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猫の歯の吸収病巣

 118日は「いい歯の日」。犬の歯科ケアについてはお話ししていますが、猫の「歯」についてお話しすることがありませんでした。今日は猫に発生する歯の病気のことをお話しします。

 

<猫の口の中の病気>

猫の口の中の病気としては、「歯肉炎」が一番多いです。歯石と関連する歯肉炎が主です。それからウィルス感染と関連していそうな、または関連が見られない「口内炎」です。のどの奥の方と左右の頬の部分が真っ赤にただれてほんとに痛々しいやつです。その次あたりに「歯が折れた」とか「歯がない」「歯石」などの「歯」に限定されたことでの来院が多く、そのまた次あたりが「新生物」になるかと思います。新生物と言っているのは診察の段階ではまだ「腫瘍」か「歯肉の過形成」かどちらかわからないからです。

猫が口の中をそのまま見せてくれることはまれで、おうちの方もはっきりとわかっていない状況で診察に来られます。犬では「なんかくさい。口が臭い。」という来院理由のほかに「歯が汚い」を認識されていることが多いですが、猫の場合は口の中を確認されてこられることは少ないです。

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<こんな症状で来院されます>

「よだれが多い」

「食べにくそう」

「食べが悪くなった」

「やわらかいのはいいけどドライは食べない」

「ウェットフードを食べない。ドライを丸呑みする」

「口の中がおかしい」

「魚の骨でも刺さっているのか?」

「口のどこかが痛いみたい」

「水を飲んでびっくりしている」(これは痛みによるものです)

など。いずれにしても口の中に違和感を感じているようです。

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<最近多いかも。猫の歯の病気>

あらら、こまりましたね。と口を開けて見せてくれる猫さんが半分ちょっと多めくらいでしょうか。それでも一瞬のうちに判断しなくてはいけないくらいの速さで判断です。歯茎が赤い!歯肉が下がってる!(歯は歯肉に隠れて見えない)歯石がついてる!そして、「ごめん、大きく口を開けたら痛かったね。」となり、猫さんには嫌われる原因を作ってしまいました。ほとんどこの観察スピードでは「歯肉炎です」にしか診断がつきません。

猫にも歯石は付くし、それに伴う歯肉炎があって、これから生きていくだろうと思われる年数のことや現在の生活の質(食べにくい、食べるのに痛そうなど)のことを考ええると、「麻酔かけて一回きれいな状態に戻しましょう!」ということになります。ここで残りの年数を気にするのは、「麻酔までかけて得られる利益はどんなものなんだ?」という自問でもあります。(ですので、あまりに高齢になっていると、麻酔下での歯科ケアを勧めるのに悩みます。)

けれど麻酔をかけてしっかり口腔内を調べることができると、見えてくるものがあります。無麻酔の下では抵抗があってほんの一瞬しか見えなかったけれど、麻酔があればじっくり観察できますから。それに歯科器具で歯肉をツンツンしても猫が怒ってすっ飛びあがるなんてこともありません。で、発見するのが「歯の吸収病巣」(tooth resorption)です。そしてこの頃の猫の歯で、なんかこれが多いのです。

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<歯の吸収病巣?>

「歯の吸収病巣」です。これが診断名です。

昔はこんなわけのわからない名前じゃなくて「う蝕」(虫歯)と紹介していました。そのあと、これって「う蝕」ではないぞ。歯がそのまま溶けてるし。あの治療をしたのに進行しているし。ということで、「う蝕」は使わなくなりました。

そのあとは「ネックリージョン」(neck lesion)なんて言っていた時もあります。歯の頚部に病変が生じていたからこんな名前になったのかもしれませんが、日本名でいうことがなくて、そのまま「ネックリージョンです」と紹介していました。なんか不親切な病院です。すみません。

で、今は「吸収病巣」と呼ぶようになっていますけど、この先も変わるかもしれません。なんかしっくりしない名前だから。(正確には虫歯じゃないけど虫歯の方がわかりやすいかも。虫歯だって虫が食ったわけじゃないのに虫歯だよ?と思っているのは私だけかもしれませんけど。)

