皮膚病とシャンプー療法

 本格的な夏がやってきました。日本の夏は湿度が高く過ごしにくいですね。この気候で皮膚病の発生率はぐぐーんと高くなります。今日は皮膚病とシャンプー療法についてお話します。

 

 

<痒い皮膚病だとどんなふうになりますか?>

犬は「痒み」のために

①皮膚をかく

②皮膚を舐める

③壁などに痒いところをこすりつける

という行動を起こします。

また炎症を起こした皮膚は

④赤くなっている

⑤ぽつぽつした発疹ができている

⑥ただれて表面がじくじくしている

⑦毛が抜ける

などの変化があります。

 

 

<痒い皮膚病の原因は何ですか?>

犬の皮膚トラブルのうち、痒みがでるのは

1.細菌や真菌(糸状菌)、酵母菌(マラセチアなど)等による感染症

2.外部寄生虫(ノミ、マダニの寄生・皮膚疥癬症・毛包虫症など)によるもの

3.アレルギー(食物アレルギー、アトピーなど)によるもの

です。

痒みではないのだけれど、舐め舐めしてしまうのが

4.心因性皮膚炎

で、特に痒みはないけれどフケが出たり脱毛したりする

5.ホルモン性皮膚炎

は病変が派手になってくると「痒そう」に見えるかもしれません。

皮膚病の原因を特定することは簡単ではありません。

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ワンちゃんの皮膚炎

 

 

<犬の皮膚の構造>

犬の皮膚は人と比べて構造が違うため、皮膚炎が起こりやすく、また痒みも出やすくなっています。

1.皮膚が薄い

 犬の皮膚は人と同じ表皮~真皮~皮下組織の3層構造をしています。表皮の外側は「角質層」で外界からの刺激や乾燥などからからだを守るバリアの働きをしています。犬はこの角質層の厚みが人の1/5程度、とてもデリケートなのです。

2.弱アルカリ性

 人の皮膚のpHは弱酸性。でも犬の皮膚のpHは弱アルカリ性で細菌などの病原体が繁殖しやすい環境になっています。

3.皮膚のターンオーバーが短い

表皮の一番下の層(基底層)から角質層までは、常に新しい皮膚細胞が作られて表面へ押し上げられ最も表面のところではがれおちるしくみになっています。これがターンオーバーです。この周期が人では28日、犬は20日くらいです。この周期に乱れが起こり短くなると、新しい皮膚細胞がつくられないままフケが増えることになります。フケは細菌の増殖をすすめてしまいます。

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皮膚のケアって大切なんだね。

 

 

<皮膚バリア機能が低下する>

こんなかんじで皮膚表面が滑らかではなくなり、細胞と細胞の間の脂質複合体が減少してくると皮膚の水分は外に出ていき、皮膚が乾燥した状態になります(ドライスキン)。皮膚バリアが低下した状態です。

こうなるとアレルゲンが侵入しやすくなり、それによって炎症が起こります。皮膚は赤くなったり、痒み物質がここに集まってきて、犬が掻くことになります。

 

 

<アトピー性皮膚炎のトータルケア>

アトピー性皮膚炎は原因物質を特定することも難儀ですが、分かっていても完全に排除することはできないため、完治が難しい病気です。一生、じょうずに付き合っていく必要があります。むやみに痒みを抑える薬に頼っていると、年齢を重ねていくうちには薬の好ましくない作用が少しずつ表れて、体調を崩してしまうことも考えられます。

そこで、いろいろな治療法を組み合わせて、できるだけ快適な生活が送れるようにケアしていく必要があります。こうした組み合わせ療法をトータルケアと呼んでいます。トータルケアの中には次のようなことが含まれます。

