慢性下痢症・その10・過敏性腸症候群

 慢性下痢のお話、10回目です。

ながらくつづきましたお話にお付き合いありがとうございました。今回が「慢性下痢症」の最終回です。

今回は 
「過敏性腸症候群」IBSIrritable Bowel Syndrome
「線維反応性大腸性下痢」FRLBDFiber-Responsive Large Bowel Diarrheaについてのおはなし。

 

これまでの治療でもどうにも反応しない疾患があるとすると、残るのはこのあたりに行き着くのかな、と思います。

 

いわゆる大腸性の下痢です。粘液や血が混じるとか、しぶりがある、便の回数が増えているような症状のある下痢です。ストレスに誘発されて腸の運動が亢進するといわれています。まだ本当のところは分かっていません。全身状態は良好なことが多いようです。ひどい体重減少があるわけでもなく、低タンパク血症を引き起こすこともありません。けれど治療に対する反応はあまり良くないかもしれません。

ストレスとして考えられることを避けること、腹痛には鎮痙作用のあるブスコパン、下痢にはロペラミドを使ったりします。

勧められる食事は高線維性の処方食です。

 

で、また笑い話の続きになりますが、「高線維食」で治れば「繊維反応性大腸性下痢症」です。


ここで「線維」についてすこしお話します。

「線維」には「可溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。
このうち「soluble fibers」といわれる「可溶性食物繊維」には「ペクチン」や「グアーガム」などがあります。これには胃内容物をねっとりさせて、胃から腸への排泄を遅らせる働きがあります。だからいつまでも胃の中にモノがあって、お腹が空いたように感じられない、というのでダイエットに重宝されています。また糖尿病のための処方食に高線維のものが使われているのは、このようにゆっくり食事が流れること急な血糖値上昇をおさえることができるからです。
さらに、大腸の細菌によってこの線維は醗酵し「短鎖脂肪酸・short chain fatty acids・SCFAs」に変わます。SCFAsは大腸の上皮に栄養を与え、粘膜の損傷を防ぐ働きをします。また、このSCFAsは大腸のナトリウムや水分の吸収も促進します。
このように「可溶性線維」は大腸性の下痢に貢献しているのです。
実は、大腸からエネルギー源として吸収できることで、大胆な小腸切除が行われた後などの「短腸症候群」という疾患に対してもとてもいいのです。
一方、「不溶性線維」はほとんど消化されずに「便」を形成するのに役立つものです。

 DSC09159.jpg


今年も残すところ、今日明日の2日だけになってしまいました。今頃皆さんは何をしていらっしゃるのでしょうか。お掃除が終わらなくてイラついているかもしれませんし、いくつもの忘年会続きで、それこそお腹の調子を崩していらっしゃるのかもしれませんね。それでも時はまわり、来年がやってきます。

今年も変わらぬお付き合いをどうもありがとうございました。秋から病院の工事に伴いいろいろご迷惑もおかけしました。ここでお礼とお詫びを申し上げ、今年最後のご挨拶にいたします。


どうぞ、よいお年をお迎えください。


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