尿検査とその結果の見方

 今日は尿検査についてお話しします。

もう、ずーっと健康診断がらみのお話しばっかり続けております。尿検査を受ける方は少ないかもしれませんが、これでなかなか、いろいろなことが分かるので、腎臓病関連で心配される方は、いえ、そうではない方もぜひ受けていただきたい検査です。

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オシッコのもとは血液。腎臓で血液から尿ができます。

<尿のもとは血液です>

心臓から送り出された血液は、全身を巡りながら酸素や栄養素を各組織に運び、そこから二酸化炭素や老廃物を受け取り、各臓器で処理され再び心臓に戻ってきます。腎臓では血液を濾過し、身体に不要なものを尿として排泄していきます。

 

<尿が作られます>

血液を濾過しているのは腎臓の「糸球体」です。名前の通り、毛糸玉のように細い血管がぐるぐる巻き付いた球形のところが糸球体です。血液を濾過するフィルターになっていて、ここを血液が通過するときに「原尿」と呼ばれる尿の大元が漉されて出てきます。糸球体はネフロン1つに1つあります。ネフロンは30万個から40万個が腎臓に備わっています。糸球体からは「尿細管」がつながっています。こちらも名前の通り細い管状の構造物です。全部が漉しとられた原尿から、もう一度からだに必要なものを尿細管が選び出して体内に再吸収される仕組みになっています。そして最終的に「尿」ができ、尿は尿細管から集合管を経て腎盂(じんう)に集まり尿管から膀胱へと出て行きます。膀胱である程度尿がためられると「尿意」をもよおして排尿することになります。

 

<尿からのサイン>

尿中のほとんどの成分は血液に由来しています。尿の変化は身体の状態を反映しています。尿の成分だけでなく、尿量そのものも身体の変化に対応して増えたり減ったりしています。腎臓に傷害があり、急な腎機能低下が起こると、尿がほとんど作られなくなる「乏尿」や全く作られない「無尿」ということになることもあります。糖尿病や腎臓のホルモン異常があると「多尿」になります。猫によく見られる慢性腎臓病では尿の濃さが低い尿を大量に出す「多尿」になることがよく知られています。腎臓のネフロンはフィルターの役割をする「糸球体」の部分と、再吸収を行う「尿細管」の2つの機能の構造体からできています。単に腎臓が悪いといっても、そのどちらの方の機能が悪くなっているのかは尿検査を通しておおよその見当がついてきます。

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自然尿を採取して持ってきてくださる時は
新鮮なものをお願いします。


<尿を採る>

採尿にはいくつかの方法があります。それによって検査結果に影響を与えることがあります。採尿方法も検査結果を判断する材料になります。また検査目的によっては好ましくない採取方法もあります。健康診断のためのスクリーニング検査でしたら、自然採取尿で十分です。

・自然採尿:普通に排泄された尿を紙コップなどでキャッチします。

・カテーテル採尿:尿道口から膀胱へ管を通してポンプで尿を吸引します。

・穿刺採尿:超音波検査をしながら膀胱に針を刺し、ポンプで吸引します。

*自然尿の場合は、ご家庭で排尿時に尿キャッチして持ってきてもらいます。未使用の紙コップやトレーで受けてください。それから試験管に移し替え、しっかりと栓をしてください。時間の経過とともに結果が左右されますから、できれば30分以内のうちに病院に持ち込んでください。それ以上時間が経ってしまうときは冷蔵庫で保存して24時間以内に持ってきてください。

*病院では穿刺尿を用いて検査することが多いです。尿道に閉塞がないかを知るためにカテーテルを通して採尿することもあります。病院に連れて来られたときに膀胱内に尿が貯留していないと採尿ができません。後日あらためて尿検査に来てもらうこともあります。

 

<尿検査の手順>

尿検査といっても一連の検査をすべて実施するのに、いろいろな行程があります。

最初に色調や濁りなどを肉眼的に観察します。ニオイも判断材料です。それから尿試験紙(ウロスティック)を尿に浸して化学的な性状を調べます。尿比重はスティック検査にも含まれていますが、正確ではないため、比重計で特別に調べます。尿をスピッツに入れて遠心分離したあと、沈殿物(尿沈渣)をスライドに載せて、そのまま、そして染色したものの2つを作成し、顕微鏡で観察します。

