FC2ブログ

血液検査・カリウムの値が高い

 血液検査結果・カリウムが高いときの判断について

 この前、「元気でなんともないのにリンが低い」ことについてお話ししました。今日は、「元気でなんともないのにカリウムが高い」のお話です。

 <カリウムの役割>

カリウムもリンと同じように、生態の機能を維持するためになくてはならない大切なミネラルの一つです。

細胞の中のカリウムは神経や筋肉の興奮と、興奮の情報を伝える役割をしています。カリウムの濃度が異常を示すと、知覚異常や意識障害、脱力、麻痺といった、とても怖いことが起ります。心臓の筋肉(心筋)も刺激が伝わって収縮し、拍動しますが、カリウムの異常が進むと、重篤な不整脈が発生し、心停止するなど致命的な結果を招くことになります。

 

<カリウムの摂取と排泄>

カリウムは食物中にあるものが腸から吸収され、90%以上が尿中に排泄されます。

カリウムの出し入れの調節をしているのは副腎から分泌されるホルモン(アルドステロン)です。

血中のカリウムは尿中に排泄すべきかどうかを厳重にコントロールされています。腎臓が正常に機能していると不要なカリウムは体外に排泄されます。

 IMGP1162_edited-1.jpg

<カリウム異常はどこが悪い?>

血液検査でカリウムの値を調べると、主に腎臓と副腎の機能を知ることができます。たとえば副腎皮質機能低下症。また、尿路結石症などで完全に尿路が閉塞され、急性の腎障害があるときにもカリウムが高くなります。

そのほか腫瘍細胞が急に崩れていったとき、体調が著しく悪く身体が酸性に傾いたときなどでもカリウムは高くなります。またインスリンが不足していてカリウムが細胞内に取り込まれないときにも血中のカリウムの値は高くなります。

 

<病気の診断>

身体のどこかに異常があってカリウムの値が高くなるとき、それぞれに他の検査項目に異常を見ることが多いです。

先ほどの例でいきますと、副腎皮質機能低下症ではカリウムが高いけれど、そのほかのナトリウムやクロールなどの電解質は低くなります。腎臓の機能異常があれば高窒素血症が現れます。細胞が破壊されればほかの細胞内にある酵素の上昇も見られますし、インスリンが不足する事態というのは高血糖の状態が見られます。

カリウム値だけでなく総合的に判断します。

 

<服用している薬によっても影響を受ける>

心臓の病気、腎臓の病気などで処方しているお薬によっても血清カリウム濃度が高くなることがあります。

 IMGP1163.jpg

<偽の高カリウム血症>

病的にカリウムが高い場合、他の項目に異常が見られるはず。「健康そのもの、元気いっぱい」で、「他の項目には異常が無い」、それなのに「カリウム値だけが高い」ことがあります。

実は採血や採血してから検査をするまでの課程に問題があって、カリウムの値が高くなってしまうことがあります。偽の高カリウム血症です。

 

<カリウムの体内分布>

カリウムは身体の中で98%が細胞の中にあります。体液の中のカリウムはわずか2%で、そのうちの98%は血中の赤血球の中に存在します。ということは。。。

 

<病気以外でカリウムが高くなってしまう原因>

    血中の赤血球にカリウムがたくさん存在していると言うことは、赤血球が壊れると高カリウム血症になると言うことです。溶血は偽の高カリウム血症の原因になります。

  駆血帯(くけつたい・血管を浮き立たせるために腕に巻くゴム製のものです)をしてから、血管を探し出すまでに時間がかかってしまい、しばらく腕を圧迫した状態が続いていると、細胞内からカリウムが血液中に流れ出てきて、偽の高カリウム血症の原因になります。また、針を刺してから十分な血液量が採取できないために、くるぶしあたりを「こきこきこき」と握ったり伸ばしたりを繰り返して(クレンチングとかハンドグリップとかいいます)いても筋肉細胞からカリウムが流出してしまいます。なお、採血をしている間、駆血帯はそのままで解放していません。採血時間が長くなっています。高齢の犬、血管が細い犬、圧力の低い犬、体格の割に血液量が必要になった場合にこんなことが起りやすいです。「えっ!こんな所から血を採るんですか!」と驚かれることが多い頸静脈からの採血ですが、ここの血管は太く、駆血によるタイムロスが少ないため偽の高カリウム血症は発生しにくいです。

    血小板や白血球が異常に高いとき、凝固する過程でカリウムが流れ出して、偽の高カリウム血症を起すことがあります。

    採血をしてからそのままの状態で血液を置いておくと血球内からカリウムが漏れ出してしまうことがあります。30分では遠心分離して血球と血漿を分けることにしていますが、ときに「しまった!回し忘れた!」ということが起っているのかもしれません。すみません。

 IMGP1161.jpg

<偽の高カリウム血症は心配なし>

偽の高カリウム血症は病気ではなく、採血と採血後の検体の取り扱いの問題です。全く心配はありません。

 

 

今日のお話はここまでです。

暑く湿度の高い日が続きます。ノミやマダニなど繁殖スピードが高まり、被害も瞬く間に広がってしまうことが予想されます。外部寄生虫の駆除薬はホームセンター等で市販されている商品では十分な効果が得られません。動物病院で処方したものをお使いください。

 
スポンサーサイト

テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ハート動物病院

Author:ハート動物病院
ハート動物病院です。
〒445-0062
愛知県西尾市丁田町杢左51-3
TEL/0563-57-4111
オフィシャルサイト:http://www.heart-ah.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード