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猫に歯みがき

 猫も年齢を重ねるにつれ歯と歯茎の病気は増え、「歯周病」は高齢になった猫の「関節症」や「腎臓病」を遙かに超える罹患率であることは間違いありません。そこで、犬と同じように「猫も歯みがき!」です。長生きするからこそ、歯も大事に使って長持ちさせなければ!

けれど「猫にも歯みがき」、というと「無理でしょ」という回答が返ってきそうです。

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<いまどきの猫>

開業当初、健康な猫から採血するなんてことは至難の業でした。意識が十分あるうちの来院であれば、ちょっとした隙に壁を駆け上り、台の上の物を蹴り散らかすトラブルもあったのです。常は野を駆け巡っていて、人慣れしていない猫が、ちょっと怪我をしたくらいで病院に来たところで、じっとおとなしくなんてしてくれるはずもありませんでした。今は昼夜とも屋内で過ごし、人とのコミュニケーションもとれる猫が大半です。猫の性質が変わってきたのではなく、飼育方法が変わったことで猫の人に対する信頼度が高まり、何かされることに対してこれまでのような抵抗を示すことがなくなってきたのです。ですから犬と同じくらいの持ち方でも十分量の血液を採取させてくれる猫もまれではなくなってきました。

「ここで排泄してほしい」と交渉すれば、好みに合っているかどうかもう少し別な品を要求しているのかはわかりませんが、青空トイレではなく屋内トイレで用足しをしてくれるではありませんか。猫が「そのやり方なら譲歩してやってもいいぞ」と思うくらいの方法で、少しずつ「猫の歯みがき」を押し進めていくことも無理なことではないかもしれません。

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使用するのは犬の歯科ケアグッズと同じ物です。
デンタルペーストやデンタルジェルは味の好みもありますが
ぜひ使用してください。

<始める前に>

猫は特別な動物であることをもう一度思い出してください。嫌なことは二度と受け入れてくれません。犬の歯みがき同様、いきなり歯ブラシを口に入れようとはしないようにおねがいします。

まずリラックスの状態を維持しながら行なうことを基本にします。まったりしている時間の延長にデンタルケアを持ってくるようにしてください。膝に抱かれる猫ならば抱っこタイムが適しています。

最初はお口周りに触れるところからはじめます。おひげの付け根になる部分を上下に動かして、指でその下にある歯の感触を確かめること、ここまでです。

これになれてきたら、唇をめくって指を差し入れてみます。歯の上を指でなぞってみてください。

ここまでの段階を受け入れられる猫であれば、次のステップに進めることが可能になります。

お口を触らせてくれたごほうびに、好物のおやつ(特別なドライフードなど)を手から与えてみてください。

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歯ブラシはブラシ部分が小さい物を選ぶようにしてください。
 <歯をみがく>

次の段階はデンタルシートを使った歯みがきです。歯の汚れを拭き取るイメージのケアです。口に異物が入るのを許可できるはじめの段階になります。

これもできるようになったら、次は本格的な歯ブラシケアです。ブラシは軟らかくて頭が小さい物を使います。異物感が少ない方が無難です。また、無理して全部の歯をキレイにしようとせず、上下の犬歯4本と上の左右の臼歯だけ、それも外側(頬の側)にとどめておきます。もちろん歯の裏面(内側)も磨けなくて良いです。まだ、できるといってもいつ「やだっ!」に翻るかもしれません。猫の意思も尊重しましょう。

好みのデンタルジェル、デンタルペーストが見つかると、半分舐めながら協力的になってくれるかもしれません。探してみてください。味はいくつかの種類があります。

ここまでで十分歯みがきができるようになったら、上下の前歯を前から磨いてみてください。ここまでで十分です。この先も、裏側や下顎の歯を続いてトライしなくて結構です。とにかく、あとは継続です。

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あきらめないで。歯みがきの他にも方法はあるから。



<うちのこはだめみたい>

やってみた。でもね、だめだぁ~。って子は標準です。普通なんです。へこたれないでください。

それでも歯のためにやれることはあります。あきらめないで。

歯ブラシに抵抗する猫にお勧めする一番はデンタルケアガムです。グリーニーズのカラフルな(6種類あります)「猫用歯みがき専用スナック」はプロバイオティクスも入っています。好みにうるさい猫ですが、ここの商品の嗜好性はなかなか高いです。気まぐれで飽きの来る猫でも味が6種類あれば日替わりで行けそうです。

口臭ケア向けとしても有効性が言われている「デンタルバイオ」は剤形が錠剤そのものですが、歯周病の原因菌の増殖を抑え、口腔内を対抗する良性の菌に置き換えるはたらきをするサプリメントです。そのままカミカミしてくれるのがいいのですが、それも難しい場合は飲んでも効くといわれています。実際に試していただいている猫では確かに口臭が少ないです。

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錠剤です。



<歯周病や歯肉口内炎がある猫に>

口腔内疾患がある猫のデンタルケアは根本となる疾患の治療の一環として行なわれます。その中には家で行なうのが難しいとき(急性期で特に痛みが激しいようなとき)があります。まず院内で炎症を鎮静化させてからお家ケアに入れれば、お願いしたいです。

粉を溶かして与える「ラクトフェリン」は、口腔内の潰瘍があるときに主に処方するサプリメントですが、デンタルバイオと同様の効果(口腔内細菌を良性の菌に置き換えることで、悪性菌のはたらきを抑える)が得られます。「微温湯で溶かすポンプで口に入れる使用したポンプを水洗いする」課程が面倒でなければ、(ある程度状態が安定して潰瘍が治癒してからも)ぜひ継続してお願いしたいケアです。味的には猫は許容してくれることが大半です。

犬用に開発された「インターベリー」ですが、猫でも使用した報告があります。有効性が確実になってくれば猫でも応用が可能になるかもしれません。

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<おわりに>

目標は、高齢になったときの歯周病の罹患率を減らすことです。今の努力は今すぐではなく、将来に現れます。今は「めんどくさ~」いかもしれませんし、「うちの周りじゃ、こんなこと言われてやってる猫なんぞ、一匹もおらんぞ」っていうくらい特殊かもしれません。けれど数年後、頑張ったあなたのうちの猫だけが勝利者になっています。どの方法でもかまいません。継続してやっていってください。お願いします。

 
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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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