 

<肉眼的な観察>

尿の外観、色と濁りを目で見て判断します。ミネラル成分が出てきたり、膀胱炎があって尿中に細胞成分や細菌が出現しているときは尿が濁ってきます。血液が混じるなどすると尿の色が変わります。

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いわゆるスティック検査は尿の化学的検査です。
 

<化学的な尿性状の検査>

試験紙の種類にもよりますが、尿性状の検査では尿pHとタンパク、糖、ケトン体、潜血、ビリルビン、ウロビリノーゲンなどの尿中濃度を調べることができます。大まかな段階で表示されます。決まった数値は出されません。

①尿pH

 5から9までの5段階で評価されます。機械を通すと中間点を0.5刻みで表示します。

正常では5.5から7.5くらいです。

食事の内容に大きく影響を受けます。pH7.0が中性で、それよりも低いのは酸性尿、高いのはアルカリ尿になります。ウレアーゼ産生菌に感染した場合はアルカリ尿になります。アルカリ尿ではストルバイト結石を形成しやすくなります。酸性尿ではアシドーシスがあるかもしれません。

②タンパク

 (-)から(+-)、(+)~(4+)まで6段階で評価されます。

正常では(-)から(+)の3段階までで、数値で概算すると30mg/dl以下に相当します。

濃縮された尿では尿路から分泌される蛋白成分が(+)くらいは検出される可能性があります。尿路の感染や出血、精子の混入で簡単に(+)になります。

尿比重が低いのにタンパクが出ているのは腎疾患が心配になります。比重や沈渣とともに評価します。多くのタンパクが出現している場合には、タンパククレアチニン比(UPC)を追加検査します。腎機能をさらに詳しくみることができます。

③糖

 (-)から(+-)、(+)~(4+)まで6段階で評価されます。

正常では(-)です。糖尿病のように高血糖状態が持続している(犬で180mg/dl以上、猫で250mg/dl以上)と、尿細管で行われる糖の再吸収の能力を超えてしまい、尿糖は(+)になります。

高血糖ではないのに尿糖だけ(+)に出る場合があります。腎臓の再吸収能の異常で、ファンコニー症候群が疑われます。血糖値とともに評価します。

④ケトン体

 (-)から(+-)、(+)~(4+)まで6段階で評価されます。

 正常では(-)です。

 絶食や糖尿病のときにグルコースの利用ができず、体脂肪が分解され、肝臓でケトン体を作っていると尿中にケトン体が出現します。

 糖尿病性ケトアシドーシスのときなどに見られます。

⑤潜血

 (-)から(+-)、(+)~(3+)までの5段階で評価されます。

正常では(-)です。

膀胱炎や腫瘍などで尿路に出血があると赤血球に反応し(+)になります。

尿中のヘモグロビンやミオグロビンも検出します。身体の中で溶血が起こり、ヘモグロビン尿になっても(+)になりますし、筋肉の損傷があってミオグロビン尿になっても(+)になります。

赤血球のために潜血(+)なのか溶血のために(+)になっているのかの判断は尿沈渣で確認する必要があります。

⑥ビリルビン

 (-)から(4+)までの5段階で評価されます。(+-)はありません。

正常では(-)です。

 血中のビリルビン濃度が高いと尿中にもビリルビンが排泄されます。黄疸の指標になります。高いのは肝胆道系の病気が疑われます。

 犬の場合、濃縮尿では正常でもビリルビンは尿から排泄されます。濃い尿での(+)は心配がありません。

 猫では尿の濃さに関係なく(+)は異常です。

⑦ウロビリノーゲン

 (-)から(4+)までの5段階で評価されます。(+-)はありません。

 臨床的な意味は少ないといわれています。

 

<尿比重の検査>

 水を1としたときの尿の重量比が尿比重です。動物の水和状態によって数値は変動します。1回だけの評価では正確ではないため、日をあらため、繰り返し2回から3回くらい測定します。

