点眼方法

 眼の病気はいろいろありますが、
どれにも共通して「目薬をさす」という
普段とちがうことをしていただかないといけません。

初めて点眼するのは、大変ですね。
いや、初めてじゃなくても大変です。
投薬する側だけではなく、投薬を受ける側の
動物にも慣れてもらわなければいけません。

例えば、感染を受けた角膜疾患では
2時間おきに点眼する必要があります。
飲み薬は1回飲むと6時間とか8時間とか
それなりに血中濃度を維持することができますが
局所における薬物濃度を維持するには
点眼回数を増やしてもらうしかありません。

とにかくやってもらわないことには治りません。
実践あるのみです。


これは悪い例。動物の顔、真正面から手をかざしています。
大きな手が目の前に来るのは動物にとって怖いものです。
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動物と対面していても、点眼する手は頭上に持ってきます。
上から点眼液を落下させるように点眼します。
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同じ動作をしているところです。別の角度から写しています。
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柴犬のように皮膚にたるみがない犬では
左手で頬の皮膚を口の方に押し下げるようにして
眼を広げ、点眼します。
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猫の場合も同様です。
目薬を持った手は頭の上におきます。
ぐーに握った小指の部分を少し後頭部に向けると
自然に眼の上の皮膚が後ろに行きますから
眼が開くかたちになります。
無理に左手で頬の皮膚を下げなくても大丈夫です。
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別の角度から。
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左手にコットンを持っているのは
流れ出す点眼液を受けるためです。
頬の皮膚が濡れてそのままになると
皮膚炎を起こしてしまいます。
その場で拭いてください。

また、点眼はひとりで行うのは無理な場合が多いです。
ご家族みなさんで協力し合って、
喧嘩なさらないように、行ってください。



では。健闘をお祈りいたします。












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涙のおはなし3・その他のKCS

うちの子、ずっとシクロスポリンの点眼液をさしているのに輝きがもどってこないの、という場合があります。

 

わかっています。点眼をサボっているわけでもないし、要領が悪くてうまく目に入っていないわけでもないですよね。それでも心配で、この決して安価ではない点眼を続けるのには心配が出てくるというものです。

 

シクロスポリンが効かない理由。それはあなたの愛犬の目は「免疫介在性の乾燥性角結膜炎」ではないからです。乾燥性角結膜炎の原因は「免疫介在性」がとても多いわけですが、残念ながらそれだけではありません。原因が違うと、うまく反応しないだろうと思います。

 

いくつかあげてみます。

①腺房形成不全です。片目だけの場合が多いです。犬種としてはヨーキー、ミニダックスでみられます。もちろん他の犬種にもおこります。

②糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患で発症することもあります。

③腫瘍による場合もあります。まれです。

④ビタミンA欠乏症で起こることもあります。

⑤犬ではジステンパーウイルス、猫ではヘルペスウイルスが原因となって発症することがあります。全身性の病気なので、病変が目だけに現れることはありません。

⑥眼瞼の細菌感染が元でこうなることもあります。

⑦チェリーアイの手術、中耳に関する手術の後で発症することもあります。

⑧涙腺を支配する神経に外傷などの問題が起こると涙を産生することができないため発症します。

⑨ある種の薬により乾燥してしまうこともあります。

 

これらの原因である場合、シクロスポリンで涙の産生を促すことはできません。原因療法を施します。また目に関しては人工涙液やヒアルロン酸点眼液などで潤いをカバーするようにします。こうした補助療法や日ごろのケアが重要です。

神経因性の場合は特殊な点眼液を使うことになります。

 

涙がいつになっても復活しない場合は、点眼液だけを処方してもらうのではなく、もう一度しっかりと診察を受けることをおすすめします。

 

涙と涙に関する目の病気「乾燥性角結膜炎・KCS」のお話はこれでおしまいです。

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涙のおはなし2・免疫介在性KCS

犬の「乾燥性角結膜炎・KCS」の原因として最も多いのは「自己免疫性」のものです。

 

