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目が緑色です

 先週、緑内障のお話をしました。緑という色名がついていますが、目が緑色に変わる病気ではないです、とお話ししました。「いや、うちの子は目が緑色になっちゃったよ」という声が聞かれました。「暗いところで目が緑色に光るようになった」そうです。そうです。確かに、光に反射して緑になります。それはうっかりいたしました。ということで、続きのお話です。

 

<目が光る>

暗いところでは瞳孔(ひとみ、目の中心にある黒い部分)が開いています。特に猫は、明るいところでは縦長に見えている部分が暗い場所では大きくまん丸になっているのがわかると思います。(猫が驚いたときにもまん丸目玉になります。)これは暗いところでは光をたくさん目に入れて、物を見るのに都合の良い仕組みです。

一方、私たちから見た場合です。山間部では夜道に車のライトに照らされてぴかっと反射する野生動物の目玉にびっくりすることもあります。田舎では外歩きの猫に出くわすこともあります。ぴかっと反射は、動物の瞳孔が開いているときに強い光源が目に入り、目の中の奥にある反射板(タペタム)に光が反射されて出てくる光です。この光は緑色に見えることが多いです。

屋内では夜でも電灯をつけるので夜道のように真っ暗ではありません。なのに光に反射して目が緑色に見えるのはどうしてでしょう。病気のために瞳孔が開いたままになってしまったり、反射が亢進している状態になっているからです。これには眼圧が高くなってしまう緑内障(後期)や、全身性高血圧由来の網膜症、また網膜そのものの病気が考えられます。

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緑色の目をした猫さんですが、ここは虹彩です。
病気ではありません。




<網膜の病気>

網膜の病気で多いのは「進行性網膜萎縮症」や「突発性後天性網膜変性症」、「網膜剥離」です。

進行性網膜萎縮症は先天性の病気で、比較的若い年齢で発症します。暗いと見えにくい「夜盲」の状態から始まります。年齢も若く、まさか「視力に問題が出てきている」などとは思わないし、昼間の視力は備わっているし、進行もゆっくりなので気づかれにくいです。最近ではペットショップから購入する時点で遺伝子検査を実施してある個体もみられます。

一方、突発性後天性網膜変性症は、ある日突然に完全な視覚消失を迎えます。中高齢の犬に発症することが多いです。原因は不明で、免疫系の疾患の可能性が疑われています。

網膜剥離はぶどう膜炎や緑内障、全身性高血圧症に引き続いて発生する病態です。網膜が部分的あるいは完全に剥がれるので、出血したり充血したりしますから、「緑色に見える」時期の前には「目が赤い」時があったかもしれません。原因にもよりますが、涙が多かったり、目をしょぼしょぼさせているなど目の痛みから来る症状を伴うこともあります。網膜剥離は犬にも猫にも発生します。

 

<網膜の病気の治療>

進行性網膜萎縮症や突発性後天性網膜変性症では残念ながら治療法はありません。網膜剥離も早期で部分的な場合は、原因になる目の病気の治療に成功すれば視力の回復の可能性はありますが、むずかしいことの方が多いかと思います。抗酸化作用のあるサプリメントを使うことはありますが、視力回復を目的にしたものではありません。

網膜剥離の場合、炎症が起こっていると思われる段階ではステロイド療法(点眼と内服)を行ないます。全身性高血圧症に由来する場合は、血圧を下げる治療を行ないます。猫では腎臓病や甲状腺機能亢進症により全身性高血圧症が発生することが多くあります。このような病気であれば腎臓病や甲状腺機能亢進症の治療も積極的に行ないます。それでも視力を回復させる治療にはならないことが多いです。

 animal-17545_960_720.jpg
それにしても緑色の目をした猫は魅力的です。
繰り返しますが、これは病気ではありません。




<片目の盲目>

網膜剥離は片目で起こることが多いので、こんなお話をします。片方の目だけが見えていない場合は飼い主さんは気づきにくいと思います。行動に大きな変化が現れないからです。症状が進行して、左右のひとみの大きさに違いが表れるとか、「目が赤い」という時には注目するのでわかります。あとは両目とも網膜剥離になってしまったときになってはじめて気がつかれると思います。もし両目ともおかしくなっていても片目が部分的な剥離であれば視力が残されるため、気づかないこともあります。

 

<この子は注意!>

コリー、シェルティー、ボーダーコリーは網膜の病気が起こりえます。柴犬、コッカスパニエル、ミニチュアダックスは緑内障の危険性を持つ犬たちです。高齢猫は腎臓病や甲状腺機能亢進症の発生が多いので注意が必要です。

 illustrain04-haloween15.png
暗闇で強い光が当たると目が反射します。
ミュージカル・キャッツのオープニングのようです。




<おわりに>

目の病気は一つの病気から進行して別の目の病気に変わっていく(続発してしまう)ことがあります。例えば進行性網膜萎縮症から白内障へ、ぶどう膜炎から網膜剥離へ、網膜剥離から緑内障へ、白内障からぶどう膜炎を経て緑内障や網膜剥離へという具合です。目の病気は急がなければいけないこともあるのですが、全身性の疾患のように「食べない」を起さないために「今日は忙しいから待っててね」「仕事が休みになる土曜日に行こうね」ということが起こりがちです。ひどくしないためには、「気がついたそのとき!」に来院していただくのがいいんじゃないかなぁ、とは進行した眼科疾患の視力を取り戻せないヤブな獣医さんの独り言?いえ、眼科専門医の先生でもそうお考えなんじゃないかと思います。

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