることもあります。大きい犬向け。

DIY6:防護服(術後服とまでは言ってあげられないけど)

犬が傷やかゆみのある肌を舐めたり噛んだりするのを防ぐ方法はエリザベスカラーだけではありません。身体を保護するために防護服を使用することもできます。古いTシャツを着せたり、パンツを履かせたりするのも簡単で有効な方法です。服のサイズが体型とすぐには合わないと思います。マジックテープなどを利用してください。とてもクリエイティブな作業です。お裁縫が大好きな方だったら、ぜひぜひ。とにかく、出ている部分を隠すのが第一目的です。残念ながら、着せた服を噛んでしまうとか上手に脱いでしまうというときには有効ではありません。
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手作りも出来ます。


 どうしてもカラーがだめな犬

どうしてもカラーがだめ、という犬が(猫も)います。とてもシャイな子たちです。そういう臆病な犬にありがちなのが、カラーの認識不足です。「どんな物だかわからないので仲良くできません!おかぁしゃん、ぼく、こわいです!」というもの。それはいきなり装着されて戸惑っている行動なのかもしれません。まずはカラーを置いて、くんくん、犬に観察させてあげてください。そしておやつを与えます。さらに装着して、穏やかにしていられれば褒めてください。そしておやつです。ちょっと着けて外す。また着けてみるを繰り返し、教えてあげます。このタイプの犬に大声を上げて叱るのは逆効果です。(そんなことする飼い主さんはいないと思いますけどね。)ナイーブな犬には、少しずつ穏やかに説得させる、そしてこの状況になれて静かにするのを待つことが成功の秘訣です。

カラーがだめだった猫

他院で装着したカラーがだめで、全く動けなくなっていた猫がいましたが、古いレントゲンフィルム(少し透けて見える部分もあるもの)でDIYして着けてあげました。軽さか透け感かわかりませんが、お気に召してくれたことがあります。クリアファイルでも一時しのぎになるかもしれないことを教えてくれました。

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よくあるご質問。どうしてもだめです、と、食事が出来るの?

 エリカラーを第一選択でお願いしていますけど、確かにいます。「いやだっ!」という犬やカチコチに固まってしまう猫。その子たちもじゃぁ、何もしなくて傷をオイタしないかというと、やっぱり舐め舐め、カジカジしてしまいます。そういうときの別の選択肢についてお話ししました。

どの子もカラーのお世話にならないような日常であればいいのにね。カラーのお話はおしまいです。書くきっかけを与えてくれた沢山の「外しちゃったんですか!」事件のわんこさん、にゃんこさん!あのときはどーも、でした。今はどうもありがとう、です。

 

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エリザベスカラーのこと

今日お話しするのはエリザベスカラーのことです。
エリザベスカラーはどちらかというと嫌われ者です。「つけなきゃだめですよね。そうですよね~。」とがっかり感のにじみ出たお声で同意していただけるのは良い方です。明らかな否定や拒否もあります。日常生活に不自由をもたらすエリザベスカラーですが、どうしてもお願いしなければならない場合があります。ご理解とご協力をお願いします。それは愛犬愛猫のためですから。
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今月の掲示板です。

<犬の特性、猫の習性>
犬も猫も、傷があると、どうやら自分の口でそれを確認してみたいようです。ずいぶん前になりますが「動物は傷をなめて治す」なんて言われていたこともあります。小さな傷の中の異物を噛んで唾と一緒に吐き出すのならともかく、推奨される傷の治し方ではありません。これは現在、誰にも認知されている情報だと思います。

犬も猫も、舐めて傷を大きくし、治りにくい状態に変えてしまいます。術後の縫合糸などは囓られると簡単に切れてしまいます。それは非常に深刻な状態を招きます。このようなことが起こってから対処するのではなく、発生しないようにする防護策がエリザベスカラーの装着です。

犬も猫も嫌がることがあります。グルーミングや爪切り、それから歯みがきや耳掃除などもその一つでしょう。しかし、動物が嫌っても、これらのことが必要であるとみなさんご存知なのでなだめて、慣れるように躾けています。エリザベスカラーも同じです。動物の状態を早く回復させるために必要な処置です。動物の動きから不快だろうと察知してカラーを取り外すのではなく、カラーの役割をご理解いただき、治療に参加していただけるとうれしいです。

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エリカラーにご理解とご協力をお願いします。

<エリザベスカラーの歴史>

私たちが開業した約40年前には、既製のカラーはありませんでした。私たちは患者さんのためにX線フィルムや段ボール紙などに粘着テープで首回りにクッションを巻き付けてカラーを手作りしていました。認知度も低く、飼い主さんたちからは今以上に不評でしたし、当時だれも見たことのないカラーを付けていることに奇異の目で見られることもありました。