 夜間はあまり水を飲まないため、朝一番の尿で尿比重を測定し、腎臓の尿濃縮能を評価するのがもっとも良い測定になると思います。

 ふつう犬は(1.0151.045)の間になり、猫では(1.015~1.060)の間になります。

 腎機能が正常に働いていると、濃縮された尿は犬で1.030以上、猫で1.035以上になります。

 1.007よりも低いのは低張尿で、ごく薄い濃度です。

1.008~1.012の間にあるものは等張尿で、腎臓は尿を濃くすることも薄くすることもできないと判断されます。

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尿沈渣は顕微鏡で観察します。
 

<尿沈渣の検査>

尿を高速で回転させると、上澄みと沈殿物とに分かれます。沈殿物を顕微鏡で観察するのが尿沈渣の検査です。尿沈渣では細胞成分、結晶成分、尿円柱、微生物、その他が観察されます。

①細胞成分

 赤血球や白血球、上皮細胞を観察します。正常では赤血球はほとんど観察されませんし、白血球の存在は炎症が疑われます。細胞成分の種類や量によって異常のある部位や原因を推定することができます。

②結晶成分

 それぞれの結晶はその形態から判断ができます。結石としてはストルバイトやシュウ酸カルシウムがほとんどを占めるのですが、結晶のできそこないともいえるリン酸塩や尿酸塩も多く見られます。

 特定の病気の時に出現する結晶もあります。肝疾患では尿酸アンモニウム結晶、高ビリルビン血症ではビリルビン結晶などです。

③尿円柱

 尿円柱は尿細管の中で円筒形に作られます。タンパクと細胞成分からできています。腎臓病では多くの尿円柱が出現してきます。正常でもみられるものから腎障害があると出てくるものなどさまざまです。

④微生物

 細菌や真菌、寄生虫を観察することがあります。

 細菌は形状から球菌なのか桿菌なのか判断します。尿路の感染を意味するものなので、培養検査、抗菌薬の感受性検査など追加検査を行うことが多いです。

⑤そのほかの成分

 油滴や精子のほかトイレ砂や花粉なども混じって見えることがあります。これらは生理的なものです。

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直接見たものです。
ストルバイトの結晶が見られます。
バックに写っている小さな点々は赤血球です。



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染めた標本です。
細菌がいるのが分かります。


<おわりに>

健康診断のスクリーニング検査であれば、尿検査は外観検査、スティック検査、比重の検査だけでも十分で、それだけでも欲しい情報は得られます。そうなると自然尿を用いた検査で可能ですから、動物は痛くも痒くも無く検査を受けられます。犬では散歩で排尿をするならば紙コップ持参で出かければ採取できますし、猫の場合もトイレ砂を非吸収性のものにして受け皿にペットシーツを敷かなければ採尿できます。飼い主さんの少しの工夫と、やる気さえあれば、動物は病院での採尿の苦痛を受けずに尿検査だけ受けることが可能です。

一度採尿に挑戦してみてはいかがでしょうか。詳しくはスタッフがお伝えします。

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検査結果の見方

 検査結果の見方についてお話しします。

 

この春は健康診断について集中的にお話ししてきました。幼少期の犬猫でも遺伝性疾患を知る機会になること、青年期から中年期は生活習慣を見直す機会になること、高齢期から老齢期は慢性疾患を早く知り早期に治療に入ることができることなどから、健康診断はすべての年齢の犬猫たちの健康を守るのに必要なことだと思います。

 

で、受けていただいた検査からどのようなことを知ることができるのかをお伝えします。検査結果の付票にも記してありますが、箇条書きではわかりにくい点もあるかもしれないので、あらためて記述です。

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簡単な検査は赤血球や白血球、血小板の
数をカウントするだけですが、
さらにくわしく見ていくこともあります。

 <血球の検査>

血液細胞には赤血球、白血球、血小板があります。

貧血や炎症、感染などの有無を知ることができます。

①赤血球の検査

・赤血球の数(RBC

・ヘモグロビン濃度(Hb

・ヘマトクリット(Ht、HCT

・平均赤血球容積(MCV) 

