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エリザベスカラーのこと

今日お話しするのはエリザベスカラーのことです。
エリザベスカラーはどちらかというと嫌われ者です。「つけなきゃだめですよね。そうですよね~。」とがっかり感のにじみ出たお声で同意していただけるのは良い方です。明らかな否定や拒否もあります。日常生活に不自由をもたらすエリザベスカラーですが、どうしてもお願いしなければならない場合があります。ご理解とご協力をお願いします。それは愛犬愛猫のためですから。
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今月の掲示板です。

<犬の特性、猫の習性>
犬も猫も、傷があると、どうやら自分の口でそれを確認してみたいようです。ずいぶん前になりますが「動物は傷をなめて治す」なんて言われていたこともあります。小さな傷の中の異物を噛んで唾と一緒に吐き出すのならともかく、推奨される傷の治し方ではありません。これは現在、誰にも認知されている情報だと思います。

犬も猫も、舐めて傷を大きくし、治りにくい状態に変えてしまいます。術後の縫合糸などは囓られると簡単に切れてしまいます。それは非常に深刻な状態を招きます。このようなことが起こってから対処するのではなく、発生しないようにする防護策がエリザベスカラーの装着です。

犬も猫も嫌がることがあります。グルーミングや爪切り、それから歯みがきや耳掃除などもその一つでしょう。しかし、動物が嫌っても、これらのことが必要であるとみなさんご存知なのでなだめて、慣れるように躾けています。エリザベスカラーも同じです。動物の状態を早く回復させるために必要な処置です。動物の動きから不快だろうと察知してカラーを取り外すのではなく、カラーの役割をご理解いただき、治療に参加していただけるとうれしいです。

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エリカラーにご理解とご協力をお願いします。

<エリザベスカラーの歴史>

私たちが開業した約40年前には、既製のカラーはありませんでした。私たちは患者さんのためにX線フィルムや段ボール紙などに粘着テープで首回りにクッションを巻き付けてカラーを手作りしていました。認知度も低く、飼い主さんたちからは今以上に不評でしたし、当時だれも見たことのないカラーを付けていることに奇異の目で見られることもありました。

 その後犬も猫も家庭における立場が向上してきました。裏庭に繋がれていた犬も表に繋がれることになり、やがて玄関口から屋内に、そして寝るときには飼い主さんの寝室へと移行し始めたときには、ペットの快適さのためにより多くの製品が出回ることになりました。

 カラーが一般的になりつつあるのと同じように、外科的処置も進歩しました。より安全な手術、生体に低侵襲な機械を使っての手術、これまで手を付けられなかった部位にもメスが入れられるようになりました。

創傷に対するケアはペットがより早く治癒するのを助けます。カラーによって、治癒時間が短縮されるのです。このようなことを高く評価してくださった飼い主さんが中心になって、カラーの短期間の不便さを受け入れてくれるようになりました。
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きらわれもんのエリカラーですが。。。

<エリザベスカラーの特徴>

エリザベスカラーは動物が生活する基本的な部分には邪魔にならないようには設計されています。口が背中やお尻周り、お腹などに届かないように作られています。また、後ろ足で顔周りを掻いても、耳や頬、口周りに足が届かないようになっています。このような場所を守るのに最適な道具です。

身体の保護を目的にしているため、基本的には折れ曲がらない材質、硬くて丈夫なプラスチック製です。しかし、カラーの縁をうまく傷口にあててこすることを覚えてしまう動物もいます。大きさのため、またカラーの不透明性のために物にぶつかったり、物を倒したりすることもあります。器用に使いこなせないと、食器も転がして、フードをばらまいたり、近くを水浸しにしてしまうかもしれません。カラーが飼い主さんに嫌われることの一つはカラーを付けた犬が闘牛のように荒くれ者に変化してしまうことにもあるのかもしれません。

 いつでもファーストチョイスとしてエリザベスカラーを勧めます。エリザベスカラーはしっかり仕事をしてくれると信じているから、そして安価だからです。一時的な使用だと考えられる場合は貸し出し用のカラーも用意してあるからです。でも、「どうしても好きになれない」というとき、代替えの商品もあります。
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いつものエリカラーじゃないやつもあります。

<エリザベスカラーが必要な場合>

カラーは非常に重要な道具ですが、動物が傷を負うたびに必ず付けなければいけないというようなものでもありません。たいていの犬はカラーが好きではないし、飼い主さんも時と場所を選んで使いたいと思うでしょう。でも次のような場合は、観念してください。「着けなければいけない!」ときです。

1、大きな傷からの回復途中にあるとき

外科的切開(手術)を受けた後、またそれに近い大きな傷を持っているとき。動物が傷を舐めて治癒を長引かせるのを防ぐため、エリザベスカラーは必需品です。避妊手術後、去勢手術後はほぼ装着があると思ってください。

2、同じ場所を絶えず舐め続けているとき

  同じ部位を舐めるまたは噛むという行為を繰り返していると、その場所は炎症を起こします。炎症によって発生するサイトカインや遊走してくる細胞のために肉芽腫を形成するかもしれません。そしてそれがさらに舐める行為を誘発することにつながっていきます。舐めるという行動自体を抑制する治療とともに、局所を保護し二次的な炎症を抑えると痒み物質が出るのも抑えられます。

皮膚炎が先か、問題行動が先か、両方の治療をしていくわけですが、エリザベスカラーはこの治療の補助になってくれます。さらに問題部位が広がるのを防ぐため、また問題の解決を進めるためにエリザベスカラーが必要です。

3、アレルギーなどの皮膚疾患があるとき

エリザベスカラーは、アレルギーをはじめとした痒みの出る皮膚疾患を抱えている動物が、絶えず舐めたり、皮膚を傷つけたりするのを防ぐのに役立ちます。痒みの出る皮膚炎に対して根本的に対処することは重要ですが、痒みの問題解決に取り組んでいる間、エリザベスカラーは補助的に大変役に立ちます。

4、目や耳など頭部に病気があるとき

舐めたり噛んだりするのを防ぐことのほか、頭部を足で掻いて悪化させる心配があるときにもエリザベスカラーは使われます。足の攻撃から病気部位を守ります。
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エリカラは働き者なんです。

長くなりました。「必要だからお願いしますっ!」「ご理解よろしくっ!」で済まない問題であることもわかっています。来週はエリザベスカラーに替わるものについてお話しします。 

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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