地震とストレス

地震関連のニュースが連日流れる中、この地域では当日の揺れとしばらくしてからの静岡県での地震に伴う揺れくらいしか大きく体に感じるものはありませんでした。けれど、津波による被災地の映像を目に焼き付けてしまったのは、一つの心的ストレスになっているらしく、静岡を震源として夜間に起こった揺れは同じ震度であったようですが、つよい恐怖心を煽られました。

 

この地震で犬猫はどうだったでしょうか。じつはこの地震の起こった2~3日後に「嘔吐」を主訴とする猫が数頭来院されました。幸いどの子もほんとに軽く一過性のもので、翌日からは食事も摂れ、嘔吐もなく過ぎました。

 

よく猫の毛玉性嘔吐に関しては「生理的なもの」とか「少し胃の動きが悪くなっているだけ」などと言われます。TVで某ペットフードメーカーが、猫の毛玉吐きや毛球による腸閉塞を予防するための維持食をCMで流していましたが、少々理解が違うように思いました。草食性の牛と猫では食道と胃を繋ぐ噴門部のつくりが違います。私たちだって嘔吐するのは苦しくつらいことです。そしてそれが習慣にでもなれば食道は逆流性食道炎をおこし、回復が難しくなります。なにせ胃は胃酸の作用でpHがとても低いのです。上皮細胞の形状も胃と食道とでは違っています。よく目にすることはあるけれど、やはり健常な動物で起こることではない、と理解してください。そして猫ではこれがストレスの影響を受け易いのだ、ということも一緒に伝えておきます。

 

さて、地震、津波、原発の事故と怖いことが続けて起こっています。そこへさらに交通事情の悪化があり、計画停電が実施され、追い打ちをかけるようにガソリン不足、トイレットペーパー、水の不足なども相まってしまいました。直接被害を受けた地域以外の方たちも広い意味でのQOL(クオリティ オブ ライフ・生活の質)の低下が起こりました。人がストレスになっている時、これを敏感に感じ取るのは、飼い主さんを信頼して生活している動物たちです。もちろん、彼らもいつもと違う非常事態を感じています。そこに拍車がかかるのです。

 

ここ愛知県では被害はなく、何一つ不自由なく暮らしているのが申し訳ないほどなのですが、それでも1回の地震で体調を崩してしまう猫ちゃんがいるわけです。

 

どうぞ、この事態に傷ついているのに表現ができないでいる動物に気付いてあげてください。そしてできるだけ可愛い動物たちには平常心で接してあげてください。HAB(ヒューマン アニマル ボンド・人と動物との絆)は思っている以上に強固な関係です。心が沈んでいらっしゃる飼い主さんもたくさんいらっしゃることかと思います。被災地の方を思うと笑っていてはいけないような、余暇を楽しんではいけないような複雑な気持ちにもなります。けれどあなたを頼りにしている動物のために、どうぞあなた自身が元気を出してください。

 

動物とは自分が悲しいときに力をもらい求めるだけの関係や、自分の調子のいい時だけ遊ぶ相手という関係ではなくて、お互いに癒しあえる存在であってほしいと思っています。

 もちろんこころの問題の表れ以外でも胃腸障害、肝疾患、腎疾患その他で嘔吐症状は出てきますので、「吐いた」⇒「優しく接したら治るだろう」の短絡的回路はやめてくださいね。

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