・平均赤血球ヘモグロビン量(MCH

・平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC

・網状赤血球数(RET

*これらは貧血や赤血球増加症などを示す指標になるものです。

*高いとき:脱水、心臓の病気、赤血球増加症などの病気が疑われます。

*低いとき:貧血です。しかしこの検査から貧血の原因を探ることはできません。

*網赤血球は未成熟の赤血球で、高ければ骨髄で再生していることを示します。

②白血球の検査

・白血球数(WBC

*白血球は炎症性疾患などを示す指標になるものです。炎症や感染などで増減します。白血球はさらに5つの分類があります。血液を薄くのばして染色したスライドを作成します。そしてそのスライドを顕微鏡で観察すると、白血球を観察することができます。5種類のうちのどの白血球が増えて(減って)いるのかを知ることができるわけです。

*好中球(Neu)は運動やストレス、炎症で増加します。コルチコステロイドなどの薬の影響でも増加します。ウィルス感染や激しい細菌感染では減少します。

*リンパ球(Lym)は慢性炎症や白血病の時に増加し、ストレスで低値に出ます。

*好酸球(Eos)はアレルギーや寄生虫、腫瘍のときに高値になります。

*単球(Mon)は慢性炎症で高値になります。

*好塩基球(Bas)は慢性炎症の時などで高値になります。

③血小板の検査

・血小板数(PLT

*血小板数は出血性疾患などを示す指標になるものです。急性出血や血小板再生反応があるときに高くなり、慢性の出血で低くなります。免疫介在性血小板減少症など、特定の病気の存在を知る手立てになります。

*出血性の疾患や血管内凝固が疑われるときには全く別の凝固系検査を実施することがあります。

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いわゆる生化学検査は、系統別に判断していきます。
同じ検査項目でも複数の組織にまたがって影響しています。


<血液生化学検査>

血液の生化学検査は数値から身体のどこの器官に問題があるのかを検出することを目的にしています。複数の項目を総合的に見て判断していきます。

項目それぞれについての解説ではなく、身体の器官別に、どのような項目で判断していくのかお話ししていこうと思います。今春から、検査項目を増やし、ワクチン時の検査を一部有料にさせていただいておりますが、検査項目が少ないと、少しの臓器のことしか判断ができませんし、異常を見逃すことにもなるのを分かっていただけるとうれしいです。

①蛋白の検査

・総蛋白(TP

・アルブミン(ALB

・グロブリン(GLB

・アルブミン/グロブリン比(A/G

*総蛋白は血液中の蛋白質の総量です。栄養状態や肝機能、腎機能、免疫機能の指標になります。アルブミンの上昇は脱水、低下は肝臓や腎臓、腸などの病気や出血などが疑われます。グロブリンの上昇は脱水のほか、慢性の炎症、腫瘍を心配します。

②肝臓の検査

・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT

*肝細胞に含まれている酵素です。肝機能の指標に使われます。肝細胞が腫大したり壊死したりすると高値になります。

*肝疾患の追加検査として総胆汁酸(TBA)やアンモニア(NH3)を実施することがあります。肝臓外、肝臓内の血管系異常があると高値になります。

③胆道系の検査

・アルカリフォスファターゼ(ALP

・γグルタミルトランスペプチターゼ(GGT

・総ビリルビン(TBil

・総コレステロール(TCho

*胆道系の疾患の指標になるこれらの検査値は胆汁のうっ滞や胆管炎があると上昇します。

*ビリルビンはヘモグロビンの代謝産物で、溶血や肝傷害、排泄路の閉塞などで上昇します。黄疸を見る検査です。

*アルカリフォスファターゼは骨の成長期(子犬など)、ステロイドなどの薬の影響、腫瘍でも上昇します。

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春の健康診断、受けてみませんか。

④肝不全の検査

・アルブミン(ALB

・総コレステロール(TCho

・血糖グルコース(Glu

・尿素窒素(BUN

*肝疾患が進み、肝不全になると、アルブミンの合成ができなくなるので低値になります。さまざまな代謝がうまくいかず、血糖値や尿素窒素も低下します。この頃には肝酵素の主体となっているアラニンアミノトランスフェラーゼの上昇はなくなります。

