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グルーミングの利点

5月の声を聞くと冷える日もなくなり、愛犬のアンダーコートが浮き上がってきたのが気になってきてお外のわんこにも「シャンプーしようかな」という気になってくれるみたい。

実はたまのシャンプーよりも大切なのが毎日のグルーミングです。グルーミングというのは聞き慣れない言葉かもしれません。グルーミングは「毛づくろい」に当たる言葉です。お手入れ全般を意味します。具体的には毛玉をといてなくすこと、アンダーコートをブラシングしてすっきりさせること、爪のお手入れ、足裏のはみ出た毛の処理、顔まわりをすっきりさせること、肛門まわりの毛のあしらい、耳毛の処置などいろいろを含んでいます。トリミングはこれらを行なった上で、被毛のカットが入ります。愛犬の美容に携わるプロを「ペットトリマー」さんと呼んでいますが、「グルーマー」さんと呼ぶ国もあります。

グルーミングは病気の予防に繋がります。また躾の面でも大変意味のあることです。今日はグルーミングで得られる利点をお話しします。

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    皮膚に関係する病気の早期発見ができます。
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 全身の毛をといていくと、皮膚に寄生するノミやマダニを見つけることができます。さらに皮膚炎や皮膚にできた傷、皮膚の腫瘍を発見することもあります。グルーミングを毎日やっているとそれだけ病気の早期発見につながることになります。ことに、もこもこの冬毛がそのままになっていると蒸れて皮膚炎を起こしやすくなっています。細菌が繁殖してじくじくになる「急性細菌性皮膚炎」は、はじめは小さなかさぶたがくっついている程度なのですが、知らずにいると皮膚炎の面積が広がり、痛痒さから犬が掻いたり舐めたりしてさらに悪化させてしまうこともしばしばです。早いうちに見つけられると皮膚炎の治りも早いです。そもそも、きちんとグルーミングされていると急性湿疹になることは少ないように思います。

    他の病気の発見もできます。
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そこいら中の毛をといていくと皮膚の異変だけで無く、眼や耳、陰部や肛門まわりの異常なども早く知ることができます。もちろん口唇まわりを処理していれば自然と口腔内の異変、口臭があることや歯石が付いていること、ほっぺに膨らみがあることなどの発見にもなります。特に耳の毛の処置は外耳炎の発生を知ることができます。耳の中に毛が生える品種(コッカスパニエルやシュナウザー、シーズやプードル、マルチーズなど)では常に耳の中の毛を抜いて風通しを良くしておくと耳の病気になりにくいという利点があります。

    皮膚の血行促進作用があります。
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毎日グルーミングをしていると皮膚の血行が良くなり、皮膚も清潔に保つことができます。抜け毛も減ります。抱っこしたときに衣服に犬の毛が付くのも押えられ、また部屋のお掃除でも毛が減ります。

    床滑り対策ができます。
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足裏のパットの間からはみ出た毛をカットすると、床で滑って足や腰を痛める心配が減少します。特にいきなり全速力で走ったり、急ブレーキをかけたり、急な方向転換をするアクティブな犬、椎間板疾患を患ったことのある犬、手足が細長く骨折しやすい犬には有効なお手入れです。

    爪折れによる事故、爪伸びによる事故を防げます。
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長くなっている爪は、どこかに引っかけて根元から折れて出血してしまうことがあります。また丸く巻き爪のようになった爪の先がパットの皮膚に食い込んで腫れを起こすこともありますが、定期的に爪を切ってお手入れしてあれば、そのような爪関連の傷から愛犬を守ることができます。

    肛門腺の処置で破裂を防ぎます。
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肛門腺は定期的に絞っていくと大きく腫れることがありません。大きくなりすぎて破裂させ、肛門脇の皮膚に穴を開けることもないです。また短い間隔で処理していくと、犬は溜まった感じがしないので、床でお尻をすることがありません。床に肛門腺をこすりつけられるとお部屋がなんとなくもわ~っと肛門腺のニオイになってしまうことがあります。お部屋も衛生的です。

