特発性てんかん・その3

さて、「特発性てんかん」のお話、3回目。最終回のつもり、です。また書き足しちゃうかもしれません。(笑)

 

特発性てんかんの治療は抗てんかん薬による内科療法です。発作の頻度、重度により、まだ薬は飲まないで様子を見ておきましょう、というときと、そろそろ飲み始めましょう、というとき、そして、もう飲まなくてはいけません、という風にそれぞれ対応が違います。お知り合いの犬は薬を飲んでいるのに、うちの子は処方してもらわなかったけれど大丈夫?というのがあるかもしれません。また、その逆もあることでしょう。

 

では、私たちが、「飲ませてくださいね」とお願いすることになるポイントをご紹介しますね。

発作の頻度が3ヶ月に2回以上おこるとき。

24時間以内に2回以上起きるとき。(この2回の間は全く正常です)群発発作といっています。

発作が5分以上続き、正常に戻らないうちにまた次の発作が繰り返されるとき。重積状態といいます。

鍋田マル・てんかん 

サトちゃんです。

 

発作を繰り返すと、さらに発作が起こりやすい状態になってしまいます。「発作が発作をよぶ」なんて表現されています。発作が長く続くと、脳細胞が壊れて、再生できなくなってしまうのです。ことに重積状態で激しい脳障害が起こると高体温、低血圧等でからだすべてに影響を及ぼすことになります。

そこで、この治療の目的

発作の頻度を減らすこと。50%以下に減らすことができれば成功、と捕らえられています。

みなさんが期待するゼロにはならないかもしれないのは残念です。そしてもうひとつは、

発作の程度を軽くすることです。重積状態を避けること、といってもいいでしょう。

 

お薬はいくつかのものがあります。

フェノバルビタールは日常的に飲んでいてもらうお薬です。肝臓への副作用があるため定期的に血液検査を受けてください。この薬の作用で、眠たくなる、静かになる、ふらふらする、動きが鈍い、水をたくさん飲む、オシッコの量が増える、食欲が出る、太ってくる、などの作用も見られます。

臭化カリウムも使われることがあります。フェノバルビタールに追加するかたちで使っています。

ジアゼパムは鎮静剤です。家庭で発作時に応急的に使用してもらうためのものです。座薬になっています。

 

予防的に使うお薬の特徴ですが、飲んでいても何も変わることはありません。投薬を一時的にやめてしまってもすぐにけいれん発作を起こすこともないでしょう。ですが中途半端に投薬を続けていては危険です。獣医師の処方に沿って正しく使ってください。また、定期的に診察を受け、肝臓の調子を見たり、血中の薬の濃度が一定しているかどうかなどを調べることにご協力をお願いします。

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特発性てんかん・その2

さて、てんかんのお話の続きです。今回はおもに、発作の内容についてお話します。

 

発作は突然、がたがたっと来るように思われていますが、実はひとつの発作の中に細かなステージがあります。気づかれないこともあるのだろうと思います。

①はじめ:落ち着きがない、隠れようとする、普段と違う行動が見られる、そわそわしている、などです。発作前数時間から数日間あります。(このステージは見られないこともあります)

②前ぶれ:頭を振る、ふらつく、よだれをたらすなど。また家の人を探し回ることもあります。ほんの数秒のこともあれば数分間続くこともあります。ここまでで、次の痙攣に進まないこともあります。この状態を私たちは「焦点発作」と言っています。

③発作:全身性のけいれんです。私たちは「全般発作」とも呼びます。

④発作後:寝る、分けもなく動き回る、目が見えなくなるなど。一時的なことです。これは全く見られないこともありますがたいていは数分間続きます。

 

「焦点発作」についてもうちょっと詳しくお話しますね。

①顔周りの筋肉がぴくっ、ぴくっとけいれんし、足が引きつれたようになったりします。じっと固まったようになる、とか「立ち木」のような状態になる、と表現してくださる飼い主さんもおられます。

