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改正された動物愛護管理法

 今年は動物愛護管理法改正の年でした。今回の改正で注目されるところは「マイクロチップ装着の義務化」です。内容をご紹介します。なお、公布から施行までには時間差がありますので、今すぐこれが実行されてくるわけではないのでご注意ください。

 

<マイクロチップ>

マイクロチップは飼い主さんの情報を得ることができます。動物の頸背部の皮下に埋め込まれます。これにGPS機能が付くと迷子になったときにどこにいるのかわかって大変都合が良いのですが、今のところ、情報を読み取る機械(リーダー)をかざして得られたバーコードからは「迷子さんはどこの誰のうちの子なのか」だけを知ることができる仕組みです。(マイクロチップを挿入したら、「私のうち」の情報を登録しなければただのバーコードだけで終わってしまうのでご注意ください。)それでも、首輪に連絡先を付けた名札よりはずっと進んだシステムです。何かの拍子に首輪が取れてしまっては何も判断するものはないのですから。

 

<これまでは任意>

これまでマイクロチップの挿入は義務化されていませんでした。ただ、災害に遭ったときに離ればなれになってしまった飼い主さんと再会できるという素晴らしい前例がありました。そして、「不要犬」として捨て去った飼い主(ここには、さん、を付けたくないですね!)を特定するために必要性が高まってきました。

 pet_microchip_dog.png

<今回の義務化>

今回、マイクロチップ装着が義務になったのは「犬猫等販売業者」さんです。犬や猫を取得したときには取得した日から30日以内に(子犬や子猫では生後90日から数えて30日を経過する日までに)マイクロチップを挿入しなければならないことになりました。ですので、4か月齢以上になった幼犬幼猫をショップで購入するときには既にマイクロチップは挿入されていることになります。この義務化が施行されるのは3年後です。が、すでに挿入されている個体も販売されています。今後順次変わっていくと思われます。

ご家庭では、付帯されたバーコード情報を登録する手続きを行なってください。

 

<努力義務>

一般の飼い主さんに対しては、努力義務ということになりました。「できるだけ装着するよう努力してくださいね」というレベルです。とはいえ、これまでは全くの任意で、飼い主さんの中には知らなかった方もいらっしゃるでしょうし、関心のある方だけが実施されていたわけですから、これも進歩です。

何かがあってからでは遅いので、皆さんに挿入を検討していただきたいです。特にするっと外出してしまう恐れのある認知機能低下がありそうな犬や、中外自由に活動している猫では、挿入に向けての第一候補群であることをお伝えしておきます。挿入による害は考えるに何も見当たりません。

 

<チップの挿入と登録>

マイクロチップの挿入は動物病院で行ないます。病院で発行する「マイクロチップ装着証明書」をお渡しします。ここにはバーコードのシールを貼ってあります。飼い主さんは、氏名、住所、電話番号、犬や猫の所在地を申請書に記入し、マイクロチップ挿入証明書と共に環境大臣宛に提出します。宛先の書かれた封筒も一緒にお渡ししますので、困ることはないだろうと思います。登録が完了すると、識別番号が記載された登録証明書が交付されます。もし、この登録証明書を紛失してしまった場合でも、再交付を受けることが可能です。犬猫を飼育できなくなって養子に出すことになったときは、一緒にこの証明書を渡します。新しい飼い主さんは変更登録をする制度ができました。譲り受けてから30日以内に行ないます。

 

<狂犬病のときの登録>

新しくマイクロチップで登録をすると、その情報は市町村にも通知されます。これまでマイクロチップを挿入しても、狂犬病予防法に則った登録が必要でしたが、この法律が施行されるときには、マイクロチップの登録がそのまま市町村から交付された鑑札代わりになります。(狂犬病予防注射は毎年接種が必要です。)

book_law_hou.png 

改定内容をもう少しご紹介しておきます。

 <動物を虐待したときの罪>

数年前に動物に対する残虐な行為の映像をSNS上に流した悪質な犯罪がありました。このときの判決は執行猶予付きでした。この事件を巡ってSNSでは「軽すぎる」という声が多く上がりました。今回の法改正で、殺傷に対する罪は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」、虐待や遺棄に対する罪は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられました。動物愛護の気持ちが高い方たちからは「まだ軽い」という声が上がるかもしれませんが、弁護士さんによるとこれまでの刑に比べ2.5倍という急激な厳罰化は過去に例のないことだそうです。

「遺棄」というのは開業当初結構見られました。今なら予防が可能な「フィラリア症」にさせてしまうだけでも避難が飛びそうですが、フィラリア症の認知度が低く予防も苦い裸錠を毎日投与する方法で予防を訴えてもなかなか難しい時代でした。体調不良の原因がフィラリアだとわかると「もう何をやってもだめ」というのがそれまでの診察の主流だったようで、フィラリアのために手術が必要だとなると診察後の帰り道に山に捨てられるということもあったのです。「捨てるなら病院に捨てていってね」「もし元気になったら連絡するからお迎えに来てね」ということもありました。(ボランティア手術です。)これからはこんな理由で犬を山中に捨ててしまうと懲役刑の実刑になることもあり得ます。

「虐待」の中には、からだに外傷が生じるおそれのある暴行、そのような行為をさせること、飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養したり保管したりすること、それによって動物を衰弱させることなどが盛り込まれています。このような例を挙げてもらうと虐待行為が具体的に想定できます。こころを痛めたあの姿は今回決められた「虐待」の定義に当てはなるかもしれません。

そして「勧告に従わない動物取扱業者の公表制度」というのも改正により実現されます。悪質な業者に関する情報を得ることもできるようになります。

 

「愛犬家」「愛猫家」の方から期待されていた悪質な動物虐待に対する罰則の強化もなされました。そして私たち獣医師は虐待であると判断した場合、「通報の義務」も設けられました。交付が本年618日ですので施行は1年後からということになります。ほんとに少しずつですが動物の愛護に関する法律も進歩しています。まだまだ見るに堪えない現実を目の当たりにすることもあるでしょうが、法改正の年(やその前年あたり)にはパブリックコメントを受け付けている期間もあります。こうした時を利用して私たちの意見をきちんと伝え、次へのステップにつながるようにできるといいと思います。

 今年ものこすところ今日1日となりました。事故なく健やかに新しい年をお迎えください。

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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