    顔まわりが衛生的になります。
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目の上の毛をお手入れすると、眼の中に毛が入るのを防ぐことができます。額部分の毛が伸びて顔にかかり眼に入り、角膜を傷つけていることがあります。角膜損傷です。また結膜を真っ赤にさせてしまうこともあります。結膜炎です。出てきた目やにが目の下に付いて常に涙で濡れていると、目頭から鼻にかけて湿性の皮膚炎を起こすこともあります。顔まわりのニオイはこの皮膚炎が原因になっていることも多いです。これらはこまめなグルーミングで解消することができます。

    かわいらしさが維持されます。
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かわいいわんこは愛されわんこです。いつもみんなに愛されるわんこでいると犬も幸せです。

  躾と信頼の絆効果があります。
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犬がいやがっても「これはやります」というのは躾の部分で重要です。どこを触っても怒らない犬に仕上げると、動物病院に来院されたときにも身体検査のときに念入りにチェックすることができます。ちょっとした処置でも苦痛無くさせてくれますし、犬自体もそういう姿勢をとることを苦に思わなくなるので変に力むこともなくすべてがスムーズです。おうちの人に身体を任せることができる愛犬はグルーミングタイムがリラックス効果の得られる時間になるはずです。

 

以上がグルーミングから得られる効果です。でもそうとはいえ、おうちでできることには限界があるかもしれません。爪切り処置や足裏の毛のカット、肛門腺処置に、肛門まわりの毛のカット、顔まわりの毛のカット、耳毛の処置と耳のお掃除などは、診察時間内にご希望いただければいつでも対応が可能です。目立ったアンダーコートをグルームすることもできます。預かりの予約美容とは違い、診察時間内に行なう処置ですので、時間に限りがあることはご容赦ください。

 

<猫さんの場合>

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猫の場合、どうにもならない毛玉を作って、それを広範囲に広げ、知らないでいるうちにうんちが毛について肛門をふさいでしまうというところまで発展させてしまうことがあります。特に長毛種の猫に多いトラブルです。毛玉ががっちりまとまってしまうと櫛やブラシで対応することができません。バリカンで処理するしかありません。猫は家電製品の音が大嫌いです。慣れている猫はおとなしく刈り込みに協力してくれますが、肛門部がただれて痛いようなとき、じっと静かに耐えろというのも気の毒です。また猫も高齢になってくると皮下脂肪が減り、皮膚も薄っぺらくなってしまうため、バリカンで皮膚を傷つけてしまうこともあります。静かにすることができない猫ではこのようなグルーミングのために全身麻酔に頼らなくてはいけないような事態になってしまいます。
 定期的な健康診断等を受けていない猫さんにいきなり処置のための全身麻酔をするのはリスクがありすぎです。(こちらとしてはスリルがありすぎです!)日常のお手入れを欠かさずにいれば防げることですので、ぜひグルーミングを怠らないようにお願いします。


愛知県では「麻しん」の発生と広がりが話題になっています。空気感染するため、ワクチン以外の防御は難しいのです。犬や猫には「麻しん」は感染しませんが、頼りにしているご家族が感染してしまうといけません。ご注意ください。
それから、以前「犬ジステンパー」はこの「麻しん」に例えられていたのを思い出しました。伝搬様式が似ているからなのかもしれません。お手元にある「愛犬のワクチン記録」がもし古くなっているようでしたら、追加接種を受けてください。



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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

シャンプー方法、知っていますか?

暑いと感じる日もある今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
わたくし、うちの猫をこの前洗ってもらったばかりなのに、抜け毛が気になっています。衣替え前の紺色の制服はいつも猫の毛だらけになってるような気がしてきました。時期ですかね。

さて、本日はおすすめシャンプー法について書いてみます。プロの手順をおうちでも実践してみましょう。

1、毛をときます。
毛玉になっているところも、そうでないところも皮膚を見ながらブラッシングしていきます。皮膚に異常が無いか、ノミやマダニの寄生は無いかも一緒にチェックします。ここが結構時間がかかるところです。足裏のパットの間から出ている毛をバリカンで刈ります。顔スリが必要な犬種ではこの段階でバリカンを使ってきれいに剃っていきます。

