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外耳炎が治らない

 アトピー性皮膚炎が治らない」のお話をしてきました。今日は「外耳炎が治らない」「外耳炎をすぐに繰り返す」のお話です。

当院で外耳炎は、心臓病や腎臓病、アトピー性皮膚炎と並んで定期的に来院していただいている病気のひとつです。「良くなったね」で、病院と距離が離れてしまうと再発しているのが外耳炎です。

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耳を振る、頭を傾ける、後ろ足で首の所を掻くのは
耳が悪くなっているサインです。

<だから、耳は悪くなりやすかった!>

耳は特殊な構造をしていることや、慢性化させる要因があるため、一度外耳炎を起すと治りにくかったり、治ったように見えて(本質的な構造の変化がないので)同じ条件が整ってしまうと再発しやすくなっています。そして悪化した状況を治さないとさらにひどくしてしまうことがあります。

    耳の入り口(耳孔)付近には軟骨のしわしわがあります。そしてそのあたりの皮膚に凹凸ができています。しわの溝には耳垢が入ってとりにくい構造になっています。

    さらに耳の入り口から奥へ向い、耳道は曲がっています。そして耳道は狭いです。

    耳道の奥の皮膚表面からは耳垢が産生されています。耳垢腺は汗の腺と考えてください。この分泌物はじっとり、しっとりしています。あぶら症の犬ではねっとりしていることもあります。奥から外へ耳垢は出てくるような仕組みになっていますが、ときに耳垢の排泄を妨げられていることがあります。

    耳の出口を塞ぐように耳がたれている犬がいます。耳が立っている犬でも、柴犬のように耳孔付近がきゅっと縮まっていて狭くなっている犬もいます。これでは耳垢が排泄されにくいです。

    耳道に毛が生えている犬がいます。実は奥の方を覗くと、奥にも毛が生えています。この耳の毛も耳垢が外に排泄されるのを妨げています。

    耳の中には常在菌がいます。菌は温かく湿った環境が大好きなので、耳の中は繁殖しやすい状況が整っています。

    それから耳の中だけに感染する寄生虫(耳ダニ)が入り込むことがあります。(犬よりは猫の方が耳ダニ汗腺は頻度が高いです。)

    異物が入ってしまうことがあります。散歩中に草の種が入ることはまれではありません。

    アレルギー性の疾患があったり、内分泌系の病気でホルモン異常があっても外耳炎が二次的に発症します。再発を繰り返します。

    高齢の犬では腫瘍ができていることがあります。慢性的な炎症からくる良性の過形成のこともあるし、腺癌のような悪性のこともあります。これだとなかなか治らないと感じると思います。

    特別な構造をしているために皮膚の角化異常を起こしたり、結合組織が過形成をおこして、耳を塞いでしまうことがあります。これはすごーく悪いときです。耳の付け根を触ると耳が硬く大きくなっているように感じるかもしれません。耳の中にサザエを入れてあるかのような感じがします。

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正常な耳と耳道のモデルです。
 

<悪くさせる要因は何だろう>

上記のような、構造的な問題はどうすることもできないわけですが、耳の毛の問題だったら、こまめなケアで毛の処理をすれば悪くなるのを防ぐことができるかもしれません。

アレルギー性の病気、たとえば食物アレルギーやアトピー性皮膚炎があると、皮膚の状態によって耳も悪化と良化を繰り返すと思います。一緒に診察していく必要があります。

甲状腺機能低下症のような内分泌的な病気があっても、耳垢排泄が滞ります。副腎皮質機能亢進症があると細菌感染を起しやすいため、外耳炎を繰り返す可能性が高いです。こうした内分泌系の病気がないかどうかは耳の診察の他、全身チェックや、血液検査を通して知ることになります。検査後、不足しているホルモンをお薬で補充する必要があります。

耳の中に異物はないか、構造異常が起こっていないかを見るには耳鏡などで耳の中を覗いて見る必要があります。異物は取り除けば済みますが、腫瘍は簡単に取り除くことができません。しっかりした治療計画を立てる必要がありそうです。

細菌やマラセチア(酵母菌)感染は耳垢を染色して顕微鏡で確認します。ひどい細菌感染では耳垢を材料にして細菌培養して、適切な抗菌薬を調べる必要が出てきます。まれにはMRSAなどの治療しにくい菌の感染があり、特殊な抗菌薬を長期間使用しなければならないようなこともあります。

このように発症の要因は何?をみていくには、さまざまな検査が不可欠です。「怪しいな」「調べさせて貰えないかな」というときがありますし、逆のこともあります。「困ったな」「調べたいけど痛みがひどすぎて検査どころじゃないぞ」というときです。まれですが耳の処置に麻酔をかけなければいけない状況もあります。耳処置に麻酔!それでも検査してきっちり調べて、しっかり処置ができれば治癒への道が開けます。

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炎症が起こっている耳のモデルです。
赤く腫れ、耳垢が耳介のしわに溜まり、耳道は狭まっています。
耳道奥には耳垢が、鼓膜の先でも漿液が溜まっています。

<外耳炎の治療>

外耳炎の治療の基本は耳道をキレイにすることです。耳垢があるとそこに点耳薬を入れても良くなりません。まずは溜まっている耳垢を取り除くことから始まります。じゃぶじゃぶと洗浄しても大丈夫なわんこと、そんなことはイヤですと言い張るわんこがいます。時間をかけるか麻酔をかけるか、さてどっち?ですが、無理のない方法を選ぶことが大半です。こうして治りが悪いことになります。

耳道をキレイにしたら次は点耳薬です。たいていの外耳炎用の点耳薬は炎症を抑える薬、抗菌薬、抗真菌薬の3つが合わさっています。クリームなのか、油っぽい薬なのか、ゲル状になっている薬かの違いと少しずつのそれぞれの薬の特性の違いです。細菌感染がひどく、耳だれが耳の外まで出てくるほどになっている場合は、水性の抗菌点耳液を使います。点耳液は滴下するというよりも、耳の中に薬を入れてしばらく耳を傾けておき薬が外に出ないように保持します。耳浴といいます。

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耳垢を染めて顕微鏡で見ると細菌や酵母菌を発見できます。

<全身療法を併用>

基本は外用だけです。でもそれだけだとちょっと不安というときがあります。細菌感染がひどいときの抗菌薬、マラセチアの増殖がある場合の抗真菌薬が主ですが、アレルギー疾患が関与しているときの抗アレルギー療法も全身療法です。内分泌疾患が隠されていたとわかったら、ホルモン剤も内服になります。

「耳が悪いけど、シャンプーしても大丈夫かなぁ?」というご質問を受けます。耳の中に水が入るのが心配で皆さんシャンプーを控えられるようです。アレルギーの関連した外耳炎では積極的に皮膚のケアを併用して貰った方が良いので、シャンプーOKですとお伝えしています。心配ならシャンプーをした日に診察にいらしてください。

多くの「治らない、再発性の外耳炎」はアレルギー関与のあるものです。スキンケアとお耳ケアはセットと考えて貰ってもいいくらいです。

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<良くなってもまた悪くなる>

はじめの「耳を振る」「耳の後ろを盛んに掻く」「耳が臭う」などの症状がなくなっても、外耳炎がくすぶっています。治療は続けます。それから耳垢のたまりもなく、すっかりよくなって、「ああ、良かった!」になりますが、それからの過ごし方が大切です。

おうちでお耳ケアができるときは週に1回くらい点耳薬を入れて貰ったり、シャンプー後にお手入れをして貰ったりします。おうちケア無理っ!というときは、来てください。春のお彼岸から秋のお彼岸ころまでの季節、「夕焼け小焼け」の放送が流れるのが6時になっている間は2週間に1回くらい来院していただいてお耳チェックできるといいと思います。そして放送が5時になる秋から冬の間は1か月に1回くらいのペースです。これだと再発があってもごく初期で治療を始められるし、たいていはそこそこ良い状態で維持することができます。


まだしばらく暑い日が続きそうです。外耳炎も悪化しやすいです。
「すっかり良くなった!」その後からの過ごし方で耳の状態は変わります。外耳炎は再発しやすい病気です。だから「悪化しないように良い状態を維持させる」のが大切。ぜひ「良くても再診」をお願いします。

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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Author:ハート動物病院
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