高血圧症

 517日は「世界高血圧デー」です。

犬や猫にも、高血圧症があります。

犬と猫の高血圧症についてご紹介します。

 

<血圧というのは?>

心臓から送り出された血液が血管の内壁を押す力が「血圧」です。血圧は水銀柱を押し上げる力をあらわすmmHgで示されます。Hgは水銀のことで、これを何ミリメートル(mm)押し上げるか、というのが圧力の単位、「mmHg」になっています。

送り出される血液の量や血管の太さ、血管の抵抗によって血圧の値は変化します。たくさん血液が送られているとき、血管が狭くなっているとき、血管が硬くなっているときなどでは圧力がかかるので、血圧は高くなります。

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<血圧を測定する>

血圧測定には動脈に管を入れて測定する(観血法といいます)のが最も正確だと言われていますが、日常的にそのような検査を行なうことは現実的ではありません。

犬や猫は足に分布している血管が多数枝分かれしていることから、血圧測定は困難だと長年言われてきました。1972年にドップラー血圧計が開発され、麻酔中に動脈内に管を入れなくても簡易に血圧をモニタリングすることができるようになり、この方法は広まってきました。すでに1992年の獣医麻酔外科雑誌には、母校の心臓・腎臓関係の諸先生方が手術時に実験を行ない、ドップラー法を観血法と比較検討したところ有用であるという結果が出ています。

私たちが血圧測定をするときですが、腕に巻いたカフに空気圧をかけ、医師(または看護師)が聴診器を当てながら測定して貰うのが昔からの方法です。コロトコフ法といいますが、このとき聴診器では血管から出る音を聴いています。今、家庭で普及している血圧計は、血管の音の代わりに血流による振動をキャッチしています。オシロメトリック法といいます。

大きい犬にはこの方法、小型犬や猫にはあの方法、と推奨される先生もおられますが、SA Brown 先生によると「測定装置の選択は操作者の経験と好み」でよい、ということですから細部にこだわる必要も無いのかもしれません。

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<高血圧症はいくつ以上から?>

ちょっと高齢の方になると、「上が150で、下が100。もっと下げるように言われてるんだけどねぇ。」なんていう会話をされている患者さんがおられます。なんとなく、「このくらいが高血圧になるんじゃないの?」という数字を感覚的に持っていらっしゃるようです。

「上」というのは「収縮期血圧」、「下」は「拡張期血圧」のことを指しています。

将来、高血圧症による身体の不調が発生するリスクに基づいて、IRISでは血圧をステージ分けして、高血圧かそうでないかを評価しています。

収縮期血圧

拡張期血圧

将来のリスク

血圧の評価

150mmHg未満

95mmHg未満

最小

高血圧ではない

150~159mmHg

95~99mmHg

軽度

ボーダーライン

160~179mmHg

100~119mmHg

中等度

高血圧

180mmHg以上

120mmHg以上

深刻

重度な高血圧

これからすると、人(人では140/90mmHg以上を高血圧)よりも幾分高い、160/100mmHgからがはっきりとした高血圧ということになります。人では、ある数値を超えたときに脳出血や脳梗塞が起りやすくなるという地点を見ていったときに、みえてきた数値が140/90mmHgで、ここがボーダーラインです。動物でボーダーラインであるのは150/95mmHgです。この数値よりも低く押えられている方が将来安心ということになります。

実際私たちが高血圧症と診断するときの収縮期血圧は150mmHg以上です。血圧は、動物が興奮していたり、不安を感じていたりしても生理的に上昇しますから、(もちろん白衣性高血圧もあります)、何度か測定して「間違いなく高い」を得ることにしています。同じ日にも数回測定しますが、1週間以上の間を開けてまた同じように測定して結論を出します。はじめの頃は高い数値が出る日に低めに出る日が混じっていても、いずれは「持続的は高血圧症」に移行していくようです。やはり継続測定は大切です。

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<サイレントキラー>

高血圧は「サイレントキラー」と言われています。高血圧に自覚症状がないのは、経験されていらっしゃる方も、またご自身でなくてもご家族の中にいらっしゃるかと思いますが、症状がないためにそのままになっていて、あるとき突然、大変なことになるわけです。それが「沈黙の殺し屋」と言われるゆえんです。

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<高血圧症の原因は?>

人ではほとんどが遺伝と生活習慣による「原発性」(一次性)の高血圧に、加齢やその他の発症因子が加わって何らかのイベントが起るわけですが、動物の場合はほとんどが何か病気に併発した「二次性の高血圧症」になります。

高血圧症を引き起こす病気として、犬では

・慢性腎臓病

・副腎皮質機能亢進症

・糖尿病

・肥満

・甲状腺機能低下症

などが考えられます。

猫では

・慢性腎臓病

・甲状腺機能亢進症

などが挙げられます。そのほかある種の薬によっても引き起こされることがわかっています。




長くなりました。今日はここまで。
今週は病気のわんこさん、それも結構重篤な病気のわんこさんが目立ちました。マイデスクに座れることがなくて、日曜日の朝の更新が1日半ほど遅れてしまいました。


 
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