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犬のシュウ酸カルシウム尿石

 シュウ酸カルシウム結石・犬の場合

 

尿路結石によって症状が現れるのは、石ができあがったらすぐということではありません。石ができていても無症状です。石が粘膜の表面を刺激したり、石が排尿を妨げたりして、血尿になったり排尿障害をおこすようになって初めて、「おかしいな」と気づくことになります。いわゆる膀胱炎の症状である「オシッコが近い」「赤いオシッコが出る」「オシッコの格好をするのに出てないみたい」「オシッコするのに痛そう」が観察されないまま、ある日突然尿道に石が詰まって「オシッコが出ない!」といった救急事態になることがあります。逆に、別件でエコー検査をしていたら膀胱内に石が見つかったということもあります。

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犬のシュウ酸カルシウム結石について
1枚にまとめてみました。

<結石形成の原因>

シュウ酸カルシウム結石がどうしてできるのか、原因はわかっていません。血中のカルシウム濃度が高い(高カルシウム血症)が必ずあるということもないようです。腸管からのカルシウム吸収が亢進している状態なのか、腎臓からの排泄が高まっているのか、食物からシュウ酸の摂取が多くなっているのか、シュウ酸カルシウムの結晶成長を阻害するたんぱく質(ネフロカルシン)に問題があるのか、など様々な憶測があります。

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オシッコの出が悪いのはQOLが低いです。


<結石形成のリスク因子>

一般にシュウ酸カルシウム結石を形成しやすいといわれていることを挙げておきます。

・高タンパク質の食事

・高ナトリウムの食事

・高カルシウムの食事

・高シュウ酸の食事

・中年齢から高年齢のオス犬(80%以上がオス犬というデータがあります)

・水分摂取量が少ないこと

・酸性の尿を作り出していること

個人的には、栄養バランスを考えていない手作り食を与えられている犬や、肉食に富んだおやつを好んで日常的に食べている犬、人の食事をお相伴する機会が多い(ほとんど常習化している)犬に発生が多いように思います。

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手術しか有りません!


<治療は外科のみ>

シュウ酸カルシウム結石は獣医学的に溶解させることができません。そのため、生体に危害を加えている石は外科的な方法によって取り除くしかありません。

とても小さくて、まだ問題を起こしていない場合、これはしばし観察することになります。発生原因が不明なので、確実な予防法もなく、ほんの小さな石一つを取り出すために手術を行っても、また次に石ができてしまうかもしれないからです。生涯に何度手術したらいいのかわからないくらい、次の石ができるまでの期間が短い犬もいるくらいです。(1か月で数個形成されるような!)それならば、その石があっても日常生活に差し支えないうちは無理な介入はしないでおき、何か困った事態に発展してからまとめて取ることにしましょう、ということになります。

経過を観察するといっても、まったくそのまま放置するわけではなく、定期的に検診に来ていただきます。小さな石のうちは水圧をかけて石を取り除くことができるかもしれないので、そうした処置をとることも考えられます。ただこの方法は犬の大きさによっては(小型犬では)難しいこともあります。

小さな石が尿道を詰まらせてしまった場合は、のんびり構えてはいられません。尿道に管を通して膀胱へ落とし、そのまま膀胱から石を摘出する手術に入ります。

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検診ではエコーと尿検査、X線検査など行ないます。


<フォローアップ検診>

術後の再発率は12か月で36%24か月で42%36か月で48%という数字があります。やはり石ができやすい犬では2年もすれば半数の犬に再び結石が形成されているのです。

定期的に再診に来ていただき、石ができていないかどうか、もしできていたらどのくらいの大きさの石がいくつできているのかを調べます。

再度できあがってきたときも、対応はその前と同じです。水圧で押し出すことができるようであれば処置を施し、どうにもならなくなったら手術をするということになります。

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いつもオシッコに気を使いましょう。


<再発を減らすこと>

尿路結石を外科的に除去しても、それはどんな複雑な尿路変更の手術を行ったとしても、それで結石形成の永久的な問題を解決したことにはなりません。結石ができる原因に対しての根本的な状況を改善することはできていないので、再形成することが考えられます。シュウ酸カルシウム結石の予防に対して総合的なアプローチが必要です。

まずは結石が作られた個々の理由を検証しなければいけないかもしれません。複数の重なる検査を行うことをお許しください。たとえば高カルシウム血症を管理することで石の形成をコントロールできるとすれば石の再発予防になります。

それから、すべての結石予防に対して有効な、水分を多く含んだ食事を与えることは、シュウ酸カルシウム結石の予防でも基本です。ウェットフードが望ましいのですが、ドライフードに水を添加する方法でもいいです。飲水量を増やす工夫もお願いします。結石形成予防に対して、尿比重の理想は1.020以下と言われています。肉眼的にも尿の色が黄色よりもずいぶん薄いと感じるくらいの濃さです。

結石形成の再発を減らし、反復して膀胱切開結石摘出手術を行うのを避けるために(この部分は、犬にとってだけでなく家計にとっても必要なことだと思うのです)、再発防止食(病院の処方食)は効果的です。処方食はリスクファクターになっている高たんぱく、高カルシウム、高ナトリウムの食事を避け、適量のマグネシウムを含む食事になっています。たくさんの動物性たんぱく質を含む食品を摂取すると尿中のカルシウム排泄量が増加し、尿中のクエン酸排泄量の減少でシュウ酸カルシウム結石ができやすいこともわかっています。食事、おやつには気を配る必要があります。

いろいろな処方食を掲示してあります

さらにこれだけでは不十分だと感じられるときには尿をアルカリ性に傾ける薬や利尿薬を服用していただくこともあります。これで、結石の形成を最小限に抑えることができます。

 

<もうひとつ>

以前から高ナトリウムの食事は腎臓病の初期症状を見逃す危険があると思われるため、お勧めしていませんでした。ACVIM(米国獣医内科学会)でも推奨していません。「少ししょっぱい食事にしてお水を多くとらせる」作戦はよろしくないという結論が出ています。

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ジャンル : ペット

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