犬の肛門まわりにできる腫瘍

肛門まわりにできる腫瘍についてお話します。

 

腫瘍はどこにでもできます。

「体じゅうあちこち皮膚をしっかりと触っているのに、まさかこんな所にできるなんて」と肛門まわりにできた腫瘍にがっかりしておられる飼い主さんもおられました。

肛門周囲にできる腫瘍の大半は「肛門周囲腺腫」、良性の腫瘍ですが、実は悪性の腫瘍のこともあります。「肛門周囲腺癌」と「肛門のうアポクリン腺癌」です。そのほかの細胞由来の良性腫瘍、悪性腫瘍も肛門周囲にできますが、その発生率は少ないです。今日は上位3つの腫瘍のことのおはなしです。

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ちょこちゃんのお尻におできができていました。
 

 

<肛門周囲腺腫は?>

肛門のまわり、毛の生えていないところにしこりができます。一つだけのときもありますが、次第に複数個でき、それが重なったり結合したりして大きくなります。表面がえぐれて出血すると、尻尾の裏面に浸出液が付着し、被毛が汚れます。それから臭いも気になるようになってきます。数か月とか数年という単位で大きくなってきて、痛みもありません。

あるときお尻を見てみるとやけに汚れている、よく見ると肛門のかたちがいびつになっているような、よくよく見るとおできができていた、というような感じです。肛門を触ることもありませんから発見されにくいかもしれません。

動物病院で検温するときにVTが見つける、ということもまれではありません。

結構大きくなっていても便通に問題は起こりません。いつものように普通の排便がみられます。

肛門周囲の腫瘍のうち80%くらいはこの肛門周囲腺腫です。

比較的皮膚の浅い部分に発生して、下の組織とがっちり結合していることもなく、リンパ節に飛んでいることもない、というような良性腫瘍の特徴をもった腫瘍です。

去勢していないオス犬でよく認められます。雄性ホルモンと関係があります。でもメス犬で発生がないわけではありません。

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手術で切り取ります。
 

 

<肛門周囲腺癌は?>

肛門周囲腺腫に比べると発生率は少ないです。去勢手術の有無にかかわらず発生します。雄性ホルモンとは関係がないのです。去勢手術がしてあるのに肛門周囲に腫瘍ができているとすると、こちらの可能性が高いということになります。

肛門周囲腺腫と同じように肛門周りの毛が生えていない部分にできます。1個だけということが多いです。皮膚から比較的浅い所にできますが、肛門周囲腺腫と違って下の組織とがっちりくっついていることが多いです。またリンパ節に浸潤していることもあります。

大きな違いは数カ月のうちに急激に増大してくる点です。大きく育ってから来院された犬では「うんちの出が悪い」と言われることもあります。腹部のレントゲン検査で、ふつうは確認できない腰下リンパ節を見つけることがあります。

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すっきりしましたよ

 

<肛門のうアポクリン腺癌は?>

アポクリン腺は本来、汗腺です。「アポクリン腺癌」は頭や背中、わき腹にできやすい皮膚の下の腫瘍ですが、「肛門のうアポクリン腺癌」はオス犬よりもメス犬に多く発生します。肛門のうというのは肛門腺の袋、いつもシャンプーのときなどに絞って処置する臭いあれがつくられる袋状の組織です。ですから、肛門の4時と8時の方向のところにあります。この位置で硬いものが触れ、それが肛門腺が充満した肛門のうではないときというのはこの腫瘍が強く疑われます。

肛門のうは肛門周囲腺に比べるともうちょっと奥深いところにある組織ですから、ぱっと見てお尻まわりが膨らんでいるのがわかるようになるまでには、それなりに腫瘍が増大してきた時です。場合によってはゴルフボールとかソフトボールくらいの大きさになっていることもあります。この腫瘍も急激に大きくなる傾向にあります。肛門から直腸に指を入れて、大きく膨らんだ腰下リンパ節や平坦ではない腰椎に触れることがあります。このようなときは腹部レントゲン検査でも腰下リンパ節が大きく腫れているのが分かります。すでに腫瘍が進行した場合は排便をするのに辛そうであったり、腰の部分が痛そうであったりします。

