椎間板ヘルニア・3

椎間板ヘルニアについてのお話、3回目。今日は治療についてお話しします。

 

はじめに申し上げましたように、確かに外科疾患ではありますが、外科的な治療法をのぞいたら、他に治療法がないのか、というとそうではありません。外科療法のほかに、保存療法があります。疼痛がみられるだけで機能障害がほとんどみられない状態のときや、機能障害があってもその程度が軽いものは外科治療よりも保存療法が選択されることが多いです。

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保存療法には①ケージレスト、②お薬による治療、③コルセットを装着すること、④リハビリテーション、があります。

 

<①ケージレスト>

ケージレスト、というのは単に犬舎の中に閉じ込めておけばよい、というものではなくて、絶対安静を意味します。トイレ、食事以外は動かしませんし、歩かせません。一般状態や麻痺の程度を悪化させないようにするのを目的にしています。部屋の広さは、長いほうが身体の長さ(頭から尻尾の付け根までの長さ)の1.5倍くらいの長さにしておきます。敷き物ですが、柔らかすぎる素材ですと身体が沈んでしまうので好ましくありません。硬すぎず、柔らかすぎずの敷物を用意していただき、その場で排尿してしまっても大丈夫なようにその上にペットシーツをずれないように敷いてください。ここに背中を少し丸めて、横に寝かせます。この寝方が背骨に一番負担が少ない寝方です。犬によっては好みの寝方があり、おすすめの寝方をしてくれないこともあります。無理にこの体勢にしようとすると変な力が加わりますから、好みでないようでしたら止めてください。

(椎間板ヘルニアのほか、椎体の奇形疾患、脊柱に安定性のある疾患でもこのケージレストは用いられます。線維軟骨塞栓症や変性性脊髄炎という診断がついた場合は、早期のうちからリハビリすることが望ましいので、ケージレストは行いません。)

椎間板ヘルニアでグレードⅠと診断された場合で12週間です。ちょっと治療をすると、痛がらないし普通に歩けるようになるので、早期にケージレストを中止してしまいがちですが、急性期の炎症や腫れ、圧迫が周りの組織に広がらないようにするため、安静にすることはとても大事な治療法です。ご協力をお願いします。

これに続いてサークルレストに入ります。あまり聞きなれない言葉かもしれません。例えばミニダックスフントであれば畳12帖程度の広さのところで過ごさせます。平らでアップダウンの無い生活です。ケージレスト期間が過ぎたからといって、いきなり元通りの運動ができるような環境に置くのはいけません。


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<②薬剤療法>

主に使われるお薬を紹介します。

ステロイド剤です。これは急性期の炎症をしずめ、激しい痛みを和らげます。活性酸素などのフリーラジカル産生を抑える効果もあります。炎症や浮腫の激しい場合に特に有効ですが、長期にわたって使用することはありません。慢性化し、運動機能を回復させようという時期には効果的ではないからです。

非ステロイド系消炎鎮痛剤も使われます。ステロイドとは別の系統のお薬です。炎症を抑え、痛みを和らげます。近年のCOX2高選択性NSAIDsは特に疼痛緩和に優れているお薬です。

ビタミンB製剤もよく使われます。ビタミンB群は神経の代謝や再生に関係しています。椎間板ヘルニアだけでなく、多くの神経に関係する病気に広く使われるお薬です。

抗酸化剤も使われることがあります。フリーラジカルの産生を抑え、二次的に脊髄が傷つくのを予防したり抑制したりする目的で使われます。こちらはほとんどがサプリメントの形になっています。

 
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<③コルセットの装着>

これは主に頚部の椎間板ヘルニアのときに使われます。首を固定し、動きを制御するためのものです。軽い素材でネックに円筒状に巻きます。

むちうち症の人が巻くものに似ています。


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<④リハビリテーション>

リハビリテーションは術後だけでなく、薬剤療法を行ったあとにも補助療法に取り上げられる方法です。

安定にしておかなければいけない時期を過ぎたら積極的に始めます。

目指すのは「脊髄歩行」といわれる歩行です。前足をぐんぐん動かすにつられて後ろ足も動き始めるようにするのです。もともとは脳からの指令で足を動かしていたわけですが、麻痺後は「脊髄反射」という形で歩行させます。リハビリのいかんによっては重度の麻痺であっても歩行を回復させることができます。

ストレッチやマッサージなどで筋力を低下させないようにします。

小型犬であれば、子供用のビニールプールに水をはり、少し身体を支えながらぷかぷか水中を歩かせるのもご家庭でできます。水中ウォーキングは効果の高いリハビリです。

 

 

今日は椎間板ヘルニアの保存療法についてお話ししました。 
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