⑤腎臓の検査

・アルブミン(ALB

・尿素窒素(BUN

・クレアチニン(CRe

・リン(IP

・カルシウム(Ca

・電解質(Na,K,Cl

・尿素窒素クレアチニン比(BUN/Cre

・対称性ジメチルアルギニン(SDMA

*尿素窒素は腎臓から排泄される窒素代謝物です。腎機能が低下したり出血があると上昇します。クレアチニンも腎機能の低下で上昇します。尿素窒素とクレアチニンの比は二つの数値から算出するものですが、腎疾患ではなく、脱水のために見せかけの高値になってはいないかを判断するのに用いられます。リンとカルシウムは骨の代謝に関係するミネラルです。腎疾患では腎性二次性上皮小体機能亢進症から骨が脆弱になることが多く、リンは高値を示します。腎疾患ではナトリウム、カリウム、クロールなどの電解質の変動を起こすこともあります。対称性ジメチルアルギニンは新しい腎機能マーカーです。早期の腎疾患の発見が可能になりました。

*ネフローゼ症候群があるとアルブミンや総コレステロールに異常が現れます。追加検査として尿検査が必須になります。

⑥膵炎の検査

・アルブミン(ALB

・アミラーゼ(Amy

・リパーゼ(Lip

・尿素窒素(BUN

・クレアチニン(Cre

・カルシウム(Ca

*アミラーゼやリパーゼは膵臓から分泌される消化酵素です。膵炎の指標として使われます。そのほかの検査項目も総合的な判断材料になります。

*膵炎が疑われるときの追加検査として、c反応性蛋白(CRP)や膵特異的リパーゼ(犬:SpecPLi、猫:SpecfPLi)、犬トリプシン様反応物質(TLI)を実施することがあります。

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猫ちゃんだって、健康診断を。

⑦糖尿病の検査

・グルコース(GLu

*血糖値は糖尿病で上昇、低血糖症で低下します。食事に影響を受けるので空腹時に検査をするのが望ましいです。またストレスやステロイドホルモンの影響によっても上昇します。

*糖尿病が疑われる場合は、糖化アルブミン(GA)や尿検査が追加検査になります。

*血糖値が低いとき、子犬の低血糖症や成犬の膵臓腫瘍が心配です。

⑧副腎をみる検査

・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT

・アルカリフォスファターゼ(ALP

・γグルタミルトランスペプチターゼ(GGT

・総ビリルビン(TBil

・総コレステロール(TCho

・血糖グルコース(Glu

*これらの上昇は副腎皮質機能亢進症を疑わせます。

・グルコース(GLU

・尿素窒素(BUN

・クレアチニン(CRe

・電解質(Na,K,Cl

・尿素窒素クレアチニン比(BUN/Cre

*これらは副腎皮質機能低下症を総合的に判断するときに用います。

*副腎の病気が疑われるとき、追加検査としてコルチゾール値を調べます。特殊な検査方法を採ることがあります。

⑨甲状腺をみる検査

・総コレステロール(Tcho

・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT

・アルカリフォスファターゼ(ALP

*犬では総コレステロールの上昇で甲状腺機能低下症が、猫ではアラニンアミノトランスフェラーゼやアルカリフォスファターゼの上昇で甲状腺機能亢進症を疑うことがあります。(血液検査結果からだけでなく、生体の方からも総合判断して疑いが出てくるものです)血清総サイロキシン(T4)や遊離サイロキシン(FT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の(猫ではおもにT4のみ)追加検査が必要になります。

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血液検査だけで無く、尿検査や画像検査なども見て
総合的に判断しないと分からない病気もあります。


<おわりに>

同じ検査項目が何度も出てきていることにお気づきのことかと思います。一つの検査項目が高いまたは低いということで一つの病気を疑うわけではありません。すべて総合判断で、さらに身体をよく知るためにはそこから追加検査等も必要になってきます。検査結果の解釈は実はとても難しいものなのです。