以前、免疫のことについてはお話しましたが、この自己免疫というのは自分の身体を敵だと思って攻撃してしまう「誤爆」です。つまり、涙腺が免疫システムによって壊されてしまうのです。誘因は分かりませんが、特定の犬種に好発するころからすると、家族性の素因があるのかもしれません。海外の本にはウエスティ、ブルテリ、コッカがよく載っていますが、実際に診療していて出会うのはシーズやヨーキーです。

 

目は膿性の目やにで覆われています。粘着性で接着性な目やにです。結膜や強膜が赤く充血していることもあります。目の表面は乾いています。つやがなく、表面がえぐれていることもあります(角膜潰瘍)。でこぼこの表面で、ざらついた感じがします。洗眼液をたらしても、この目やには簡単に拭い取ることができません。さらに進行したものでは表面が真っ黒になっています。からからに干からびた黒飴のように見えると思います。

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急性の場合、疼痛があります。目をこすったり、細めたりという行動が見られます。軽い場合は目やにだけだったりするので「結膜炎」と診断されてしまうこともあります。多くの場合、両方の目が侵されます。

 

確定診断のため、シルマーティアテスト(STT)を実施します。縦長のろ紙を目に挟みます。この紙を涙が伝って濡らします。1分間でどのくらいの長さを涙が濡らしたのか、を測定するのです。涙が多ければろ紙は長く濡れます。涙の量が少ないとほとんど濡れることはありません。一般的に健康な目では20mm以上、乾燥性角膜炎では10mm未満、怪しいぞ、というのがその間、ということになります。(猫ちゃんではこの数値は違います。)

 

角膜の表面が傷ついていないかどうかを検査するのはフルオレセイン染色検査です。表面に傷があると緑色に染まります。表面のえぐれ、がさつき(潰瘍やびらん)があることを意味します。

 

治療の目的は涙が産生されるようにすること。涙の喪失を防いで涙が目全体を行き渡るようにすること。もちろん基礎となる原因を治療することも大切です。また、二次感染の予防や治療も必要な場合があるでしょう。

 

この点から考えられる最も良い方法はシクロスポリン(免疫抑制剤)の点眼です。シクロスポリンは免疫介在物質が涙腺に浸潤することを防ぐだけでなく、直接的に涙を産生させる能力ももっている薬です。抗炎症作用もあり、目の症状を緩和することができます。

 

具体的には12回の点眼から始めます。もちろん、目やにで覆われた目をきれいに洗浄してから始めましょう。2週間ごとに評価のため来院していただきます。効果がでてきた場合は徐々に点眼頻度を減らしていっても有効です。1日に1回、また2日に1回でも充分、目に潤いが表れ、きらりと光るみずみずしい輝く瞳が戻ってきます。

目薬の効果が充分発揮されているかどうかを検査するには、家で点眼していただいてから3時間を経過した頃が良いということが分かっています。再診日、再診時刻をこの点眼時刻に合わせて来院していただくとよいとおもいます。

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涙のおはなし1・涙の成分ほか

こんにちは。

GWはいかがお過ごしでしたでしょうか。

 

故郷に帰ると、いくつもの懐かしい思い出がよみがえってきますね。たまにしか行けない墓参をし、美しい田舎の風景に見とれ、遅れてきた春の山野草の味に舌鼓を打ち、久しぶりに会った親戚とのおしゃべりも弾みます。

 

さて。悲しいとき、悔しくてしかたが無いとき。嬉しいとき、すごーくおかしかったとき。キレイなものにふれたとき、こころがとても動かされたとき。涙が出てきますね。

 

今日は、涙のお話をしてみようかと思います。ちょっと目に関係するお話が続いていますね。

 

涙の成分は、①水性のもの、②油性のもの、③粘液性のもの、の3つから出来ています。ちょっと詳しく言うと①は涙腺から、②はマイボーム腺から、③は結膜から出ています。②の油性の成分は①の水性の成分が蒸発してしまうのを防いでくれていますし、③はいわゆるムチンで、涙がそこにとどまるのを助けてくれます。

 

涙、というとほら、涙腺、って思っているでしょう。それから、涙そのものは水性のように思いますよね。でも目の付属組織全体の働きによって、涙は複合的に出来上がっています。正常な瞬きがされると目全体は潤い、余剰のものは涙湖と呼ばれるところにプールされ、さらに過剰なものは鼻へと流れ出ます。
いっぱい泣くと鼻水が出てきてしまってかっこ悪いですよね。きれいな女優さんが上手に泣くシーンは目からあふれ出すだけで、鼻水にはなりません。だって興ざめしてしまいます。

 

涙が不足すると目はからからに乾いてしまいます。涙で潤いがなくなった目が最もダメージを受ける場所は角膜です。このような病態になったものが「乾燥性角結膜炎」です。通称で「ドライアイ」と呼ばれています。私たちは「KCS」と略して呼ぶことが多いです。「KeratoConjunctivitis Sicca」の略です。

これは悲しすぎて涙が枯れ果ててしまったから起こるのではありません。
一般には「涙液が減少するために起こる角膜と結膜の炎症を主徴とする眼疾患」と定義されています。「涙液の減少」というと
「涙」の量的不足、と思われますね。でも、涙が足りないから潤わない、だけでなく、質的な不足が生じても発症することがあります。だから前述の①②③のうちどれかが欠けていても「立派な涙」ではないので、この質的不足はドライアイにつながります。

 

ところで、涙の成分を作るところの異常で、「立派な涙」が作られなくなってしまうわけですが、涙の産生に関して、この組織は神経支配を受けているので、脳神経からの伝達経路に問題が生じても涙が出なくなってしまうことがあります。

ですから、眼の組織、眼の組織と関連する神経組織のどちらもが涙の産生に関わっているので、原因はいくつかあることになります。

すこし難しい表現をしてしまったような今日のブログです。ごめんなさいね。
要は「涙の量が不足することで起こる目の病気がある」「涙の成分が十分でなくてもその病気は起こる」「神経的な問題で涙が出なくなることもある」ということです。

 

次回は典型的な犬の「自己免疫性の乾燥性角結膜炎」についてお話しましょう。

 

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もしも目が見えなくなったら

目のお話、4回目です。

最後です。

もし、目が見えなくなってしまったら、生活の中でどんなことに注意してあげたら良いのでしょうか。
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目の見えなくなった動物はとても神経が過敏です。視覚で得られる情報に匹敵するものを別の感覚器から得ようと必死になるからです。私たちも真っ暗な中では、音やにおい、気配、触りごこちを頼りに部屋の構造の記憶をたどりながら動くことになります。そういう闇を想像してみて下さい。
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まず、部屋の模様替え、新しい家具の導入などは控えていただきたいと思います。そして買い物から帰ったあとなど、不用意に床に物を置かないこともお願いしたいことです。
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また、目が見えていなくても勘でソファやベッドの上に登ることのできる猫さんがいます。ここにも不用意に物を置かないようにしてください。
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早い話が日常的に整理整頓、お片づけをきっちりしていただきたい、ということです。
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階段に関しては、お察しの通り、昇ることよりは降りることのほうが心配が多いので、降りられるところに通じる扉や襖はしっかりと閉め、開けられない工夫をして下さい。
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猫さんに声をかけるときはそっと。急に大声を上げるとびっくりしてしまいます。今、近くに居ますよ、ということがアピールできれば良いわけですから。
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そして、抱っこをしたり触ったりするときも、先に声をかけてからにしてください。いきなり触れられると恐怖から逃げ出したり、噛み付いたりするかもしれません。
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静かに、ゆっくり、やさしく、が基本の動作です。
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時に、「もしかして見えているんじゃないかしら」と思えるような行動をとることがあります。物を見る力はなくても光を感じているのかもしれません。また環境に慣れているからこそ、問題なく動けるのかもしれません。だから大丈夫、といって手を抜くことが無いようにしてください。
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猫の目にまつわるお話、今回で一旦終了です。

写真の猫さんたちは本文とは関係ありません。ハートのかわいい患者さんたちです。ちょこっとお目目の具合が悪い子もいます。

 


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プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

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