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<どんな病変なのか>

初期段階のものは、見た目まさしく「虫歯」様。歯の表面、エナメル質に穴が開いて凹みができています。人の虫がが臼歯の噛み合わせの部分であるのに対し、猫の臼歯はとがっていて穴は歯の側面にできています。歯にできる病巣ですから、穴と言ってもごく小さなものです。ただ、「正しくは虫歯と違います」と言っているのは、人の虫歯が酸によって表面が溶けてしまっているのに対し、猫の歯の吸収病巣では「破歯細胞」によって起こっていることです。

小さな穴の状態のものから、それが深くなって歯が折れてしまったもの、歯茎に埋まっている歯根が骨に変わってきているものなど、目に見える変化からX線検査で確認するものまであります。

 

<原因は何?>

原因は不明です。咬み方(歯にかかる力の入り具合)?、免疫学的な異常があるから?、栄養的なバランス異常?、歯周に発生した炎症から?などいろいろなことが考えられています。

 

<麻酔中どのような治療をするのか>

基本は抜歯。とはいえ、スケーリングで請け負ったお仕事。見つけ次第、何本でも抜きまくるのは気が引けます。抜かなきゃいけなそうなものは抜き、削り取ってギザギザ突起を無くす作業までにとどめるものもあります。抜いた後や、平らにした部分は表面を歯肉で覆って細い糸で縫い合わせておきます。

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<そのあとのケア>

すべて抜歯してしまうと完全治癒、ということになります。

でも全部の歯を抜いてしまっているわけではないので残る歯も同じようになってしまうかもしれない。かといって原因がはっきりわかっているわけではないので、何かをするにしても効果はわからない。

それでも、もしできるのであれば、歯磨きです。「歯の吸収病巣」ができている猫には歯石ができないという証明はないし、歯肉の炎症から来ているのか?とも考えられているとすれば、歯肉炎予防、歯磨きはやっておいても無駄にはなりません。どこまで猫さんが協力的になってくれるのかはまた別の問題ですが。

 

 

というところで今回のおはなしはおしまいです。

「歯が痛いの、やだぁ~。」は人も猫も共通です。

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歯みがきガムの正しい使い方

歯がしっかりしている犬は元気で長生きです。口腔内の健康は全身の健康につながりますので、デンタルケアにはぜひ関心を持って貰いたいと思います。

 今日ご紹介するのは歯みがきガムです。「歯ブラシも挑戦してみたけれど、うまくいかない。それでも歯はきれいなままでいて貰いたい。」というようなケアの意欲はあるのだけれど犬の方が非協力的!という場合におすすめです。

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今月の掲示板。チャート式でデンタルケアを選べます。

<まずは歯肉を健康にしてから>

いつもお話ししていますように、歯が汚れて茶色く変化してからあわてて対策を取ろうとする飼い主さんが多いのですが、すでにがっちり歯石が付いてからその上をこすってみても歯みがきではなく、歯石磨きになってしまいます。また、歯肉が赤く歯周炎を起こしている状態では歯茎に触れられると痛いので犬はいやがったりかみついたりしてきます。
まずは観察。治療の必要ありならば治療をします。そして健康な歯茎ときれいな歯に戻してから家庭でのケアは始めましょう。

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お口が臭うのはお口の中の異常があるせいかも。
まずは診察から始めます。
 

<治療後のデンタルケア予定>

歯石をキレイにした後、お願いしているのは2週間の服薬で、これによって歯肉の炎症が治まります。赤く腫れていた歯茎がぴったり平らになって色も穏やかなピンク色になります。そしてその後、インターベリーを歯肉に塗って貰います。この頃にはお口のまわりを手で触れたり、お口の中に指が入ってきたりしても痛みがないため、犬は怒らなくなっています。それからこのインターベリーの期間は次にブラッシングしていただくための予備期間でもあり、飼い主さんにも犬にもお口をいじることに慣れて貰うのも目的の一つになっています。この期間を過ぎて、いよいよ本格的な歯ブラシデビューになるわけです。