血液検査では高カルシウム血症を確認できることがあります。腫瘍からパラソルモン様関連ホルモンが放出されるからです。これにより多飲多尿になっていることもあり、お尻の病変に気がつかず「腎臓が悪い」と思われてしまうこともあります。カルシウム値は腫瘍の大きさに関連しています。内科的に薬を飲んでも、点滴をしても、腫瘍を切除しないとこの値は下がりません。

 

 

<どうやって見分ける?>

概要でお話ししたように、性別や腫瘍のでき方、育ち方などで検討をつけます。

未去勢のオス犬で複数できていて数年越しの腫瘍なら肛門周囲腺腫なんじゃないだろうか、オス犬で独立して1つだけの腫瘍が急に大きくなってきたのならば肛門周囲腺癌なんじゃなかろうか、メス犬で肛門4時方向に膨らみができていたらアポクリン腺癌なんじゃないだろうか、などという具合です。

ほとんどの腫瘍は「細胞診」といって針を刺すなどして少しだけ細胞を採取し、腫瘍が「良いものか」「悪いものか」を見分ける検査を実施します。けれどこの肛門周囲にできた腫瘍に関しては「切除生検」といって、腫瘍を丸々とってから病理判断にゆだねます。腺組織は良い部分(正常な腺組織)と悪い部分(腫瘍)が混在していて、採取量、採取部分によっては判断を誤る場合があるからです。細胞診では信頼度が低いというわけです。

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お座りしていると分かりにくいから尻尾を上げている後ろから肛門部分を覗き込んでみてください。
 

 

<手術をするの?>

良性の肛門周囲腺腫の治療は外科的な切除です。転移がないものであれば完全な全切除で完治が望めます。問題があるとすると、複数の腫瘍の重なりのために肛門広範囲にできていたり、深度が深かった場合、肛門括約筋の間に入っている場合があります。このとき、腫瘍の取り残しがあれば再発の可能性が出てきますし、積極的に切除して肛門の機能性に問題を発生させてしまうことがあり得ます。去勢手術を同時に行うことは必須条件になります。

悪性の肛門周囲腺癌であっても、また肛門のうアポクリン腺癌であっても、治療は外科的な切除です。肛門周囲腺癌で、腫瘍が大きくて周囲組織に腫瘍を残さず切除することができなかったり、浸潤したリンパ節を一緒に取り除くことができなかった場合は、続いて化学療法を行う必要が出てくるかもしれません。

肛門のうアポクリン腺癌の場合、腫瘍を小さくする(減溶積といいます)ことで高カルシウム血症のコントロールは行えますが、予後は良いものではありません。

 

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今月の掲示板。避妊手術と去勢手術についてです。
 



<予防する?>

肛門周囲腺腫は去勢手術をしておくと予防することができる腫瘍です。

こんなこともふまえて去勢手術を検討していただけるといいかな、ということで、今月の掲示板は「考えてみて、避妊手術と去勢手術」です。来院の折りに見ていただけると嬉しいです。

    
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犬の前立腺の腫瘍

 11月最終日になりました。

 

ハートニュースでお知らせしたように、11月はNovemberをもじったMovenber(モーベンバー)の月でした。111日から口髭を伸ばし始めて、会う人に「おやっ?」という発見をしてもらうこと、そしてそのことで「実は、、、」という会話の糸口から「前立腺がん」について知ってもらおう、という啓蒙の月です。

犬にも前立腺腫瘍がありますが、いわゆる前立腺肥大症の方が発症頻度は高いです。今日は前立腺腫瘍について知っていただくために、少しばかりお話をします。前立腺のその他の病気についてはまたあらためてお話ししようと思います。

