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猫の知覚過敏症候群

 猫の知覚過敏症候群(Feline Hyperesthesia Syndrome:FHS)は心因性脱毛症」(Psychogenicalopecia / over groomingは、重複するところのある状態です。

知覚過敏というのは、「皮膚が異常に高感度である」ことを意味します。心因性脱毛症は典型的な徴候から始まり、段階的に亢進していきます。知覚過敏症候群はrollong skin syndrome 、rippling skin syndrome self-mutation syndrome twichy cat disease a typical neurodermatitis非定型神経皮膚炎)など、多くの名前で知られています。

 

猫の知覚過敏症候群の徴候

知覚過敏症になっている猫は、背骨に沿って腰部から尾の基部に触れたとき、非常に敏感に反応します。見られる臨床徴候は次のようなことです。

·         背中の皮膚が波打ってぴくぴく動く。

·         筋肉のけいれんのようなうごき。

·         ぴくぴくした背中を気にして舐める、咬む。

·         尻尾を追いかけ、尻尾に噛み付く。

·         脇から脇への横っ飛び。飛び跳ねて急に走り出す。

·         ギャーっというような発声や手を出すなど、背中に触れたことに応じて不思議な行動を起こす。

·         極端な舐め、噛み、髪の毛を引き抜く。

(ここから脱毛につながり、時には重度の皮膚病変になります)

 

こうした過敏症による異常な行動が始まると、これらの行動をやめさせることが困難です。どの行動から始まるのかは決まっていません。何かに飛び乗って落ちて動きをやめることもあるし、その場所で局所を集中して舐めたり噛んだりしていることもあります。

センシティブな行動は、だれかが猫を撫でたことに誘発されて始まることもあります。知覚過敏は、激しく興奮していたり、不安を抱えていたり、または攻撃的な猫で見られます。正確な原因は不明ですが、猫の生活の中でストレスに満ちた出来事があって、それがもとで重度の不安に陥り、それによって過敏症が引き起こされるのかもしれません。慢性不安の間に脳内の化学物質の変化が起こり、これが知覚過敏障害につながると考えられています。

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猫の不安を引き起こすストレス要因

猫のストレス原因はこれまでお話ししてきたようにさまざまです。

·         新しい家への引っ越し。

·         家族のスケジュールの変更。

·         家庭内の人間または同居動物の追加または居なくなること。

·         同居猫の間のけんか。

·         家具の移動、部屋の模様替え。

·         外に新しい動物を見るようになること。

·         家のリフォーム。

·         退屈と不満。

·         根本的な痛みもこの症候群の一部である可能性があります。

進行中の不安は、脳の化学物質の変化を引き起こすと考えられています。ひとたび感情が過敏になると、それを引き起こした元々の状況とは別になって、続く可能性があります。

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猫の知覚過敏症候群の診断

猫の知覚過敏症候群を診断するための特殊検査はなく、心因性脱毛症の場合と同様に、他の病気を除外して診断することになります。

·         皮膚の病気(アレルギー、外寄生虫、皮膚感染など)。

·         背中の痛み、関節炎、肛門嚢病、筋肉痛、脊髄疾患、咬傷、膿瘍、癌、または器官の問題などの根本的な痛みを伴う状態。

などです。とにかく可能性がある病気は非常に多いので、詳しくお話を聞いて、徹底した身体検査と、皮膚検査、血液検査、ウイルス検査、生検、X線などのさまざまな診断検査を行う必要があるのですが、そもそも知覚過敏症になっている猫はとても神経質なため、検査に素直に協力してくれることはまずありません。家庭での猫の行動を動画撮影していただき、それを見せていただくのはとても参考になります。時には、行動療法の専門医への紹介が必要な場合もあります。すべての基礎獣医学的疾患が考えられないとか、あったとしてもそれが適切に治療され、それでもなお症状に変化が起らないようなとき、「知覚過敏症候群」として診断されることになります。

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猫の知覚過敏症候群の治療

知覚過敏症候群は、猫の生活のストレスを軽減することによって治療されます。行動変更を試み、あなたの猫との遊び時間を増やし、猫が興味を示す活動で環境を豊かにすることによって退屈さを減らしてください。行動療法が中心です。

·         狩猟本能を満たすような食事の給与形態。また遊び。

·         おやつを得るための簡単なトリック。

·         猫に多くの注意を払い、毎日少なくとも15分間は遊んでください。

·         彼が家庭内の他の猫による攻撃の犠牲者である場合、または猫を分離する場合は、猫に避難路や隠れられる場所などの逃亡経路を与えます。

·         猫の不安を高め、彼の強迫行動症候群を悪化させるかもしれないので、この行動を罰してはいけません。

·         頻繁な再診が必要です。根底にある病的な問題が時間とともに明らかになる可能性があるからです。

·         身体の一部を咬む「自傷行為」が激しく起こる場合は、身体保護のためにエリザベスカラーを付ける必要があります。(はじめは保護目的のためハードカラーを付けることになります。問題行動が治まってきて、ソフトなカラーや布カラーなどに変更することができるか、またカラーを外すことができるか、残念ながら長期にわたって装着が必要になってしまうのかはストレス除去と治療に対する反応によって違ってきます。)

 

行動療法以外の治療

セロトニン(脳の化学物質)を増加させる薬があります。抗不安薬や抗うつ薬です。重度の強迫症があるときに、このお薬を投与するかどうかを話し合って決めましょう。薬の効果の発現までには4週から8週かかるといわれています。途中で「効果が無いみたい」と中止してしまうのはもったいないです。それから効果があった場合でも、通常約12週間は投与を続けます。そして症状が低下してきたらゆっくりと投与量を減らしていきます。一部の猫は薬剤を減らすことができず、無期限に薬を必要とすることがあります。長期連用する猫では治療期間中に薬の副作用が発現していないかどうか、血液検査を実施して監視していきます。 

 

 ☆行動療法については「猫のストレス」の項目、「心因性脱毛」の項目も参考にしてください。もっと詳しくお話ししました。これまでお話ししてきたいくつかの兆候に比べ、知覚過敏症候群は手強い病気になります。長期戦を覚悟でしっかり取り組む必要があります。

 

今回で猫のストレス関連の病気についてのお話をおしまいにします。不適切な排泄については別のところでお話ししてあります。こちらもストレス関連の病気です。

お外に自由に行ける猫さんも、屋内で過ごすだけの猫さんも、そしてご家族のみなさんにもストレスのない明日が毎日訪れますように。

 
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