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インターベリーは口腔内の細菌数を減らす働きがあります。

 <どんなときに使うと良いのか>

しかし歯をキレイにしたし、歯茎にも問題は無くなっているのにやっぱりお口に触れられたくない犬もいますし、過去に噛まれたことがある飼い主さんの中には、積極的な歯みがきケアが怖くてできないという方もいらっしゃいます。そのような「歯石除去の後のきれいな歯をキープしたいけど歯みがきはむずかしい」というときに、歯みがきガムは有効だと思います。つまり、ブラッシングが最良の方法だけれど、それができない場合に2番目におすすめの方法です。歯石付着防止効果はあります。(あくまでも補助的な方法であることは記憶にとどめておいてください。)

「歯みがきガムならいつもやっています!」とおっしゃる飼い主さん、多いです。でも、違うのです。市販の歯みがきガム、効果についての検証を行なっているわけでもないけれど、パッケージに「はみがき」の表示だけ付けているようなのもあるわけです。なので、本当に効果があるものを選びました。おすすめガム、オーラベット(緑のガム)とベジデントフレッシュ(茶色のガム)の特徴についてご紹介します。

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一番簡単なのはタブレットや歯の処方食です。
デンタルガムによる歯みがきはその次くらい。

 <製品の特徴>
  歯垢がとれる

どちらのガムも弾力があり、歯に刺さるような感じになりますので、続けていくうちに歯垢が徐々にとれてきます。歯自体にある溝に入り込んだ汚れも取れやすいようです。歯周ポケットの中の歯垢もとれやすいです。これがいわゆる歯みがき効果です。市販のデンタルガムと名打っているものと違って、歯が折れる可能性は極めて低いです。

  口臭がへる

消臭効果に優れていて口臭が軽減されます。オーラベット(緑のガム)にはデルモピノールという有効成分が入っています。ガムの白い部分です。これは他の歯みがきガムにはないオーラベットだけの特徴がここにあります。噛むと唾液が出て、有効成分が口の中に広がり、口臭予防になるという仕組みです。
ベジデントフレッシュ(茶色のガム)にはエリスリトールやザクロが入っています。これは細菌数を減らしバイオフィルム(歯垢:プラーク)の形成を押える効果があります。そのため口臭も軽減されます。

  嗜好性が高い

多くの犬は喜んでかじります。どちらもリピーターの多い人気商品です。
オーラベット(緑のガム)はバニラの香りがします。だから噛んだ後のお口で飼い主さんをペロペロしてきたとき、愛犬のお口からはホットケーキのような匂いがしてきます。

④認定を受けた歯みがきガム

どちらも厳しい認定評価を経た製品です。米国の獣医口腔衛生協議会(歯科専門医のグループ)が推奨している正真正銘のデンタルガムになります。「VOHCAccepted」のマークが付いているのがその印です。デンタルガムとして歯科ケア研究をしているメーカーさんから出ている、もっとも信頼できる歯みがきガムになります。

⑤低アレルギー

ベジデントフレッシュ(茶色のガム)はアレルゲンになりやすい牛肉、乳、小麦不使用。植物由来原料でできていてカロリーも低く抑えてあります。 

⑥腸内環境を整える

ベジデントフレッシュ(茶色のガム)はチコリやゴボウにある多糖類や水溶性繊維が含まれていて、腸内の善玉菌を活性化させます。これは腸内フローラを調整して悪臭のガスを除去する作用もあります。

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デンタルシートという手もあります。
ガムよりちょっと難易度は高め、歯ブラシほど難しくはありません。