 その後犬も猫も家庭における立場が向上してきました。裏庭に繋がれていた犬も表に繋がれることになり、やがて玄関口から屋内に、そして寝るときには飼い主さんの寝室へと移行し始めたときには、ペットの快適さのためにより多くの製品が出回ることになりました。

 カラーが一般的になりつつあるのと同じように、外科的処置も進歩しました。より安全な手術、生体に低侵襲な機械を使っての手術、これまで手を付けられなかった部位にもメスが入れられるようになりました。

創傷に対するケアはペットがより早く治癒するのを助けます。カラーによって、治癒時間が短縮されるのです。このようなことを高く評価してくださった飼い主さんが中心になって、カラーの短期間の不便さを受け入れてくれるようになりました。
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きらわれもんのエリカラーですが。。。

<エリザベスカラーの特徴>

エリザベスカラーは動物が生活する基本的な部分には邪魔にならないようには設計されています。口が背中やお尻周り、お腹などに届かないように作られています。また、後ろ足で顔周りを掻いても、耳や頬、口周りに足が届かないようになっています。このような場所を守るのに最適な道具です。

身体の保護を目的にしているため、基本的には折れ曲がらない材質、硬くて丈夫なプラスチック製です。しかし、カラーの縁をうまく傷口にあててこすることを覚えてしまう動物もいます。大きさのため、またカラーの不透明性のために物にぶつかったり、物を倒したりすることもあります。器用に使いこなせないと、食器も転がして、フードをばらまいたり、近くを水浸しにしてしまうかもしれません。カラーが飼い主さんに嫌われることの一つはカラーを付けた犬が闘牛のように荒くれ者に変化してしまうことにもあるのかもしれません。

 いつでもファーストチョイスとしてエリザベスカラーを勧めます。エリザベスカラーはしっかり仕事をしてくれると信じているから、そして安価だからです。一時的な使用だと考えられる場合は貸し出し用のカラーも用意してあるからです。でも、「どうしても好きになれない」というとき、代替えの商品もあります。
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いつものエリカラーじゃないやつもあります。

<エリザベスカラーが必要な場合>

カラーは非常に重要な道具ですが、動物が傷を負うたびに必ず付けなければいけないというようなものでもありません。たいていの犬はカラーが好きではないし、飼い主さんも時と場所を選んで使いたいと思うでしょう。でも次のような場合は、観念してください。「着けなければいけない!」ときです。

1、大きな傷からの回復途中にあるとき

外科的切開(手術)を受けた後、またそれに近い大きな傷を持っているとき。動物が傷を舐めて治癒を長引かせるのを防ぐため、エリザベスカラーは必需品です。避妊手術後、去勢手術後はほぼ装着があると思ってください。

2、同じ場所を絶えず舐め続けているとき

  同じ部位を舐めるまたは噛むという行為を繰り返していると、その場所は炎症を起こします。炎症によって発生するサイトカインや遊走してくる細胞のために肉芽腫を形成するかもしれません。そしてそれがさらに舐める行為を誘発することにつながっていきます。舐めるという行動自体を抑制する治療とともに、局所を保護し二次的な炎症を抑えると痒み物質が出るのも抑えられます。

皮膚炎が先か、問題行動が先か、両方の治療をしていくわけですが、エリザベスカラーはこの治療の補助になってくれます。さらに問題部位が広がるのを防ぐため、また問題の解決を進めるためにエリザベスカラーが必要です。

3、アレルギーなどの皮膚疾患があるとき

エリザベスカラーは、アレルギーをはじめとした痒みの出る皮膚疾患を抱えている動物が、絶えず舐めたり、皮膚を傷つけたりするのを防ぐのに役立ちます。痒みの出る皮膚炎に対して根本的に対処することは重要ですが、痒みの問題解決に取り組んでいる間、エリザベスカラーは補助的に大変役に立ちます。

4、目や耳など頭部に病気があるとき

舐めたり噛んだりするのを防ぐことのほか、頭部を足で掻いて悪化させる心配があるときにもエリザベスカラーは使われます。足の攻撃から病気部位を守ります。
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エリカラは働き者なんです。

長くなりました。「必要だからお願いしますっ!」「ご理解よろしくっ!」で済まない問題であることもわかっています。来週はエリザベスカラーに替わるものについてお話しします。 

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猫の健康に関するお願い

 2月22日今年の「猫の日」が終わってしまいましたが、今週火曜日は「ワールドスペイデー」。スペイは避妊手術のことです。今日は外猫の集団管理と家庭猫の個別管理について、思うところをお話しし、沢山の「お願いごと」もこの機会にちゃっかり書いてしまいます!

