心臓病のお話・3回目・症状

 心臓病のお話、3回目です。
今日は心臓病のときにはどんな症状をあらわすのかお話します。

 

 

<こんな問題があったので病院に来ました>

診察後の説明で「心臓が悪かったんですよ」とお伝えすることになった犬たちが、どこが悪いので来院したのかをまとめてみると、次のようなものになります。おもに私たちが「主訴」といっているものです。

・咳(せき)をする。

・呼吸が早い、息があらい、呼吸が苦しそう。

・突然倒れこむ、くたっとなる。

・お腹が大きい、足がむくんでいる。

・元気や食欲がなくなった。

・散歩に行きたがらない、散歩途中で立ち止まる、行っても早めに帰ってきたがる。

・動かない、寝ていることが多い。

この中で一番多いのは、「元気がない」というもの。漠然としています。元気がなくなる病気は心臓病以外にもたくさんあります。心臓の調子が悪いのは、お家の人にはわかりにくいようです。

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<病院で発見しました>

それに対し、病院で偶然発見することはわりと多いです。

・聴診器を当てたら心雑音が聞こえてきた。

・聴診していたら心音のリズムが乱れていた。

・手術前にレントゲン検査をしたら心臓の影が大きかった。

・手術前の心電図をとったら異常な波形があらわれた。

などです。

 

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<症状>

心臓の病気があるときの症状はいろいろです。それは心臓の左心系(肺静脈から左心房、左心室、大動脈系統)の具合が悪いものと、右心系(大静脈から右心房、右心室、肺動脈系統)では出てくる症状が違うためです。また軽症のときと重症になったときでも変わります。

それぞれをお話しします。

 

・動きが悪い。一日じゅう寝ている。

これを「元気がない」という風におっしゃられる方がほとんどです、呼べば反応はあるし、食事も食べますが、食べる量も少なめ。とにかく動かない。なんとなく痩せてきた。また、力が出ない。馬力がない。積極的に遊んでいたのに、そんなこともしない。

こんな感じを「虚弱」「虚脱」と言っています。

 

・動いてもすぐにへたばる。

リードをみせれば出ていくけど、勢いが続かない。散歩に行きたくなさそう。ふらふら歩く。ちょっと動くけど、しゃがみこむ。または踏ん張って動かない。

私たちはこれを「運動不耐」といっています。

 

・走って行ったら、突然倒れる。

マリオネットの糸が切れたみたいにくしゃっと倒れる。数秒か十数秒くらいへなっとしていて、またすぐに歩きはじめる。

こういうのを「失神」と言っています。

 

・ハァハァしている時に出ている舌の色がうす暗いピンク色。

真っ赤な色ではなくて、ちょっと薄めの桜色か、もっと暗いピンク色。夕暮れ時の紫に変わるぎりぎりの空の色のような色をしている。ひどくなるとまさしく紫色のことも。

冷たいプールに長いこと入っていたときに唇の色が悪くなりますけど、そんな感じです。こういうのを「チアノーゼ」と言っています。

 

・呼吸が苦しそう。

横になって寝ることができない。呼吸が早い。肩で息をしている。ずっとお座り姿勢のまま。

呼吸が苦しく、はなはだしんどくなると横になって眠ることもできません。前の足をちょっと広げたお座り姿勢をとっています。普通のお座りはお尻の方に体重をかけているわけですが、後ろにもたれかかりもせず、むしろ前足にたくさん加重して座っています。私たちもマラソンから帰ってきて息が苦しいときに、腕を腿においてひじを曲げ、上半身の体重を腕にかけて背中を丸める、こんな体勢をとりませんか?犬もこんな体勢に近い座り方になります。前回も紹介しましたが、心臓疾患が進んで「うっ血性心不全」になると、左心系の病気の場合は「肺水腫」をおこすことがあり、このときは苦しそうな呼吸になります。「努力性呼吸」と呼んでいます。このとき、舌の色はひどく紫色になっています。

 