<投与方法・これが大事!>

噛むことにより効果が得られるため、すぐに噛んで飲み込まないようにしてください。飼い主さんが手で持って与えるのが正しい与え方です。歯ブラシの代わりのガムなのですから、これが歯ブラシなんだな、という気持ちで噛ませてください。こうして与えていると飲み込むことはありません。噛みちぎって小さくなってくると、最後の方では食べてしまいますが、きちんと消化されます。万が一、気がつかないところで丸呑みしてしまっても、胃の中で溶けます。けれど丸呑みしてしまっては歯みがきガムとしての意味が無いです。小さくカットして与えるおやつではないし、犬が勝手にかじって遊ぶものでもありません。3分間はしっかりかじらせてください。全部の歯で噛めるようにガムを持つ手で誘導していきます。汚い部分で噛めるようにしたいのであれば、汚れポイントに向けて誘導していってください。

奥歯は歯ブラシもむずかしい場所になりますが、しっかり噛んで貰うと歯周ポケットの方まで歯垢を除去する効果も期待できます。ブラシングのごほうびに使うこともできます。奥歯のブラシングがむずかしいようであれば、歯みがきガムを奥歯で噛むように仕向けていき、歯みがきの仕上げとして使うのも良い方法です。

全部無くなるまでその日のうちに与えるのではなく、毎日3分間噛んでもらいます。

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デンタルガム、デンタルシート。その次は歯ブラシです。
 

<効果が現れるのはちょっと先>

用法通りに使用し、続けていくと歯石予防効果や口臭軽減効果が実感できます。継続して歯科ケアすることが大切です。歯周病予防につながる歯科ケアのつもりで、飽きずに続けてください。もし忙しくて毎日のケアができないような場合でも、間を開けるとしたら3日までです。これは歯垢を形成しないうちの歯科ケアになります。
 
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サンプルや商品、パンフレットをいろいろ置いておきました。
手にとってご覧ください。
がんばるオーナーさんを応援します。

<おしらせ>
当院では6月4日(旧虫歯予防の日)から8月4日(歯が白いの日)まで、歯と歯茎の健康増進をする強化月間にしています。口臭の原因物質である「チオール」の濃度をチェックする検査を無料で実施します。診察後「あなたのおうちのわんこ」に最適な歯科ケアについていっしょに考えていきましょう。無理なケアはおすすめしません。つづきませんから。
歯の健康を気にしていらっしゃる飼い主さん、どうぞお越しください。

なお、「歯ブラシでの歯みがきも難しいけれど、食べれるガムを見せたらそのまま手まで噛んでしまう、怖くて3分間もガムを持っていられない」と、ガムによるデンタルケアも無理!という患者さんにも、別のケア方法もご提案しています。あきらめないでください。

 

 

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歯科治療と歯科予防・掲示板から

 猫さんのストレスと行動異常のことについてお話を続けていて、あと2回分お話を残していますが、月が変わりましたので、2月のトピックスとして、今回別のお話を挟むことにします。

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今月の掲示板は歯周病と歯科ケアについてです。

今月はナショナルペット歯科保健月間です。掲示板の内容は歯周病のこと、歯科衛生のこと、歯みがきに関するQ&Aなどです。自販機前の掲示板の他、(貼りきれないほどのボリュームになってしまったので!)診察室前の掲示板にも貼りました。ご来院の折にぜひご覧ください!

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診察室前の掲示板です。
歯みがきに関する疑問にお答えしています。

脅かすようなことになってしまうので、外来では「歯周病を放置してしまうと予後がどんなにひどいことになってしまうのか」というお話は控えるようにしているのですが、ここですと「うちのわんこに直接向けられたお話ではない」ので、心にぐさっと来ないかもしれません。ひどいお話しもしてしまいます。

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正常な歯。
この状態を維持できるといいですね。

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軽度の歯周病になってしまった状態。
炎症を抑えてから歯みがきを始めてください。
  
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さらに進んだ歯周病になっている状態。
歯科治療をしっかりしてからおうちケアを始めましょう。

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重度の歯周病。
歯が汚れているを通り越して、全身に影響が及んでしまいます。
すぐに治療が必要です。


