嘔吐のおはなし・その5

 嘔吐についてのおはなし、5回目です。

 今回は治療薬についてお話します。よく使うお薬を4つに分類してみました。

 1、消化管運動機能改善薬

 これは胃の動きを良くして嘔吐を止めましょう、というお薬です。

昔から使われているメトクロプラミドというお薬があります。薬が作用する時間が短いために1日に3~4回投与しないと充分な効果を得ることができません。入院患者さんには静脈点滴液剤の中に入れて持続的に投与する方法をとっています。動物薬で、内服薬もあります。フレーバー錠でお魚の臭いがかすかにするお薬です。

 近年、人体薬にしかなかったモサプリドというお薬が動物用として販売されています。内服薬です。胃の動きだけでなく、食道や小腸などの動きも活発にする作用があります。胃の病気だけでなく、巨大食道症や猫の巨大結腸症などにも処方しています。

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2、胃酸分泌抑制剤

 胃酸の分泌が多いと粘膜の潰瘍を悪化させてしまいます。そのために使われるお薬です。CMで耳にするかと思いますが、「ガスター」はこの系統のお薬です。Hブロッカーといわれる範疇に入ります。このほかにも強力な胃酸分泌抑制をする薬もあります。(PPI、プロトンポンプインヒビター)。注射薬と内服薬があります。

 

3、胃粘膜保護剤、制酸剤

 胃酸を中和して、強酸性の胃液から胃粘膜を保護するお薬です。当院では白く濁った液剤を処方することが多いです。内服薬です。

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4、制吐剤

 マロピタントは比較的新しい、強力な制吐作用のあるお薬です。2007年に米国で動物薬として認可され、国内でも動物用のお薬が販売されています。嘔吐の作用機序はさまざまですが、どのタイプの嘔吐にも効果があります。注射薬も内服薬もあるので、胃腸管疾患に関わらず、膵炎でも、また腎臓病、前庭疾患、抗がん剤の副作用としての嘔吐など消化器系以外の病気に併発する嘔吐症状の緩和に非常に効果があるお薬です。高価なのが残念なところです。

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 このように「嘔吐」にかんするお薬もいくつかあります。そして、これらを組み合わせて使用することもよくあります。

 嘔吐は私たちが経験してもわかるように痛みに並んでつらい症状です。私的には「痛み」「嘔吐」「食欲不振」がどうしても除いてやりたい3大症状です。ただ、単に嘔吐を止める意味合いの「制吐剤」はあくまでも「対症療法」であって、本来の病気を治す薬ではない場合があります。またときには薬によって嘔吐を止めることで、陰に潜んでいた病気を発見できなくしたり、悪化させたりします。止めてやりたい嘔吐ですが、その前に見極めが必要なのです。すぐに制吐治療に入らない場合もあります。ご了承ください。

 

今回のお話はここまでです。

 

 

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