頑張った猫・おーちゃん。

久々ですが。がんばったにゃんこ。おーちゃんです。

 

おーちゃん、小さいときに交通事故にあったところを心ある患者さんが保護してくれました。

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その頃の体重は850g。ほんとにちっちゃな体でした。後ろ足はぷらぷら。尻尾もぷらぷら。おまけに舌の色も紫色で、呼吸がつらそうでした。立つこともできず、ただ横たわっているだけ、からだも冷たいのです。

レントゲン検査では最後の腰の骨、仙椎が割れているのがわかりました。無事に助かってもおしっこやうんちをコントロールする力を残していてくれるでしょうか。

そしてなによりも恐ろしいことに、お腹の中になければならない臓器が胸の中に入り込んでいて、心臓や肺を圧迫しているのでした。

 そう。この小さな猫さんは「(外傷性)横隔膜ヘルニア」になっていたのでした。
 

 初診時のおーちゃん。唇の色が悪いのが分かると思います。

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横隔膜は胸と腹を隔てる膜です。簡単にいえばこういうことなのですけれども、ただ胸の中の臓器と腹の中の臓器を隔てている筋肉の膜、というわけではないのです。胸の中で肺が大きく膨らみ、酸素を取り入れることができるのは胸の中が陰圧になっているからで、横隔膜が破れて胸と腹が交通してしまうと、胸は陰圧ではなくなってしまい、また肺が膨らむ容積が減るため肺は膨らみにくくなります。肺が膨らまないと呼吸が苦しいですし、十分な酸素が体に入らないのは代謝上大変不都合な状態になります。


 おーちゃんは早い段階で手術を行いました。胸の中に飛び出た肝臓や腸管などがここで落ち着いてしまうと元に戻しにくくなるからです。

 麻酔の前、身体の酸素濃度を高めるためにマスクしているおーちゃんです。
元気な子だと私たちが「酸素化」と呼んでいるこの作業も「いやいや」してなかなかじっとマスクをさせてくれないのですが、おーちゃんは静かにしています。

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横隔膜ヘルニアはお腹の方からアプローチします。お腹を開けると同時に胸も開けることになりますので、完全な管理呼吸下で手術を行います。マスクのあと、麻酔に入ったら気道に管を通して、麻酔器による人工呼吸が始まります。一定のリズムと圧力をかけ、機械が肺を膨らませ、呼吸させるのです。おーちゃんが自然に行う呼吸(自発呼吸)があると機械とぶつかり合うためうまくコントロールできないので、手術中はおーちゃんの呼吸を止めて、全部を機械に任せる方法をとります。


お腹を開いたら、胸の中に入り込んでしまった臓器をおなかに戻します。多くは横隔膜のすぐ近くにある肝臓や胃にくっついている脾臓、比較的自由度の高い小腸などが移動しているのですが、それらの臓器が傷つかないように、また血管などにねじれが出ないように慎重に戻します。そして、胸の中が本来あるべきものだけになったのを確認してから破れた部分を縫い合わせます。横隔膜をきっちり補修するときには手元にいろんな臓器が戻ってきているので、奥の深い部分を縫っていくのはなかなか困難な作業です。最後に横隔膜を縫い終えるときに胸の中が陰圧になるように胸に入れた管を通して空気を抜き、圧を調整してやります。これで呼吸は楽にできるようになり、しぼんでいた肺も徐々に膨らめるようになります。

お腹に戻した臓器の位置をもう一度整えて、お腹の膜を縫い、皮下組織、皮膚を縫い終われば手術は終了です。

おーちゃんは、横隔膜が破れているだけでなく、腰や後ろ足の方も強く打っていたので、お尻から後ろの皮膚の痛みもひどく、こちらの処置も行いました。

そして麻酔器の目盛りを下げていくと麻酔から覚め、そのころには自分の呼吸が始まるので、管理呼吸法を終了させることができます。

 

手術したあとのおーちゃんです。ほんとに疲れています。それにしても、小さなからだでよく頑張ってくれました。

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腰回りの皮膚の形成手術は何度も実施されました。傷が完全に皮膚で覆われるまでかなりの時間が費やされました。

初めは食べさせてもらっていたのが、自分でも食べられるようになり、食べる量も徐々に増えてきました。元気で食べる姿に、小さいながらも大きな生命力を感じます。そうして身体もひとまわり、ふたまわり、と大きく成長してきました。

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今のおーちゃん。近くを通りかかると、小さなお手手でちょっかいを出してきます。
おーちゃん   

だっこでおやつをもぐもぐ。
おやつおーちゃん 


得意げなおーちゃんなのです。

てのりおーちゃん 
 

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