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<外猫さんの不妊手術>

当院では外猫の集団管理としての繁殖抑制を目的とした「外猫不妊手術」を行なっております。「どうぶつ基金」さんが行なっている「さくらねこ活動」にも協力しています。これは生まれてもすぐに生涯を閉じなければならないような不幸な子猫ができることを無くす一つの手段でもあります。最も正しい方法が何なのかはまだわかりません。外猫の不妊手術は一般の飼育猫が受ける不妊手術と同じですが、依頼される団体さんや個人の方のボランティア活動に敬意を払って、負担が軽くなればとの思いから手術料金を一般の猫よりも低額に設定しております。(どうぶつ基金さんのチケットをお持ちの方はまた違います。)
外を自由に飛び回っている猫たちのことですから、ノミなどの外部寄生虫を持っていることがあり、お預かりしているとき院内でノミを飛ばされては困りますので、外部寄生虫駆除は必ずお願いしていますが、それ以上の猫にとって有益な獣医学的な介入はしていません。(手術にまつわる抗菌薬の投与は、たまたま外傷を伴っていた場合には有効に働くでしょう。)

猫白血病や猫免疫不全ウィルスの感染症検査と、3種混合ワクチン接種は、ご依頼があった場合にお受けしています。ご依頼を受けるのは、今後、飼育ボランティアさんが人慣れさせ、譲渡会を通して家庭猫になる候補生として成長させていく猫なのだろうと思います。

「餌やりさん」とお呼びしていますが、公園などで定期的に食事やトイレなどを管理してくださっているボランティアさんもおられます。一部の猫は手術後同じ場所に戻り、ボランティアさんにより手厚く面倒を見てもらえる猫たちです。しかし外で暮らす猫たちの生涯はあまり長くなく、およそ5年程度と言われています。それはいろいろな感染症にかかってしまうことにも原因はあるかもしれません。この猫たちに集団予防としてのワクチン接種は望ましいことかもしれませんが、それが出来るほど余裕のあるボランティアさんはなかなかおられないだろうと思います。一度でもワクチン接種をしておけば感染の機会が減らせるのかもしれませんが、現実的には難しそうです。

それから、この後会うことはほぼないだろうと思われる猫たちもいます。そんな猫も含めて、このあと元気に生きていけるといいなぁと思ってお別れします。

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<新しい家族を迎える>

一方、手術をしてお別れするのでなく、外猫を保護して新たに飼育くださる方もいらっしゃいます。たくさんいらっしゃいます。子猫はある程度生育すると、お母さん猫が「もうこれ以上あなたの面倒は見ませんよ、元気に独り立ちしてちょうだいね」ということで居なくなって、はぐれてしまうことがあります。自宅または勤務先近くで出会ったこうした猫を、縁あって家族として迎え入れてくださるケースは、とても有り難いことです。まだ独立するには忍びない月齢の猫もいますから。

中には散歩中の犬が気に入って連れてきたという猫や、散歩に出る先住猫がパートナーを呼んで来たということもあります。彼らの感性に響いた友達だったのでしょう。飼育している家族が気に入って紹介してくれた友達を新しい家族として迎え入れてやらない理由は見当たらないですよね。迎え入れていただけて有り難いこと、この上ありません。そして、友達を連れてきてくれた犬や猫さん、グッジョブ!です。君たちにもありがとう。

そのほか、成猫になってからでも家族にしてもらえることがあります。事故などで公共の場所に伏していた猫を温かく保護してくださり、健康回復後も面倒を見てくださることになったというような場合です。重ね重ね有り難いことです。

虐待を見て、思わず「うちの娘になるんだ!」とばかりにお姫様を奪ってきてくれた方もおられます。

新たなご縁のために譲渡会に出かけてくださる方も、ペットショップで電撃的な出会いを果たした方もいらっしゃいます。

こんな感じで、猫との出会いは非常にバラエティ豊かですが、どの猫たちもすてきなご縁のおかげで「家庭猫」としての地位を得ることができ、この後、「家庭猫」として新たな人生を歩み始めることができます。それは少しばかりの自由と引き換えに、個体としての健康管理を受ける権利を手にしたということにもなると思います。