2、耳の毛を抜きます。
耳垢汚れは無いかチェックします。

3、爪を切ります。
爪周囲に炎症が無いかをチェックします。

4、湯で毛を濡らします。
人肌より少し高めの温度。腕の内側にあてて、熱いと感じないくらいが適温です。地肌が見えるくらいまで濡らしていきます。

5、シャンプーします。
濃いものは半分くらいに薄めてのばしやすくすると使いやすいです。身体の外側(背中や脇腹など)に続いて腹側や首、手足、頭、顔、尻尾など全身にシャンプーをのばして洗います。途中で肛門腺を絞ります。

6、すすぎます。
一度、汚れを落とします。頭から尻尾の先まで初めのシャンプーを落とします。

7、二度洗いをします。
5と同じようにシャンプーをかけてのばします。今度はしっかり泡立つはずです。薬用シャンプーではここでの泡立てとごしごし時間が10分程度とれるようにします。目の下、鼻の上、耳、顎の下、指の間など洗い落しし易いところも念入りに洗います。

8、すすぎます。
シャンプー落としが悪いとあとで皮膚を痒がります。しっかり落とします。落ちにくいところはお腹の下、顔、股の間です。

9、リンスまたはコンディショナーを使います。
ざっと身体にかけて馴染ませ、少し時間をおいてからすすぎます。

10、すすぎます
しっかりすすぎます。

*皮膚疾患で保湿剤を使う犬は9-10なしで、8の後に保湿剤のスプレーをするか、11の後に滴化剤を使います。

11、タオルドライします。
何枚か使ってしっかりふき取ると、この後のドライヤー時間を短縮させることができます。

12、ドライヤーを使って乾かします。
同時にコーミングしていきます。上手にくしを使って乾かしていくとダライヤーをあてすぎることなく毛がとかれます。洗いながらにできてしまった毛玉をほぐしていきます。

13、最後の仕上げです。
足回りの長い毛をカットします。肛門周りの気になるところも整えます。目の下、顔周りのカットも行います。カットした後は軽く風をあてて、切った毛を飛ばします。

はい。出来上がり。

結構、大変なんですね。カットの必要な犬種ではさらに身体や顔のカットが続きます。

「前の犬は毛が長かったから大変だったけど、今度の子は私一人でもできるから」と自己流でやっていらっしゃる方もいるかもしれません。最後に、失敗だらけのシャンプーについて挙げてみます。こんな失敗だけはしない様に、お願いします。

失敗その1
ブラッシングもしないで、やみくもに洗ってみました。
その結果、もっとほぐれない強固な毛玉が形成されました。
濡れると毛玉になり、どうにもほつれなくなります。後からたっぷりリンスで仕上げてもブラシは通りません。せっかくきれいにしてもらったようでうも、場合によってはバリカンで全身を刈り込まなくてはならない事態になってしみます。

失敗その2
毛玉があるところをハサミでジョキジョキ切りました。

その結果、皮膚まで切ってしまいました。
あまりに毛玉になっていると皮膚と毛の境目が分かりません。注意深く見ていないと皮膚まで切ってしまうことがあります。

失敗その3
面倒なので乾かさないでそのままにしてしまいました。

その結果は急性湿疹。
きちんと乾かさないでおくと皮膚炎になってしまいます。皮膚表面にいる細菌が活発に増殖して膿をもったようになることもあります。

失敗その4
暑い日なので洗った後で、すぐに乾くだろうと外に出しておきました。
しばらくして外に出てみると犬がはぁはぁ、熱中症にかかってしまっていました。表面の毛は乾いていましたが皮膚に近いところで湿度だけ高くムレてしまったようです。

失敗その5
ただ洗って乾かすものだと思い、他のケアはしませんでした。

その結果、お尻に大きな穴があいてしまいました。肛門腺処置をしなかったので破裂するまで気が付きませんでした。

失敗その6
耳毛ケアはさせてくれないので、そのままにしました。

その結果、耳の中の毛は伸びて、じくじく。耳垢も溜まり外耳炎をひどくしてしまいました。

失敗その7
爪を切らせてくれないのでそのままにしてしまいました。

その結果、長くなってしまった爪が根元で折れて大出血。狼爪といわれていた親指の爪は丸くなって生え際の皮膚にくすがって化膿してしまいました。

さて、6月5日(土)午前10時からおすすめシャンプー方法についてセミナーを開催します。ここを読まれるよりも、もっと分かりやすいかもしれません。みなさまのご参加をお待ちしています。
プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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