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アトピー性皮膚炎が治らない!その1

 換毛期を過ぎ、皮膚のトラブルを抱えたわんこさんが増える季節になりました。今日からはアトピー性皮膚炎のわんこのお話、それも「治らない!」というわんこたちのお話です。

 

<治療の目標>

アトピー性皮膚炎は管理が長期戦です。皮膚病のなり始めは「夏の間が大変。」だったのに、いつの間にか、「春のお彼岸過ぎるともう痒み反応が出始め、秋のお彼岸が過ぎるまでは手を抜けない。」ような状態に変化します。そして「もう一年中痒みと戦っている感じ。かろうじて冬の間はまだまし。」なんてことになっています。アトピー性皮膚炎は「なかなか治らない」のではないのです。「徐々にひどくなる」のがアトピー性皮膚炎の特徴なのです。そして「治す」ことは目標ではありません。アトピーのわんこの皮膚は普通のわんこの皮膚とはちょっと違う構造で生まれてきてしまっているため、「治ることが無い」のです。アトピー性皮膚炎は「上手に管理する」ことが大切です。状態が安定していることを「寛解」と言っています。常にこの「寛解」の状態に持ち込んでおくことが治療の目標です。

 IMG_3785.jpg

<治療がうまくいかない>

「治らない」といわれることが多いのは次のようなケースです。例を挙げます。

  薬だけもらいに来れば、診察しなくてもいいですよね。

  足を舐めるのはこの子のクセみたい。

  悪いのは皮膚です。

  プレドニゾロンがよく効きます。これだけでいいです。

  シャンプーをするときの注意が細かすぎる。

  シャンプーは市販のものを使うから大丈夫。

  おやつあげてもいいよね。

それぞれについて説明していきます。

IMG_3790.jpg 

 

<どうしてなかなか治らないの?>

 ひとことで言うと「それはアトピー体質だから」です。以下、説明していきます。

 アトピー性皮膚炎はアトピーとか脂漏症(あぶら症)になりやすい体質のもとに、皮膚環境の変化があって、皮膚バリアが壊れたときにトラブルが発生します。ですから繰り返し皮膚が悪くなるとき(治らないと思われているとき)は、その前に皮膚の環境に変化が起っています。

 皮膚環境の変化には

  気温や湿度が上昇してきた(季節性の問題)

  被毛が厚く密で空気の通りが悪い(アンダーコートが抜け切れていないなど)

  脂性の分泌物が多い(汗をかくことなど)

  皮膚が擦れる(肥満などで襞の多い部分がすれています)

  皮膚以外に痛いところがある(炎症が起っている)ので舐めている

  問題行動としての舐める行為がある

  首輪などのサイズが合わないためこすれる

  着せた服の材質が合わない

  外用薬を塗ったことが刺激になっている

  肌に合わないシャンプーだった、またはすすぎが不十分だった

などが挙げられます。実にさまざまな理由で皮膚環境は変化します。

これらの皮膚刺激は自身の皮膚バリアを壊すことになります。

そして皮膚は徐々に変化していきます。

  皮膚が厚くしわしわしていて、触ると硬くなってくる

  皮膚の上にカサカサしたフケが浮き上がってくる

  皮膚がべたべたしている

  皮膚がじっとりしている

などです。

 皮膚バリアの壊れた皮膚では皮膚の常在菌が繁殖してきて、

  細菌性皮膚炎(膿皮症と言うこともあります)

  マラセチア性皮膚炎

を発症してきます。

  まとめますと、繰り返し皮膚が悪くなるのは、

「アトピー体質だから」「皮膚の環境の変化にデリケートに反応しやすく」「皮膚バリアが壊れやすいため」「常在菌が繁茂しやすい」

 というわけです。

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<失敗1,診察しなくてもいいですよね

 診察にいらっしゃらず、おうちの方だけがいらして「薬だけください」というケースです。

 いらしていただかないと皮膚の状態がわからないですし、そもそも診察になっていないので、困ったなぁ~になります。中には「何年か前にもこうなったことがあったよね、あれと同じだからさぁ、あんときの薬欲しいぞ。」なんてこともあります。これ、無理です。やっぱり来ていただかないと、お薬を何にしようか、どのくらいの分量にしようか、見てないものに対するお薬処方は考えられません。

 IMG_3791.jpg

<薬だけでもいい?>

 診察では皮膚にどんな変化がおこっているのか、しわしわなのか、カサカサなのか、べたべたなのか、じっとりなのかを見ています。また細菌やマラセチアなどの繁殖が起っていないのかどうかも確認しています。

 毎日わんこを見ているおうちの方からすると、変わっていないように見えても皮膚の状態に変化があります。

実は「アトピー性皮膚炎」という診断をしてからも「細菌性皮膚炎」「マラセチア性皮膚炎」「脂漏症」「ドライスキン」など、その時々の皮膚の状態で皮膚病を現すことがあるのですが、「あれっ!?うちの子はアトピー性皮膚炎じゃなかったんですか?」と驚かれることもあります。サブタイトルとでもいいましょうか、そのときに生じた併発症があると、それに対しても皮膚病の名前が付きます。併発症がある場合は、アトピー性皮膚炎の基本の治療に併発症の治療も必要になってきます。むしろ、皮膚の状態が安定しているのかそうでないのかを再診で見させていただいていますが、この「安定」というのは「併発症が無い」のを確認していると言ってもいいくらいです。

 「薬だけもらえないの?」「う~ん。だめなんですぅ。」の理由は「皮膚が変化していくから」です。安定期に入っていると再診予定日までを長くとるようにしていますが、初診または悪化したときからしばらくの間は、再診予定日までの日数は短く設定しています。変化の予測をつけられないからです。わんこを連れてこられるのは大変かもしれませんし、お薬だけで済むのなら手っ取り早くて楽ちんでしょうけれど、この方法ですと治療の失敗につながります。

「どうせ変わらない」んじゃなく、「すこしでもいい状態」を目指して、診察にいらしていただきたいと思います。

 

今日のお話はここまでです。

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ジャンル : ペット

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