臨床検査から謎解きのように病気の本丸に入っていく学問は「臨床病理」といってひとつの独立した分野になっています。すべてを総合的に理解していると、からだが発信している情報をクロスワードパズルのように当てはめ、病気を探り出すことができます。非常に理論的で奥の深い分野です。

きょうのお話しはここまでです。

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健康診断のすすめ

いまさらですが、今日は健康診断のおすすめです。

ホームページを新しくした際に、予防獣医学の重要性を強調しました。春、年に1回だけ来てくれるわんこさんが多く訪れる季節です。せっかくですから、狂犬病の予防注射をし、フィラリアの血液検査を行う時に健康診断もどうかしら、という当院からのご紹介です。

 

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パンフレットをお手にとってご覧ください。

<予防獣医学というのは?>

WHOの提唱している予防医学というのは、「病気になってしまってから病気を治すより、病気になりにくい身体をつくり、病気を予防して健康を維持する」という考えに基づいています。これを獣医学に当てはめて考えてみます。

1次予防

健康な時から栄養や運動に気を配り、生活習慣の改善、生活環境の改善を通して病気にならない強い身体をつくります。

ワクチン接種による病気予防、

フィラリア予防薬の投与、

③ノミやマダニの駆除剤による外部寄生虫の予防

はよく知られていますね。そのほかに、事故を防いでけがをしないようにするという観点から、

猫を屋内飼育にすること

も予防対策です。さらに

避妊手術や去勢手術を行うと将来的に予防することができる病気もあり、

幼いうちに不妊手術を行うことも有意義なことです。

歯科ケアで歯周病予防をする

ことも大切です。

バランスのとれた食事と

適度な運動で肥満予防

をするのも大切です。

2次予防

病気の発生を早期に発見し、早期に治療に入り、病気が重症化するのを防いだり、進行するのを抑えたり、合併症の発生を阻止します。

これには

定期的な健康診断と

結果に基づくアフターケア管理、

フォローアップの治療

が欠かせません。

3次予防

不幸にして病気になってしまってからも、

今後の再発を予防する

ことは大切ですし、一時的に機能が低下してしまった状況からでも

②リハビリテーション

によって、機能を回復させQOLの高い生活を得ることができます。

 

今からお話しする健康診断は2次予防になります。

病気の2次予防の目的は、放っておくと重症化したり合併症を併発したりする病気を早期に見つけ、悪くならないうちに治療を開始し、進行するのを抑えて、生活の質を高くすることです。

症状として表れる前の小さな変化を検査で見つけましょう。

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各コースのご案内です。


<ライフステージに応じた検査>

健康診断が必要なのは高齢の動物たちだけではありません。それぞれのライフステージに応じて発見できるとよい病気があります。

①幼少期の犬と猫

幼少期の健康診断では、遺伝性の病気を発見できることがあります。また、病気予防のために不妊手術を受けようと思っていらっしゃる場合にも、ぜひおすすめしたい検査になります。

②青年期から壮年期の犬と猫

青年期から壮年期は病気とは無縁のように思われがちですが、この時期から生活習慣病は始まっています。健康診断で病気を発見し、早期に生活改善を行いましょう。大事に至らないように治療を始めることが大切です。

③高齢期から老齢期の犬と猫

さまざまな慢性疾患が発症するときです。あらゆる角度から幅広い検査をして、まさか!というような病気を発見していきます。健康で長生きしてもらうのが目的です。

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動物は気づかないうちに私たちの年齢を越えていきますね。

<健康診断のプラン>

お気軽に受けていただけるよう、血液検査だけの簡易コースから、尿検査や血圧測定などを加えたコース、画像検査(レントゲン検査、超音波検査)を含めたコースまでいくつかのプランをご用意しました。

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おきがるコース、ひょうじゅんコース、あんしんコース、かがやきコース。
検査内容のご説明です。

