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猫の歯周病


昨年12月には犬の歯周病についてお話ししました。だいぶ間は開きましたが、「猫にも歯周病はある!」ので、今日は猫の歯周病のお話しをします。なにせ今月はペットの歯科保健月間です。

猫の口腔内疾患で、最も多いのは歯周病です。2歳で70%の猫が歯周病にかかっているという報告もあるくらい、罹患率の高い病気です。そしてわたしたちと同じように、年齢を重ねるにつれ、さらに罹患率は上がります。猫の口腔衛生についてはまだ十分に気を配ってもらえているとは言いがたい状況です。それは猫が痛みを隠したり、お口の中を見せたがらないことにも原因はあると思います。ですからいよいよ痛くて食べられない、よだれすら飲み込めないような状態(口周りやそれを拭く前足の汚れ)になって初めて気づいてもらえるようなことも多いです。

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大きなあくび。
この瞬間にお口をのぞき見ることができます。



<歯周病というのは>

歯周病は歯垢(の中の細菌)に対して炎症が起こって発生します。はじめは歯肉だけに限られた炎症(歯肉炎)ですが、やがて歯の周り(歯根膜や歯槽骨)を壊しながら進行(悪化)していきます。歯肉炎は治療により逆戻りできる変化ですが、歯周炎は治療しても完全にもとのかたちにもどすことはできません。猫は口腔内を大変不快に感じていて、毛づくろいの回数が減る、食事の食べ方が変わる等の症状を発します。これは口腔内の痛みによるものです。また、不快なだけでなく、全身のいろいろな臓器に障害を起こすきっかけにもなります。まぁ、基本、犬の歯周病と同じです。

 IMG_9820.jpg
歯肉に色素がある猫だとわかりにくいかもしれません。
それでも歯と接する歯茎が赤いのや歯垢はわかるはず。



<症状は出るの?>

気づかれやすい兆候はあります。

・口臭がある

・よだれで口の周りが黒く汚れている

・ドライフードを噛まずに飲み込んでいる

・食事をこぼす

・歯ぎしりをする

・前の手の毛が茶色く汚れている、べっとりしている

・頬が腫れている

これらは初期症状ではなく、残念なことに少し進行してからの症状です。

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上顎の臼歯(上の奥歯)は歯石のつきやすいところです。



<こんな猫は要注意です>

・乳歯が残っている

・歯並びが悪くて重なり部分ができている

・かみ合わせが悪い

・ずっと軟らかい食事を食べている

・歯石が付いている

・デンタルケアを実施したことがない

・免疫系の機能障害がある

・全身性の病気にかかっている

 (ウィルス感染がある、口腔内の細菌感染がある、腎臓病がある、甲状腺機能低下症があるなど)

原因は細菌感染ですが、いろいろな因子が関わって重症化します。

 DSC_4894.jpg
顎の下に触れて、リンパ節のコリコリした膨らみが
感じられることもあります。
口の中を覗いて見るのが難しいときは
顎の下を触っても異常に気づくことがあります。


<ほかの口腔内疾患を併発>

犬の歯周病と違う点があります。猫は歯周病だけでなく歯の吸収病巣などを持っていることが多いです。など、というのはそのほかに慢性の歯肉過形成(良性の腫瘍ができていることもあります。また歯茎が下がっていて、もともとは歯肉に覆われていた部分まで露出している歯(挺歯)を持っていることもあります。これは特に犬歯で見られます。一見すると「歯が伸びてきた」ように見えます。この歯の周りに歯石が付着していることもあります。長く伸びすぎた歯が折れたり(折歯)、折れた歯の周りが黒ずんでいたり、折れた残りの歯が歯肉に埋まって歯がないように見える(埋伏歯)こともあります。犬歯の部分の骨が盛り上がって来ることがあり、口唇部から触ると隠れた歯が太くなっているように感じます。ひどい炎症により、歯肉口内炎になっていることもあります。
(歯肉口内炎は歯肉と口の粘膜に炎症が生じた病気で、歯周病とは違う概念の口腔内疾患です。後日お話しします。)

DSC_1468.jpg
口腔内疾患とは無関係。
モデルさん、ありがとう。

 
<歯周病の病期と治療の目安>

歯肉炎まではおうちデンタルケアでOKです。歯周炎になってからは、軽度ならスケーリングで歯垢や歯石を落とします。中等度ではスケーリングのほかに歯肉の治療(抗菌薬の服用なども含まれます)が必要になってきます。重度になると抜歯を中心とした治療になります。これはより複雑で専門的な処置です。猫の歯科処置は犬の歯科処置よりも難易度が高いです。細くてもろいため、折れやすいからです。

犬と同じように、歯周病が進行して歯根周囲の炎症が激しくなると、口から鼻へ炎症が波及したり(口鼻瘻)、化膿したものが口の中へ出てきたり(内歯瘻)、頬の皮膚に穴を開けたり(外歯瘻)します。このようなときは、抜歯に続いて炎症組織を洗浄し周りの組織をきれいにして縫うなどの処置が必要になります。

 

<歯石と歯周病>

歯石が付きやすいのは上顎の臼歯です。見た目にがっちり付いているから歯周炎が重度、ちょこっと付いているだけだから歯周炎は軽度ということはないです。歯石はさほど付いてはいないのに歯周炎はひどいということもあり、見た目とは違うので注意が必要です。

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お家で頑張ってみようかな、という方、大募集!



<ホームケア>

歯周炎は犬と同様、日頃の口腔衛生が良ければ(日常的に適切なケアをしてあれば)、予防できます。軽度の歯肉炎だったら修復も可能ですが、重度の歯周病になると、治療が複雑で困難になってきます。

猫は犬ほど歯科のホームケアは一般的になっていません。犬でもまだまだの感があるのに猫の歯みがきを提案すると驚かれることもありますが、「この子、行けるかも!」という方を中心にお願いしています。できる子はできています。ぜひ、仲間入りしてください。

 
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ジャンル : ペット

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