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犬のストルバイト尿石

ストルバイト結石・犬の場合

ストルバイト結石は主に下部尿路に問題を起こします(膀胱結石、尿道結石)が、腎臓にまで影響を及ぼす(腎結石)こともあります。

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尿石症のおはなし、続きです。

<犬のストルバイト結石の原因は感染!>

昔から多かったストルバイトの石は尿の細菌感染(ウレアーゼを作り出す細菌)が原因です。

細菌性膀胱炎を何度も繰り返している犬は、リスクが高いです。「オシッコが赤い」「何度もトイレに行こうとする」「すぐしゃがみ込む」「滴々ともらす」「おなかを硬くして痛そう」「便秘かと思った」などの膀胱炎関連の症状が繰り返され、「またいつものやつだ」と思って薬だけもらってすごしていると、実は石が育っている場合があります。敏感な飼い主さんだと「ちかごろオシッコがにおう」ことにも気づかれていることがあります。オシッコはオシッコの臭いがありますが、細菌感染を起こしているときは、健康なオシッコとは違うアンモニア臭のキツいにおいがしてきます。

「膀胱炎はしっかり治しましょう。」

で、お話は終わりません。実は繰り返し感染してしまうには、それなりの理由があるのです。しっかり治しても再発を繰り返す犬たちがいます。

・オシッコがジャーっと出ない、

・自在に排尿できない、

・何かの拍子にお漏らしがある、

・膀胱炎以外にも細菌感染をおこしやすい、

・お水をたくさん飲む、

・オシッコの濃度が薄い

など、思い当たる節があるときは膀胱炎関連だけでなく、もっと広範囲に検査を受ける必要があります。検査は「再発しやすかった感染性膀胱炎」の原因を探って、再発に対処できるものなら対処するという目的です。

細菌感染は、尿の排泄順路に逆らって、膀胱から尿管、腎臓に上って行ってしまうことがあり、そうすると腎盂炎を起こし、最終的に腎盂にもストルバイト結石を形成します。ときに左右ともに大きな石ができていて驚かされます。腎盂炎があると急な発熱や痛みがみられますが、一定時期を過ぎたのか、石はあるけれど無症状な犬もいます。腎臓にできた石の治療は簡単ではありません。また腎臓機能を脅かします。繰り返しを許してはいけないのです。

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犬のストルバイト結石の特徴を1枚にまとめました。
ぶら下げであります。
お手にとってご覧ください。
決しておよそのわんこだけの問題ではないです。

<切らなきゃだめですか?>

膀胱に石があることが分かり、それがストルバイトの石だと判断されたら、基本は溶解です。そのまま、内科療法にまっしぐら。抗菌薬を服用しつつ、溶解のための特別療法食をしっかり食べてください。

治療中に心配なことがあります。溶けている途中で膀胱結石が小さくなって、尿道に石が落ちてしまうことがあることです。そのようなときは、犬は排尿がスムーズでは無くなるので、すぐに分かります。来院し、尿道に管を通し、フラッスして石を膀胱に戻します。

腎臓にあって、すごくでかくて、実質を圧迫するほどの石の場合、「切るしかない」と手術をにおわすことがあるかもしれません。膀胱内の石が、膀胱そのもの、すっぽり、というくらい大きい場合も、「切って出す」ことをおすすめするかもしれません。特別療法食で、という制限が守れない場合も、「溶かすのは難しいかも=切った方が速い」になります。これまでの自由食では石が成長したけど、処方食プラスおやつ食のために石の成長を止めた、くらいで終わってしまう可能性があります。しっかり溶かせない場合は外科的に取り出すしか有りません。

「溶かす」、というのは溶かすことができる溶液(酸性の尿)のなかに石がしっかり浸かり混んで初めて溶解状況が整います。溶かす液体に十分石が浸かることができなければ溶けてこないので、大きすぎる石や、溶解液をしっかり作り出せない場合は、溶かそうにも無理なわけです。キュウリのぬか漬けなんか考えてもらえるといいですけれど、ぬか床がしっかりしていないとうまく漬からないのです。石がでかすぎて尿に浸らないような状況は、漬け物樽いっぱいに野菜が入っていてぬか床との接地面が不足しているような状況です。それから特別療法食がうまく食べられない状況は、ぬか床の塩分濃度とか乳酸発酵がうまくできていないような状況です。

こんなときは「切らなきゃだめです」のときです。でも、犬のためにいいことは何かというと、「食べないから切る」ことでは無く、「食べさせて溶かす」ことです。

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いろいろの石。
この中で、おにぎり型、色白、すごくでっかい!
のはストルバイトの石です。


 <溶けましたけど、もういいですよね?>

素直に療法食を食べられたわんこで石の具合も良い状況だと、石は1か月後には必ず変化があるものです。

これまで再発を繰り返していたというわんこでも、再発原因が明らかになり、そちらの治療も行うことで再発しにくくなります。けれど、再発原因をどうにもすることができない場合もありますので、問題が改善された場合も、改善できなかった場合も、石が消失してから定期的に尿検査をして再発を防止するようにします。1か月とか3か月で尿の感染が無いかどうかを調べます。一次予防は尿路感染症を継続してなくすことです。感染さえ抑えられればこの石の再発はありません。

特別療法食の中に「再発防止食」があります。これさえ食べていれば「再発が防止できる」と誤解をされている飼い主さんもおられます。この食餌はこれ単体では再発を防ぐことはできませんが、私たちはそれでもおすすめしています。それは、発見できなかった尿路感染があったとき、尿結石を形成されるのを遅らせたり、最小限に抑えることができるからです。再発防止の食事は、結石を作らせる物質(前駆物質)が少なく、尿の酸性度が調整してあります。もちろん、一般食と混ぜて食べさせていたり、おやつを与えていたりするとその効果は得られません。

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うちわがあります。
ご自由にお持ち帰りいただけます。
無くなってたらごめんね。
なかなか好評です。

<続きますが、ひとこと>

細菌感染による尿石ではありますけれど、別に不潔にしていたから感染を起こすというわけでもありません。感染しやすい構造的な特徴をもつ犬がいます。

例えば交通事故の結果とか神経系の病気の結果、不幸にも腰麻痺になってしまった犬はとてもハイリスクな犬たちです。二重に、三重にいろいろなことが身体に起こります。そうで無くてもいろいろとお世話くださっているのに、こういうことが起こります。介護不足だったからということではありません。ご自身を責める必要などありません。腫瘍などで新しい尿路口を造設した犬も同じで、感染しやすいです。自然の排泄口がいかに素晴らしくできていることかと感心します。

副腎皮質機能亢進症では体内からステロイドホルモンが多量に分泌される結果、感染を起こしやすい身体になっています。こういう犬たちもハイリスクさんです。

    
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