- 2018-12-09 :
- 食べてはいけない
シキミにご注意
すす払いというのは大きなお寺さんの行事のことかと思っていましたが、「すす払いの日」というのがありますね。一般のお家でも大掃除とは別に行なう、歳神様(としがみさま)をお迎えするための準備をする日になるのだそうです。この日はお仏壇やら神棚を中心に、お台所や玄関まわりをきれいにしておくのだとか。それが12月13日。今週の木曜日です。
神社でお供えするのはサカキです。
ヒサカキの葉です。
シキミの葉です。
似ているようで、葉の付き方や柔らかさに違いがあります。
<シキミには毒がある>
今日の本題。シキミは有毒ですので、犬や猫のいたずらにご注意ください。
シキミは葉、茎、花、根、実すべてに毒があります。なんと、シキミの実は「劇物及び毒物取締法」第二条に定義された劇物。「劇物一覧」のNo111に掲載されています。掲載されている劇物はみな化学物質で、植物は毒キノコすら載っていないのですから、シキミの実の威力たるやさぞかし強かろうというものです。
新芽は薄緑で軟らかいです。
<シキミの葉>
シキミの葉の方は、仏花というか供花のコーナーで、(サカキやヒサカキの隣に)売られています。簡単に手に入ります。(地方によっては売られていないところもあると思います。)劇物一覧に載っているのは実だけですが、この植物全体に毒があるので、葉っぱといえども安心できません。
屋内飼育の犬猫が簡単に手に届く所に置いておくのは危険です。シキミの葉は、サカキよりも柔らかいです。特殊なニオイがあるので、猫がシャミシャミしてくるかどうかわかりませんが、いたずら好きな犬や猫、何でも知りたがりの興味津々な成長期の子ならなおさら、いたずらに走ってしまうかもしれません。なにせ、犬猫に注意を払いながら神棚やお仏壇のお掃除などできません。おそらく夢中になっているはずです。お供えするまでの間、いたずらされないような所に置いてください。
時々SNSで猫が神棚から顔を出している写真とか、お仏壇でお昼寝しているような写真を見受けます。こんな習慣のある猫だと、お仏壇にシキミをお供えすることそのものも心配になります。花瓶を倒し、シキミの樹液の入った水をこぼしてしまったあと、猫は必ず濡れた身体を舐めてしまうからです。日頃から神さまや仏さまのところに猫がお邪魔しないように躾けていただきたいです。
一束ずつになって売られています。
<シキミの実>
シキミの実が市場に出回ることはありません。植物に関心のある方だとお寺の敷地とかお墓の周辺を散策していたら見つけるかもしれません。春には黄色の花が咲き、秋には実がなります。実がはじけると中から猛毒の種が飛び出してきます。ドングリの実より一回り小さいようですが、地面に落ちた実を散歩中の犬が遊んでいて誤飲すると命に関わる事態です。注意して散歩するように、というより、お寺やお墓のまわりに犬を連れて行かないことをおすすめします。
中華料理に登場する八角。
星の形をしています。
<シキミの実・そっくりさん>
シキミの実は見たところお料理に使う「八角」(「スターアニス」と呼ぶこともあります)にそっくりです。中華料理のお皿に載っている「八角」を見て、有毒植物を勉強中の娘が勘違いしたくらいです。「八角」は乾燥させたものがスーパーの「香辛料」のコーナーで売られています。
「八角」は中国産のトウシキミの実で、無毒です。安心してクリスマス用のお料理や、中華風のお正月料理を作るのに利用してください。定番は豚の角煮でしょうか。