家庭猫の健康管理についてはいつもお伝えしている通りです。

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<病気の予防は不妊手術代に勝る!>

さて、多くの動物病院と同じように、当院でも個人の方の不妊手術依頼は日常的によくあることです。冒頭にお話ししましたボランティアさんによる不妊手術は100%が外猫になります。が、ときに、個人の方の依頼の中で外猫といいつつも飼育猫であることがあります。「飼っている猫」か「のらの猫」なのかは自己申告です。やけに人になついている外猫さんだと思いながらも申告通りに割引料金で手術をさせていただいております。でも、もし個人飼育の猫であれば、そのままお別れになってしまう猫ではないので。健康管理のために飼育のことや一次予防としてのワクチン接種のお話しなどさせていただき、猫を病気から守ってやりたいです。このあとお別れして、一生会わない猫になるわけではないので。
個人の不妊手術依頼の場合も、できれば「手術だけおねがいします」じゃなく、「猫を健康に飼うためのお話し」なんかをさせてもらえるとうれしいです。「初めて猫を飼うわけじゃない、もう先住猫もいて、長いこと猫を飼っているわよ」なんて場合でも、「あのね、あのね」でもう一度ワクチンなどのお話しをさせてもらえると「えっ!イマドキはそういう風に変わっていたの?」なんてこともあるかもしれないので、情報のアップデートに少しお時間を割いてもらえるとうれしいです。

さて、不妊手術は生涯に一度だけ行なう手術ですからそれは少しでもお安いところで済ませたいと思われるのも間違いありません。けれど、もし、病気予防のことを知らないで、「外猫」「もう会うことのない猫」として来院されてしまいますと、残念な結果になってしまうこともあります。病気予防についてお知らせするチャンスがないからです。不妊手術で割引になる価格は一時的なことにすぎず、ワクチン接種の必要性やそのほかの病気予防措置を知る機会がなく病気になってしまったときに、知っていれば発生しなかった診断や治療の料金が不妊手術の差額を超えて発生してしまう可能性があるからです。これでは猫も残念ですが、ご家族のお財布にも残念な結果になってしまいます。例えば、ワクチン接種をせずに上部気道感染症にかかってしまったときの治療費用は完治するまでの合算で、猫の一生の半分から1/3分のワクチン代になってしまいます。(ワクチンってコストパフォーマンスがものすごくいいのです!)それから下部泌尿器疾患のうち、ストルバイト結石による完全尿道閉塞は食事だけで済む予防法です。これを知らずに内科的な、ときには外科的な治療が必要になるのですが、この場合は一生分のフード代でも足りないだろうと思います。(なんて無駄なことを!そしてなんて悲しいことでしょうか!)
例に挙げた病気は、対岸の火事のように思うかもしれませんが、普通に診察していてよく見られる疾患です。飼育してくださる方が知らないから猫が病気になってしまうという不幸なことは、避けなければいけません。


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<お願い>

今後出会うことがない猫であれば仕方がありませんが、もし、手術のときは「のらの猫」だったけれど、その後「うちの猫」として迎え入れることにした、ということであれば、前回手術の差額についてお支払いをお願いすることはありませんので、お申し出いただけたらと思います。今度は家庭猫の健康を守ることについて、予防すればかからない病気のことについて、病気になる前にお話しさせていただきたいと思います。

そして病院で手術をされてからも、手術だけでおしまいになる関係にならない、継続して猫の健康のことを気づかう飼い主さんであって欲しいと思います。動物病院ではいろいろなときに猫の健康管理に関する情報を発信しています。今はネットでもそうした情報は受け取れますが、本当に正しいことでしょうか。そして「うちの飼い方」「うちの猫」にフォーカスできる細かくて適切なアドバイスをもらえるのは密な関係を築けた飼い主さんと動物病院の関係があるからです。何か心配していることで来院しても、別件の「これって普通?」が軽く相談できることが大切だと思います。その一つがキャットフードを動物病院で購入することなのかもしれません。ネットで購入するよりも不便と不評ですが、プラスアルファの何かを見つけ出せるのも、飼い主さん次第だと思います。

とにかく、予防できるのに予防してもらえずに病気なってしまう不幸な猫を作らないようにしてほしいです。お願いします。
とらねこ


重ねてお願い。猫の診療は猫のことをわかっていらっしゃる方にご来院いただくか、もし出来ない場合も、メモやお手紙、写真や動画などで心配していることを具体的にお知らせいただける状況でお連れください。(これが主訴や稟告をお伺いするということになります。)出来ればこちらからのご質問にお答えいただけるご準備も取っていただけると診療の大きな手助けとなります。(これが問診にお答えいただくということになります。)また来院されていない猫の診察は出来ません。(これが身体検査に相当します。)この3つの段階があって診察になります。よろしくお願いします。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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