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<犬の前立腺腫瘍のあらまし>

犬の前立腺に発生する腫瘍は腺がんだけでなくて、尿道の方から発生してきた扁平上皮がんなどのこともあります。発生頻度は少なくて、犬に発生する腫瘍のうちの0.20.6%という資料もあるくらいです。発生年齢はだいたい10歳ころが多く、品種的な好発種類はありません。中型から大型の犬に発生が多い、ということですが、私の体験したのはいわゆる日本でみられる愛玩小型犬種でした。残念なことに、他の前立腺の病気は去勢手術をしてあると予防ができるのに対し、前立腺腫瘍は去勢手術をしてあっても防ぐことができません。

 

 <こんな症状が出ます>

前立腺腫瘍がある場合の症状は慢性的な尿路疾患の症状が始まりです。血尿や、ちょっとした尿漏れ(いつもなら我慢できている時間なのに、おしっこが出てしまっているようなこと)、尿に勢いがなく尿線が細いようなこと、排尿がスムーズではないこと(出にくそう)、寝ているところが排尿口からの分泌物(血のようなもの)で汚れるなどが起こります。さらに前立腺が大きくなって直腸を圧迫すると排便も一生懸命にいきんでするようになります。骨盤や背骨の骨に転移が起こると痛みのために歩き方がおかしくなってきます。

 

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<検査と診断です>

エコーやX線などの画像の検査と、細胞の病理学的な検査が診断に役に立ちますが、病気そのものはたいへん悪性の様相です。前立腺周囲への浸潤性も、転移性も高いのです。前立腺は膀胱より少し尻尾の方に近づいたところにある組織で、膀胱からの尿は前立腺の中の尿道を通過して排泄されます。お腹の中にある組織ですが、正確には骨盤腔にあり、ここはとても奥まった部分です。見つかりにくいところにあるため、発見されたときにはすでに転移していることが多いのです。

 

 

<治療について>

積極的な治療は外科手術と放射線の組み合わせになります。前立腺の全摘出手術は前立腺尿道も含めて実施されることにもなります。場合によっては尿路変更の手術も必要になるかもしれません。高度な技術が必要になりますので大学病院など、経験豊富な先生のいる病院をご紹介します。

すでに転移が認められる場合は、治癒を目的とする根治的治療ではなく、緩和治療を主眼に置いたものをおすすめします。痛みからの解放、スムーズな排尿を確保するための尿路カテーテルの設置などです。

しかし病態がとても重篤であることが多く、良好な予後は望めません。最後まで病と闘うのかどうかも含めて、厳しく生と向き合う必要のある病気です。

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<むずかしい問題ですが>

この病気に限っては、最愛の犬の最期の時期をどのようにするかは病気のステージが進まないうちに検討すべき課題です。重い問題ですが、安楽死について思うところを記しておきます。

まずこれはあなた自身、もしくは家族全員で考えて決めなければいけない問題です。というよりも、愛犬を介護するに当たり、あなたにはそうした決断をすることが許されています。そして犬は苦しまない最期を持つ権利があります。

 

安楽死がどのようなものか、私たちも陰になった部分なので、あまりおおっぴらにお話しすることはないので、おおよそ想像がつかないのではないかと思います。それは手術時の麻酔をかけるのと同じです。血管につないだ管から麻酔薬を注入していきます。そうすると数秒から数分の間に犬の意識はなくなります。恐怖も痛みも無くなります。静かに優しく愛情をこめて厳かに行われます。手術のときと同じようにモニターにつなぎ、心臓の拍動がなくなるのを見守ります。全く苦しむことはありません。くつろぎながら深い眠りに落ち、そのまま穏やかな死を迎えます。意識を失うまでの間は呼吸もしています。最期の瞬間に少しだけ動くことがあります。脱力によって膀胱や肛門、腸の動きをコントロールできなくなりますので、失禁することがあります。目は開いたまま死を迎えることもあります。

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どんな治療を選択するのか、もしくは安楽死を選ぶのかについてはいろいろな判断基準があります。