・お腹が大きい。足がむくんでいる。

おなかが大きい。おなかがふくらんでいる。

右心系の病気の場合は「腹水」が溜まったり、「胸水」が溜まったりします。腹水があるときはお腹がぼてっとしてきます。背中は痩せていて背骨や肋骨のゴリゴリが触れるのにお腹だけが大きくなっています。太っているのとは違うので分かると思います。胸水が溜まると呼吸が苦しくなります。浅い呼吸を回数多くすることになります。もちろん「チアノーゼ」も出てきます。心臓より後ろの方、ほとんどは後ろ足ですが、むくんで太くなってきます。

左心系が悪い場合も末期になると右心系も悪くなり、右心系の症状を出します。

 

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<僧帽弁閉鎖不全症になりやすいのはこんな犬>

さて、僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬、というのがあります。キャバリア・キングチャールス・スパニエルはあまりにも有名ですが、実は日本で飼われている人気の小型犬種、トイプードル、ミニダックス、シーズ、マルチーズ、チワワ、ポメラニアンなどはすべてこの疾患にかかりやすい犬です。それから性別ではなんといってもオスです。性ホルモンに影響される病気なのです。オスはメスに比べて僧帽弁閉鎖不全症になりやすく、重症化しやすいという研究結果が出ています。年齢は早ければ5歳から始まります。高齢になればなるほど罹患率は高くなっていきます。

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<観察のポイント>

こうした犬たちを飼育している場合、注意してみていただきたいのが、元気、活動性、食欲で、もちろん出てくるもの(便や尿や嘔吐)もですが、分かっているようで見過ごされているかな、と思うポイントに体重や体格の変化があります。ある程度悪くなってくると、ここに大きな変化が出てきます。痩せてきている、身体がひとまわり小さくなってきたように感じる、というのは結構、病状が進行してきているサインになります。心臓病では心拍数や呼吸数が上がり、咳もするので、これらはエネルギー消費量が多く、体力を消耗するのです。風邪をひいて、セキがコンコン出るとき、それだけでも疲れますよね。また腸の血液循環も悪くなっていますから、食べたものの吸収も良くないので、痩せてきてしまうのです。

 

 

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<咳をします>

心臓病の症状で分かりやすいのは「咳をする」ことです。咳にはいろんな情報がつまっていますが、私たちが知りたいのは、ただ「咳をしている」ということだけではなくて、もっと詳しいことです。これはまとめておきます。「咳をするんです」と言ったら、このくらいの問いかけをしますので、それに答えていただけると嬉しいです。

・咳は増えてきていますか?減ってきていますか?

・どんな時に咳をしますか?起きてすぐ?興奮した時?明け方?水を飲んだ時?

・ずっと咳が続いているのですか?単発で終わりますか?し始めると長く続くのですか?

・咳をしている時、鼻からの分泌物がありますか?鼻水は透明?血が混じっている?ねばっこい?

 

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<倒れます>

それからもし、「失神」があるようならばこれについても詳しくお伺いしたいです。他の病気でも倒れるようなことがあるので、本当に心臓性の失神なのか、もしや「てんかん発作」のようなことではないのかを確かめるためにお伺いするものです。

・意識が消えてしまいますか?分かっているみたいですか?

・前触れのようなものがありますか?突然ふらついて転倒してしまいますか?

・なにか引き金になるようなきっかけがありますか?お客さんが来たチャイムで興奮するとか、全力疾走した後とか?

・倒れた時、痙攣のように身体が硬くなったりしますか?足を動かしてばたばたしていますか?硬くなって背筋をぴーんと伸ばしたようになるのですか?

・どのくらいの時間続いていますか?数秒間ですか?それ以上続きますか?

・発作の後にぼぅっとしていることがありますか?ありませんか?

 

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さて。心臓の病気で出てくる症状、わりといろいろあります。この中の3つ当てはまると病気、5つ当てはまると重症、とかそんなものではありません。どれか一つだけだったとしても十分診察するに値します。あれっ!と思うようなことがあったらお早めにお越しください。

 

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今日のお話はこれでおしまいです。

次回は病院での検査についてお話します。

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