②「ハエ追い行動」、といっていますが、実際にはいない昆虫を追って、ぱくっと口でつかもうとしているような動きがみられます。

 

「全般発作」についても、もうちょっと詳しくお話しましょう。

①からだ全体の筋肉が硬直し、四つ足を伸ばして横になります。ピクピクした細かなけいれんが見られます。よだれをたらし、オシッコやウンチをもらしてしまいます。舌の色が悪くなります。少し意識があるときもあるようです。(強直発作)

②ガクガクした大きなけいれん。足をバタバタ動かす。顎をガチガチ動かす。よだれも出ます。意識はないと考えてもらっていいです。舌を噛んでしまうのではないかと心配されるほどのけいれんです。(間代発作)

③突然筋肉がなよっとして地面に倒れる。くたっとなる。(脱力発作)

④そのほかにもいろいろあります。

 

普段、あなたが目にする発作はどのようなものだったでしょうか。ステージのすべては観察することができていますでしょうか。

 

私たちは、こんな様子、あんな様子をできるだけ詳しくお伺いしたいと思っているのですが、飼い主さんは目の前でおこっていることに驚いてしまい、正しく表現することができないことが多いようです。そして時間にしてもほんの数秒から数十秒のことが、恐怖のあまり、とても長く感じられて、5分くらい、といってしまったりするようです。できれば、この分類から、「これだ!」と思うものがあれば、そのように書いて伝えていただけると助かります。

 

今回はこのへんで。次回は治療について、お話いたします。

 

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特発性てんかん

どうしたものか、雨の日に多いな、と感じる病気に「てんかん発作」があります。

「てんかん」というのは、獣医さん的に分類すると「特発性てんかん」「症候性てんかん」とがあるのですけれど、後者は明らかな原因があっててんかん発作が起こるものです。脳炎や頭部の外傷、脳の奇形などです。そして、高齢の犬に突然発症したのならば、それは意外と脳腫瘍が元になっている場合が多いです。

今回は、いわゆる「てんかん」。私たちが「特発性てんかん」といっている方の病気について、お話します。

 

今も雨が降っています。お薬でコントロールしているわんこたちは元気でしょうか。
青山マリモ・てんかん

 在りし日のマリモちゃん。お母さまがお亡くなりになると後を追うように天国へ行ってしまいました。私たちの思い出の中で生き続けている可愛いわんちゃんです。

特発性てんかんは、てんかん発作意外には症状がありません。レントゲン検査で頭部や頚部の骨に異常が見られることはありません。血液検査で代謝性の異常が見つかることもありません。CTやMRIの検査で脳内に器質的変化がみられることもなく、脳脊髄液の検査でも全くの正常です。もちろん、そのほかの様々な検査を実施してもどこにも異常が認められません。脳波の検査も実施されますね。こうして、てんかん発作を起こすいろいろな病気をすべて除外していくと「特発性てんかん」の確定診断がやっと下ります。こうした検査は大学病院等の専門機関で実施される検査です。

 

そうです。確定診断を受けるには、相当な時間とお金がかかります。

 

けれど、町の獣医さんである私たちは「おそらく『てんかん』ですね」、と軽く診断をつけます。それはこの病気には、ある特徴があるからです。疫学的診断、というところでしょうか。お話を伺い、おそらくそうだろう、と当たりをつけている、といっていいです。ですから、飼い主さんから聞かせていただく動物の情報はとても大切なものです。もちろん、問診のほかに、身体検査も行いますし、神経学的検査ももちろん、代謝性疾患と区別するための血液検査等も最低限行われます。

 

特発性てんかんは、多くの場合、1歳から5歳くらいまでのうちに最初の発作が起こります。遺伝性、家族性のこともあり、ビーグル、ダックスフンド、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェトランドシープドッグなどがその代表です。(猫では少ないですね。)

 

っと書いたところまでで、長くなりました。次回に続けましょう。

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ハート動物病院です。
〒445-0062
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