歯は歯槽骨に植わっています。歯周病により歯のまわりが菌に冒されると骨を溶かしていきます。そしてもろくなった骨は砕けて折れてしまいます。そうなんです。歯周病は最終的には「額骨の骨折」を引き起こしてしまうのです。

歯周病は、「ぐらつく歯があるために食事がうまく進まないので身体がやせてしまう」くらいに思われているかもしれませんが、歯周病菌が血液に乗って他の臓器にたどり着き、そこで悪さを起こすと、それぞれの器官で不良を起こさせます。「歯が悪い」ということが「ほかの病気」を引き起こすのです。それから、免疫系は絶えずこの菌が体内に入ってくるのを防御しようと頑張るために、ピリピリした状態になっています。免疫に関する病気も誘発することがあります。とにかく「歯」だけに終わらない問題だということを分かってもらえるとうれしいです。

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歯みがきは思いついたら始めるなんてことできません。
まずは悪いところの治療を行います。
痛いうちは何もできません。
痛みが消えたころから
少しずつならしていきましょう。
 
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お口を開けても問題が無くなったら
少しずつ指で歯みがきをします。

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最終目標は歯みがきをできるようにすること。
歯みがきペーストを使うのがコツです。


今月はまだ閑散期で、予約の歯科処置がとりやすい状態になっています。場合によっては平日の午前に朝ごはん抜きでいらしてもらうと、当日、処置ができる日もあるかもしれません。「歯が汚いのは分かっているんだけど、どうしたらいいのか分からない」という患者さん、多いです。もののついででも結構です。ご相談ください。
「歯みがきしていないのが恥ずかしい」ということもありません。忙しくてできない、わんこがすごい勢いで怒るからできない、みなさんいろいろな事情をお持ちです。そして、どういうわけか「うちではどうにもならない!」というわんこが病院だと「歯科処置させてくれるよい子」であることがあります。そんなお話もご遠慮なく診察室でぶつけてくださって結構です。いろいろなお話をお伺いします。

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お口を開けるのも難しい!
そうういうわんこのためのファーストステップもご紹介しています。

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口腔内細菌を減らし、歯肉の炎症を抑えていく薬。
歯みがき前の練習にもおすすめしているお薬、
インターベリーの説明もしています。

 

当院は「普段着のままで」「お化粧しなくても」来られる病院を目指しています。イケメン先生はいませんが、ぶっちゃけ話ができるスタッフがそろってお迎えしております。「歯が汚くて恥ずかしい」なんてことは気にしなくてOK。ほかの診察の合間でも、心配な点がありましたら遠慮無くおっしゃってくださいね。

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インターベリーαさらにその後

 インターベリーα3回目。さらにその後のご報告。

 

インターベリーを使って、なんとか口腔衛生ができないものだろうかと、引き続き頑張っておりました。

最初のブログ
http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-835.html
で商品について紹介しました。ただ、適応になっているのは生後6か月齢から12か月齢のいわば幼犬。これじゃ使い道がないではないか、ということで
2回目のブログ
http://heartah.blog34.fc2.com/blog-entry-857.html
で、一番使ってみたい歯磨きをしない高齢期の犬で試したらどうなったかをご報告しました。結果は、ちょっと無謀すぎでした。そのような経過で、今回は、中高齢の犬の歯周病を一度完全にリセットしてから使ってみて、その結果どうだったかをご報告します。

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<麻酔しないでキレイに処置してから始めました>

今回、ご紹介するわんこたちは年齢も歯石の付き方もそれぞれ、まちまちでした。ですが一つだけ共通すること。性格がおとなしくて、お口をずっと開けていられて、何をしても怒らないわんこたちでした。だから普通だとできない歯の裏側(内側ともいいますね)まで、麻酔なんかかけないのに、麻酔かけたのには劣ります(そりゃぁ、全く同じってのは無理ってもんです。)が、それなりに驚くほどの美しさを取り戻すことができました。