まずは今のそしてこれからの愛犬のQOLがどうなのかという問題です。調子の良さそうな日と調子の悪そうな日の割合とか、以前はできていた大好きなことはできているのかとか、痛みに関連するしぐさの有無などでQOLは判断していきます。ほとんどは飼い主さんの主観になります。それからあなたが愛犬にどんな生涯を全うしてほしいのかという問題もあります。沈みきった姿はふさわしくないと思うのか、最期まで望みは捨てずがんばるとかはあなたの生き方を反映させるのかもしれません。そしてあなたが愛犬に割くことのできる介護のための時間とか、経済的な問題も考えのなかに入ってくることでしょう。

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 今月の初め、脳腫瘍のために安楽死を決意した女性の話題が世界中で駆け巡りました。その後同じ疾患に侵されている女性がスポーツ大会に参加している姿も報道されましたし、医師による自殺ほう助だと残念がる見方もありました。人の安楽死について、簡単に結論は出せませんし、まだまだ白熱した論議が出ることでしょう。

しかし犬や猫の重篤な疾患の治療に関しては、どのような選択をされても間違いではないと思います。飼い主であるあなたとあなたの家族が納得し、望む治療を選択するのが最も正しい方法なのだと思います。

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腫瘍・温熱療法

がんばったわんこ、ラスター君をご紹介しましょう。

 

ラスター君は予防できる予防はすべて実施していて、家族みんな、というか、お嫁に行ったお姉さんやその家族にも大変愛されていて、小さい子供たちにも大人気の幸せもののわんこです。

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ある朝、「ラスターが大変!」と言って、お父さんが連れてきてくれました。口元を中心に、被毛を赤く染めていました。ここ3日ほど食事がうまく取れなかったようです。おとなしく従順な彼の診察はテンポよく進み、毛を染めていた原因は口の中にできた腫瘍だということが分かりました。

 

腫瘍組織の一部を切り取り、専門の先生に診ていただくと、幸いにも良性の腫瘍であることがわかりました。けれど、腫瘍と本来の口の組織との境目ははっきりしていません。外科的に取るには、下顎骨も含めて全体を切り取らなければ、全部の腫瘍を取りきることはできないでしょう。そこで実施したのが温熱療法です。

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太い針を熱源にして暖めます。処置中は痛みや熱さも加わるため、全身麻酔下で行っています。

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処置後3日目。腫瘍組織が崩れてきます。口の組織でしたので、いつものドライフードではなく缶詰食にしていただきましたが、食欲も回復し、充分にたべられるようになっています。

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3週間後。崩れ落ちた組織がなくなり、こんもりと別の新しい組織に変わってきました。

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温熱療法の効果を目にする機会はあまりないと思いましたので、分かっていただけるように掲載しました。赤いお肉が見えるのが苦手な方もいらっしゃったかと思います。ごめんなさい。

    

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腫瘍・総合6

 「がん」または「肉腫」であることをみなさんにお伝えする時、わたしたちも心が痛みます。これまで愛犬愛猫と一緒に過ごしてきた時間、楽しい思い出もたくさんお持ちだと思いますし、あなたの体験から導かれることもおありだろうと想像するからです。

 

あなたの愛犬愛猫が悪性の「がん」だとわかったとき、前回ご提示したような治療法のほかにもあなたが選ぶことのできる別の選択肢があります。

積極的に「腫瘍」に立ち向かい、「腫瘍」を無くすようにしていく治療ではなく、「腫瘍」があってもそれによって動物が苦しいおもいをしないよう回避させる治療です。つまり、動物のQOLにまとを絞って行う治療です。もちろん前回おはなしした治療を選択する場合でも、①痛み、②嘔吐、③食欲不振をコントロールするように努めますのでご心配を重ねることがないようお願いします。

