猫の不適切な爪とぎ

の飼育環境が変わって、猫は本来の行動ができず、ストレスをためることも多くなってきました。「犬に比べると散歩に行かなくてもいいし、トイレのしつけも難しくないし、ねこちゃんって飼育が楽だわ」なんて思うのは大きな間違い。猫にストレスを強いているかもしれません。猫を愛する人にこそ、分かっていただきたい猫のストレスのお話をしています。

今回は不適切な爪とぎについてのお話です。

 

猫の不適切な爪とぎ

猫の爪とぎには二つの意味があります。一つは層状になっている爪の外層部を爪とぎによって取り除くことで、いわゆるグルーミング行動です。筋肉運動としてもいいことですね。もう一つは「ここに私がいます」の意味合いの印をその場に示すことで、これはマーキング行動です。猫の爪とぎ跡には、爪が作った痕や、周囲にこぼれた爪が見られます。視覚的なアピールです。それから私たちには分からないのですけれども、掌に分布する皮脂腺から出るフェロモンが嗅覚的なマーカーとして残っています。

猫の爪とぎによるマーキングは、そのエリアの中で自分の情報を他のネコに伝達したいという希望です。この爪とぎ跡によって、お互いのなわばり範囲を知り、争いごとを避けることができるようになっています。猫は基本的に争いごとを好みませんので、マーキングをつけた方の猫が「ここに僕がいるのだからこの印を見たらよそへいって欲しい」というメッセージを示します。もちろん「僕もここに遊びに来ましたよ」という印を相手の猫も付けるのですが、「これは他の猫の印がたっぷりついている」と感じ、上手に距離を置いて別のところへ流れていってくれると、けんかは始まりません。

現代の猫の飼育状況は、こうした広い屋外での環境と異なります。多頭飼育の場合は、もっと狭い範囲で猫密度高く暮らしています。たまたま同居することになってしまった猫とは血縁関係があるわけでも何でもありません。猫が何らかの状況で不安を抱いてストレスを感じると、縄張りを守るため、自身の居場所の安全を主張しようと家庭用品を傷つけ始めるでしょう。

爪とぎそのものは猫にとって正常な行動です。飼育する家族が「ここで爪とぎをされるのは困る」と感じると「問題行動」として認識されることになります。とはいえ、猫が猫らしい行動を行うのは猫の権利でもあります。爪とぎ行動をなくすことはできません。どこか別の場所で、別の方法で爪とぎをして貰い、お互いの要求を呑むよう交渉する必要が出てきます。

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猫のストレスの原因は何?

どんなことが猫にとってストレスになるのかは、前回も、また他の機会にもお話ししてあり、同じことの繰り返しにはなりますが、例を挙げますと次のようなことです。

·         家族の人間のスケジュールの変化。(勤務形態や進学による変化など)

·         新しい家族。(人のこともあるし動物のこともあります)

·         家庭内のペットや人の喪失。(入院など)

·         屋外動物、特に他の猫の存在。(窓を介して見えること)

·         家のリフォームまたは家具の配置換え。

·         移動。(キャリーでどこかに連れて行かれること)

·         休暇、来客。

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ストレスに関連した爪とぎ

爪とぎの頻度や激しさが突然増加しているときや、ターゲットになっているのがいつもの爪とぎから家具の足、ソファのアームレスト、壁などの垂直面に移行しているときは、特にストレスに反応している可能性があります。

猫の不適切な爪とぎ行動は、ストレスとは関係が無いときもあります。屋内の猫は、侵入して来そうな外猫を目にしたり、においを感じたりしているのですが、外に出ることができません。その結果、扉や窓枠を引っ掻いて傷付けることがあります。

ストレスの結果として爪とぎ行動が激しくなった猫では、他の不安行動の徴候を示している可能性があります。 これらには次のものがあります。

·         隠れる。

·         過度のグルーミングをする。

·         おかしな声を出す。

·         食欲が減る。

·         他のペットを攻撃する。

·         尿マーキングをする。

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困った爪とぎをやめさせる

ストレスに関連した過剰な爪とぎを減らす最良の方法は、ストレスの管理です。原因を特定できる場合は、その原因を取り除くか、できない場合でもストレスを減らすように他の代替えを行うことにします。猫のストレスを軽減するための一般的な方法については、これまでのお話と大差なく、重複します。爪とぎ行動に関しての行動療法的なことを中心にお話しします。

·         なでたり遊んだりして。

11の時間をたくさん作って遊ぶことに費やしてください。猫を走り回らせるようなアクティブな遊びは夕食後の安定した時間にまとまって15分くらいとれるといいと思います。優れたハンターである猫に生き生きとした活動を屋内で体験させるには、捕食対象であるねずみや鳥を真似たおもちゃを使いうと、肉食動物の本能を働かせることができ、ストレスを軽減させることができます。レーザーポインターなどの光で遊ぶのは昆虫の補食行動のまねになります。しかし光で遊ぶ場合は実態がないので最後の「仕留める」行動を起こすことができないため、最後には丸めた紙などを光に投げ込んでやってください。