①おきがるコース

血球検査と16項目の血液生化学検査を行います。

貧血の有無、血糖値、肝臓や腎臓の機能を知ることができます。

定期健康診断の入門に。

②ひょうじゅんコース

おきがるコースに電解質の検査を加えています。膵臓の働き、高脂血症についても知ることができます。心配になっている病気にターゲットを絞った追加検査もできます。

すべての犬、猫におすすめです。

③あんしんコース

ひょうじゅんコースに尿検査と血圧測定を行います。腎臓の機能をより詳しくみていくことができます。

オプションで炎症の有無や、心臓や甲状腺の機能を調べることもできます。

高齢の動物におすすめです。

④かがやきコース

あんしんコースに画像検査(レントゲン検査、超音波検査)を加えています。心臓の大きさや肺の様子、体内の腫瘍、腎臓の内部構造や胆のうや肝臓などについて、外観からは分からない各臓器の異常を見つけることが出来ます。さまざまなオプションの追加が可能です。

身体の状況をしっかりつかんでおきたい、いつまでも元気でいて欲しい。そんな願いに直結します。

*かがやきコースはご予約ください。

*検査結果は後日報告です。

*膀胱内に尿がたまっていないと採尿できないことがあります。自然尿をお持ちくださるか、お預かりし、時間をおいて院内で採尿するか、または後日いらしていただくことになります。

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病気になる前、症状が出る前の健康診断をしましょう。

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検査をしたら異常が出た、というのは7歳以上からのことが多いみたい。

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わんちゃんの健康診断、いろんな検査があります。

 <ワクチン接種のときの血液検査プラン>

さらにお手軽に受けていただけるよう、ワクチン接種時の特別コースもご用意しました。以下にご紹介するのは一般身体検査と血液検査だけのコースで、お時間のかからないプランです。
  
①プラン1:おてがるコース

血球検査と16項目の生化学検査を行います。

②プラン2:ひょうじゅんコース

血球検査と16項目の生化学検査、電解質検査を行います。

すべての犬に。前年の6項目検査で異常値が見られた場合には特におすすめです。

2500円でご提供いたします。

これだけではご心配だとお考えの場合は、オプションで追加項目を設定します。

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検査機関さんとのタイアップでできあがりました。
ハート動物病院オリジナルの検査項目を選りすぐって
コスパの高い検査が実現しました。
一押しはこの2つの検査です。

③プラン3:ハートの心臓病コース

血球検査と心臓病に関連する10項目の生化学検査に、心臓病のバイオマーカーである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を組み合わせました。心臓病を早期に発見するための特別コースです。

8歳を超えた小型犬におすすめです。

3500円でご提供します。ANPだけでも5000円いたします。たいへんお値打ちです。
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④プラン4:ハートの腎臓病コース

血液検査と電解質検査、16項目の生化学検査に、腎臓病のバイオマーカーである対称性ジメチルアルギニン(SDMA)を組み合わせました。腎臓病を早期に発見するための特別コースです。

9歳を超えた犬におすすめです。

3500円でご提供します。
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 猫ちゃんの健康診断>

ワクチン時プラン1以外の検査を随時お受けしています。ワクチン接種と同じ日でも、それ以外の日でもOKです。

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猫さんも健康診断!

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オプションで感染症や糖尿病の検査もお受けします。

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高齢猫ちゃんに多い慢性腎臓病の早期発見コースおすすめです。
甲状腺機能亢進症の検査はこの検査にオプションで。
いつもよりお値打ちにご提供しています。

①ひょうじゅんコース、

②ハートの心臓病コース、

③ハートの腎臓病コース、

④あんしんコース、

⑤かがやきコース

からお選びください。

猫さんはたいへんデリケートな動物です。犬の来院が多い賑やかな季節にいらっしゃった場合は、採血などの獣医療行為に協力的になってくれない場合があります。もし来院されて、「わんこが多いな」「混んできたぞ」と感じられたときは、すぐに受け付けまでご連絡ください。先に静かなお部屋にお預かりし、順番が来たらお呼びします。

 