そして、歯周病菌が身体を巡って悪さをするといけないので、処置後2週間ほど抗菌薬を内服してもらいました。そしてさらにその後、インターベリーαを能書に従って、1週間に2回、5週ほど継続してやってもらいました。

 

麻酔もかけずに歯科処置をすると、歯科専門の、または歯科を得意とする獣医先生諸氏から「そんなことするやつがいるからだめなんだ!」という怒り爆発、お叱りの言葉の嵐をザブザブかぶります。ですが今回はあえて内緒にしておきたいそこのところをお知らせしてしまいましたが、そんな処置から始めて、このインターベリーはどのくらいの仕事をしてくれるのだろうか、というその結果を見てみたかったわけです。もちろん顎の骨が折れそうなほどぐずぐずになっているような「重症」のわんこは、麻酔での無痛歯科処置をさせていただいています。

 

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<結果は写真でどうぞ>

処置前のお口の写真はどれもためらわれますから、あげません。ですが、年齢が 歳、推して知るべしの様相でした。

どのわんこの飼い主さんも、「歯ブラシを使って毎日磨くのは無理だけど、週に2回、指で1~2回歯茎をこするくらいのことはできますよ」といって治療に参加してくださいました。そこそこたくさんの方たちにご協力いただいています。

歯科処置から数ヶ月経過して、まだ投与期間中の歯を載せています。無処置ですと、同じ期間経過したときに、このような状態を維持できていることはあまりありません。2週間で歯が黄ばんでくるのが普通です。

というわけで、以下、わんこたちです。いや、わんこたちの歯です。

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 クルル2

ビッケ左


ビッケ右 

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 ?3

 ロッキー 


<結果は予想以上>

1回歯科処置をして、その後のケアができていないと、数週から数ヶ月経過した頃には、「まぁ、こんなもんだよなぁ」という「せっかくあのときキレイにしたんだけどなぁ」という残念な結果になっていることが多いのですが、なんと、ほとんどのわんこは、というか、ほぼ全頭のわんこで、処置直後と同じくらいの健康的な歯肉が保たれていました。驚きでした。次のわんこも、その次のわんこも同じだったので、これはなかなか良いではないか、ということでご紹介することにしたんですけれどね。

アフターばっかりでビフォーの写真がないと信じられん、という方は、まぁしょうがないですが。

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<ここまでのまとめ>

せっかくお金をかけて歯科処置したのですから、その後はなんとかおうちでもケアしましょう。これまでは歯が痛くて触らせなかった、ということもあるでしょうが、歯科処置をすると、痛みがなくなり、違和感が消えることから、おうちケアをさせてくれるようになることがあります。これまではできなかったケアができるかもしれませんから、がんばって再チャレンジしてみてください。

そのときのおうち歯科ケアは、もちろん毎日の歯ブラシかけが一番いい方法ですが、異物を口に入れられるのが嫌いなわんこにも、飼い主さんの指、それも甘い薬のついた指であれば喜んで受け入れてくれることも多いです。

 DSC01557.jpg

 

<課題は>

インターベリーα投与が済んで、10か月は何もしないで大丈夫、というのが能書ですが、本当に10か月間も何もしないで口腔内の衛生は保たれるのでしょうか、ちょっと心配です。投与中の歯と歯肉がきれいなだけに、そして、せっかく指を入れても大丈夫、という習慣がついただけに、このまま放置するのはもったいない気がします。

それで投与期間が過ぎても、まだ時間的な余裕があるようでしたら、継続して歯科ケアをお願いします。本当のところ、どうなのでしょう。サボっても大丈夫なのでしょうか。試してみたい気もしますが、大事なのはわんこの口腔健康。私の興味なんかじゃありませんよね。

 

ちょっと間が開きましたが、今日はインターベリーαのその後についてご報告しました。

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インターベリーαその後

 歯科ケアのおはなし、再びです。

 

