きょうも頑張るわんこです

がんばるわんちゃん。今日は「リリアンちゃん」のおはなし。

このワンは「免疫介在性血小板減少症」(IMTPという病気にかかってしまったわんこです。

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↑わたしがリリアンです。実はもっと深刻な病気とも戦っているのよ!
 

血液の細胞には白血球と赤血球、血小板という3種類の細胞があります。免疫システムが誤って自分の血液細胞を敵だとみなして攻撃してしまうことがあります。

赤血球の破壊が起こるとこんな病名になります。「免疫介在性溶血性貧血」「自己免疫性溶血性貧血」。短く略してIMHAと呼ぶこともあります。

血小板が壊されると「免疫介在性血小板減少症」。これは短くIMTPと呼ばれています。

気の毒にも、赤血球と血小板のどちらの血球も壊されてしまうこともあります。「エバンス症候群」と言っています。

攻撃を受ける細胞が違うだけで、体の中で起こっている誤爆という免疫異常は同じです。

 

それで、これらの病気に対する治療はほぼ共通です。

 

この病気では免疫システムが異常になっているので、この機構を修復するのが第1です。すぐに効果が現れるのはステロイドホルモンです。アトピーや他の炎症性の病気の時にも使いますが、この病気の時は多めに使います。免疫抑制剤も使われます。

減少している血球を補うために骨髄を刺激する薬を使うこともあります。骨髄は血液細胞がつくられる場所です。骨髄では毎日新しい血液細胞が作られていて、成熟した細胞だけが血液の中に出てきます。骨髄を刺激する薬は、『あともうちょっとで大人になる、でも今でもそこそこ仕事ができる』という準おとな細胞を血中に早めに送り出す働きがあります。

それでも間に合いそうにない場合は、輸血をすることもあります。(もともと自分の身体でさえ攻撃してしまうのに、他の犬の細胞を入れ、それもさらに攻撃対象になるのではないか、という考えから、この治療には慎重になる先生もおられます。)一時的に他の犬から血液細胞をもらうことで攻撃性が制御されていれば、わんこの身体は楽になれます。

 

 さて、リリアンちゃんが体調を崩したのは2年前のお正月。歯茎に斑点があるのにオーナーさんが気づいて連れてこられました。血小板は血を止める働きをする細胞です。血小板が少ないと血管の壁が壊れても修復されることがないためいつまでもじわじわとした出血が続きます。リリアンちゃんは舌の裏側や目の中にも出血のあとが見られました。(一般的にわかりやすいのはおなかや耳の内側。皮下出血の紫の斑が点々と見えるのが特徴です。溶血性疾患ではおしっこの色が赤黒いコーヒーや薄口しょうゆの色になるのでさらにわかりやすいと思います)血液検査をすると、正常ならば3040万個/μℓあるはずの血小板は、初診時1.5万個/μℓしかありませんでした。

早速、上記のような治療を始め6ヶ月。体調もよく、再発兆候も似られなかったため、次の6ヶ月で薬を徐々に減らしていき、はじめの投与から12ヵ月間薬を続けたのち、一度治療を止めてみました。しかしお薬を止めた3ヵ月後には再発してしまい、2度目の発症時には血小板の数は0.4万個/μℓしかありませんでした。再び始まった治療により、今はすっかり安定していますが、今度は減薬や休薬のプランはなし。治療は継続中です。
 

この病気の厄介なところは一度薬にうまく反応しても、その後再発することが多い点です。そして2度目の発症は1度目の時より、また3度目はそれ以上に治療に対する反応が悪く、どうにも助からないことがほとんどなのです。

 そう。2度目の時も、よく頑張ってくれたのでした。


 

しかし振り返るにつけ、頑張ったのはわんこやにゃんだけではなかったと思い出します。飼い主さんの山より高く、谷より深い愛情と努力の現われが今の姿なんですよね。
 みなさん、日々、ありがとうございます。合掌。

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