<健康診断で異常が分かったら>

健康診断を通して生活上の改善すべき点や健康状態が見えてきます。

これから生活習慣を「変えていこう!」と思われた飼い主さんには、生活改善や食事変更のプランニングを立て、サプリメントの利用などお薬に頼らないプレ治療など、今後の生活を総合的にフォローアップいたします。

病気の発見があった場合には、治療のご提案をさせていただきます。 

この機会にぜひ健康診断を受けてください。




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生活習慣病

 2月1日から7日は生活習慣病の予防週間です。

<生活習慣病というのは?>
生活習慣病とは「がん」「心臓病」「脳卒中」等、一般に30歳代以上の世代から発症しやすくなる病気のことで、以前は「成人病」と呼ばれていました。これらの病気の原因の大半は長年にわたる生活習慣にあり、子供のころから予防に努めなければならないことから「生活習慣病」に名前が変わりました。

 <犬や猫にも生活習慣病がある?>
ところで、犬や猫にも「生活習慣病」という体系の病気はあるでしょうか。

犬も長生きできるようになるにつれて、人と同じような高齢化にともなう病気がとても増えてきました。

「心臓病」「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「肥満」など人で聞かれる病気が、犬にもあります。人では多いのに動物で「脳卒中」を聞かないのは、脳のCTを撮る機会がないために診断に至らないせいかもしれません。このほか犬では「歯周病」などは生活習慣病の範疇に入るでしょうし、加齢により発症しやすくなる病気という意味では「腫瘍」や「関節症」「腎臓病」「会陰ヘルニア」なども多くみられる病気です。

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<困った生活習慣病>
犬や猫にとって良くない生活習慣にはどのようなものがあるでしょうか。

人は悪いと知っていても仕事のために不規則な食生活や運動不足、飲酒や喫煙が過ぎてしまうこともありますね。犬や猫の場合は「人の生活に合わせてしまった」ために悪い生活習慣がついてしまうことがあります。

もっとも陥りやすいのは運動不足高カロリーの食生活です。忙しい生活はしっかりと運動のできる散歩や屋外遊びを短くまたは取れなくしていますし、家族との生活が近いものになるとハウスフードやおやつなど高カロリーの食品を与えられる機会を増やすことになっています。こんな生活が続くと高脂血症や肥満症になります。肥満症は万病の元になります。


<よくない食生活の例>
低脂肪、低カロリー、高蛋白で良いと評判の鶏ささみも、犬にとっては抗原となりうるたんぱく質です。同一の異種たんぱくを長期に食べていると食物アレルギーを起こすことになります。また特定の食べ物を受け付けず嘔吐や下痢を起こす食物不耐症にもなります。

袋を開けても腐らない、カビが生えない、虫がわくことがないと保存に好都合のおやつジャーキーには多くの添加物が施されています。添加物の多い食品を与えられた場合は肝臓を悪くします。

もともとアトピー体質であったものが、食品添加物によってさらに悪化することも知られています。環境ホルモン、という言葉を聞いたことがあるでしょう。有毒には当たらないごく微量の化学物質であっても、身体の調子を崩してしまうのです。

<手抜きではありませんか?歯科ケア>
犬も毎日歯磨きをするのが良いのですが、犬が嫌がったり、こちらが忙しかったりするために口腔ケアはおろそかになりがちです。長年の歯の汚れは、はじめはただの歯垢ですが、次第に石灰沈着し歯石になります。常に細菌と接している歯茎は炎症を起こし、歯肉炎などの歯周病を発生させることになります。

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<生活習慣病の予防>
上記のような病気は(遺伝的な体質も罹患しやすさに影響しますが)
①栄養のバランスの整った食事を
②適正量食べ、
③過剰なおやつは控え
④適度な運動をし、
⑤きちんと歯を磨く
という生活で、予防することのできる病気と言えるでしょう。

<定期健診で早期発見・早期治療>
 
一方、心臓病や腎臓病などはいかに初期段階で発見し、早く治療に入るか、ということで予後を良くする病気です。その意味からすると定期的な検診が予防への近道です。

犬や猫の定期的な健康診断が生活の一部として定着している(習慣になっている)ことはとても重要ですね。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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