·         別の爪とぎを用意して。

猫は、本来は木の幹で爪とぎをします。爪とぎの素材は縦に裂けやすいもので、十分な大きさがあり、爪を引っ掻いても動かない安定感があるものを垂直に設置するのがおすすめです。段ボール製の爪とぎはゴミが出やすいのですが、大きな木の幹の代替えに屋内で用意する物としてはなかなかよいと思います。本物の木の切り株を用意できるのであれば、なんて贅沢なことでしょう。工事に使われる麻袋のような生地とか荒目のカーペット素材で覆われた背の高い、丈夫なポストみたいな柱であると猫の好みになります。

爪とぎは猫が寝る場所の近くで目立つところに置きます。猫は寝起きに爪を研ぐことが多いというのがその理由です。または、今爪とぎをして困っている場所に置きます。外にいる別の猫を見て窓や引き戸のそばの壁を傷つけている場合は、その場所に爪とぎを置いてください。ドアの底にある床を引っ掻いている場合は、水平なものや少し斜めに傾いている爪とぎを置きます。

市販品の中にはキャットニップの袋が添付されていることがあります。猫の関心を引きつけるために使います。飽きてきた頃に追加で匂い付けしますが、はじめの頃の勢いが得られない場合もあります。爪とぎの替え時かもしれません。

·     困った場所には近づけないように。 

新しい爪とぎを用意しても、それまで常用していた爪とぎ場所がいつものままになっていればそこで爪とぎをしてしまいます。爪とぎをされては困る場所には近づけないようにするのが一番です。でもそれができない場合は、爪とぎには適さない素材でカバーします。レジャーシートは猫が嫌いな素材です。ソファーのアームであれば、十分に隠れるような厚い毛布で覆い、その前に新しい爪とぎポストを置きます。

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 複数の猫を飼っている場合、猫のストレスレベルは、一頭で飼われている猫よりも少し高くなります。

·     生活用品が足りているのかを確認して。 

フードの食器、水の食器(給水器)、トイレ、猫用ベッド(休めるスポット)、爪とぎなどは1頭の場合の何倍にもなります。それらを家の別の場所に置き、猫同士が接近してそれらを使用しても大丈夫な場所、または関係性のよくない猫が居ても敵対空間にならないように分散させて、いくつか(複数個)設置するようにしてください。生活用品だけで無く、空間も重要です。1頭ずつの占有スペースも広くとれるように確保してやるといいです。猫密度には気を配ってください。

·     いろいろな爪とぎ。 

猫は「ここは自分のエリア!」と印を付けると、気分が良くなります。他の猫に領土問題を伝える必要があるからです。たとえ飼育している猫が一頭だけであっても、「わたしの居るところ」としてアピールするために爪とぎをする必要はあります。爪とぎは猫が「爪の外層を吹き飛ばす」ための物理的な道具でもあります。猫が好む種類を選ぶ必要もあるし、その日そのときの気分屋でもある猫が気に入るように複数の爪とぎを提供する必要もあります。猫なので。理由はそれだけです。

·     窓の高さに置いた爪とぎ。

外側から見てもアピール度がある爪とぎになります。猫の気分を良くするのに役立ちます。 

·    フェリウェイ。

猫を落ち着かせる働きがあるフェイシャルフェロモンを成分としたフェリウェイは、ネコのストレスを軽減するのにとても役立ちます。屋内でフェリウェイスプレーを使用すると、特に複数の猫がいる場合は、ストレスに関連する爪痕を減らすことができます。拡散タイプはコンセントに刺すだけでフェロモンがゆっくりと広がります。常にストレスを抱えていて場所を特定しない場合は部屋に用意すると良好な効果が得られます。

·     爪切りとネイルキャップ。

定期的に爪を切ると、万が一爪とぎをしても被害は少なくなります。また爪切りの後、ネイルキャップを付けるのも被害を少なくするのに役立ちます。ネイルキャップは4週から8週くらいで付け直さなくてはなりません。しかし猫にとって最良の方法というわけではありません。爪切りは押さえつけて行うものではなく、できるだけリラックスさせて行います。場合によっては1日に1本か2本しか切れないかもしれません。おうちで爪切りをするのは大変な場合は、病院にお連れください。

·     叱ってはだめ。

罰を与えるのは有効ではありません。

·     子猫のうちから。

専用の爪とぎに子猫のうちからならしておくと被害は少なくなります。

 

猫の困った行動、「不適切な爪とぎ」についてお話ししました。爪とぎ行動の中にもストレス関連の行為があるというのをお知らせしたくてお話ししました。

あなたの猫にお気に入りの爪とぎが見つかりますように。

 
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