遅くなりましたが、今日は1ヶ月間インターベリーαを使ってみてのご報告をします。

このお薬の特性については前にお話ししました。

適応は、若い犬で、そこそこ歯がきれいな、いえ、歯周にあまり問題の無い犬が対象になっています。けれど、歯周病を何とかする薬を欲しているのは歯周に問題が発生している中高齢の犬でしょう。歯肉炎のグレードが結構高くなっている犬でなんとかならないか、救世主になってはくれないのか、というところが飼い主さんの本音かもしれません。

そこで、かなり無謀な挑戦かもしれませんが、適応外にあたる犬で試してみましたので、報告しますね。

<試みの方法>

インターベリーαそのものの効果を知りたかったので、いくつかの決まりごとを作りました。

今回の調査の間はインターベリーαを週に2回歯茎に塗るだけで、ほかの歯と歯茎の健康のためのことは何も行わないことにしました。チューも与えませんでした。t/dも中止してみました。もちろん歯磨きも、口腔洗浄も行いませんでした。普通のドライフードを与え、食べさせっぱなしにしたわけです。歯のお手入れができないわんこに良くあるパターン、そのものをしてみたことになります。

試してみたのは10歳を過ぎた高齢の小型犬4頭です。3頭は歯周病のグレードが3で、残る1頭は歯周病のグレードが2でした。グレード2の犬は日常t/dを食べていましたが一般の小粒食にしました。

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こんな感じで塗りつけます。

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別段嫌がる様子は見られません。


 <与えている時のかんじ>

はじめは口を開けることにこわばりがあった犬も、次第に抵抗なく塗布させるようになりました。口の中に指を入れても怒らず、普通に塗らせてくれました。甘いみたいで、投与中に何度もぺろりん、ぺろりん、と舌舐めずりしていました。

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処置が終わるとぺろりん、舐めまわします。
 

 

1カ月が終わって>

グレード3の犬たちには、ほとんど変化はありませんでした。

グレード2の犬は歯肉にやや赤みが差している感じがしました。少々炎症があるようにも見えました。

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投与前、左側の門歯と犬歯です。

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投与前、左側の臼歯です。

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投与前、右側の犬歯と臼歯。

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投与後の左側。

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投与後の右側。

  

 <結果から考えられたこと>

やはり歯科ケアは「1日にしてならず」です。「週2回の手間で高齢犬の歯肉をきれいに保たせよう。そのあとの10か月は何もしないで済ませられたら素晴らしい。」というのは虫が良すぎるお話でした。

すでに歯周炎がひどくなっている場合はインターベリーαをにわかに付け焼刃のように使用しても十分な効果は得られないようです。

 

ではインターベリーαは高齢の犬にとって全く無意味であったか、といいますと、これは別の意味で効果がありました。インターベリーαが甘くてお気に入りになった様子で、口の中に指を入れることに抵抗を示さなくなったのでした。「お母さんの指=甘いもの=いいこと」という印象付けになったのです。歯磨きに向けての第一歩は口の中に指を入れても噛みつかないことですから、歯磨きのきっかけに成功したと言えるでしょう。 

<もうひとつの発見>

もうひとつの発見です。t/dはすごくいいフードだと再確認しました。t/dを食べていた犬は、ほぼ同年齢の他の犬に比べ、歯ぐきの状態がなかなか良いです。t/d以外の歯または歯肉の健康のための商品を使ったことはなくても、歯と歯茎の健康を心配して来院されるたいていの犬に比べ格段に若々しい歯肉をしています。そして、インターベリーαのようなお薬によらなくても十分きれいな歯と歯肉を維持することができていました。これは続けるべきです。それから、もし麻酔によって歯科スケーリングが済み、投薬等により元の歯肉の健康を取り戻すことに成功したのであれば、この後そのままの状態維持のために処方食t/dに変更した方がいいと思います。

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<歯と歯茎のケア>

さて、歯科スケーリングを行っても歯磨きの習慣がなければ歯垢が付くし、付いた歯垢はやがて石灰化してすぐに硬い歯石に発展していきます。もちろん一番良いのは日々のブラシングですし、歯磨きができないまでも、少しずつ指に巻きつけたガーゼなどでこすることができればそれも良いかもしれません。

