無駄吠えと声帯切除手術

先日、こんな記事が目に留まりました。

犬の声帯手術はかわいそう?
しつけ意識向上で減少
共生のための選択肢

こんなタイトルで、全文はこちらです。↓
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120216/trd12021608150001-n1.htm

当院では無駄吠え、吠え癖はしつけと行動療法で治療することをお願いしています。
時々、集合住宅でのご近所とのトラブルでご相談を受けます。
お隣に生まれたばかりの赤ちゃんが、受験生が、夜勤のお父さんが、、、
それでおそらく苦情が来るのでしょうね。
たいていのご家族はぎりぎり、追い詰められてからやってきます。

手っ取り早く、安く、と考えるあまり
「吠えると電流の走る首輪」
とかいう動物虐待セットを購入しようとなさる方もあります。

「ここで声帯の手術をしてもらえなかったら安楽死する」
なんて、勢いで詰め寄られたりもします。

老齢の痴呆で夜間に遠吠えしてしまうような犬だと
「睡眠薬ください」
というようなこともあります。


犬の無駄吠えに対し、既に長い経過をたどっているため、
「行動療法としつけし直し」をご提案するのですが
なにせ即効を求めていらっしゃる方がほとんどです。


「犬が鳴くにはわけがある」

これを基本の考えとしている我々としてはとても悲しいことです。
そう手っ取り早く、ついてしまった悪癖を直せるはずもありません。
ご理解いただくまでに軽く1時間はお話に費やすことになります。
が、失敗に終わることもあるのです。

その後、来院されることがなかったあのわんこは、どうなってしまったんでしょう。
心が痛みます。



声帯切除手を行うと、「バウバウ」とか「ぎゃんぎゃん」の鳴き声が空気の漏れ出るような「はうはう」という音に変わります。
確かに静かになり、犬自身は声を出しているつもりでもあるし、手術時だけの違和感で終わるかもしれません。
肯定派の先生は受けて下さると思います。

話は古くなりますが。。。

私が研修をしていた病院は、当時はまれな口腔アプローチによる声帯切除手術を実施していた病院でした。皮膚を切らずに手術する方法です。この手術ができるのは電気メスのおかげで、大変高価な機械でした。もちろん、今でも、ですが。研修先の病院は多頭飼育をされているオーナーさんが多くて、そこそこ都会だったために、鳴かないようになるこの手術は重宝されていました。

あるとき、犬同士の喧嘩で、とてもひどい状態になった犬が運びこまれました。全身かまれ傷で、血だらけです。どうしてこんなになるまで、と愕然としました。ほんとにひどい傷を負っていました。幸い命は取り留めましたが、長期入院をしなければならないくらいの重傷でした。飼い主さんに事情をお伺いし、納得しました。

「全部の犬に声帯手術をしていたから、これだけのひどい騒ぎが起こっていても、誰の声も聞こえなかった。」

静かな環境を作るための手術は結果としてこんなことになってしまったのです。

研修終了時に、院長秘伝の声帯切除手術の手技を伝授してもらえるのが、その病院の慣わしでした。研修の終了を翌月に控えた私も教えていただきました。でも、そのノートはそのままにしてあって、その後一度も開くことはありませんでした。


愛犬の吠え癖、無駄吠え。
そのままにしておくと、どんどん悪化するばかりです。
早めにご相談下さい。


個々の事例により、犬種特性や家庭の状況等により、指導方法が異なりますので、ここでは「こんなふうにしたらいいです」というアドバイスは出来ません。ごめんなさい。

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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