①こまめにお掃除をしましょう。

 これは家の中のアレルゲンであるハウスダスト(ほこり)やハウスダストマイト(家ダニ)などを減らすことができます。

②適度な運動でストレス発散しましょう。

 ストレスとアトピーの悪化は人でもいわれていることです。ストレスの無い生活は免疫力を高めます。

③低アレルゲン(またはノンアレルゲン)フードを与えましょう。

 食事由来のアレルゲンをなくすためです。

④シャンプーで皮膚を清潔に保ちましょう。

 皮膚の状態を良好にし、バリア機能を高めることができます。また被毛に付着したアレルゲンを流すこともできます。

⑤指示どおりにお薬を与えましょう。

 良くなったらやめる、悪くなったらまた始める、という方法ではトータルケアになりません。

さて、トータルケアの中でも皮膚に直接アプローチするシャンプー療法はとても効果のある治療法です。「めんどくさい」と思わないで積極的に行っていただきたいと思います。夏はシャンプー後の乾燥も早く、比較的楽に治療が進められる時でもありますので、ぜひこの機会におうちの方にはシャンプーテクニックを身につけていただき、愛犬にはシャンプー慣れしてもらえるといいな、と思います。

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薬用シャンプー
 

 

<薬用シャンプーもいろいろあります>

薬用のシャンプーは皮膚の状態により使い分けることが大切です。

①抗菌シャンプー

 細菌や酵母菌が増えている時、それによる害があるときは抗菌性シャンプーを処方しています。

②抗脂漏性シャンプー

 ふけやかさぶたが多いとき、べたべたするときは抗脂漏性シャンプーをおすすめしています。

③保湿性シャンプー

 皮膚が乾いてカサカサしている時におすすめしています。

保湿剤の併用をおすすめすることもあります。

④止痒性シャンプー

 痒みが強いときに。

皮膚の状態は変化するので、「ずっと前に処方を受けたシャンプーが好きだな」といっても効果のあるシャンプーを処方しますので、よろしくお願いします。

 IMGP7356.jpg
今月の掲示板です

 

<薬用シャンプーの作用>

薬用シャンプーは皮膚に有益な作用があります。

①皮膚の洗浄

 アレルゲンを洗い流し、アレルギー症状を引き起こすリスクを減らすことができます。

②炎症反応の緩和

 微生物が皮膚に定着するのを防ぎ、皮膚表面で炎症が起こるのを抑えます。

③皮膚バリア機能の修復

 不足している細胞間の脂質複合体を補い、剥がれやすかった細胞をきれいに並べることができます。皮膚バリア機能が修復します。

④皮膚の保湿

 保湿効果で皮膚をガードし、アレルゲンが皮膚から侵入するのを防ぎます。

このようにして痒みからからだを守っていきます。薬用シャンプーは定期的に(できるだけ短いスパンで)続けると、さらに効果が高まります。

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薬用シャンプーの特徴

 

<シャンプーはどれくらい使えばよいの?>

シャンプーの頻度については週に1回、あまりひどいときは2回、もし間隔が開いたとしても2週間に1回くらいでお願いします。ただしこれは薬用を使用する場合の頻度で、一般のシャンプー剤でこの頻度で洗うと、皮脂を落としすぎてしまい乾燥肌を招き、かえって痒みを増すことになります。

シャンプーの使用量が不足しているとせっかく洗っていただいても効果が現れません。手のひらを丸めて500円玉くらいの大きさにシャンプー剤が乗るのが約5mlです。体重が3kg未満の犬でしたらだいたい10mlを使用してください。5kgでは15ml10kgでは25mlくらいが最低必要な量です。薬用シャンプーは決して安くないので、もったいなくてちょこっとしか使っておられないケースがあります。ふんだんに使おう、という気で使っていただいた方がうまくいきます。

 IMGP7355.jpg
おうちでシャンプーしてみませんか

 

というところで、今日のお話はおしまいです。

そうそう、いい忘れましたが、ノミやマダニの予防も大切です。月に1回忘れないで処置(または投与)をお願いします。

梅雨明けから掲示板はシャンプー療法についてのご案内に変更しています。ご来院の折には目を通していただけると嬉しいです。

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