- 2011-02-27 :
- 急性膵炎
頑張ったわんちゃん「ココちゃん」
頑張ったわんちゃん。膵炎といえばこの子。「ココちゃん」です。
↑私がココちゃんです
ココちゃんも激しい嘔吐と食欲廃絶で連れてこられました。激しい急性膵炎で、肝臓や腎臓の数値も上昇していました。チョコちゃんと同じように絶食し、毎日の点滴でどんどん快方へ向かっていったのです。そしてそのまま日常の生活が送れるはずでした。ところがココちゃんは「もう、安心」とおもったころに、「食べれるけど、食べたものを吐いちゃうの」ということでまた来院されました。お話を伺うと、膵炎の症状とは違うものです。
レントゲン検査、エコー検査で胃のそばに大きな塊があることがわかりました。その塊の中には液体がいっぱい入っています。胃と塊の位置関係を調べるため内視鏡検査も追加で行いました。塊は胃の出口付近にあり、だいぶ胃を押しています。これはどうしたものか。すぐさま大学病院で精密検査を受けることになりました。
大学でも超音波検査、内視鏡検査が実施され、引き続きCT検査も行われました。そして犬では非常にまれな「膵偽のう胞」(人では「膵仮性のう胞」と呼ばれています)という診断でした。膵炎によって解けて壊死してしまった膵臓の一部や炎症性の滲出液を含む大きな袋が膵臓と胃の間にできてしまったのです。大がかりな手術が必要です。
しかし従来、この膵偽のう胞や膵膿瘍に対する手術はあまり芳しいものではなく、どの文献を見ても絶望的な結果のほうが多いような有様でした。外科の先生はどんな手術計画を立てられているのでしょう。頭の中まで探ることはできません。
さて、実施された手術は思いもよらぬ方法でした。胃の奥にあるものを手術するのに、見やすいところから脇腹アプローチでも、無理やり胃を裏返すでもない、今までに知らされたことのない方法でした。なんと、胃を開いてそこからアプローチしたのです。これには本当に驚かされました。長時間に及ぶ手術でしたがココちゃんは見事、大手術を乗り越え復活しました。
彼女の回復はあの手術方法がもたらした奇跡です。と、私は信じています。もちろん、伊奴神社さんのご利益もあるし、お父さんやお母さんのお祈りの賜物でもありますよ。
↑おやつちょーだい
というわけで、今はすっかり元気なココちゃんなのでした。
論文はこちら→http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902230823001492