頑張ったわんちゃん「ディップスティック君」

今回は頑張った犬ちゃんのご紹介です。

「ディップスティック」君。ダルメシアンの男の子です。長い名前なのでみんな「ディップ」って呼んでいました。
DSC02879.jpg 
↑愛想がいいんです。目が合うと必ず尻尾を高速回転!

さて、彼の既往歴は「食べてはいけないものを飲み込んでしまう」異嗜症。今回も「嘔吐」を主訴として来院されましたが、みんなの頭をよぎったのは「何か食べちゃったかしら?」

ざっと経過を伺うと毛布かじりをしていたということ。やっぱり不安が高まります。「嘔吐」だけで来院される場合の最小検査にはレントゲン検査は含まれませんが、この子の場合は必須検査項目。そしてその不安も的中。胃の中、腸の中に異物がありました。

 

動物行動学の範囲で行動療法を専門とする分野があります。動物にも「こころの病気」があります。人で言うところの神経内科に相当するのでしょうか。毛布が大好きで口に入れてちゅぱちゅぱしたり、前足でもみもみしたりするのも立派なこころの病気、強迫性障害(常同障害・OCDなどとも呼ばれます)にあたり、この行為には「ウールサッキング」という名前もついています。Blanket Sucking」(ブランケットサッキング)とも言い、日本語にすると「毛布吸い」になります。まさかと思われるかも知れませんが、好発品種はあのドーベルマン・ピンシェルが1位で、ほかにはワイマラナー(これも大型の犬です)、そしてダックスフンドです。ウールサッキングは母乳を吸うという本能行動に基づいています。自分の脇腹をチューチュー吸っていたりもします。そしてこうした行動を取る犬では異嗜症(食べられないものを食べてしまうこと)を伴うことが多いのです。

 

さて、ウールサッキングが高じて毛布を食べてしまったディップ君の胃と腸は毛布を抱え込んでふくらみ、その繊維が複雑に絡み合って、便となって通過することも、吐物となって吐き出されることもできない状態になってしまいました。
DSC03093.jpg 
↑別の犬の胃および腸から取り出した異物です。

イレウス(「腸閉塞」)という状態です。そこで全身麻酔をかけて腸を切り、胃を切り開いて異物を取り出す大手術をすることになってしまいました。もともと元気で病気知らずのディップ君ですから、切って取り出してしまえばあとはぐんぐん回復に向かいました。
DSC02885.jpg 
↑「お腹が空きましたがご飯はまだですか?」「胃切開・腸切開では数日間食べられませんよー」

 

しかし、強迫性障害は同じ行動を繰り返し行う病的状態。何かの強迫概念があり→不安になって→同じ行動をとると→落ち着く→やらないと→不安になって→同じことを→繰り返して→………………という悪循環を繰り返すものです。治療はこのような行動をとるに至った原因を調べて除いてやることが一番。これはわからないことも多いのですが、生活環境を変えて脳や体の刺激を増やす環境改善と特殊な薬による薬物療法の2つの治療法があります。

 

ディップ君が暇に感じないように、飼い主さんに頻繁に声かけをしてもらうことから始めることにしました。薬に頼ることなくうまく経過しています。

スポンサーサイト

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード