- 2012-06-28 :
- 野鳥の保護
ヒナを拾わないで・その3
鳥の話、最終回です。
それでもやはり、落ちていたら助けたい。だから拾ってしまうのですものね。
ヒナを助けるには?
<誰にでもできること>
野生の命を助けることは専門家でも難しいものですが、虫を殺さない、虫が食べる植物を残すなど、誰でも小鳥のためにできることがあります。
もし、羽がそろっていないようなヒナが落ちていた場合は、巣立ち前に巣から落ちたのかもしれません。近くに巣があるはずなので、そこに戻してやることで助けられる可能性があります。ただし、ヒナにさわる場合は、手袋をするなどして安全や衛生に気をつけましょう。親鳥が匂いを気にすることはあまりないと考えられます。
<手を出す場合・救護するには>
ヒナが明らかにけがや病気だったり、自然が豊かな地域では数少ない希少種のヒナが落ちている可能性もあります。放っておけないと判断した場合は、各都道府県の鳥獣保護担当部署に相談して指示をあおぐようにしてください。なお、「鳥獣の保護および狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」によって、保護のために飼育する場合にも許可が必要です。
行政のアドバイスによって、野鳥の救護や保護飼育に取り組んでいる施設に持ち込めば対応してくれることもあります。ただ、野鳥の保護飼育や自然に帰すための知識や技術はまだ確立されているとはいえません。もともとヒナの生存率は低いので助けるには大変な労力を要し、人に慣れてしまい自然に戻せなくなる鳥もいることや、施設についてもボランティアで運営されている場合も多く、すべてを受け入れることはできないことも知っておいてください。また、ドバトやカラスなど増えすぎて問題とされる鳥、外来種などは対応してもらえないこともあります。
<自分で一時的に助けようとする場合に参考になるもの>
本 : 『野鳥をたすけるはじめの一歩(身近な野鳥の救護・保護のためのハンドブック)』
野生動物救護獣医師協会発行¥1500(税込)
HP:すずめっ子クラブ
www.asterisk-web.com/sparrow_club/
特定非営利活動法人 野生動物救護獣医師協会
(公財)日本鳥類保護連盟
(公財)日本野鳥の会
ここまでの知識は私にはないので、ごめんなさい。ポスターの文章を提示しています。このポスターの考えが広くいきわたりますように。
- 2012-06-27 :
- 野鳥の保護
ヒナを拾わないで!・その2
鳥の話題、続けます。
手を出す前に、鳥や自然について知ってもらいたいこと
<ヒナがすぐに巣立つわけ>
自然界での命の原則は、他の生物の植物になること。野鳥の世界も毎日命がけですが、わずかでも生きのびれば1年で大人になって子育てを始め、毎年繰り返します。つまり、生き残るほうが少ないので、たくさんの卵を産み、短期間でヒナを巣立たせなければなりません。
スズメでは5個くらい卵を産み、かえったヒナは約2週間で巣立ち、その後1週間くらいを親子で過ごしてからひとりだちし、親鳥はまた卵を産むというサイクルを、春から夏にかけて繰り返すようです。なお、巣立ちまでの期間は、メジロやヒヨドリでは10日ほどしかなく、シジュウカラ、ツバメ、ムクドリの中には、3週間ほどかかるものもいます。
<ヒナの成長を支える虫>
鳥も私たち人間と同じで、他の生命を食べなくては生きていけません。特に鳥は、活動的に空を飛ぶために体重を増やせないので、食べてはすぐにフンを出すことを繰り返します。体重15グラムほどのシジュウカラでも、1年間に必要な虫は10万匹を超えるという試算もあるほどです。
秋冬に虫が少なくなると、木の実などの植物質も食べるようになる小鳥も少なくありません。でも、子育てには高栄養で消化しやすい虫が必要なので、虫が多い春から夏を子育てシーズンとするのが普通です。スズメでさえも、ヒナを巣立たせる2週間に親鳥が虫を運ぶ回数は4千回を超えるといわれています。
<自然の仕組みから学ぼう>
虫に食べられる植物にとっては、虫を食べる小鳥が必要です。でも、小鳥が虫を食べつくすことはありません。それは、小鳥が増えすぎないからです。毎年子育てを繰り返して、ヒナが無事に巣立ったとしても、自立、移動、越冬などの試練が続くので生きのびるのはわずか。一方で、そうして弱ったり死んだ鳥が食物となって、肉食性や雑食性の鳥などの命をささえているのです。
命の大切さは、このようにさまざまな生物が共存し、持続する自然のしくみとともに再認識されなくてはなりません。2005年から国連「持続可能な開発のための教育の10年」、2011年からは「生物多様性の10年」が始まりました。さまざまな生物のつながりから学び、持続可能な未来を目指すべき時代になったと言えましょう。
こうした食物連鎖の頂点に私たちは立っています。弱いものを保護したいという優しい心が備わっていること、大変うれしく思うのですが、自然界に生きる動物というのはもっと大きな仕組みの中で生き、また、他の動物に生かされているようです。
- 2012-06-26 :
- 野鳥の保護
ヒナを拾わないで!その1
ヒナを拾わないで
今日はブログ更新の日ではないのですが、気になっていた話題について、書き上げることができましたので、3日連続でお届けします。
「がんばったねこさん・タマちゃん」の続きは次の日曜日の朝、掲載する予定です。
雨が降ったり、風が吹いたり。天候の悪い日の後など、地面に落ちている鳥のヒナはなんとも哀れで仕方がありません。
でもヒナを拾わないで欲しいのです。
それはこんな理由があるからです。
野生動物救護獣医師会(WRV)から出ているポスター、病院にも貼ってありますが、こちらでも紹介することにします。
Q1:どうしてヒナが地面にいることがあるのですか?
A:野鳥のヒナの多くは、卵からかえって羽がはえそろうとすぐに巣立つので、すから飛び出す段階ではうまく飛べずに落ちるものもいます。でも、けがをしていなければ、親鳥が給餌や誘導をするうちに、少しずつ飛べるようになると考えられます。
Q2:ヒナを見つけたときは、どうしたらよいのでしょうか?
A:巣立ち直後のヒナはあまり動きません。親鳥は人が近くにいると警戒してやってきません。ヒナに手を出して親子を引き離すと「誘拐」になるので、その場を立ち去る方がよいでしょう。
Q3:ネコやカラスに食べられないでしょうか?
A:心配ならば、ヒナを近くの茂みの中におくこともできます。親鳥は姿が見えなくても、ヒナの声で気づくことができるでしょう。
Q4:人がヒナを育てることはできないのですか?
A:たくさんの虫を与え続けるなどすれば、育てられることもあります。ただ、自然界では巣立ち後に親鳥と過ごすわずかな期間(1週間から1カ月)に「何が食物で、何が危険か」などを学習してひとり立ちするので、人に育てられたヒナは自然の中で生きていけるとは限りません。
「自分は世話できないのだけれど、かわいそうなので拾ってきちゃいました。病院のほうでお願いします。」な方もいらっしゃいますが。ほんとうに鳥のヒナを育てるのは容易なことではありません。スズメ、ツバメ、メジロ、ハトなど、一般の小鳥のほか、水鳥や猛禽類なども扱いましたが、最後、空に放つには心配もあります。どうにも残ってしまった鳩さんは名前までついて居候しております。ちなみに、カラスはたいへん臭かったです。
どうか皆様、「がんばって」と心で念じ、その場を通り過ごされますよう、おねがいします。