頑張ったわんちゃん「ココちゃん」

頑張ったわんちゃん。膵炎といえばこの子。「ココちゃん」です。
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↑私がココちゃんです

 

ココちゃんも激しい嘔吐と食欲廃絶で連れてこられました。激しい急性膵炎で、肝臓や腎臓の数値も上昇していました。チョコちゃんと同じように絶食し、毎日の点滴でどんどん快方へ向かっていったのです。そしてそのまま日常の生活が送れるはずでした。ところがココちゃんは「もう、安心」とおもったころに、「食べれるけど、食べたものを吐いちゃうの」ということでまた来院されました。お話を伺うと、膵炎の症状とは違うものです。

 

レントゲン検査、エコー検査で胃のそばに大きな塊があることがわかりました。その塊の中には液体がいっぱい入っています。胃と塊の位置関係を調べるため内視鏡検査も追加で行いました。塊は胃の出口付近にあり、だいぶ胃を押しています。これはどうしたものか。すぐさま大学病院で精密検査を受けることになりました。

 

大学でも超音波検査、内視鏡検査が実施され、引き続きCT検査も行われました。そして犬では非常にまれな「膵偽のう胞」(人では「膵仮性のう胞」と呼ばれています)という診断でした。膵炎によって解けて壊死してしまった膵臓の一部や炎症性の滲出液を含む大きな袋が膵臓と胃の間にできてしまったのです。大がかりな手術が必要です。

 

しかし従来、この膵偽のう胞や膵膿瘍に対する手術はあまり芳しいものではなく、どの文献を見ても絶望的な結果のほうが多いような有様でした。外科の先生はどんな手術計画を立てられているのでしょう。頭の中まで探ることはできません。
 
 さて、実施された手術は思いもよらぬ方法でした。胃の奥にあるものを手術するのに、見やすいところから脇腹アプローチでも、無理やり胃を裏返すでもない、今までに知らされたことのない方法でした。なんと、胃を開いてそこからアプローチしたのです。これには本当に驚かされました。長時間に及ぶ手術でしたが
ココちゃんは見事、大手術を乗り越え復活しました。

 彼女の回復はあの手術方法がもたらした奇跡です。と、私は信じています。もちろん、伊奴神社さんのご利益もあるし、お父さんやお母さんのお祈りの賜物でもありますよ。
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↑おやつちょーだい

 

というわけで、今はすっかり元気なココちゃんなのでした。

 論文はこちら→http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902230823001492

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頑張った犬ちゃん「チョコちゃん」

頑張った犬ちゃん、思い出すときりがありません。

今回は「チョコちゃん」 。
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↑今はすっかり元気です

ヨークシャーテリアで中年、小太りの女の子です。このようにチョコちゃんを紹介すると、彼女がどんな病気と格闘して頑張ったのか、獣医さんなら誰でもピーン!とくるのです。そしてその通りでした。急性膵炎です。

 

膵臓はたんぱく質、炭水化物、脂肪を分解する消化酵素を作り出している臓器です。自分の体もたんぱく質できているのですけれど、自分自身を消化しないように複雑なシステムが働いています。けれど何かのきっかけでこのシステムが崩れると自分自身を壊してしまいます。膵臓の近くには胃、十二指腸、結腸、肝臓、胆嚢、右側の腎臓など主要な臓器が集まっているので、これらにも障害が及ぶ危険があります。診断を誤ったり、適切な治療がなされなかったりするとたいへん危険な病気です。

膵炎の症状は嘔吐、食欲不振、元気消失、腹痛。(おなかが痛いためにお祈りの姿勢をとる、というのが古くから言われていますが、必ずこの姿勢で痛みを訴えるわけではありません。)ほかに下痢や脱水なども現します。

 

さて、チョコちゃんは「嘔吐」「食欲不振」で来院されました。痛みをコントロールする薬、嘔吐を抑える薬にたんぱく分解酵素阻害薬という膵炎のときに使う薬を点滴に混ぜ、治療を開始しました。けれどすぐに症状は治まりません。おなかが痛くつらい日が続きました。チョコちゃんのお母さんは動物思いのとてもやさしい方です。苦しい思いをしながら治療を受けるのがいいのか、楽にしてやるがいいのかと、チョコちゃんのことで悩みが膨らんでしまいました。

涙腺の弱いママ先生はたいていもらい泣きしてしまうほうですが、ここは涙をぐぐーっとこらえて、明るく言ってみました。

「チョコちゃんのことはまかして頂戴!ここの病院は膵炎の死亡率ゼロなんですから。それに膵炎のことは論文まで書けるくらいいっぱい勉強もしたのよ」

なにせチョコちゃんのお母さんに頑張ってもらわないと、チョコちゃんは勇気をもらえません。

 

チョコちゃんはお母さんの祈りが通じて日に日に快方へ向かっていきました。嘔吐がとまってもしばらくは食事を食べさせることができない膵炎ですが、食べ始めればめきめき力もついてきて

「なぁーんだ。チョコちゃん、元気じゃないか!」

って具合になりました。幸い合併症を発症することもなく、元気に退院されました。
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↑「いっぱい注射してもらったけど慣れるもんじゃないわ。
 注射なんて大っ嫌い!」

 

動物が大好きな方は、飼っていたペットをなくすとペットロスをおこします。それまで普通にできていた仕事が悲しみのあまり手につかなくなり、日常生活ですらうまく送れなくなってしまいます。かの小沢一郎さんも、愛犬の柴犬を亡くされたときに「辞める」っておっしゃられていました。(のちにすぐに撤回されましたが)動物が大好きな人には悪い人なんていない、と信じている私はその辺から小沢さんが好きになりました。

 

あ、脱線しすぎました。きょうはこのくらいで。

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