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アトピー性皮膚炎が治らない・その3

 アトピー性皮膚炎の治療失敗例について、いくつかお話ししてきました。今日は外用療法についてお話しします。

 

<失敗5,そんなに面倒なシャンプーはできないわ

 外で元気に遊び回っている子供に「あせも」ができてカイカイになっているときや、お仕事に頑張ってくれているお父さんの靴で蒸れる足に「水虫」ができているとき、毎日のスキンケア、できたら1日のうちでも数回きれいに洗ってしっかり乾かすことを繰り返していく方が、飲み薬に頼るよりも効果が出るだろうと予想がつきます。犬の皮膚ケアも同じです。強い薬を使わなくても、適切なスキンケアで皮膚の状態をコントロールすることは可能です。けれど適切なスキンケア、薬浴療法にはいくつかのお約束ごとがあります。
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  適正な温度の湯を用意する

  入浴(湯につかる)や予洗いをする

  皮膚の状態に合った薬浴剤を使う

  シャンプー原液をそのまま皮膚に垂らさない

  十分な量のシャンプー剤を使う

  しっかり泡立ててから洗う

  ゴシゴシ洗わない

  悪い部分から洗い始める

  薬剤の浸透時間を考えてゆっくり洗う

  すすぎに手を抜かない

  吸水タオルを使う

  乾かすドライヤーの風の強さや温度に気をつかう

  ピンブラシの先は丸くなったものを使い激しくブラシングしない

  シャンプーの頻度ははじめ週に2回、良くなっても2週間に1……など

これだけたくさんの決まり事があると、おっくうになってしまうかもしれません。
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「市販のシャンプーじゃだめです、病院で処方されたものを適切な量を使い、頻度もそれなりに多くして、これだけのお約束ごとを守ってね」というのは「高価な薬用シャンプーを使う、それも大量に消費するように仕向けている」わけではありませんし、「自分じゃできないと判断して病院委託されるように仕向けている」わけでもありません。デリケートな皮膚を守るためには、正しいシャンプー方法(だって、これは治療なんですから!)が不可欠です。ご理解お願いします。

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<失敗6,市販品でも薬用って書いてあるわ

「病院で買う薬用シャンプーは高過ぎるわ、市販でも低刺激シャンプーって書いてあるのを見つけたの、これでいいでしょ。」と言われると、苦しいのですが、「今の皮膚の状態に合ったシャンプーと保湿剤」はアトピ-性皮膚炎の犬すべてに共通なわけではないので、それをよしとすることができません。

 市販品のシャンプーは汚れ落としをメインに、においや泡立ちなどを考慮して作られておくことが多いです。シャンプー慣れしていないわんこに、これを用いてささっと洗っても汚れがスッキリ落ちます。泡立ちも良好なことが多いです。洗浄力が強いというのは刺激の強さは高めです。これらのシャンプーで週に何度も洗うと、保湿性に欠けるため皮膚がかさかさしてきてしまいます。アトピーわんこには不向きです。洗浄力は界面活性剤の種類を見るとわかるかと思います。高級アルコール系が強め、アミノ酸系が弱めです。
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 アトピーわんこの皮膚は細胞と細胞をつないでいるセラミドが減少していて細胞がむき出しになっているような構造になっています。皮膚自体はクッキングに使うラップ位の厚みで、その薄いラップに目に見えないくらいの細かな穴が開いていると考えて貰うと理解しやすいと思います。小さな穴からは外部から環境中のアレルギー因子が侵入してきます。またこの細かな穴を通して皮膚の潤い成分が逃げていきます。そのような中で皮膚のpHはアルカリ性になりやすく、これは皮膚に常在している細菌が増殖しやすくなっています。皮膚は身体の外と中を隔てている組織なのですが、アトピー性皮膚炎では構造異常があるためにバリア機能が作用しなくなっています。むき出しの身体に刺激を与えない、保湿成分が含まれているシャンプーを選択するのは必須のことです。

 もし常在菌の増殖があるのなら菌を殺したり減らしたりできるシャンプーを選びます。酵母菌の増殖ならば酵母菌を押えるシャンプーです。また、もし脂成分が積もっている状態ならばこれを溶かして取り除くシャンプーを選びます。著しく乾燥している状態ならば潤い重視のシャンプーを選びます。このように同じアトピー性皮膚炎であっても、選ぶシャンプーが違います。院内で薬浴を行なう場合は、部位によって別のシャンプーを組み合わせることがあります。また予洗いに洗浄力のあるシャンプーを使って皮脂を落として本洗いのシャンプーを使うということもあります。
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今回、代表的な薬用シャンプーの名称については記述しないことにしました。いろいろあり、混乱するといけないからです。

次回、食餌とおやつのお話です。

 

 

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