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猫の巨大結腸症

ウンチが出ない!
 猫の巨大結腸症

特発性(原因は不明)メガコロンと呼ばれる大腸障害についてお話ししたいと思います。この病気は結腸から直腸にかけて大量の便を貯留し、排便が著しく困難な状況です。いわゆる便秘がまれに発生する程度ならあまり心配する必要はありません。けれど頻繁に便秘が発生するようになると、最終的に巨大結腸症につながることになります。これは、下剤などの処置だけでは制御できない便秘です。早期に治療されないと、結腸が慢性的に膨らみ腸の運動性を引き起こさせる腸壁の筋肉にダメージをもたらし、自力で排便することができなくなってしまいます。

単純な便秘も巨大結腸症の入り口になっています。
毎日の排便を確認するだけで重症化を未然に防げます。

<解剖学的なこと>

消化管は管状器官で、口から食道、胃へ、そして十二指腸、回腸、空腸の小腸を経て、盲腸に接続します。続いて結腸、直腸があり、肛門部で消化管は終わりです。消化管の機能は食物を消化し、栄養素を体内に吸収することです。胃は消化管が拡張した部分です。酸を生成し、タンパク質の初期分解を助けます。小腸は胃から結腸までのとても長い領域です。食物を吸収可能な栄養素に分解する働きをしています。結腸は水分の吸収と糞便の貯蔵のための場所として機能します。また、腸内細菌は特定のビタミンを産生する場所でもあります。結腸の壁には、脊髄からの神経刺激によって収縮する筋肉の層があります。結腸が収縮すると、糞便がからだから押し出されます。

 <巨大結腸症というのは?>

結腸への神経が正常に機能しない場合、結腸壁の筋肉は適切に収縮しません。結腸壁の筋収縮が無くなると、筋肉が弛緩して結腸の直径が大きく広がります。このだるんと広がった結腸の直径は、通常の猫の直径の3倍から4倍にもなります。糞便は通常の方法で直腸に押し込まれるのではなく、膨張した結腸に蓄積していき、そのまま動かず結腸にとどまり、重度の便秘を引き起こします。この結腸の巨大な拡大とその結果生じた便秘が「巨大結腸症」です。

巨大結腸症は結腸の平滑筋機能不全から来る状態です。

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閲覧用紙つくりました

<症状は?>

「便秘」は排便がまれな(規則正しく出ない)こと、または不完全である(出きらない)状態であると定義されます。便は排出されないと結腸に溜まります。猫はそれでも食事をしていきますから溜まりが徐々に増えていきます。そして結腸の仕事は糞便から水分を吸収させることなので、結腸部にとどまればとどまるほど水分が抜けてカチコチの便になっていきます。最初は単純な便秘でも、ゆっくりと排便困難が進行していき、最終的に巨大結腸症になります。

しっかり観察している飼い主さんは、猫が(さまざまな期間で)排便が減少しているとか、便が出ていない、排便にいきみを伴う(努力して出そうとするけれど出ない)と言われることが多いです。「いきみすぎて吐いているみたい」という様子を伺うこともあります。便秘になっている猫は週に1回から3回程度しか排便をしません。硬くて乾燥した便をぽろりと出す程度で、直腸内には糞便を留めていることが多いです。たまに大量の便が出ます。慢性便秘の猫は、結腸粘膜に対する糞便の刺激作用により、かちこち便(血が付いていることもある)または下痢を交互に繰り返すというエピソードを起こすことがあります。排便困難は猫一生懸命いきんでいるがウンチがでないということで比較的発見されやすいですが、排便状況を見る機会が無い猫、屋外のトイレで用を足すとか猫を多頭飼育しているとか、勤務の都合で長く家を留守にしている飼い主さんの場合は発見の機会を逃してしまうことも少なくありません。便秘が長引いた猫では、食欲不振、体重減少、嘔吐が観察される場合があります。巨大な糞塊の間をぬってとろんとした腸液が出てくることが有り、これを飼い主さんは下痢だと勘違いされる場合もあります。

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毎日の排便確認が重要です

<診断と検査>

重篤な結腸宿便が特発性巨大結腸の猫の身体検査所見です。身体検査では、結腸内で触知可能な非常に硬い糞便が大量に明らかになります。さらに、重度の罹患猫では脱水症、貧血、腹痛、および軽度から中等度の腸間膜リンパ節腫大が発生する場合があります。

診断調査は、結腸の狭窄および/または閉塞を引き起こす可能性のある根本的な問題を除外することを目的としています。血液検査や尿検査のほか、必要を感じる場合は神経学的な検査なども行ないます。

腹部X線撮影は、結腸埋伏の重症度の特徴を明らかにし、異物、腫瘤病変、骨盤骨折、結腸狭窄、脊柱異常などの素因を特定するために不可欠です。

子猫の巨大結腸症は甲状腺の機能不全によって引き起こされる可能性があるため、血液検査が必須です。

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毛球もウンチを出にくくする要因になります

<巨大結腸症の原因は?>

便秘には多くの原因があります。先天性巨大結腸(腸神経系の発達異常が原因であると推定されます)のこともありますが、大部分は後天性です。巨大結腸症につながる可能性のある病気は、直腸や肛門を狭くして便通が困難になる病気です。例えば、腫瘍や異物などで結腸が狭窄され機械的な閉塞があると巨大結腸症につながる可能性があります。骨盤骨の骨折やゆがみは便の通り道を狭めるため巨大結腸を引き起こす原因として比較的多い原因です。肛門嚢膿瘍などの肛門の疾患があると猫は痛みのために排便をこらえ、結果的に巨大結腸症につながります。マンクスは、巨大結腸を引き起こす可能性のある脊髄変形を起こしやすい猫で、神経の損傷があると結腸の運動性にも影響を与える可能性があります。マンクスのほかでも脊椎疾患から神経性に腸の動きを悪くさせ、結果的に巨大結腸症になってしまう猫もいます。

潜在的な原因として猫の食事または環境要因に関連している可能性があります。トイレが汚れていると猫は定期的に排便するのを拒否し、最終的に結腸が伸びることになります。骨などの非吸収性物質が摂取されると異物として結腸に影響を与える可能性があります。高齢猫によくみられる慢性腎臓病のように脱水をおこしやすい疾患では、便をカチコチにすることで便秘を呼ぶこともあります。

ほとんどの場合、結腸が機能を停止する理由を特定することはできません。この病気が最も一般的にみられるのは、肥満傾向の中高年齢のオス猫です。原因不明の巨大結腸症は「特発性巨大結腸症」と呼ばれます。巨大結腸症のうち62%が特発性です。

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テーマ : 動物病院
ジャンル : ペット

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