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クッシング症候群とお薬

クッシング症候群に使うお薬に欠品情報が出て、ドタバタしました。
クッシング症候群は、腎臓近くにある小さな組織である「副腎」で作られる「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されて起こる病気です。犬のホルモン系の病気というと、知名度が高いのは糖尿病ですが、発生割合は糖尿病より多いかもしれません。8歳を超える高齢犬、オスよりもメスに多く見られる傾向があります。
今回はさらっと概要についておはなししてから、お薬にまつわる注意について追加します。

<見過ごされているかもしれない!>
クッシング症候群の症状は
① 水をたくさん飲む、オシッコの量や回数が多い
② 食欲が旺盛、食事量が多い
③ 皮膚が薄い、脱毛部がある
④ お腹がふっくら、ぷっくり膨れている
⑤ 動くのがキライ
⑥ いつもハァハァ、暑そうな呼吸をしている
などです。
全部の症状が必ず発生するわけではありません。この中で一つ二つでも「えっ!うちの子、そうかも!」と思われる節があったら検査をおすすめします。
「太っているからこんなもんだと思っていた」、というのはよくあるケースです。「こういう病気だから、お腹もでっぷりし、それなのに食欲は止まるところを知らなかったんだ」、「肥満なんじゃなかった」、というのがあります。

<どうして起こるのか>
原因の多くは「下垂体の腫瘍」ができていることです。脳にある下垂体から「コルチゾールの分泌を促すホルモン」が出ていますが、ここに腫瘍ができると過剰なホルモン分泌がおこります。それによって副腎から「コルチゾール」がたくさん分泌されます。
もう一つの原因は「副腎の腫瘍」です。副腎が大きくなって「コルチゾール」が過剰に分泌されます。
どちらが原因になっているのかは特別な血液検査で判断が可能です。グレーゾーンというどちらとも判断がむずかしいこともありますが、下垂体腫瘍が原因のことが多いです。

<手術とお薬>
治療は薬による内科的な治療と、手術により腫瘍を摘出する外科的な治療、放射線治療など選択が可能です。根治的な治療というと外科療法です。けれど非常に専門的な手術で難易度も高く、内科的な治療を選択される方が大半です。内科的な治療は、症状を緩和することが目的です。原因となる腫瘍はそのままになっているので、徐々に腫瘍が育って大きくなる日がやがて来ることは頭の隅にとどめておかなくてはいけません。

<お薬をのむときの注意>
このお薬(トリロスタン)をのむと、これまで盛んにお水を飲んでたくさん排尿していたのが、落ち着いてきます。水を飲む量も食事の量も適切になって、排尿量も減少します。これはそのまま循環する血液の量を減少させることですから、投薬量が身体に合っていないときは低血圧になってしまうことが考えられます。
また、心臓病や腎臓病のときのお薬の一部と併用すると、血液の電解質バランスが乱れ、腎臓から排泄されるべき窒素代謝物が滞って高窒素血症になってしまう可能性もあります。
お薬を飲み始めたら、定期的に血液検査を行ない、具合が悪くなっていないか、適正量でコルチゾール値をコントロールできているかどうかをチェックしましょう。

<モニタリング>
犬の状態にもよりますが、不安定な時期は2週間ぐらいで診察に来ていただきたいです。安定期であれば6週間くらい開けても大丈夫かと思います。
お家では活動的になっているか、飲水量、尿量、食欲の変化がどうなのかお伺いします。病院では皮膚の様子、体型に改善があるか、呼吸様相はどうかなどチェックします。
毎回ではありませんが、血液検査(電解質や腎機能項目)を実施するときに、血中のコルチゾール値を確かめることがあります。薬の量や投与回数が今の状態に合っているかどうかを確認したいのです。長期に渡って薬を飲んでいくと、薬に対する感受性が変化して、クッシング症候群の症状が再発したり、反対に副作用を現したりすることがあるためです。

<副作用>
クッシング症候群のお薬の副作用は、副腎の機能低下であるアジソン病と同じです。
① 元気がない
② 食欲がない
③ 脱力して動けない
④ 身体が震える
⑤ 嘔吐する
⑥ 下痢になる
⑦ 血便が出る
などの症状が出てきます。
副作用が出てしまったら、すぐに病院に駆けつけていただくか、または緊急用のプレドニゾロンを服用させてください。クッシング症候群のお薬は数日お休みにします。症状が軽ければ休薬するだけで1日か2日もすると状態が安定してきます。
そして薬の再開は慎重に行ないます。半分くらいにすることもあるし、もっと少なめの量から再スタートすることもあります。診察により、決定いたします。

<ストレスに弱くなる>
クッシング症候群のお薬で、からだはストレスに対処するのが難しい状況になっています。ペットホテルに預けに行く、トリミングに出かける、激しい運動を行なう、別の病気を併発した、入院が必要になったなどの場合、「うちのこ、ストレスに弱い!」とわかっているときは、1日とか2日前からお薬を控えます。そしてストレスのかかるイベントが終了したら薬を再開してください。
万が一、ストレス状況に陥った場合に備えて、ストレス対応ができるステロイドのお薬を持っていると安心かもしれません。


今日はクッシング症候群と、その治療薬、トリロスタン服用に際しての注意についてお話ししました。まだお薬は潤沢な流通という段階には至っていないようです。いつもと違うお薬になることも予想されます。ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いします。

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