ただ、すでに歯肉の状態が悪くなり、痛みのためかどうしてもおうちでの口腔ケアをさせてくれない犬、しようと思うけれど興奮してしまい心臓が悪いとかで咳き込んでしまう犬の場合など、高齢の犬におうちで歯磨きを実施するのはとても困難な犬が多いのも事実です。それでその他に何か方法はないだろうか、というのが課題になってきます。

<こんな方法は?>

「ラクトフェリン」は人でその効果が認められています。歯肉の健康のほか、ダイエット系の効果も知られていて、人気があります。動物用には「森乳サンワールド」から「ラクトフェリDX」の名で出ています。使い方はインターベリーαに似ています。少量の微温湯で溶いて歯茎に塗ります。舐めさせる感じです。こちらは連日の投与で、休薬期間のない投与になります。写真はありませんが、歯石クリーニング後の歯肉の健康のために、(歯磨きをしなかったにもかかわらず)なかなかの状態を維持できていました。健康補助食品として考え経済的なことは無視でき、手間もかけられる飼い主さんにはとても良い方法だと思います。ただし中期の健康であって、長期にわたる歯肉の健康についてはこれだけでは不十分かと思われます。定期に歯科スケーリングをするのであれば良いかもしれません。

<さらに手間のかからない方法は?>

現在、歯科ケア外来で行っているのは、日常おうちでは何もしないけれど、病院に来た時に毎回歯磨きをする方法です。2週間ごとに来ていただいています。残念ながら、「小柄で多少暴れて怒ったりしても普通レベルの保定で口の中を触らせてくれる犬」に限られています。この方法ですと、食べカスが付いてきてもブラシで掻き取り、水で流すことができます。ここではこうされるものだ、という覚悟ができるせいか、徐々に慣れてくるようで、歯垢が歯石に変わる前に軽くスケーリングもできるので歯肉の状態は悪化しません。2週間ぐらいが限度のようで、これ以上間隔が開くとがっかりするくらい歯垢が付着してしまいます。犬の方の条件が付きますが、月に2回程度の頻度なら病院に連れて来る手間はなんとかなる、という飼い主さんには良いかもしれません。

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<素晴らしい例>

歯科ケアは手間がかかります。やはり若いころからの習慣づけが一番です。これまでの診察の中で最も感心したのはお子さんの教育を兼ねてお母さんが犬の歯磨きを行い、お子さんも同じ時間に自分の歯を磨くという習慣をとったものでした。犬の歯磨きを目的にすると、面倒になるとさぼります。しかし犬の歯磨きをうまく利用すると、別の目的を果たすことができます。この犬の場合は、その後お子さんが成長してからも彼が歯ブラシを片手にすると、自分も歯磨きをしてもらうものだという感覚で、いっしょに洗面所に行ってお座りして待つようになったそうです。

こんな風にできるのは理想ですね。 

<まとめです>

もし若い犬で、これから頑張る!という覚悟があれば、導入として甘いインターベリーα塗布から始め、指サック磨きから歯ブラシへ進めていくのが良いでしょう。

中高齢の犬だったら、一度スケーリングをし、これまでの歯と歯茎の状態を一度リセットしてから始めると効果的だと思います。

そしてそれにt/d食を組み合わせたら最強でしょう。

歯茎に問題があるときの補助としてラクトフェリは有効です。手間が掛けられる飼い主さんでしたら、こちらも歯茎の状態が安定するまでの補助に加えてもらうと良いと思います。

どの方法も飼い主さんに手間をかけさせるものです。手間無くしてきれいな歯と健康な歯茎を手に入れる方法はありませんが、最低限の維持はしておきたいかなという場合は、定期的に病院でブラシングするのも悪くはありません。

 

 

長くなりました。このへんでご報告をおわります。

続いてのご報告はまた次の機会に行います。

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ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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