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ただ、このような「腫瘍には手を出さない治療法」をお話しすると、「見守る治療」であり、「何もしない治療」だと誤解されることがあります。「緩和療法」とはいえ、必要な栄養が取れなくなった場合に消化管にチューブを設置したり、あるいはどうしても確保が難しくなった自然の尿路に別のバイパスルートを作る、などの処置のために外科的な介入が必要なこともあります。また、そこまでではなくても、点滴用の血管針をつなぐこと、一般の尿路にチューブを導入することなど、内科の範囲でもいわゆる「処置」に入る内容のこともあります。生命を脅かす怖れのある嘔吐には、水分の補給や、電解質や身体のpH異常を補正するために、点滴治療や制吐剤は不可欠ですし、尿路の確保も生命存続のためには無くてはならない排泄のルートです。末期になって機能しなくなった肺の代わりに人工装置を繋ぐ気管チューブは「延命」であっても、点滴のためのチューブは、動物の身体を「苦痛から開放するためのもの」であって、決して「苦しさを長引かせるもの」ではありません。緩和療法というと、「なにもしないこと」のように思われている方もいらっしゃいますが、苦しむ動物を前にして何もしないのは「ネグレクト」という動物虐待行為にほかなりません。最後まで必要な栄養が取れるようにしてあげることも大事なことです。

 

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また、内科的に使用する薬の中には、痛みを取り除くために使用する鎮痛剤のように科学的な根拠のあるものも、ホメオパシーやハーブ、生薬などのように裏づけされた科学的根拠に乏しいものもあります。何を信じ、どのような代替療法を行うのかについては個人の選択の自由がありますが、効果に対して疑問のあるサプリメントやドリンクについては、与えられる動物の負担にならないようなものにとどめておいて欲しいと思います。

 

 

積極的な治療には、それを行うのにふさわしい時期があります。緩和的治療はいつでも始められます。むしろいつでも実施されなければいけないことでしょう。なにが正しい治療なのかは、やはり家族で話し合い、みんなが納得できる方法がみつかるといいですね。

 

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腫瘍・総合5

「手術を受けさせたいけれど身体は大丈夫でしょうか」とおっしゃる方がいるかと思うと、「うちの子は高齢だから手術はさせたくないです」とおっしゃる方もいらっしゃいます。積極派と消極派ですね。おそらく実年齢と身体年齢の問題で悩んでいらっしゃるのだろうと思います。

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麻酔をかける前に検査を実施します。これで分かることというと、

①血液検査

貧血ではないか、出血した時の血の固まる能力はあるのか、肝臓や腎臓にダメージはないのか、など。

②レントゲン検査

肺の機能はどうか、気管支に異変はないか、肺に影はないか、心臓のかたちはどうなのか、腹部の内臓に発生している異変はないかなど。

③心電図検査

心臓の能力はどうか、リズム正しく動いているのか、など。

④超音波検査

レントゲン検査だけではわからなかった各種臓器の内部構造はどうなっているのか、体内のリンパ節が大きくはないか、など。

これらすべてを実施しても、事前情報として安心できることのすべてにはならないでしょうが、中止するに足りる情報はここから得ることはできます。無理をすることはなかった、ということはここで事前に把握することができます。

 
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さて、動物も高齢になると「予備能力」が非常に少なくなってきます。若い動物であれば小さなストレスが加わっても、それを跳ね除け、再び前のように身体を働かせる「恒常性」を取り戻すことができます。しかし、高齢になると、この跳ね除けることのできるストレスの大きさ、と事前に予測することができないのです。実年齢は高齢でも、検査を実施すると青年期のそれと大差ない場合もあります。身体年齢の若々しい動物です。それでもこの「予備能力」を推測することは不可能です。悩ましいところです。「麻酔と手術等の処置を実施するリスク」と「放置しておいて訪れるであろう障害のリスク」を計りにかけるしかありません。

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ただやみくもに「痛いことをするのはかわいそうだから」と処置を回避していても、状態はもっと悪化してしまうかもしれません。しかし、「あの時だったらまだやりようがあった」、というのでは遅すぎます。思いもかけぬ事態が起こっていて冷静に判断するのも難しい状況下にあるかもしれませんが、ご家族の方みなさんが冷静になって熟慮し、腫瘍を患った家族に対しどうするのが最良の方法なのかを考えていただくのが大切なことだと思います。そして分からないことや疑問は何でもご相談いただけるとうれしいです。

 

    

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プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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