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アトピー性皮膚炎が治らない・その2

 アトピー性皮膚炎の治療を失敗に終わらせないために、よくある失敗例のお話をしています。2回目です。

前回は診察にいらしていただくことについておはなししました。今回は診察とお薬について、です。

 

<失敗2,足を舐めるのはクセだと思うわ

 アトピー性皮膚炎では、痒みの発生する部位に特徴があります。身体の背面はキレイで、内側に問題が起ることが多いです。脇の下や腕の曲がる内側、お腹や内股です。そして、足の裏、指と指の間も痒みの出る場所に挙げられます。「犬は汗をかかない」と言われていますが、犬の皮膚にも汗腺はあり、これらは汗をかきやすい所です。さらに皮膚が身体の中に入り込む境い目のところもカイカイが多く出ます。目の縁とか口まわり、耳道の入り口、陰部や肛門のまわりです。(皮膚粘膜移行部と言っています。)体液が出る場所の近くで、湿度が高くなっている部分です。アトピー性皮膚炎の発生ポイントは常に清潔にし、二次的に細菌やマラセチア(酵母菌)の繁殖が盛んになるのを防がなくてはいけません。

「眠くなると舐め始める」かもしれませんが、夢中になって遊んでいるときには痒みを忘れているけれども、いろいろなことに関心が無くなりはじめた寝る前のひとときに「痒みを覚える」のかもしれません。

 まずご家族の方に「犬の痒み」を知って貰えると、そこから治療への道筋ができるかな、っと思います。

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<失敗3,悪いのは皮膚だと思うわ

 悪いのは「皮膚」。だけど皮膚は体中に広がっていて、皮膚粘膜移行部と、粘膜部そのものに問題は起っています。結膜炎がその代表例です。また特に耳は必ず一緒に見て、耳垢汚れの有無や細菌やマラセチア感染についてチェックし、清潔にしていかなければいけません。皮膚科診察にいらしていただいているのに、ついでに耳も覗いたり、爪まわりのことや短頭犬では鼻じわの間をいじったりします。眼の方も見させていただいています。「皮膚はつながっている」ということで、決して不必要な処置をしているわけではないということをわかっていただきたいです。

 それから「皮膚は内部臓器の鏡」と言われることもあるくらい、内臓の変化を反映させていることもあります。アトピー性皮膚炎だと思っていると、実は別の重大な内臓疾患を見逃してしまっていることもあります。定期的な健康診断があればそのときの血液検査で別の病気の疑いをピックアップできるかもしれません。そうでないときは、皮膚疾患ですけれど念のための血液検査、特に内分泌系の検査のご承諾をさせていただくことがあります。特に異常が見つからなかった場合も「ほらね、皮膚だけが悪い」じゃなくて、「悪いところがなくて良かった」って言って貰えるとウレシイです。

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<失敗4,プレドニゾロン大好き

 診察にいらしていただいても「痒みの薬だけ貰えればいいです」というケースがありました。アトピー性皮膚炎のお薬の中で中心的な役割を担っているステロイドのお薬、プレドニゾロンは大人気です。「安くて、よく効く、早く効く」の3拍子そろったいい薬です。けれど長期に使用していると身体に悪い面が出てきます。そのため、ある程度使用してからは減量していく必要が出てきます。中にはすでに別の病気を抱えているためにステロイドのお薬が使えない場合もあります。ステロイドを避けてコントロールする別の方法はこまめな外用療法ですが、シャンプーというと「水が嫌いだからできない。」と治療にブレーキをかけてしまう飼い主さんもおられ、「痒みの薬を出してくれたらそれでいい。」というお叱りを受けることもありました。犬のためと思ってさらにお願いすると「痒いのに痒みの薬じゃなくてシャンプー?それも高い薬浴剤?」とさらにお怒りを受ける治療になってしまいました。また、別のお薬での痒み低減を図ることもありましたが、どうしても「痒みの薬、プレドニゾロンだけ」を希望される飼い主さんもおられます。獣医学的にみると慎重に使いたいプレドニゾロンですが、痒みを止めてやりたいと強く思われる飼い主さんには絶大な人気があります。

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  その人気のステロイドの代替薬として過去には免疫抑制剤が筆頭に上がりました。ステロイドに比べ「大して効かない、飲ませにくい、おまけに値段が高く付く」という汚名をいただくこともありました。投薬技術に長けたオーナーさんと服薬が素直なわんこのコンビネーションですとうまくいく薬ですが、投薬に苦慮する場合は、薬が飲ませられないわけですから単に「人気の無い薬」で済ませられません。断念せざるを得ませんでした。今はさらに別のお薬があります。JAK(ヤーヌスキナーゼ)阻害薬です。投薬が難しいことはありません。効果の発現までも早く、飲ませたその日から効果を感じられることと思います。残念なことにステロイドのお薬に比べると高価です。

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 初期はプレドニゾロンで痒みを抑えますが、治療期間が長くなると脱ステロイドを目指して高価なお薬を提案することになります。またステロイドの軽減のためには適切な外用療法(スキンケア)は欠かせません。ご理解をいただけると有り難いです。でも、どのお薬とも相性というのがあるみたいで、試してはみたもののステロイド以外の薬ではどうも痒みがうまくコントロールできないというわんこもあります。この場合は最小量のステロイドでコントロールすることになります。しかし痒みを100%抑えることは難しいです。(そもそも痒み0%は限りなく難しいです。)わんこの身体にやさしい薬を使っていきます。ご協力ください。

 

今日のお話はここまでです。


各地で豪雨が続きました。雨脚は遠のいたでしょうか。お近くの川の水位はいかがでしょうか。何事もないことをお祈りいたします。

 

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